3D歯科 のデジタル歯医者入門

最小限の費用と努力で最大限の恩恵を受ける歯科デジタル活用術

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2024年に想像する歯科の未来について

こんにちは。

3D歯科 です。

 

前回は、いよいよ普及期に入ってきた?歯科の3Dプリンターと

さまざまなレジンの登場についてお話ししました。

digitaldentistry.hatenablog.com

 

今回は2024年に起こるかもしれない?歯科の変化について想像してみます。

よろしくお願いします。

 

2024年の初めに

昨年はたくさんの方に 3D歯科 の記事を読んでいただきありがとうございました。

また、デンタルショーなどでもお声をかけていただき、お会いするチャンスをいただき、

講習会などにもチャレンジさせていただいてありがとうございました。

 

2024年のスタートは、ご縁をいただきまして医師薬出版さまから1月の

『補綴臨床 digital and international』57巻1号(2024年冬号)

にMeditのアプリを使用した診療についての紹介を掲載していただける予定でおります。

1人だけ全然アカデミックではない内容になりますのでお恥ずかしい限りですが・・・

よろしければ他の素晴らしい症例などを読むついでにお目通しいただけますと嬉しいです。

 

いよいよ歯科もAI全盛に?

さて、去年にも生成AIが絵を描くようになってきた、などの内容を書いた気がしますが

いよいよ一般分野はAIを日常業務に取り入れることが多くなってきているようです。

 

Copilotや、ChatGPT内でのCode Interpriter機能の登場などにより

AIが絵を描くのなんてすでに当たり前、与えた情報を統合してレポートしてくれたり

質問に答えるのではなく、質問してきそうな内容についてステップバイステップで

まとめて教えてくれたりするようになっています。

 

さて、歯科におけるAI活用ですが、口腔内スキャナーなどを活用している先生方は

それと気づかずAIの恩恵をすでに受けています。

粘膜部と歯冠部分を自動認識して歯の付近以外の余剰データをリアルタイムで

トリムしながらデータをきれいにしてくれています。

 

また、去年くらいから本格化してきたCTの歯冠・歯根セグメンテーションや

マージン自動認識やマウスピースのアウトラインの自動認識など

データを与えるとAIが識別し、分類したり抽出してくれる技術はさらに一般化するでしょう。

 

そのほかでもパノラマX線からカリエス歯周病のリスクを指摘してくれたり

患者さんに健康習慣を意識させるレポートを作成してくれる技術もすでにあります。

 

 

2024年は何が実現するでしょうか。

 

おそらくCAD操作、クラウンやインレーを製作する技術はさらに完成度が上昇するでしょう。

感覚的には9割以上の技工士さんのルーティンワークで行うCAD操作よりも

AIの作成した方が早く正確になるかもしれません。

これは個性的なクラウン、というものとはまた違い、例えば保険診療で作成される

機能する、ことだけを考えたクラウンを作成するならAIを活用した方が優れる可能性があるという意味です。

 

現状では臼歯のAIクラウンはほぼ無調整で機能させることが可能ですが

前歯はガイドと審美を兼ね備えたクラウン製作はまだAIには厳しいです。

これにはファセットを辿って顎運動を再現する技術(これ単独はすでにあります)や

口腔内スキャナーでの顎運動を記録する機能(これも単独の機能としてはすでにあります)

が、口腔内スキャナーや支台歯データ、CTの骨データと連携されることが必要となります。

審美についてはCTデータかフェイススキャンとの統合が必要になるでしょうが

フェイススキャンはまだ黎明期で口唇の動きなどが再現されないので

写真を撮影してインサイザルエッジポジションを決める、ということの延長線上にしかすぎません。

フェイススキャンが表情の変化まで動画のように(映画のモーションキャプチャーのように)

取れるようになって初めて、前歯の審美がAIで完成させられるようになるかもしれません。

これは多分ハードウェアの進化が必要なので、2025年までかかるでしょうか。

 

