3D歯科 のデジタル歯医者入門

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歯科用プリンターのシステム化・自動化について③歯科用プリンターのシステム導入

こんにちは。

3D歯科 です。

 

前回は、3Dプリントを自動化することについてお話ししました。

digitaldentistry.hatenablog.com

 

今回は、実際にどのようなシステムを導入することができるかを検討します。

よろしくお願いします。

 

 

3Dプリントのシステム化

国内外には様々な3Dプリンターシステムが存在します。

3D歯科 の知りうる数機種を紹介します。

 

 

Prime Print

もっとも日本国内で有名なのは、SironaのPrime Printかもしれません。

 

Prime ScanでスキャンしたデータをinLabソフトでクラウンをデザインし

Prime Millでミリング・・・する代わりのCAM機として登場したPrime Print。

 

半自動化が行われており、インクのカートリッジを挿入すると自動でレジン補充が行われ

データを入れてプリント後、プラットフォームを洗浄機に移動させれば

2槽のアルコールで洗浄、その後乾燥して2次重合してくれるというものです。

 

さすがはCerecシステムを作成しているメーカーだけあって、

1社完結のシステムはハイクオリティにまとまっています。

見た目もかっこいいですし、プリント後にプラットフォームを移動させることを除いて

ほぼ全自動になっています。

 

ただし・・・冷蔵庫のような機器がプリンターと後処理器の2台必要になり、

また、価格もCerecに相応しい高額なものになっています。

技工士さん界隈から、この機器の価格の7割は見た目!という冗談も聞かれたのですが;

Prime Millなどを導入しペイできる先生であれば、医院の統一感や患者さんへの訴求力として

 

また、Sironaのとても優れたLucitoneという義歯プリント素材を使用できるのも

この機種のメリットかもしれません。

 

Formlabシステム

さて、Prime Printほど高価格帯ではなく、歯科技工所でも馴染みの深いプリンターシステムとしてFormlabsのシステムが挙げられます。

元々、歯科用で導入されるときにはセットで購入されることの多い

重合器と洗浄機を昔からラインナップしていたメーカーになります。

 

ホビー用のWASH&Cureシリーズと比較すると高価ですが、

プリンター本体と合わせて100万円以下になる投資で、

いわゆる歯科レジンを安全性の高いメーカー指定の設定のもと後処理できるのは

最終補綴としてプリンターを使用したい場合にも有効と思います。

 

Keyprintなど一部メーカーはPhrozen、Elegoo含め多くの機種の洗浄・重合器に

認定済みの後処理方法(パラメーターや照射時間など)を公開していますが

多くのレジンでは指定機種での洗浄、重合時間しか後悔していないものが多いです。

また重合はパラメーターを公開していても、洗浄方法はアルコールとブラシで優しく洗って、

くらいにしか記載がないレジンも多く、正直なところ本当にこれで正しいか心配になることもありました。

 

そのため最終補綴で使用するなどの用途で、Formlabsのレジンを使用するのであれば

この2機種とプリンターを揃えるのもいい方法と思います。(ただしランニングコスト高め)

 

また、最近知りましたがForm Autoという楽しそうな機器も販売されています。

プラットフォームからの取り外し、次のプリントの自動化という

人の手を借りず量産する仕組みが取り入れられているので、

夜中ずっとプリンターを動かすのもアライナー矯正や技工所の使用など

数を出力する必要性があればいい選択肢かもしれません。

 

Ackurettaのシステム

以前にもこの会社は紹介したことがあったと思いますが、

高速プリント・オープンマテリアル・高価格帯ではない、という魅力的なラインナップを持つ

アキュレッタのSOLプリンターと洗浄機、重合器のシステムです。

 

何よりもオープンマテリアルで、かなり豊富なレジンに対応、その後の処理も

レジンメーカーからの認証済みの後処理方法がシェアされており

様々な補綴や装置を安心して提供できます。

 

