3D歯科 のデジタル歯医者入門

最小限の費用と努力で最大限の恩恵を受ける歯科デジタル活用術

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歯科用プリンターのシステム化・自動化について①院内で3Dプリンターに取り組もう

こんにちは。

3D歯科 です。

 

前回は、保険導入を見据えた口腔内スキャナーのスキャン方法や機種選択についてお話ししました。

digitaldentistry.hatenablog.com

 

今回は、毎日行う3Dプリントについて、

なるべく人の手を借りずにシステム化することでドクターの負荷を減らす方法を考えます。

よろしくお願いします。

 

歯科の3Dプリントについて

歯科でアナログ印象がデジタル光学印象・口腔内スキャナーに置き換わってきています。

その際に問題となるのが、石膏模型がなく画面上でしかデータを見られない点です。

 

そのため、診断や作業用模型として、スキャンしたデータを3Dプリントできるように編集し

3Dプリンターでプリントすることで歯科模型を作成することができます。

 

また、模型だけではなく口腔内に装着するスプリントや総義歯、最終補綴クラウンまで

3Dプリントで作成が可能になっており、ミリングマシンと比較して初期投資を抑えて

院内技工製作にも役立てることができます。

 

このときに問題になるのは、3Dプリンターの操作がやや複雑である点と、

後処理と呼ばれる、プリント後のアルコール洗浄や最終重合(ジルコニアでいうシンタリングのようなプロセス)が必要であるという点です。

 

「誰がデータ編集を行うか」「誰が3Dプリンターを操作するか」「誰が後処理を行うか」

これが歯科で3Dプリントを行う上での考えておくポイントとなります。

 

「誰が」:全て先生だった場合

これはデジタルマニアな先生方のクリニックで多いかと思うのですが、

先生だけが知識があり、他に任せられないケースです。

 

「誰がデータ編集を行うか」:

模型データであれば5分ほど、クラウンなら10分ほど、義歯なら30分ほどかかります。

ソフトにより異なりますが、いわゆるCAD作業と言われる操作が必要になることもあり

技工士さんがクラウン製作する作業と同様です。院内でクラウン製作する際に

場合によっては院内技工士さんがいればお任せした方が効率は上がると思います。

 

「誰が3Dプリンターを操作するか」:

3Dプリントは、電源を入れてレジンを入れてスタートボタンを押せば綺麗に出来上がる。

・・・というものではありません。

(将来の発展でおそらくそのようになると思います)

 

レジンを加温して粘稠度を下げて(CRを加温してセメント用途に使用するのと同様)

プリンター本体を温めておき出力中の温度変化がなるべくないようにし

3Dプリントのセッティング、つまり光照射時間や機械を動かすスピードを設定し

出力された例えばクラウンを見て精度を高めるためにセッティングを微調整する。

・・・このような操作がどうしても必要になります。

 

ここのレジン設定やサポート付けをいきなりスタッフに完全にお任せするのは困難です。

3Dプリンターに慣れた技工士さんやミリングマシンのネスティングで

パラメーター調整に慣れたスタッフであればポイントを理解してくれると思います。

 

歯科用プリンターによれば純正レジンについてはセッティングが登録されていたり

レジンバットや本体を温める機構がついているものも機種によりあります。

ただそれでも気温やデータの形状により設定の微調整は必要になります。

温度センサーと連携してAIがパラメーターを調整してくれれば・・・とよく思っています。

 

「誰が後処理を行うか」:

ようやく出力された、と安心はしていられません。

出力後、時間が経過する前に次は後処理を行います。

後処理とは、ベタベタにレジン液のついた出力物をアルコールで洗い、

余剰アルコールを完全に除去してから光重合器で最終重合を行います。

 

この時の余剰アルコールはアレルギーの可能性がありニトリルグローブなどで防護します。

作業中のアルコールの曝露を抑えるためゴーグルやマスクを着用します。

 

レジンによりますが数分以内に洗浄工程を確実に終え、そこから長時間の最終重合となります。

 

正直なところ、この工程は大切ではありますが面倒な作業になってしまいます。

スタッフに工程を教えてやってもらう、機器により自動工程のあるものを導入するなど

時短に努めたい工程になります。

 

全て先生だった場合

これら全てを 3D歯科 の医院では全てドクター自分自身のみで行なっていました。

 

クラウンやスプリントのデザインは、院内に技工士さんのいないクリニックで内製化すると

ドクターの仕事になりますが、確認用歯列模型などであればモデルビルダーの操作は

スタッフに完全にお任せしてもいいかもしれません。

 

データができたらスライスソフト(Chituboxやプリンター純正の、プリント可能にするソフト)に入れて、歯列模型なら自動サポート機能でワンクリックで対応できます。

 

プリント完了後の後処理もドクターが全て行うとすると、歯列模型だけでも

1時間を超える時間、ドクターがつきっきりで対応するのは20分ほど必要になるでしょうか。

そうすると石膏模型と比較して(石膏模型を全てスタッフに任せているとすると)

高コストになってしまい、3Dプリンターの敷居が上がってしまいます。

 

また、セッティングをレジンごとに最適パラメーターを探すのも

ドクター1人だけの力だけでは対応しにくくなってきます。

 

そのため、これから3Dプリンターを院内に導入しようとする先生は、

ぜひ1人だけで全てをカバーしようとせず、スタッフを巻き込んで

医院として取り組むようにしてみましょう。

 

後処理を任せられるだけでも楽になりますし、石膏と同様にモデルビルダーから

歯列模型のプリントまで全行程を任せられると、日常診療に取り入れやすくなります。

 

まとめ

3Dプリンターは歯科医院に導入されることで、低コストながら非常に高精度な

院内技工に取り組むことができます。

 

ただし、従来法よりは快適ではあるのですが、やはり時間コストが多大にかかってしまいます。

診療の合間にCADをして、診療後にプリントや後処理をする・・・

現状ではマニアな先生の趣味(もちろん 3D歯科 も含みます)としてしか

院内導入では日本国内では活用されていないかもしれません。

 

ですが技工ラボでは様々な時短に活用されていますし、

院内技工士さんがいればかなり多彩な技工物を院内製作できるようになります。

 

 

次回は、歯科用3Dプリンターの(半)自動化が進んできていることに着目します。

ポンとスイッチを押せば、完成品がポンと出てくる・・・のが理想ですが

現状ではそこまでは進んでいません。

 

ですが後処理含めて一部のワークフローが省略できれば、先生方のクリニックでも

導入が現実的になるのではないでしょうか。

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを

少しずつ更新していきます。

 

note.com

↑こちらでも不定期に動画付きのデータを更新しています。

 

よろしければ見ていただけると嬉しいです。

 

先生がたの臨床に少しでもお役に立てていただければ嬉しいです。

今後とも 3D歯科 をよろしくお願いします。