こんにちは。
3D歯科 です。
前回は、話題のカプセルプリンターを比較しました。
digitaldentistry.hatenablog.com
今回は、改めてフェイススキャンの効果ついて見直してみたいと思います。
よろしくお願いします。
使ってますか?フェイススキャン
3D歯科 の記事ではかなり昔からフェイススキャンについて取り上げてきました。
当時は、「顔を3Dスキャンして、それをいったい何に使うの?」
という感じもあったと思います。
実際、 3D歯科 も最初から明確な目的があってフェイススキャンを始めたわけではなく、
面白そうだから使ってみる、口腔内スキャナーのデータと重ねて
何ができるのか試してみたい、というところから始まりました。
しかし数年間使い続けてみるとフェイススキャンそのものよりも、
フェイススキャンを中心に、口腔内スキャナー・CT・CADなどのデータがつながることが
より重要だったのではないかと感じています。
口腔内スキャナーほどは毎日使うものでもなく
もしかすると導入したのにほとんど使っていない先生がいるかもしれない・・・
今回は、 3D歯科 のフェイススキャン遍歴を振り返りながら、
いま現在、フェイススキャンをどのように考えているかを書いてみます。
今は亡きBellusから始まったフェイススキャン
3D歯科 がフェイススキャンを使い始めた頃、
見つけてよく使用していたのがBellusでした。
iPhoneを使用して比較的簡単に顔貌を3D化することができ、
当時としてはかなり未来を感じるシステムだったと思います。
IOSで歯列をデジタル化して、そこに患者さんの顔が表示される。
アプリ内で簡単なマッチング操作も行うことができる。
今ではそれほど驚かないかもしれませんが、
最初にこれを見たときには
「デジタル歯科はこういう方向に進んでいくのかな」
と思った記憶があります。
しかし残念ながらBellusは唐突に開発が終了してしまいました。
(どこかの大手メーカーに買収されたとか何とか・・・)
digitaldentistry.hatenablog.com
↑振り返るとBellusを使っていたのは5年以上前になりますね。
便利なデジタル機器やソフトウェアが、必ずしもずっと残り続けるわけではない。
これはデジタル歯科を長くやっていると、何度も経験することでもあります・・・
そこで次に使い始めたのが、Revopoint POP2
などの汎用3Dスキャナーでした。
歯科専用でなくても顔はスキャンできる
POP2は、もちろん歯科専用のフェイススキャナーではありません。
本来はいろいろな物体を3Dスキャンするための機械です。
しかし実際に使ってみると、
静止した顔貌を取得するという目的であれば
思った以上に使用することができました。
その後POP3なども使用してきましたが、POP3では照明が搭載され
(患者さんは眩しいのですが)歯列も比較的綺麗にスキャンでき始めたモデルになります。
こういった汎用スキャナーの面白いところは、
フェイススキャンを非常に低いコストから始められることだと思います。
もちろん歯科専用機と比較すれば、
ワークフローやIOSとの連携、自動マッチングなどでは大きな違いがあります。
患者さんをじっとさせながらスキャナーを一周させる必要もあり、
撮影者にも慣れが必要です。
しかし、「フェイススキャンが自分の臨床に必要なのか分からない」
という段階で、いきなり高額な専用機を購入する必要はないと思います。
まず顔を3D化して、口腔内スキャナーと重ねて、
CAD上で患者さんの顔を見ながら設計してみる。
この体験だけであれば、
汎用スキャナーでも十分に試すことができます。
そして今は、スマートフォンの汎用アプリだけでも
さらに現在では、フェイススキャンを取り入れてみるのに
3Dスキャナーすら必須ではなくなってきています。
BellusのようにiPhoneなどのスマートフォンを利用して、
フェイススキャンに近い3Dデータを取得できるアプリも増えてきました。
専用フェイススキャナー、汎用3Dスキャナー、スマートフォンアプリ。
フェイスデータを取得する方法自体は選択肢が増えています。
もちろん、スマートフォンで撮影したデータと
歯科専用フェイススキャナーで取得したデータを
まったく同じものとして扱うのは難しいと思います。
撮影方式も違いますし、細部の再現性やスケール、
何よりも歯列とのマッチングのしやすさといったソフト面ではものすごい差があります。
ですが、診断資料として顔貌を残す、技工士さんへの説明に使う、
という目的であれば、必ずしも最初から最高精度の機械が必要というわけでもありません。
