3D歯科 のデジタル歯医者入門

最小限の費用と努力で最大限の恩恵を受ける歯科デジタル活用術

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デジタル機器導入にものづくり補助金を活用する 2024年版・GPTsを利用する

こんにちは。

3D歯科 です。

 

前回は、2024年初めの更新でしたので2024年に進化する歯科の未来を想像してみました。

digitaldentistry.hatenablog.com

 

今回は、新年にデジタル機器を揃えたいときに活用するものづくり補助金などについて

せっかく2024年なのでAIを活用して挑戦できないかを考えてみます。

(もちろんAIを使えば絶対申請が通るというわけではありません、参考程度に留めてください)

 

よろしくお願いします。

 

ものづくり補助金の壁、事業計画書

早速ですが、ものづくり補助金を調べたことはありますでしょうか。

 

申請が通れば(採択されれば)1000万円程度まで設備投資の50%補助を受けられる、

デジタル機器を一気に揃えるのにとても有難い仕組みです。

 

3D歯科 も初めての口腔内スキャナーを購入するときにものづくり補助金にトライしました。

職場の収支や雇用状況を調べることは事務的な内容なのですが、

慣れない仕事として、「補助を受けて取り組む、新しい事業の計画書」を記載しなくてはなりません。

 

新しい事業の何が新しいのか、どのようなスケジュールで進めるのか、どのくらい費用や時間がかかるのか、どのような見通しで事業がうまくいくと考えているのか・・・

このような、銀行で融資を受けるときのように、歯科業界以外の人が呼んでも

説得力のある内容に仕上げる必要があり、なかなか手強いです。

 

ここを代行する業者なども多数存在しますが、もし先生方に時間のゆとりがあるのであれば

自分でトライしてみることをお勧めします。

ちなみに業者によりますが、補助額の半分近く持っていくところも多いです。

どうしても多忙で誰にも任せられないときには手元に残るお金を計算して依頼するか考えましょう。

自分一人でやると、大体50時間くらいかけると全ての書類を準備できました・・・

 

3D歯科 は当時知識と高額な機器を多数購入する踏ん切りがなく、

DIプライムスキャンのみ申請したので、約260万円ほどの補助を受けました。

50時間かかったのと後処理の時間も必要なので時給5万円くらいでしょうか。

十分すぎるほどにチャレンジする甲斐はあるかと思います。

 

2024年は事務手続きはなるべくAIを使う

さて、せっかく2024年になりましたので、可能なところは自分の手間を減らしてみましょう。

 

Bingを使用すると、ChatGPT4を使用できるので、簡単に事業計画作成をお願いしてみます。

 

多分、読んでいただいているみなさんの中にも、生成系AIに懐疑的な方もいらっしゃるでしょう。

なのでどのくらい凄いかをお話しするのはやめておき、

単純にどのくらいみなさんの時間を短縮してくれるかをみてみましょう。

 

ものすごくシンプルに指示をします。

(GPTsも使用せず他のプロンプトを先に入力もしていない、新規の状態です)

 

 

・・・このようにずらっと記載してくれます。

もちろんですがこのままコピペで提出すると文章の長さや必要な項目を満たしてないこともあるのですが、

ものづくり補助金独特の言い回しや、必ず含めるべき項目などもちゃんと押さえています。

 

以下はBing (ChatGPT4)の生成文です。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

# 歯科の口腔内スキャナーを導入する事業計画

 

## 事業の概要

- 当社は、歯科治療の質と効率を向上させるために、口腔内スキャナーを導入することを計画しています。

- 口腔内スキャナーとは、小型カメラで口腔内の状態を立体的に撮影し、モニター上に映し出す装置です¹

- 口腔内スキャナーを使えば、従来の印象材を使った型取りに比べて、以下のメリットがあります²

    - 患者の負担を減らすことができる(嘔吐反射や不快感を防げる)

    - 治療の精度を向上させることができる(ひずみや見落としが少なくなる)

    - 治療の時間を短縮することができる(型取りや製作の工程が簡素化される)

- 口腔内スキャナーは、矯正治療やインプラント治療、虫歯や歯石の確認など、歯科医院で日常的に行われる治療に活用できます³

- 口腔内スキャナーの市場規模は、2020年には約100億円でしたが、2025年には約300億円に拡大すると予測されています

- 当社は、この市場の成長に合わせて、口腔内スキャナーを導入することで、歯科治療の革新的なサービスを提供し、競争力を高めるとともに、収益性と生産性を向上させることを目指します。

 

