3D歯科 のデジタル歯医者入門

最小限の費用と努力で最大限の恩恵を受ける歯科デジタル活用術

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日常診療の3Dプリントにかかるコスト(お金と時間)について

こんにちは。

3D歯科 です。

 

前回は冬の寒さに弱い3Dプリンターについてお話をしました。

 

digitaldentistry.hatenablog.com

 

今回は、わたし 3D歯科 が普段使用しているレジンと、

出力にかかっているコストについてお話しします。

よろしくお願いします。

 

使用する3Dプリンターについて

3D歯科 は、現在4台の3Dプリンターを所有、医院で使用しています。

4台も同時使用するのか?と驚かれそうですが、

台数を増やしていったのは、同時使用するためだけでなく、

レジンの入れ替えにかかる時間を省略するためです。

 

3Dプリントで使用するレジンは、色も、重合時間も、口腔内で使用できるかどうかも

差があるので、基本的には混ぜて使用しません。

 

そのため、用途によってレジンを取り替える際には、

レジンバット(レジンを貯めておく容器)も、プラットフォーム(出力物が張り付くプレート)も

それぞれ洗浄、入れ替えをする必要があります。

 

このパーツ類が、歯科専用をうたう3Dプリンターではまた高価であり

それぞれ1万円は下らないです。

これらをレジンの種類ごとに3〜4個ずつ揃えることが

日常臨床に3Dプリンターを活用するために現実的に必要になります。

 

3D歯科 の日常診療でメインで使用するのは、ELEGOO製の民生品のプリンターです。

最新の小型モデルは ELEGOO MARS 3 PROというモデルですが、

非常に安価でコンパクト、出力もキレイで2台購入しました。

 

4K出力であり、Sonic mini 4Kと同等の精度かと思っています。

これを並べて、TEKや人工歯出力専用機、義歯床出力専用機、スプリント出力専用機、

あとは診断用模型出力の専用機として4台使用しています。

 

もちろん、マメな先生であれば毎回バットとプラットフォームを交換すれば

1台で済むのかもしれません。ですが同時使用や急ぎで割り込み出力したい、

というニーズは日常診療で多く出てくるので、2台はあった方がいいと思います。

 

しかも3Dプリンターはどんどん安価で精度が上がってくるので、

超高級品を購入しても5年後には安価なモデルに遅れを取ると思います。

パソコンや、口腔内スキャナーと似たようなサイクルで進化していますね。

 

使用するレジンについて

診断用模型

診断用模型は、その出力安定とコスパの良さで、最近はほとんどこれです。

 

価格はアマゾンが安価ですが、ぜひ↑から調べてみてください。

口腔内にも入れず、診断に使用するくらいであれば、価格を考えると歯科用モデルレジンは

馬鹿馬鹿しくて使えなくなると思います。

 

気になるコストですが、標準的な大人の上下フルの模型で、中空状態にして100円程度です。

模型1組が100円と言うと、格安石膏模型を使用している先生からすると

高価に感じるかもしれません、しかしスキャンとプリントに慣れてしまうと

時間コストと照らし合わせて、もう石膏模型には戻れません。

 

出力時間は50μm精度でMars3シリーズにて1時間以下程度。

その後は水と歯ブラシでじゃぶじゃぶ洗って光重合で終了、後処理も楽々です。

データ処理や出力、後処理含めて基本的には1時間半以下

しっかりした模型が手元にできます。

もちろんこの時間はほぼ放置で機械がやってくれますのでそこまで手はかかりません。

 

テック、義歯人工歯

デンケンハイデンタルのDHプリントを使用することが多くなっています。

何より口腔内使用で薬事が通っているので、患者さんに説明と同意を取る手間が省けます。

 

急に歯科専用になると高価であり、Ciでは500mlで38,000円ほど。

出力するとTEK1本あたり100~300円でしょうか。

予備もいくつか作成して、脱離や破損に備えています。

 

Mars3シリーズで出力が1時間以下

 

上記の模型レジン以外は全て出力後にアルコールでの洗浄が必要です。

アルコールで5分洗い、20~30分光重合機でカリカリに予備重合しています。

合計で1時間半ほどでしょうか。

洗浄の時は少々手間ですが、何十本も一気にプリントや後処理が可能です。

 

DHプリント導入前は、HARZLABのデンタルサンドレジンA2-A3を多用していました。

 

薬事未認可、患者説明が必要なのと、ロシア産であり先行き不透明なので

今後も使用し続けられるかは分かりません。

ただ安価であり、ヤフーや楽天で購入できる手軽さが魅力です。

もちろん口腔内使用できるように設計されていますが、自己責任で使用です。

 

義歯床用レジン

これもDHプリントを使用しています。

Ciで500mlで28,000円程度。

出力すると総義歯1床で1,000円程度でしょうか。

 

現在は趣味で出力や臨床テストをしている段階ですが、非常に有用と感じています。

ただし粘稠性が高く、出力はゆっくりしてあげた方がミスが出ません。

出力時間は6時間ほどかけてしまっています。

帰宅前に3Dプリンターを動かしておき、翌朝に回収するという使い方です。

 

まとめ

口腔内使用するDHプリントは、本来デンケンハイデンタルが販売している

Phrozen Sonic mini 4K対応レジン対応とされています。

ですが、Phrozenは民生品の汎用3Dプリンターなので、セッティングさえうまくいけば

Elegooでもちろん出力可能です。

 

これについては後日にnoteの方でまとめたいと思っています。

冬が近づき、出力ミスもちらほらあるので、安定したパラメーターを

Chituboxで探して、noteの方でダウンロードできるようにしたいと思っています。

 

とにかく3Dプリンターはミリングマシンと比べて安価で取り組みやすいです。

ミリングと違い、一気にたくさん出力できるのも強みです。

ただし、前回も触れたように気温により出力ミスが起きたり、セッティングは

細かく調整することも必要になるかもしれません。

 

この辺りは将来の歯科用レジンの進化に期待したいところです。

ペクトンが3Dプリントできたり、GCなどの大手国内メーカーが開発を進めれば

安価で高品質のものがより臨床に役立てることができるのではないかと思っています。

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを

少しずつ更新していきます。

 

note.com

↑こちらでも不定期に動画付きのデータを更新しています。

よろしければ見ていただけると嬉しいです。

 

先生がたの臨床に少しでもお役に立てていただければ嬉しいです。

今後とも 3D歯科 をよろしくお願いします。