むしろ重要なのは、フェイススキャンを撮ることを特別な作業にしないこと
なのかもしれません。
口腔内写真を撮るように、口腔内スキャナーを撮るように、
必要な症例ではフェイスデータも残しておく。
ここまで簡単になれば、
フェイススキャンの使い方もかなり変わってきそうです。
フェイススキャンは他データと統合してこそ意味を持つ
ただし、フェイススキャンだけを綺麗に撮影しても、
歯科治療で使える情報はそれほど多くありません。
フェイススキャンで得られる歯の情報は、どうしても高精度ではなく
例えばCTデータの歯牙情報と同様に、ぼやけたデータとなっています。
いくら高額なCTを用いても、CTデータを変換したSTLデータで
クラウンを作ろうという人はいないでしょう(できると縁下も見えていいかも)。
重要なのはフェイスと口腔内スキャナーをどう連携させるか。
3D歯科 は、この方がフェイススキャナーそのものの性能よりも
重要ではないかと思っています。
患者さんの顔貌データの中に、口腔内スキャナーで取得した
高精度な歯列データを正しい位置で配置する。
例えば前歯部補綴であれば、歯だけを見て設計するのではなく、
顔貌正中に対して歯列がどうなっているか、切縁の傾斜はどうか、
スマイルラインとの関係はどうかということを確認できます。
フェイススキャンをスタートする目的となることも多い、
DSD=デジタルスマイルデザインも同様です。
昔は2次元の願望や口腔内写真からKeynoteで重ね合わせてDSDを行っていましたが
フェイススキャンがあれば簡単になります。
歯を綺麗に並べるだけならCADだけでもできますが、
その歯が患者さんの顔の中でどのように見えるのかは、
顔貌情報がなければ分かりません。
逆にフェイスデータと口腔内スキャナーが正しく連携できれば、
患者さんと同じ画面を見ながら
「このくらいの長さにしましょう」
「もう少し正中をこちらに寄せましょう」
といった相談もできます。
この用途こそがフェイススキャンを導入する目的として重要になるのではないでしょうか。
CTまで重ねると、さらに見えるものが増える
さらに、フェイススキャン+口腔内スキャナーだけで終わらず、
CT=Dicomデータまで統合することができます。
フェイススキャンは広範囲な軟組織、
口腔内スキャナーは歯列、
CTは骨格や顎関節。
それぞれ単独では見えなかったものを、同じ3D空間上で確認することができます。
例えば顔貌だけを見れば、咬合平面が傾斜していることは分かります。
しかしCTを重ねれば、その内側にある骨格との関係も確認できます。
さらに歯列を重ねれば、骨格・歯列・顔貌の関係をまとめて見ることができます。
もちろんマッチングそのものに誤差があれば、
綺麗な3D画像が逆に判断を誤らせる可能性もあります。
フェイススキャン時の頭位や表情も、結果に影響します。
この辺りはまだ、デジタル化すれば高精度、というほど単純ではないと思います。
ですが平面のレントゲン写真や写真だけではなく、
患者さんを立体的に確認できるというメリットは非常に大きいと感じています。
何よりも正しいマッチング結果をラボサイドに共有できれば
お互いに仕事の制度を大きく向上できるものと思います。
フェイススキャンからJaw Motionへ
さらに個人的にかなり面白いと思っているのが
Jaw Motionとの連携です。
フェイススキャンが静止した顔貌の記録だとすれば、
Jaw Motionはそこへ下顎の動きを追加する技術です。
これまでデジタル上の上下顎模型は、
基本的にはバイトスキャンで取得した一つの位置関係を
再現しているだけでした。
しかし実際の患者さんは当然、その位置で噛むだけではありません。
そこで患者さん自身の下顎運動を取得して、
バーチャルアーティキュレーターのようにソフト上で実際の動きを再現する。
これができるようになると、フェイススキャンの意味も変化してきます。
フェイススキャンによって歯列が顔の中のどこにあるのかを記録し、
CTによって顎関節や骨格がどこにあるのかを確認。
Jaw Motionによってその下顎がどのように動いているのかを記録できます。

少し前まで、それぞれ別々に取得していたデータが、
一つの患者さんの3Dデータとして統合できるようになりました。
現在 3D歯科 はSHINING3DのMetiSmileを使用しながら、
フェイススキャンとJaw Motionを臨床で活用していますが、
数年前にPOP2で顔をスキャンしていた頃には
フェイスの記録がここまで発展するとは思っていませんでした。
デジタル歯科の進歩は本当に早いです!