## 事業の具体的取組内容

- 当社は、口腔内スキャナーの導入にあたり、以下のような取組を行います。

    - 口腔内スキャナーの選定と購入

        - 当社は、性能や価格、操作性などを比較検討した結果、メディット社のi700ワイヤレスを選定しました

        - i700ワイヤレスは、高速かつ高精度なスキャンが可能で、ワイヤレスで軽量なので、患者とのコミュニケーションがしやすいという特徴があります

        - i700ワイヤレスの本体価格は約800万円で、別途PCやソフトウェアのライセンス料が必要です

        - 当社は、ものづくり補助金の申請を行い、補助率の3分の2(最大500万円)を受けることを目指します

    - 口腔内スキャナーの導入と運用

        - 当社は、口腔内スキャナーの導入にあたり、以下のようなスケジュールで進めます。

            - 20244月:ものづくり補助金の申請

            - 20246月:ものづくり補助金の採択通知

            - 20247月:口腔内スキャナーの購入契約

            - 20248月:口腔内スキャナーの納品と設置

            - 20249月:口腔内スキャナーの操作研修と試用

            - 202410月:口腔内スキャナーの本格運用開始

        - 当社は、口腔内スキャナーの運用にあたり、以下のような体制を整えます。

            - 担当者:歯科医師2名、歯科衛生士2名、歯科技工士1

            - 役割:歯科医師は口腔内スキャナーの操作と診断、歯科衛生士は口腔内スキャナーの補助と患者への説明、歯科技工士は口腔内スキャナーのデータ管理と製作物の発注

            - 研修:メディット社の研修プログラムを受講し、口腔内スキャナーの操作とソフトウェアの使い方を習得する

    - 口腔内スキャナーの活用と事業化

        - 当社は、口腔内スキャナーを活用して、以下のような事業化を目指します。

            - 正治療の事業化

                - 口腔内スキャナーで矯正検査を行い、患者の歯並びや噛み合わせを正確に把握する

                - 口腔内スキャナーのデータから、矯正治療のシミュレーションを行い、患者に治療方針や期間、費用などを説明する

                - 口腔内スキャナーのデータから、精密でぴったり合うマウスピースを製作し、患者に提供する

                - マウスピースの装着状況や効果を定期的に口腔内スキャナーで確認し、必要に応じて調整する

            - インプラント治療の事業化

                - 口腔内スキャナーでインプラント治療の術前診断を行い、患者の顎の骨や神経・血管の位置を正確に把握する

                - 口腔内スキャナーとCT画像を併用して、インプラントの埋込のシミュレーションを行い、患者に治療方針やリスクなどを説明する

                - 口腔内スキャナーのデータから、サージカルガイドを製作し、インプラントの埋込に利用する

                - 口腔内スキャナーのデータから、インプラントの上部構造を製作し、患者に装着する

            - 虫歯や歯石の確認の事業化

                - 口腔内スキャナーで定期的に患者の口腔内の状態をチェックし、虫

 

ソース: Bing との会話 2024/1/9

(1) ものづくり補助金の書き方 | 経済産業省 中小企業庁 - ミラサポplus. https://mirasapo-plus.go.jp/hint/7654/.

(2) 【書き方】ものづくり補助金の事業計画書の記入例と採択の .... https://inu-llc.co.jp/monohojo-business-plan/.

(3) 【保存版】事業計画書の書き方「ものづくり補助金」(215 .... https://www.rmcoffice.com/about-mono-hojo-2020-04/.

(4) ものづくり補助金の「事業計画書の書き方」とは|3つの .... https://hojokin-shinsei.co.jp/monodukurihojokin/zigyokeikakusyo-kakikata/.

(5) ものづくり補助金 3つの申請書類(事業計画書)の書き方とは .... https://hojokin-shinsei.co.jp/monodukurihojokin/shinseisyo-kakikata/.

(6) 口腔内スキャナーとは?歯科医院が導入するメリット .... https://akibare-dental.jp/archives/416.

(7) 2023年】口腔内スキャナーおすすめ11選|選び方も解説 .... https://netspeed-industry.jp/2023/09/25/%e3%80%902023%e5%b9%b4%e3%80%91%e5%8f%a3%e8%85%94%e5%86%85%e3%82%b9%e3%82%ad%e3%83%a3%e3%83%8a%e3%83%bc%e3%81%8a%e3%81%99%e3%81%99%e3%82%81%e3%83%a9%e3%83%b3%e3%82%ad%e3%83%b3%e3%82%b011%e9%81%b8/.

(8) 口腔内スキャナー - 株式会社キャノン・デンタル・ラボラトリー. https://www.e-cdl.com/ios/.

(9) 歯科用3Dスキャナーの基礎知識を解説!特徴と導入事例 .... https://3d-scantech.jp/column/dental/.

(10) デジタル技術のインプラント治療への臨床応用 - J-STAGE. https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsdmd/39/1/39_6-9/_pdf.

 

 

 

 

かしこまりました。😊

 

虫歯や歯石の確認の事業化について、以下のように記述しました。

 

- 口腔内スキャナーで定期的に患者の口腔内の状態をチェックし、虫歯や歯石の有無や進行度を詳細に把握する

- 口腔内スキャナーの画像を患者に見せて、虫歯や歯石の危険性や予防法を分かりやすく説明する

- 口腔内スキャナーのデータを電子カルテに保存し、患者の歯科健康管理を効率的に行う

- 口腔内スキャナーの導入により、患者の歯科意識を高めるとともに、歯科医院の信頼性と満足度を向上させる

 

以上が、歯科の口腔内スキャナーを導入する事業計画についての代行執筆の内容です。

 

ご不明な点やご要望がありましたら、お知らせください。😊

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

今回は何も指定なくものづくり補助金について記載してもらいましたが、

例えば「具体的取り組み内容」にはグラフを作成したり予定表をエクセル形式で作成したり

この項目は何ページくらいで、というのも指定していくとかなりそれらしくなります。

 

あとは欠かせないものづくり補助金のマニュアル、200ページくらいのPDFについても

GPT4に読み込ませて要約させたり、絶対押さえるべきポイントをチェックリスト化したり

かなり優秀な「ものづくり補助金代行業者」になってくれます。

 

GPTsストアの衝撃

さて、今回は生成系AIの作文作りが凄いということをお話ししたいのではありません。

これくらいはGPT3.5でも十分できましたし目新しくはありません。

 

何よりも 3D歯科 が衝撃を受けたのは、今週(もうリリースされている?)オープンの

GPTsストアについてです。

 

例えば今回の内容で行くと・・・

 

 

これ、ものすごいことじゃないですか?

https://gptstore.ai/gpts/TabkHc4fK9-monodukuritai-lang

リンクはこちらからです。

 

例えばAIで作成した事業計画書について、このまま出してOKかを先に確認してくれます。

それに対してさらにAIで修正をかけて、人間の目で確認をしたらもう完成です。

 

他にも続々AI君が大量発生しています。

AppleのAppStoreのように、同様アプリはこれからも増えていくと思います。

 

 

まとめ

今回は唐突にですが、ものづくり補助金をAI活用で取り組みやすくする方法を紹介しました。

もちろんですが、ものづくり補助金を対処できたらその他の助成金も同様です。

 

デジタル機器を導入するための障壁が、単純に価格であれば国や行政のサポートを借りるのは

医院のためにも患者さんのためにもなるはずです。

 

ですが今回お話ししたかったのは補助金を取得するのが楽になった、という話ではありません。

 

GPTsは単にChatGPTを簡単に使用するだけのものではなさそうです。

以下は簡単な説明・・・

 

つまり、今回はわかりやすく補助金アシスタントGPTsについて紹介しましたが、

他の業界では「コピーライターGPTs」「会計処理GPTs」などが爆誕しています。

 

インプラント専門GPTs」「CT読影GPTs」「クラウンCAD専門GPTs」など

歯科業界にも間も無くAIを簡単に活用して診断や勉強を効率化・簡易化する技術が

導入されると思います。

 

