3D歯科 のデジタル歯医者入門

最小限の費用と努力で最大限の恩恵を受ける歯科デジタル活用術

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Elegoo Mars4Ultraで歯列モデルを12分でプリントする

こんにちは。

3D歯科 です。

 

前回はMeditのClinicCADのアップデートをテストした他、

Medit i900のニュースを取り上げました。

digitaldentistry.hatenablog.com

 

 

今回は、Elegoo Mars4Ultraをようやくフル活用し始めたので

歯列模型を作成する際の注意点や、どのくらいのスピードで出力できるかを共有します。

よろしくお願いします。

 

Elegoo Mars4Ultra

Elegooは低価格・高速のプリンターを販売している中国、深圳の会社です。

 

3D歯科 もMars Proから歴代モデルを色々と購入してきましたが、

Mars3Proの恐るべき完成度・適度なサイズ感を気に入っており、

同モデルは現在4台院内で稼働中です。

 

そのElegooからMarsシリーズ(小型で低価格)の最新として登場したのがMars4Ultraです。

 

なかなかレジンのパラメーターなどを詰めていて時間がかかりましたが、

TEKやスプリントのような歯科用レジンを使用するというよりも、

確認用模型を高速出力可能なレジンで使用するのがベストな活用方法だと思います。

 

歯科用レジンは多くが粘稠度が高く、フィルムからの剥離スピードが高速な

Mars4Ultraのメリットを活かしにくいようでした。

パラメーターを色々いじくりましたが、正直なところMars3Proと

速度は変わらないのと、Mars3Proで精度も困っていないのが歯科用レジンの現状です。

 

SK本舗のファストライジングレジン

さて、高速出力のプリンターのメリットを最大限受けるためには、

高速出力に対応したレジンが必要になります。

歯科用レジンの中ではODS社のものが粘稠性が低く、高速出力に適しそうですが、

パラメーターを煮詰められていません・・・時間ができたらMars4Ultraで

高速出力が可能か試したいところです。

 

歯列模型(口腔内に入れるのではない確認用模型)で考えると、

後処理の時間も考え、SK本舗のファストライジングレジンを入手してみました。

 

これはホビー用の水洗いレジンの中では高額な類ですが、

時々SK本舗ではセールをされており安く購入できることもありますが

定価では500gで5200円です。また、よく欠品しています。

 

 

 

ファイストライジングを使用する上での注意点

Chituboxで「Fast resin Fast」モードを選択した際にも出てくるのですが、

模型の厚みは2m m以下にする必要があります。

 

また、かなりの速度でプラットフォームがフィルムから引き剥がされるので、

サポートを付与する際には密度や太さを上げる必要があるように思います。

 

3D歯科 の試したところでは、厚み2m mでサポートなし、中空構造で

それなりに失敗がなく出力できるようになってきました、

 

ハニカム構造を付与した模型や、前歯部のような段々と中空構造がなくなり

模型の厚みが増す構造ではサポートの付与も考えないといけないかもしれません。

 

なので通常の模型出力では間に合わない急ぎの要件や

スキャンした当日に患者さんへ見せたい、相談した矯正後やワックスアップの

模型をすぐに提案したい場合などに有効で、毎日使用するレジンではないかもしれません。

 

なお、パラメーターはSK本舗から共有されているものをそのまま使用しています。

せっかく早い出力に対応したパラメーターですので、模型の方の厚みやサポート付与で

出力ミスを減らせるように工夫をしてみているところです。

↑このように、12分で欠損形態も含む模型を出力できました。

欠損部分にはガイドを適合させましたが、ぱちっと入って精度も問題なく思います。

ただし100μmなので積層痕は残ります。

 

シリコンパテを押し当てたりしても積層痕はしっかり写し取られるので

あくまでも説明用・確認用模型の急ぎの要件として適しているなと思っています。

 

また、もう一つ注意点ですが・・・

非常に水のようにシャバシャバなので、プリンターを扱う際に、

模型を外したりプラットフォームを扱っているとレジンがそこかしこに跳ねます。

汚れてもいいように準備してから作業しましょう。

 

グレーのケース(フタ?)はかっこいいのですが、太陽光を完全に遮断できません。

以前の赤いフタのモデルでは窓から西陽が差し込んでも問題なく遮光できていましたが

これ以降のグレーのフタは直射日光は厳禁です。(光重合なので当たり前ですが)

翌日出勤した時にレジンバットが凍りついたように膜が張っていたのは

見ていて嬉しいものではありません。ぜひご注意ください・・・

 

まとめ

日常で使用するのはSK本舗の通常の水洗いレジンを50μmで設定して

ゆっくり出力をすることをお勧めします。

高精度な上、ゆっくりといっても模型にサポートをつけて1時間半もかからず

安定して出力ができています(Mars3Pro)。

 

 

Mars4Ultraは元々低価格のモデルのため、スピードを抑えて通常のレジンを出力しても

もちろん綺麗に出力でき、また模型をプラットホームから剥がすのも楽になっています。

 

これから模型用プリンターを購入するのであればいい選択肢だと思います。

 

高速プリントでは、ミスしてもすぐに気づいて再プリントできます。

帰宅直前に明日使用する模型がプリントできていなかった、などの問題にも対処しやすいです。

皆さんの残業軽減にも役立つかもしれませんのでぜひファストライジングレジンとともに

導入を検討してみて下さい。

 

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを

少しずつ更新していきます。

 

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