クラウン以外の補綴についてですが、例えば義歯については、

多分2024年中には全てデザインは自動化できるようになると思います。

これはクラウンもそうですが、完全にAIが完成させて人は何もしない、ではなく

AIがクラウンや義歯の提案をしてきて、OKを出すか好みに合わせて修正をするか、

という使用方法になるはずです。

 

インプラントはすでに技術はあるようですが(すみませんあまり詳しくないです)

CTデータと口腔内スキャナーデータをソフトが統合してインプラント体を設計し

インプラントを埋入するためのガイドまでAIが自動で製作するようになっているそうです。

ここにさらに骨の欠損量やCTでわかる範囲の骨質、クリアランスを加味して

ドクターが診断の後に設計するインプラントの位置をAIが精度高く指定してくれるような

発展を2024年はしてくれると期待しています。

オペにあまり自信のない私のようなドクターからするとCT読影から骨質、

十分な初期固定の可否などはAIで診断までできてくれると嬉しいです。

 

このようなSaMDと言われるようなAIを駆使した診断ソフト、治療支援ソフトは

歯科の世界でもどんどん広がり、おそらくは使用するしないで歯科医師、医院の生産性は

大きく差が出てくるのではないかと予想しています。

 

材料の進化について

3D歯科 はどうしても3Dプリンターの素材についての内容に偏ってしまいますが、

歯科の材料の進化の中ではやはりプリント材料が2024年にも大きく進化すると期待しています。

 

クラウンの素材ではオールオンXで使用できるような、50%を超えるフィラー量含有の素材、

(すでにいくつかの素材についてはレジン、ではなくセラミック、という扱いのようです)

前歯のベニアや審美補綴のための透明感の強い素材、

お湯であっためなくても弾力があるソフトな素材、

顔料ではなく素材自体にVITAシェードのシェード感がある素材など

開発途中の素材も、多くは今年のうちに登場しそうです。

 

特に弾力のあるソフト素材がプリントで簡単に作成できれば

(Keyprint Softよりも柔らかいもの)

義歯もマウスピースも非常にメリットがあると思います。

おそらくは今年中くらいに長期使用できるソフト素材が市販されるでしょうか。

願望ですが期待しています。

 

また、個人的にはより簡単にプリントでき、温度変化にも強いTEK用レジンで

エキマテなどのように未重合レジンでも安全性の高いレジンが開発されれば

それこそ3Dプリント素材が保険診療に取り入れられたりと

メリットが大きくなるのではないかと考えています。

 

まとめ

今回は歯科にまつわるAIの進化や材料の進化についての希望と予想についてお話ししました。

ですが歯科の世界は、世の中の世界とはいつも遅れがちにはなっています。

 

世の中は今年か2025年にはAIの力を借りてガラッと働き方や仕事内容が変化しそうになっています。

好むと好まざるに関わらず、新しい治療や価値を患者さんに提供しようと思うと

AIをはじめ新しいソフトや技術に付き合っていくことを避けられなくなっているのかなと考えています。

 

ここ1、2年の技術やソフトの進化は恐ろしいスピードで進んでいるので、

正直に数年後にどのような歯科治療や仕事内容をしているかはわからなくなってきています。

口腔内へのミリングマシンや治療計画のフルオート化などができると

歯科医師としてどのように働いていけばいいのか不安になる面もあります。

 

とにかく新しいニュースが多くキャッチアップするだけでも大変にはなりますが、

今年も楽しくデジタルの知識や技術を得ていけるように学び続けたいと思っています。

 

改めて、今年も 3D歯科 をよろしくお願いいたします。

2024年が歯科にとっていい一年になるように頑張りましょう。

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを

少しずつ更新していきます。

 

note.com

↑こちらでも不定期に動画付きのデータを更新しています。

 

よろしければ見ていただけると嬉しいです。

 

先生がたの臨床に少しでもお役に立てていただければ嬉しいです。

今後とも 3D歯科 をよろしくお願いします。