ますます2024年は今までの通りの仕事や診療のみ行えばいいという世界ではなくなってきているようです。

3D歯科GPTs も、時間を見つけて研究・作成したいなと思っています。

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを

少しずつ更新していきます。

 

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↑こちらでも不定期に動画付きのデータを更新しています。

 

よろしければ見ていただけると嬉しいです。

 

先生がたの臨床に少しでもお役に立てていただければ嬉しいです。

今後とも 3D歯科 をよろしくお願いします。

 

 

 

 

2024年に想像する歯科の未来について

こんにちは。

3D歯科 です。

 

前回は、いよいよ普及期に入ってきた?歯科の3Dプリンターと

さまざまなレジンの登場についてお話ししました。

digitaldentistry.hatenablog.com

 

今回は2024年に起こるかもしれない?歯科の変化について想像してみます。

よろしくお願いします。

 

2024年の初めに

昨年はたくさんの方に 3D歯科 の記事を読んでいただきありがとうございました。

また、デンタルショーなどでもお声をかけていただき、お会いするチャンスをいただき、

講習会などにもチャレンジさせていただいてありがとうございました。

 

2024年のスタートは、ご縁をいただきまして医師薬出版さまから1月の

『補綴臨床 digital and international』57巻1号(2024年冬号)

にMeditのアプリを使用した診療についての紹介を掲載していただける予定でおります。

1人だけ全然アカデミックではない内容になりますのでお恥ずかしい限りですが・・・

よろしければ他の素晴らしい症例などを読むついでにお目通しいただけますと嬉しいです。

 

いよいよ歯科もAI全盛に?

さて、去年にも生成AIが絵を描くようになってきた、などの内容を書いた気がしますが

いよいよ一般分野はAIを日常業務に取り入れることが多くなってきているようです。

 

Copilotや、ChatGPT内でのCode Interpriter機能の登場などにより

AIが絵を描くのなんてすでに当たり前、与えた情報を統合してレポートしてくれたり

質問に答えるのではなく、質問してきそうな内容についてステップバイステップで

まとめて教えてくれたりするようになっています。

 

さて、歯科におけるAI活用ですが、口腔内スキャナーなどを活用している先生方は

それと気づかずAIの恩恵をすでに受けています。

粘膜部と歯冠部分を自動認識して歯の付近以外の余剰データをリアルタイムで

トリムしながらデータをきれいにしてくれています。

 

また、去年くらいから本格化してきたCTの歯冠・歯根セグメンテーションや

マージン自動認識やマウスピースのアウトラインの自動認識など

データを与えるとAIが識別し、分類したり抽出してくれる技術はさらに一般化するでしょう。

 

そのほかでもパノラマX線からカリエス歯周病のリスクを指摘してくれたり

患者さんに健康習慣を意識させるレポートを作成してくれる技術もすでにあります。

 

 

2024年は何が実現するでしょうか。

 

おそらくCAD操作、クラウンやインレーを製作する技術はさらに完成度が上昇するでしょう。

感覚的には9割以上の技工士さんのルーティンワークで行うCAD操作よりも

AIの作成した方が早く正確になるかもしれません。

これは個性的なクラウン、というものとはまた違い、例えば保険診療で作成される

機能する、ことだけを考えたクラウンを作成するならAIを活用した方が優れる可能性があるという意味です。

 

現状では臼歯のAIクラウンはほぼ無調整で機能させることが可能ですが

前歯はガイドと審美を兼ね備えたクラウン製作はまだAIには厳しいです。

これにはファセットを辿って顎運動を再現する技術(これ単独はすでにあります)や

口腔内スキャナーでの顎運動を記録する機能(これも単独の機能としてはすでにあります)

が、口腔内スキャナーや支台歯データ、CTの骨データと連携されることが必要となります。

審美についてはCTデータかフェイススキャンとの統合が必要になるでしょうが

フェイススキャンはまだ黎明期で口唇の動きなどが再現されないので

写真を撮影してインサイザルエッジポジションを決める、ということの延長線上にしかすぎません。

フェイススキャンが表情の変化まで動画のように(映画のモーションキャプチャーのように)

取れるようになって初めて、前歯の審美がAIで完成させられるようになるかもしれません。

これは多分ハードウェアの進化が必要なので、2025年までかかるでしょうか。

 

クラウン以外の補綴についてですが、例えば義歯については、

多分2024年中には全てデザインは自動化できるようになると思います。

これはクラウンもそうですが、完全にAIが完成させて人は何もしない、ではなく

AIがクラウンや義歯の提案をしてきて、OKを出すか好みに合わせて修正をするか、

という使用方法になるはずです。

 

インプラントはすでに技術はあるようですが(すみませんあまり詳しくないです)

CTデータと口腔内スキャナーデータをソフトが統合してインプラント体を設計し

インプラントを埋入するためのガイドまでAIが自動で製作するようになっているそうです。

ここにさらに骨の欠損量やCTでわかる範囲の骨質、クリアランスを加味して

ドクターが診断の後に設計するインプラントの位置をAIが精度高く指定してくれるような

発展を2024年はしてくれると期待しています。

オペにあまり自信のない私のようなドクターからするとCT読影から骨質、

十分な初期固定の可否などはAIで診断までできてくれると嬉しいです。

 

このようなSaMDと言われるようなAIを駆使した診断ソフト、治療支援ソフトは

歯科の世界でもどんどん広がり、おそらくは使用するしないで歯科医師、医院の生産性は

大きく差が出てくるのではないかと予想しています。

 

材料の進化について

3D歯科 はどうしても3Dプリンターの素材についての内容に偏ってしまいますが、

歯科の材料の進化の中ではやはりプリント材料が2024年にも大きく進化すると期待しています。

 

クラウンの素材ではオールオンXで使用できるような、50%を超えるフィラー量含有の素材、

(すでにいくつかの素材についてはレジン、ではなくセラミック、という扱いのようです)

前歯のベニアや審美補綴のための透明感の強い素材、

お湯であっためなくても弾力があるソフトな素材、

顔料ではなく素材自体にVITAシェードのシェード感がある素材など

開発途中の素材も、多くは今年のうちに登場しそうです。

 

特に弾力のあるソフト素材がプリントで簡単に作成できれば

(Keyprint Softよりも柔らかいもの)

