3D歯科 のデジタル歯医者入門

最小限の費用と努力で最大限の恩恵を受ける歯科デジタル活用術

このブログで紹介されるリンクの一部はアフィリエイト広告を含みます。 リンク先での購入者に方には影響はありませんが、ブログ運営者に広告収益が入ります。

口腔内スキャナーで簡単に行うリップスキャン(口唇位置のスキャン)

こんにちは。

3D歯科 です。

 

前回は、3Dプリンターのシステムを導入することについてお話ししました。

digitaldentistry.hatenablog.com

 

今回は、口腔内スキャナーで行う簡易的なDSD(デジタルスマイルデザイン)の導入、

リップスキャンの方法を紹介します。

よろしくお願いします。

 

DSDについて

DSDとはデジタルスマイルデザインのことで、元はクリスチャンコーチマン先生が

患者顔貌写真と歯の写真、治療後のシミュレーションをKeynoteで重ね合わせたことから、

現在ではCAD上で顔貌スキャンと歯列スキャン、ワックスアップデータを重ねて

患者さんの審美状態の診断を行うことを言います。

 

臨床に取り入れようとすると、必要なものがいくつかあります。

規格化した写真を用いて、顔貌写真を透かしながら前歯部のワックスアップを行うか、

フェイススキャンデータを前歯のマッチングができる状態で取得する必要があります。

 

写真は医院のスタッフに行ってもらうことができますが、

フェイススキャンは機器の導入も必要でハードルが高いと思われる先生も多いかもしれません。

ただ写真だけで行うと(当たり前ですが)口元の立体感などは診査できません。

 

そのため今回は、口唇付近のみを口腔内スキャナーでスキャンして簡易的にDSDを行う

手助けをするようにします。

 

リップスキャンに必要なもの

リップスキャンは口腔内スキャナーさえあれば可能です。

アングルワイダーすら必要ありません。

うまくスマイルできない患者さんには、大きく歯を見せて笑う練習を事前に行う必要があります。

 

麻酔を行う治療を行う場合は、麻酔の前にスマイルのスキャンを行うことが必要になります。

上顎前歯が生活歯で支台歯の場合は、マッチングポイントをしっかりと考えておく必要があります。

これについては後述します。

 

リップスキャンのスキャンすべき場所

患者さんの口唇をスキャンしますが、必要な部位は口唇全体とドライウェットライン、

歯に触れる内側の口唇部分ぎりぎりまでです。

 

いわゆるフェイススキャナーを用いた顔貌スキャンは、顔貌に調和したCADを行うために非常に有用ですが、

問題としては口唇の内側部分や口唇の細かい形態、0.1ミリ単位でどこまで歯を覆うかなど

ざっくりとしたスキャン結果となりますので細かい診断がしにくくなります。

 

これは高価なフェイススキャンであっても、画像は綺麗でも口唇の動きなどもあり

口唇周りについてはおおよその判断しかできません。

 

そのため、歯をスキャンする高精度の口腔内スキャナーを用いて

口唇内側までスキャンしておくことで、フェイススキャンを用いる場合でも

さらに高精度の顔貌・口唇・歯列の調和した診断を行うことが可能になります。

 

リップスキャンの具体的な方法

患者さんの上下、バイトのスキャンを通常どおり口腔内スキャンします。

 

その後に、口腔内スキャナーごとにやり方はいろいろですが、

「Pre Ope機能」「治療前データ」「上顎コピー」などの、

治療前後を重ね合わせするための機能を利用します。

 

やり方は簡単です。

  1. スマイル時に上下口唇のどちらがより動くかを確認します。
  2. より動く方の口唇のコピーデータ(PreOpeデータ)を準備します。
  3. コピーデータに口唇を重ねて追加スキャンします。

その際のポイントは以下のとおりです。

 

  1. 患者さんには目を閉じてもらう
  2. スキャン中に口唇は動かさず、スキャナーが口唇に触れないようにする
  3. 最大限にスマイル→自然なスマイルの順に行う
  4. 可能なら複数の口唇の形をスキャンする

フェイススキャンもそうですが、患者さんの前で動くスキャナーを操作すると

どうしても目で追ってしまい患者さんの体動は避けられなくなります。

基本的には目を閉じたままスキャンします。

 

スキャン中は手早く行いますが、どうしても口唇を同じ姿勢のまま静止させるのは難しいです。

そのため自然なスマイルを記録したい場合でも、最大限のスマイルを練習してから

よりリラックスした状態の自然なスマイルを記録することをお勧めします。

 

また、スキャン途中で口唇にスキャナーが触れてしまうと

絶対に口唇は動いてしまうのでスキャン結果が歪んでしまいます。

左手を添えるなどして、患者さん顔貌にはレストを置かずに

数秒のうちにスキャンを終えるように心がけましょう。

 

まとめ

今回はDSD(デジタルスマイルデザイン)のうちの初歩的な方法、

リップスキャンの方法についてお話ししました。

 

↑簡単にこのような口唇内面やドライウェットラインを考えた審美診断が可能になります。

また、今回紹介したPreOpeスキャンに歯列以外のものを重ねていく手法は、

アイディア次第で様々な用途が考えられます。

3D歯科 でも審美や補綴スキャンを行う際にはマッチングデータを重ねていくことがほとんどです。

理解のある技工士さんや、自分でワックスアップを行うのであれば、

情報は(しっかりマッチングされているのであれば)多いに越したことはありません。

 

さらに活用を広げるのであれば、フェイススキャンと組み合わせることで

歯列と口唇を高精度に、フェイスデータを広範囲に取得したデジタルペイシェントを

作成してCADや審美の診断を行うことが可能になります。

 

note.com

↑フェイススキャンを簡単に行う方法をnoteでも記載しています。

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを

少しずつ更新していきます。

 

note.com

↑こちらでも不定期に動画付きのデータを更新しています。

 

よろしければ見ていただけると嬉しいです。

 

また、ひとつ告知をさせていただきます。

4月6日に大阪で口腔内スキャナーとdentbirdについてのセミナーを行います。

18:00~19:30で、おそらくお話しするのは18~19時くらいと思います。

セミナー内容は主にSHINING3DのAoralscan3とdentbird(AIクラウンCADソフト)です。

これからIOS導入をお考えの方と、購入したけれどあまり発展できていない方向きになります。

 

ただ前後の時間は1時間ずつくらいブースにいる予定ですので、MeditのことやB4Dのことなど

マニアなお話をしていただける方、もしスキャンなどでお悩みの方がいらっしゃれば

話しかけていただければ嬉しいです。

 

↑有名な先生方の中で恐縮ですが、お時間ある方、お近くの方はよろしくお願いします。

 

今回は以上になります。

先生がたの臨床に少しでもお役に立てていただければ嬉しいです。

今後とも 3D歯科 をよろしくお願いします。