またSOLは歯科プリンターの中でも高速なモデルであり、

ミニプレートを使用するとワンデイトリートメントにも対応できます。

 

ただし国内での流通経路は少なく、一部の矯正界隈で名前を聞く程度で

もっと大手販売店が扱えばいいのに、と思わせられるシステムです。

 

システム化されていますが、プリント後のプラットフォームからの切り離し、

洗浄槽への移動や重合器への移動などは人の手で行う必要があり、

Prime Printや先のForm Autoほど楽はできません。

ホビー用途のシステムを歯科用に高品位にした、というイメージです。

 

SHINING3D AccuFabシステム

最後に紹介するのは、実は縁あって 3D歯科 が導入したシステムになります。

 

IOSのAoralscan3でも有名なSHINING3Dのプリントシステムであり、

プリンターのAccuFab L4D、重合器のFabCure2、洗浄機FabWashからなります。

 

面白いポイントはFabWash、このサイズ感ですがプラットフォームからの自動切り離し、

洗浄が一体になっています。

↑のようなカッターが出てプラットフォームから模型を切り離してくれる。

(今の所10回ほどプリントして10回ともうまく切り離してくれています。)

 

初めはオマケ機能のように感じていましたが、なかなか便利で

プリント完了後すぐにプラットフォームをFabWashに移動させれば

あとは洗浄終了後にFab Cure2に移動させるだけと、人の手を最小限にしてくれます。

 

PrimePrintだとプリント後に移動させる手間さえやれば、洗浄・乾燥・重合が自動化。

その後はプラットフォームから人の手で切り離し(と説明を受けました、合っているかな)

 

AccuFabではプリント後に移動させれば、切り離し・洗浄が自動化。

その後に重合器へ移動させれば完了と、そこまで2つのシステムに手間の差はないように感じます。

 

それならと、価格とスペース、プラットフォームからの切り離しでのミスがないという点から

3D歯科 のところではSHINING3DのAccuFabが頑張ってくれることになりました。

 

まとめ

いくつかのプリント操作自動化のシステムを紹介しましたが、

本来、プリント後にはまだ「サポート切り離し」「研磨」「表面コーティング」と

行うことが残っています。

 

ミリングでの製作のことを思うとこのくらいは仕方ないのかもしれませんが、

システム化された商品が増えて、可能なら1台の箱の中で

プリント、切り離し、洗浄、乾燥、重合、切り離し、研磨という一連の流れを

勝手に機械がやってくれる未来を夢見たいと思います。

 

口腔内での永久補綴用途で今回導入しましたが、

確認用模型など、多数のElegooを同時運用できるメリットは大きく、

日夜複数台のプリンターが院内のいろいろな場所で動いています。

 

楽しいプリント仕事が、できるだけ拘束時間や危険性を抑えて

どの医院でも導入のハードルが下がればいいと期待しています。

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを

少しずつ更新していきます。

 

note.com

↑こちらでも不定期に動画付きのデータを更新しています。

 

よろしければ見ていただけると嬉しいです。

 

また、ひとつ告知をさせていただきます。

4月6日に大阪で口腔内スキャナーとdentbirdについてのセミナーを行います。

18:00~19:30で、おそらくお話しするのは18~19時くらいと思います。

セミナー内容は主にSHINING3DのAoralscan3とdentbird(AIクラウンCADソフト)です。

これからIOS導入をお考えの方と、購入したけれどあまり発展できていない方向きになります。

ただ前後の時間は1時間ずつくらいブースにいる予定ですので、MeditのことやB4Dのことなど

マニアなお話をしていただける方、もしスキャンなどでお悩みの方がいらっしゃれば

話しかけていただければ嬉しいです。

↑有名な先生方の中で恐縮ですが、お時間ある方、お近くの方はよろしくお願いします。

 

今回は以上になります。

先生がたの臨床に少しでもお役に立てていただければ嬉しいです。

今後とも 3D歯科 をよろしくお願いします。