義歯もマウスピースも非常にメリットがあると思います。

おそらくは今年中くらいに長期使用できるソフト素材が市販されるでしょうか。

願望ですが期待しています。

 

また、個人的にはより簡単にプリントでき、温度変化にも強いTEK用レジンで

エキマテなどのように未重合レジンでも安全性の高いレジンが開発されれば

それこそ3Dプリント素材が保険診療に取り入れられたりと

メリットが大きくなるのではないかと考えています。

 

まとめ

今回は歯科にまつわるAIの進化や材料の進化についての希望と予想についてお話ししました。

ですが歯科の世界は、世の中の世界とはいつも遅れがちにはなっています。

 

世の中は今年か2025年にはAIの力を借りてガラッと働き方や仕事内容が変化しそうになっています。

好むと好まざるに関わらず、新しい治療や価値を患者さんに提供しようと思うと

AIをはじめ新しいソフトや技術に付き合っていくことを避けられなくなっているのかなと考えています。

 

ここ1、2年の技術やソフトの進化は恐ろしいスピードで進んでいるので、

正直に数年後にどのような歯科治療や仕事内容をしているかはわからなくなってきています。

口腔内へのミリングマシンや治療計画のフルオート化などができると

歯科医師としてどのように働いていけばいいのか不安になる面もあります。

 

とにかく新しいニュースが多くキャッチアップするだけでも大変にはなりますが、

今年も楽しくデジタルの知識や技術を得ていけるように学び続けたいと思っています。

 

改めて、今年も 3D歯科 をよろしくお願いいたします。

2024年が歯科にとっていい一年になるように頑張りましょう。

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを

少しずつ更新していきます。

 

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よろしければ見ていただけると嬉しいです。

 

先生がたの臨床に少しでもお役に立てていただければ嬉しいです。

今後とも 3D歯科 をよろしくお願いします。

 

 

 

歯科用3Dプリンター値崩れの始まり・・・?レジンも続々登場

こんにちは。

3D歯科 です。

 

前回はコピーデンチャー、3Dプリントデンチャー製作用の「義歯スキャン」について

口腔内スキャンで最終印象を取ることについてお話ししました。

digitaldentistry.hatenablog.com

 

今回は、次々に登場する歯科用3Dプリンターと、

入手しやすいレジンなどについてお話しします。

よろしくお願いします。

 

歯科用プリンターの代表格

日本国内で医療薬事を通している3Dプリンターはまだまだ少ないです。

 

歯科用に開発、調整されたモデルもありますし、民生品を医療薬事取得しただけのものも多く存在しています。

ホビー用でも歯科用に開発されたものも、LCD方式であればほとんど内容は変わりません。

SLA方式、DLP方式であれば価格差・性能差で違いがあるかもしれませんが、

歯科用のものも、ホビー用でも、最新のものは十分な精度を持っているように思います。

 

SLA(進化版のLFS)方式

この方式で歯科用で有名なのは、FormlabsForm3bというモデルです。

 

このモデルは昔から歯科技工所にあるイメージで、

ガイドやインプラント用の模型を作成することなどに使用されてきました。

 

最近、驚きのニュースがありまして、

ベーシックパッケージが90万円以上だったものが

今年9月から331,000円に変更されたよう。

 

これ、本当に大丈夫なのかと心配になる値下げですね。

既存ユーザーは大丈夫なのでしょうか・・・

 

DLP方式

このタイプで有名なのはカーラプリントシリーズと思います。

国内認可を受けた3Dプリンターの先駆けの一つです。

 

昔から3Dプリントに取り組んでいる国内の先生は

多くはこのプリンターを使用しているようです。

 

最新はカーラプリント4プロと思いますが、

いいところはレジンごとにプリセットが決まっているそうで出力に迷わないところです。

ですがユーザーの方から聞くところでは、温度変化などでパラメーターを触りたくても

基本的にはプリセットのまま変更できないそうです。

冬場はプリンター環境自体を暖めるほかないかもしれません。

 

LCD方式

これはどんどん新しいプリンターが登場しています。

 

Ciの扱い始めたOnDemand3D 4Kプリンターや

Feedで販売しているAccufab-4LDなども医療薬事の通ったLCDプリンターです。

 

基本的にはフローズンやElegooのLCDプリンターと同様ではありますが、

モデルにより高速出力が可能であったり、

温度管理機能が内蔵されたり、ソフトとの連携が可能であったりと

さまざまな工夫を凝らしたものが上市され始めています。

 

LCDプリンターは元々安価であるのですが、医療薬事取得品は

どうしても高額になるのが通常のようでした。

 

ですがデンケンハイデンタルのように既存ユーザーに15万円で医療機器としてのプリンターを販売したり、

民生品を医療薬事を通して30万円以下の値付けのプリンターも増えてきました。

 

そこでFormlabsの値下げもあり、さらなる低価格化が進むかもしれません。

機器としては安価で製造できるものですので、日本国内のニーズが高まれば

半額・3分の1の価格になることもそう遠くないと思います。

 

昔のCR重合器が高額であったものが、1万円前後で十分な性能になってきているように

一部の限られた用途以外では3Dプリンターはいよいよ普及モデルが増えてきそうです。

 

 

 

3Dプリンター用レジン

あとは本体が普及すれば使用するレジンです。

 

本体が低価格化になっても、使用できるレジンが国内で限られると活躍できる場面も減ってしまいます。

 

特に物性に劣るもの、出力が困難なものは普及しづらいでしょう。

普及していくレジンとしては、TEKやスプリント用で簡単に出力できるもの、

国内認可の取れたパーマネントレジン(海外で最近たくさん出ている、EMAX並みの強度のレジン)

が登場すれば、補綴のマテリアル選択が大きく変化しそうです。

 

パーマネント形レジンは国内ではまだまだのようですが、

スプリントやガイド用のレジンは面白いものが国内認可が取れて発売されるようになりました。

 

例えばCiの扱いはじめたODSのレジンです。

 

医療薬事の取れたレジンとしては安価に感じますが、250gなので別段割安ではありません。

ですが海外デンタルショーなどで話題になっていたのが、目立って粘稠度が低いことです。

 

3Dプリントをすでに行なっている先生はお分かりのことですが、

レジン液は寒さによりドロドロになり、出力が難しくなります。

 