全顎補綴では、必須に近いのでは
個人的に特にフェイススキャンを使用したいのが全顎補綴です。
単冠であれば、隣在歯と対合歯を見ながら補綴物を作るだけでも
十分な症例はたくさんあります。
しかし治療範囲が広くなるほど、歯列だけを見ていて本当に良いのか、
という問題が出てきます。
矯正や全顎補綴においてフェイススキャンは必須アイテムと言えるのではないかと思います。
これは、歯科用フェイススキャナーという高額な機械を必ず買いましょう、
という意味ではありません。
専用機でも、汎用スキャナーでも、CT内蔵のものでも
場合によってはスマートフォンでも良いと思います。
大切なのは、歯列だけのデジタル化で終わらせないことです。
マッチングさえうまくいけば、フェイススキャンはとても強力なアイテムになってくれます。
口腔内スキャナーの次に何を導入しよう?と聞かれたら
数年前であれば、デジタル歯科を始めるならまず口腔内スキャナー。
それだけあればとりあえずスタートできるからと答えていたと思います。
口腔内スキャナーがデジタルの入り口なのは今でも変わりません。
ただ、すでに口腔内スキャナーと3Dプリンターを持っていて、
「次に何を追加するとデジタル臨床が変わりますか?」
と聞かれれば、フェイススキャンはかなり面白い選択肢だと思います。
CADをさらに高額なものへ変更しても、
できることが少し増えるだけかもしれません。
口腔内スキャナーを最新モデルへ変更しても、
スキャン時間が少し短くなるだけかもしれません。
しかしフェイススキャンを追加すると、
これまで存在しなかった患者さんの顔という新しい情報が
手元のデジタルワークフローに加わります。
そこにCTがつながり、Jaw Motionがつながり、
AIによる診断補助やCAD設計もつながろうとしています。
まとめ
Bellusから始まり、POP2などの汎用3Dスキャナーを使い、
(Revopointの製品は一時期全て持っていました!)
現在は歯科用フェイススキャナーやスマートフォンまで、
フェイスデータを取得する方法はずいぶん増えました。
もちろん、すべての患者さんでフェイススキャンが必要とは思いません。
毎回CT、フェイススキャン、Jaw Motionまで取得していては
デジタルで効率化しているのか、逆に仕事を増やしているのか分からなくなります・・・
ただ、必要な症例で簡単にフェイスデータを取得できる環境は、
作っておいて損はないと思います。
まだフェイススキャンを使ったことがない先生も、
まずはスマートフォンや低価格な方法から
一度患者さんの顔とIOSデータを重ねてみてはいかがでしょうか。
その上で面白いと感じたら、歯科用フェイススキャナーは
スタッフに任せられるという大きな魅力があります。
歯だけを見ていたデジタル歯科が、フェイスを加えると
また違って見えてくるかもしれません。
何となく不要に思えるようなフェイススキャン、ぜひこの世界に飛び込んでみて下さい!
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なお、 3D歯科 の行っている3Da : 3D dental academyでは
日常臨床に活かせるCADの方法や3Dプリンターの基本的な導入などを
動画で多数アップしています。
また、フルデンチャーやその他のため、
ついに歯科用3Dプリンターを導入しようかと考えている皆さんに向けて
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内容一覧だけ記載をさせていただきまして、
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<今後の予定リスト>
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2026年08月04日(火)
SHINING Edge ベトナム 登壇しました!・Tokyo, Japan
2026年08月30日(日)10:00 - 15:00
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今回の内容は以上になります。
長い文章でしたが最後までお読みいただき、
ありがとうございました。
3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを
少しずつ更新していきます。
↑こちらでも不定期に動画付きのデータを更新しています。
よろしければ見ていただけると嬉しいです。




