また、出力後の後処理をしようとしてもベタベタ・ドロドロだと

クラウンやスプリントの内面に余剰のレジンが多く残り、

除去するのに大きな手間が必要になります。

除去が不足で未重合レジンが残ってしまうとアレルゲンにもなり、非常に問題です。

 

そこでこのレジンは粘稠度が非常に低くサラサラで、

ホビー用の水洗いレジンと同等の粘稠度のようです。

 

そうすれば出力も容易で、後処理も楽になり、無駄になるレジンも減っていいことづくしです。

3D歯科 も早速注文して年末年始に研究しようと思っていますが、今のところまだ届いておりません。

到着しましたらスプリントなどを作成してみて実際に自分で試してみようと思っています。

 

まとめ

3Dプリント界隈は日進月歩で進化を続けており、

海外では非常に強度の高い義歯用、パーマネントクラウン用レジンが数多く登場しています。

 

もちろん患者さんの口腔内に入れますので安全性をしっかりと考えることは重要です。

そこさえクリアーできれば、ジルコニアディスクのミリングに次ぐ

国内での補綴製作の大きなターニングポイントになるものと信じています。

 

今日は当院も仕事納めでした。

義歯の破損した方、クラウンやTEKが破損・脱離した方もちらほら急患で来院されました。

 

来年こそは、急なトラブルに即日に対応できるような義歯・クラウンの

3Dプリント補綴を確立できればと思っています。

(現在では最短でも義歯・クラウンは翌日セットです)

 

今年も一年、 3D歯科 の記事を読んでいただき、また反響もいただきまして心より感謝いたします。

また来年も、よりマニアな研究やテクニック、情報を共有できるように精進してまいります。

 

良いお年をお迎えください。今年も一年ありがとうございました。

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを

少しずつ更新していきます。

 

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↑こちらでも不定期に動画付きのデータを更新しています。

 

よろしければ見ていただけると嬉しいです。

 

また、年末年始にデジタルデンチャーの内容について更新しています。

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先生がたの臨床に少しでもお役に立てていただければ嬉しいです。

今後とも 3D歯科 をよろしくお願いします。

 

 

 

コピーデンチャー、3Dプリントデンチャー製作用の「義歯スキャン」について〜③口腔内スキャンで粘膜の最終印象をとる

こんにちは。

3D歯科 です。

 

前回はコピーデンチャー、3Dプリントデンチャー製作用の「義歯スキャン」について

口腔内スキャナーを用いて、旧義歯を(口腔外で)スキャンする方法についてお話ししました。

digitaldentistry.hatenablog.com

 

今回は義歯を作成するための最終印象を口腔内スキャンで取得することについてお話しします。

よろしくお願いします。

 

アナログ印象は加圧印象

アナログでの義歯印象はさまざまなテクニックや考え方があることは皆さんも知るところだと思います。

加圧印象、選択的加圧、無圧印象・・・

ですが、ちょっと乱暴な言い方をすれば印象材には重量がありますし

少なからずアナログでの印象は(無圧印象であっても)加圧印象になるかもしれません。

 

また、コピーデンチャーを利用してバイトと最終粘膜印象を取る方法が一般化すると

最終印象に咬合圧印象を用いることも多いと思います。

 

すなわちアナログでの印象は、粘膜を機能時のように加圧して圧縮した状態で

骨面上の粘膜の形態を採得する、というものと言えるかと思います。

(アナログ操作は 3D歯科 はあまり自信がありません、もっと詳しく書かれた成書を参照ください。私も勉強中なので認識に間違いもあるかもしれません)

 

デジタルスキャンは無圧印象

対してデジタル印象は、粘膜上をカメラは通りますが粘膜には触れません。

完全な無圧印象と言えるかと思います。

 

加圧がいい、無圧がいい、ということは置いておき、デジタルスキャンは無圧印象です。

ここに困難なことがあるのが頬粘膜・口唇の圧排です。

圧排する際にむやみにテンションをかけてしまうと全体は無圧なのに

ボーダー付近は不自然な加圧?牽引されて変形した形になってしまいます。

 

デジタルスキャンを最終印象にした際の結果について

口腔内をスキャナーでうまくスキャンできたとして、結果はどうでしょうか。

写真が分かりにくいかもしれませんが、コピーデンチャーで口腔内のバイト採得をした画像です。

 

このコピーデンチャー、アナログ印象ではなくデジタルスキャンで粘膜面を作成しています。

もちろんレジンでできており硬いのですが、調整は全くなし。

3D歯科 はアナログとの学術的な精度比較はできませんが、(大学の方、お願いします!)

個人的なチェアサイドでの印象は、十分に使用できるだけではなく

アナログ印象よりも内面調整は遥かに少ないように感じています。

 

 

デジタルスキャンを最終印象にする際の問題点

それでは全ての症例をデジタルスキャンのみで行えば良いのでしょうか。

 

ただ、ここでも気をつけるべき問題点があります。

それぞれ確認してみます。

  1. スキャン自体が少し難しい(慣れればできる)
  2. ボーダー部分、辺縁形態の情報は取得できない
  3. 舌の動きが悪い症例の舌下部、著しいアンダーカットは採得不可能
  4. 技工士さんが対応できない

1.スキャンですが、粘膜面を広くスキャンするわけですから

正しい手順で行わないとスキャナーが迷子になってしまいうまく撮れません。

基本的には正中部分を基準点として、顎堤頂を左右順に繋ぐようにスキャンします。

それからボーダー付近をとり、最後に舌側・口蓋部分をつなぐようにスキャンします。

注意としては、スタッフに協力してもらうなどして厳密に頬粘膜の圧排を行うことです。

 

2.ボーダー付近のスキャン、と言いましたが

印象材でデンチャースペースを記録するように、立体的に最終義歯形態をイメージしつつ

印象採得をすることはできません。

代わりにカラーでスキャンできますので付着歯肉と遊離歯肉の境目はスキャン後に

確認しつつCAD操作でボーダーを作ることが可能です。

 

3.これについては物理的にスキャンできない症例はあります。

印象材でもそうかもしれませんが、患者さんの舌や顎の動きに制約がある場合、

そもそもスキャンチップで口腔内のアンダーカット部位や隠されている部分は撮影できません。

口腔内の視診により、スキャンでは無理があると判断したらシリンジ併用のアナログ印象に切り替えた方が賢明です(それでも印象は困難です)

 

4.これが実は一番の問題かもしれません。

デジタルスキャンとバイトスキャンで記録を行った場合、模型はありませんので

そもそも通法で義歯完成はできません。プリントかミリングで完成させることになります。

あるいは自院でプリントで製作・完成させることが必要になってきます。

せっかく技工士さんにとって生産性が大幅に改善する総義歯のデジタルでの製作。

まだまだ取り組む方が少ないことが問題かもしれません。

 

まとめ

今回は口腔内スキャンで粘膜最終印象を取ることについてのお話をしました。

3D歯科 個人としてはアルジネート印象よりもほとんどの場合で精度が高く感じています。

最終印象にスキャンを使えば内面調整は(ほぼ)ありませんし、

大きな声では言えませんが・・・スキャンデータで3Dプリント模型を製作、

プリント模型をアナログ印象して石膏を流して技工士さんに通法で製作してもらうと

口腔内にアナログ印象材を入れたよりも内面調整が少なく感じています。

 

あとはプリントデンチャーがどんどん一般化して、レジン材料や後処理・二次重合を

安定して安全に簡単に安価に・・・できる手法が確立してくることを期待しています。

 

ちなみに、数年前より保険収載の議論にはプリントデンチャーが上がっています。

↓ただし、大問題?なのはチェアサイドは通法での製作を基本としているところです。

 

ですが薬事承認の記載があるのはプリント材料(インク)のみで、

ソフトについてはクラウドベースのデザインソフトとされています。

 

この内容のままならDenTruほか、簡易のクラウドソフトも問題なく使用してOKと思われます。

エグゾキャドじゃないとダメ、などにならないように保険導入が進んでいき、

チェアサイドでも患者さんにメリットのある方法が保険収載されるとありがたいです。

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを

少しずつ更新していきます。

 

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↑こちらでも不定期に動画付きのデータを更新しています。

 

よろしければ見ていただけると嬉しいです。

 

先生がたの臨床に少しでもお役に立てていただければ嬉しいです。

今後とも 3D歯科 をよろしくお願いします。

 

 

 

 

 

コピーデンチャー、3Dプリントデンチャー製作用の「義歯スキャン」について〜②口腔内スキャナーでのスキャン方法

こんにちは。

3D歯科 です。

 

前回はコピーデンチャー、3Dプリントデンチャー製作用の「義歯スキャン」について

義歯のデータ化をするための方法を紹介しました。

digitaldentistry.hatenablog.com

 

 

今回は「義歯スキャン」の続きで、口腔内スキャナーで義歯をスキャンするためのコツ、

スキャン方法についてのポイントと理由をお伝えします。

よろしくお願いします。

 

口腔内スキャナーでのスキャン方法(スキャンパス)

口腔内スキャナーで歯列スキャンをするときにも、スキャンする順番があります。

口腔内スキャナーは多くの画像を重ねながらつなぎ合わせて立体データを作成するので

一度に撮れる範囲が小さなスキャナーでは撮影しにくいところが出てきます。

 

歯列ではとにかく切端部分がトラブルが多く、次いで犬歯付近のアーチのつなぎ目です。

そのため切端は後回しにせず、まずは咬合面全てをつないでスキャンしつつ、

前歯は頬舌両方が写るように、やや頬側に傾けつつ切端を含んでスキャンします。

 

 

ちなみに一度に撮影できる範囲の広いPrimeScanではほとんどこのスキャンパスは

考えなくても撮れるのですが、その代わりチップが大きいので最遠心などは取りにくいです。

 

このように、

スキャンの基本は「基準となる特徴的な部分(歯列だと咬合面)からスタートする」

「重要だけど取りにくい部分」を優先するようにします。

 

これは口腔外で既存の義歯をスキャンするときも同じです。

 

口腔内スキャナーでの既存義歯のスキャン方法(スキャンパス)

これについてはコツがあり、何も考えずにスキャンを始めるとなかなか綺麗に撮れません。

特にMedit(多分Triosも)は高速にスキャンできますが、義歯にパウダーを振りかけて

反射を抑えてからスキャンすることも有効になります。

 

PrimeScanはソフトウェアアップデート後にはパウダーなしの方がスムーズに取れました。

ただしAIが機能し続けるPrimeScanは義歯を取るのはちょっと苦手です。

他のスキャナーと比較すると既存義歯スキャンには少し時間がかかります。

 

口腔内スキャナーで義歯スキャンする際にもスキャンパスは重要です。

ここでも先ほどと同じ、

スキャンの基本は「基準となる特徴的な部分(歯列だと咬合面)からスタートする」

「重要だけど取りにくい部分」を優先するようにします。

 

3D歯科 の取り方としては、粘膜面から始めて義歯ボーダーを中心に、

研磨面・粘膜面を交互に取りながら撮影範囲を広げていく方法です。

 

うまく言葉で言い表しにくいな・・・と思っていたところ、

Meditのサポートサイトに同様のスキャン方法をアニメーション付きでわかりやすく

解説してくれているサイトがありました!

https://support.medit.com/hc/ja/articles/360030908271-無歯顎スキャン

 

Medit Academyは日本語のものも多く、Meditの機能についての解説を含め

口腔内スキャン全般に役立てられる知識も満載です。

ぜひ全ページ一読しましょう。そうだったの?がいくつか見つかり

臨床のスピードアップが図れるのではないかと思います。

 

機種による差とソフトウェアアップデート

さて、現状の口腔内スキャナーは多くがAI機能を搭載しており、

スキャンしつつ粘膜を消してくれながらスキャンが進みます。

 

この粘膜の処理が義歯スキャンには手強くて、たとえば人工歯からスキャンした場合に

人工歯から離れた粘膜面・研磨面はAI処理で全て消されてしまうことも多いです。

 

そのため粘膜面からスキャン開始を個人的には推奨しますが、

そもそも機種とソフトウェアにより粘膜部や、義歯研磨面の扱い方が差があります。

 

前回にもお話しした通り現状ではPrimeScanよりMedit i700、i700よりAoralscan3が

義歯を口腔外でスキャンする目的においては高速・快適ですが

口腔内の通常スキャンであればまた変化があるでしょう。

 

PrimeScanもアップデートで大きくスキャンスピード・スキャンの快適さが変化し

パウダーなしで義歯スキャンも取れるようになったことから

他のスキャナーも、義歯スキャンに最適化されれば恐らく今後も改善があるのではないでしょうか。

 

まとめ

口腔内のスキャンもスキャンパスがあるように

義歯をスキャンする場合もスキャンパスを考える必要があります。

 

これは義歯に限らず、簡易フェイススキャンとして目鼻あたりまでのスキャンを取るときも

口腔内粘膜のスキャンを取るときにもコツのようなものがあります。

 

単純にスキャンが快適になるだけではなく、スキャンしたデータの精度も

スキャンパスで大きく変化することがあります。

 

ぜひ色々工夫しながら検証して、取りやすく患者さんが快適で精度が高い方法を

探して毎日の臨床で実践しましょう。

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを

少しずつ更新していきます。

 

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今後とも 3D歯科 をよろしくお願いします。

 

コピーデンチャー、3Dプリントデンチャー製作用の「義歯スキャン」について〜①スキャン方法あれこれ

こんにちは。

3D歯科 です。

 

前回はPEEKクラウン保険収載について考えました。

digitaldentistry.hatenablog.com

・・・が、素材としてはまだ突っ込みどころが多いマテリアルのようで、

接着がかなり難しい、ミリングで変形など起こすかも、マージン付近のトラブル出るかも

とのことです。患者さんの希望で数症例行ってみますが、もし重大なトラブルなどありそうなら共有させていただきます。

 

今回は、デジタルデンチャーを作成する第一歩、既存の義歯のデータ化についてお話しします。

よろしくお願いします。

 

既存の義歯のデータ化方法いろいろ

既存の義歯がある程度いいものであった場合、

もしくは改造することで咬合床付き個人トレーとして使用できそうであった場合

義歯をデータ化することで3Dプリントできるようにし、診療効率を上げることが可能になります。

 

ですがこのデータ化をどうすればいいのか、どの方法が高精度なのかというのが

悩ましいところになりそうです。

 

今現状での既存の義歯データ化方法は、以下のようなものが考えられます。

 

  1. 技工用スキャナーでスキャン
  2. 口腔内スキャナーでスキャン
  3. 義歯をCT撮影してスキャン

それぞれメリット・デメリットがありますので簡単にご説明します。

 

1.技工用スキャナーでの義歯スキャン

まずは技工用スキャナーです。

 

精度:機種によるが一番良い

スキャン速度:スキャン自体は早い

スキャンの簡単さ:スキャン自体は簡単

スキャンの問題点:スキャンパウダーが必須

コスト:約100万円〜

 

簡単にまとめるとこのような形です。

 

3D歯科 は院内でのデモを受けただけではありますが、

技工用スキャナーで義歯スキャンを経験しました。

 

技工用スキャナーのメリットとして、一度のスキャン範囲が広いということが挙げられます。

スキャンは簡単にいうと何枚もの写真を撮ってそれをつなげて立体構造を作る(機種による)

方法となりますので、繋ぎ合わせの回数が少なくなることで

精度が向上する可能性が高くなります。

 

スキャン自体はスキャンエリアに安置してボタンを押すだけ、簡単です。

ただし、全ての技工用スキャンは義歯を撮影する際にスキャンパウダーが必須とのことです。

 

また、EDGEという機種を試したのですが、

スキャン自体はパテで固定した義歯をスキャンエリアにおくだけですが

ソフト自体が技工士さんの触る昔ながらのソフトのインターフェース、という感じでした。

 

Meditに慣れたドクター、またスタッフが操作することを考えると

個人的にはちょっと厳しく、技工士さんがいる医院で導入すべきものかなと思いました。

 

2.口腔内スキャナーでスキャン

口腔内スキャナーは、もちろん口腔外でもスキャナーとして利用できます。

TEKのカウンターを記録したり、顔貌スキャンも頑張れば可能です。

 

精度:機種によるが十分に良い

スキャン速度:練習すれば機種によるが1分半〜4分程度

スキャンの簡単さ:コツが要る。口腔内スキャンと同様に練習必要

スキャンの問題点:スキャンパウダー推奨のスキャナーも

コスト:約200万円〜

 

さて、精度ではありますが 3D歯科 の個人的な見解としては

機種により多少の差はありますがどのスキャナーも義歯製作には十分な性能と思います。

機種の検証はPrimeScan、Medit i700、ショールームのA-oralscan3で行いました。

 

 

Prime Scanについてですが、発売当初は義歯のように光って透明なものはスキャンできませんでした。

そのためポリグリップパウダーをまぶしてスキャンパウダー代わりに使用することを

個人的に推奨していましたが、今回検証してみるとアップデートされたソフトウェアにより

パウダーなしでスキャンできるようになっていました。

現状ではパウダーありよりも無しの方が早い上に結果もいいです。

すみませんがポリグリップパウダーをわざわざかけていた先生、パウダーなしでお試しください。

スキャン時間は3〜4分。口腔内スキャンと違い時間がかかってしまいました。

 

Medit i700は、日常診療でメインで使用しており操作に慣れています。

ですがパウダーなしでは義歯のマッチング中に大きくずれてしまうことがあり、

そのままでは義歯スキャンが困難です。

ですがここにポリグリップパウダーをまぶしてあげると、非常にスムーズに

スキャンできるようになります。パウダー使用を推奨します。

スキャン時間は2分半ほど。いつもチェアサイドで義歯スキャンしていますが、

忙しい診療室でもそこまでストレスになりません。

 

A-oralscan3は 3D歯科 は所有しておりません。そのため操作もあまり慣れていませんが

模型スキャンの感じとしてはMeditのような撮影範囲と速度に感じました。(PCに依存かも)

ですが、義歯スキャンになると驚きの結果が出ました。

パウダー不要で1分半ほどでスキャンができ、後縁や切縁なども綺麗にスキャンできました。

エラーもほぼなく3機種の中で最も義歯スキャンが高速だったので価格を考えると驚きました。

 

価格を考えると技工用スキャナーより高額な投資になりますが、

義歯スキャンをどんどん行っていく!という医院などであれば

義歯スキャンもできて、口腔内のスキャンもできる、と考えると

技工用スキャナーとの差額もむしろ安く考えられるかもしれません。

 

3.義歯をCT撮影してスキャン

さて、義歯をCTスキャンでデータ化するというのは

この本などで目にしていましたが

 

インプラント診断のCTスキャンなどは、1mmほどの誤差が出ることがある・・・

と聞いていたこともあり、勝手な思い込みで精度が問題になるかもと考えていました。

 

ですが研究されている先生のデータのヒートマップをみるとほとんどずれもなく

クラウンでは問題かもしれませんが義歯であれば問題ないようでした。

 

まだ研究を始めたばかりであまり数をやっていないので感想程度ではありますが・・・

精度:十分と思われる

スキャン速度:CT撮影と同じで高速

スキャンの簡単さ:設置場所や管電圧?など設定すれば誰でも撮影できそう

スキャンの問題点:金属バーや金属床はアーティファクトで基本的に利用不可能

コスト:CTをお持ちの先生は0円

 

セッティングなどを揃えて仕舞えばオペレーターによるずれがないと思われるので

スタッフに任せる場合など口腔内スキャナーでは義歯スキャンが難しい、

スキャナーを使用する自信がないという場合にも非常にいいと思われます。

 

まとめ

今回はデジタルデンチャーの入り口、まずは既存義歯をデータ化する方法について

それぞれの手法のメリット・デメリットについて紹介しました。

 

義歯データを全ての患者さんから収集することができれば、

将来的な義歯紛失や破損に備えられるだけではなく、

データからデジタルデンチャーを作成する際のヒントを学べるかもしれません。

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを

少しずつ更新していきます。

 

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今後とも 3D歯科 をよろしくお願いします。

PEEK(ペクトン)クラウンの保険収載を考える

こんにちは。

3D歯科 です。

 

前回はブラックフライデーセールやクラウドファンディングを用いて

歯科用機器として使用できる製品を低コストで入手できることをお話ししました。

 

digitaldentistry.hatenablog.com

 

今回は、突如ニュースが飛び込んできた、2023年12月からの保険改正で導入される

PEEK(ペクトン)クラウンについて考えます。

よろしくお願いします。

 

PEEK(ペクトン)とは

PEEKは熱可塑性のスーパーエンジニアリングプラスチックの1つです。
樹脂素材の中でも性能が特に高い素材で、多くの環境下で高機能を発揮します。
正式名称は「Poly Ether Ether Ketone(ポリエーテルエーテルケトン)」です。
一般的には正式名の頭文字を略してPEEK(ピーク)と呼ばれています。

しかし、PEEKは非常に硬い素材であるため、フライス加工の際に欠けやすいという欠点もあります。

PEEKは樹脂素材の中でもトップクラスの機能を持つ高機能樹脂です。
耐熱性・強度・寸法安定性・耐薬品性に優れています。
非常にバランスに優れた特徴を持ち、広い範囲で使用することが可能です。
従来の素材で対応困難だった場面でも、PEEKで解決できる可能性があります。

 

・・・と言うことです。

とにかく、「とっても強度や性能の高いプラスチック」と言うことですね。

 

 

さらに、歯科用途ではクラウンのほか、インプラントのショックアブソーバーや

ポストコアに利用して歯根破折のリスクを低減しようとするなど、

咬合力による歯の破壊を防止してくれる可能性のある、簡単に言うとショック吸収機能まで有しています。

 

作成方法

PEEKクラウンの製作は、ディスクやブロックのCNCミリングのほか、

EMAXのようにショットで鋳造のように作成することもできるようです。

 

今回導入されるPEEKクラウンの製法は、Rolandなどの従来のミリングマシンを用いて

ブロックでミリングして製作する方法になります。ディスクは許可されないようです。

この辺りはCAD /CAM冠と同様ですね。

 

実際の保険導入後の見通しについて

 

PEEKについてはミリングで簡単に製作できることもあり、物性も優れているので

必ず保険導入の流れになるだろうな、とも思っていましたが

こんなに急に入るとは思っていませんでした。

 

上下大臼歯に制限なく(CAD /CAM冠では7欠損だと6に入れられない制限がある)

メタルフリーを使用できるようになったことは患者・医院共にメリットがあります。

 

また、チタンクラウンと違いラボはモデルフリーでの作業が可能なので

口腔内スキャンが保険導入されたのちには医院・ラボ共に

ブリッジ以外すべての保険クラウン補綴がスキャンで可能になります。

 

写真を見るとわかるように、PEEK材は審美的ではありません。

ですがメタルクラウンを使用していたことを考えるとメリットは大きいでしょう。

 

また、PEEKはフルマウス症例のフレームワークにも使用できるポテンシャルがあります。

つまり、今回の保険導入は単冠のみ(多分)ですが、たくさん保険請求され使用されれば

きっと1〜2年後にはブリッジも適応に入るように思います。

 

ぜひみんなでPEEKを使用しましょう!

 

まとめ

 

今回は急にニュースが舞い込んだPEEK保険導入についてお話ししました。

 

保険収載を目指す話し合いではそれ以外にも、

・CAD/CAM冠の表面コーティング

・口腔内スキャナーの保健適応

・チタンクラウンによるブリッジ

・コピーデンチャー

・3Dプリントデンチャー

など、さまざまな新技術(?)が保健適応を目指して議論に挙げられているようです。

 

3D歯科 としては3Dプリントデンチャーが保険に含まれるのを期待して研究中なので

ぜひ進んでいってほしいですが、今回のPEEKミリングなどと違い

プリンティングは後処理も含めて均一化が難しい

(表面にベタつきがあるまま口腔内に入れると毒性がある可能性)

ので、保険に収載されるのはすぐではないだろうな・・・と冷静に見守っています。

 

いずれにしても、保険治療を行う歯科医院である以上は避けられない話題です。

今後も保険診療の枠の拡大が行われるように期待しましょう。

 

 

また、臼歯部のワックスアップをAIを活用して自動化する方法を提案します。

noteの方に更新しましたのでよろしければ見てみてください。

note.com

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを

少しずつ更新していきます。

 

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よろしければ見ていただけると嬉しいです。

 

先生がたの臨床に少しでもお役に立てていただければ嬉しいです。

今後とも 3D歯科 をよろしくお願いします。