こんにちは。
3D歯科 です。
前回はRevopointスキャナーについて、フェイススキャンとして使用可能なことをお話ししました。
digitaldentistry.hatenablog.com
今回は、3Dプリンターについての造形ミスへの対策についてお話しします。
よろしくお願いします。
3Dプリンターは冬に弱い
毎日のように多用している3Dプリンター。
設定を詰めておくことでほぼ100%、造形ミスはないのですが、
最近のように肌寒くなってくると心配になってきます。
digitaldentistry.hatenablog.com
ちょうど一年前に↑に書きました通り、
3Dプリンター用レジンは寒さによって造形ミスが増えてくることがあります。
レジンはその他の歯科用レジンと同様に熱すると柔らかく流れが良くなり、
冷やすと硬くなり、粘稠度が増します。
ダイレクトボンディングではインジェクションを行うときや、
またセラミックをCRで接着する際には専用ヒーターで温めている先生もいます。
さて、3Dプリントでは、とにかくレジンはサラサラでないといけません。
レジンの溜まった容器に、上下するプレートがレジン液を漬けながら造形するので
ネバネバが強いと、プレート部分の移動速度にレジン液の流れが間に合わなくなります。
結果的にレジン液にムラができたり、光重合を開始する前にレジンが流れていないと
重合が予定通りいかず、崩れたり剥がれたりしてしまいます。
寒さへの対策
先の記事でも記載した、3Dプリンター本体をヒーターなどで温めるか
レジンバット自体を小型ヒーターで熱しながら重合を行うということが対策になります。
考え方としては、レジンの粘稠度を下げるのがポイントとなります。
対策1、3Dプリンターを温める
対策2、レジンバットやレジン自体を温める
対策3、粘稠度の低いサラサラしたレジンを使用する
です。
対策1、3Dプリンターを温める
非常にアナログな方法ですが、3Dプリンター本体をヒーターや毛布で包むか、
あるいは3Dプリンターを置いている部屋を十分に暖房で温めることです。
注意としては、パネルヒーターは温度が上がりすぎないようにしないと
プリンターのカバーが溶けたり、レジンが変質する可能性があります。
また、部屋を暖める場合は、重合する少なくとも30分前までには
暖房のスイッチをオンする必要がありそうです。
対策2、レジンバットやレジン自体を温める
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こちらの記事の途中で紹介している、レジンバットヒーターは(専用品ではないですが)
重合が難しいときによく使用しています。
レジンをずっと80℃などで温め続けるのもやや心配なので、
温度でのリミッターを仕込んで使用することも多いです。
対策3、粘稠度の低いサラサラしたレジンを使用する
レジンを温めるだけでなく、そもそもレジンの種類を変更することも方法の1つです。
特に確認用模型などの場合であれば、 3D歯科 の個人的には汎用レジンで十分と思っています。
歯科用モデルレジンを使用して確認用模型を作るのと、汎用レジンを使用するのでは
10倍ほどのコストが違うだけでなく、レジン液の粘度も異なり、
一般的には汎用レジンの方がよほど簡単に出力できます。
ただし、手強いのは口腔内で補綴などに使用するレジンです。
流石に上記のようなレジンをTEKとして使うことはできません。
TEKはTEK用、デンチャーにはデンチャー用のレジンを使用する必要があります。
しかし、そうしたレジンは非常に高価な上、出力が難しいです。
そのため少量のレジンを使用してパラメーター調整を行なったり、
レジンバットをヒーターで温めたりと工夫が必要になります。
まとめ
とにかく3Dプリンターを扱う者としては、これからの4ヶ月ほどは厳しい戦いです。
仕事で使う機器のため、失敗で出力が遅れてしまうと患者さんに迷惑がかかることもあります。
大型で業務用の歯科専用プリンターは、バットヒーターが仕込まれていたり
専用レジンを使用すると重合が安定していたりするようです。
しかしそれでも、サポート形態の付け方によっては出力ミスはあるようです。
ものづくりは失敗がつきものです。
いつも使用して機器のクセをつかんでおき、
大事な現場でのミスができるだけ少なくなるように考えておきましょう。
今回の内容は以上になります。
長い文章でしたが最後までお読みいただき、
ありがとうございました。
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今後とも 3D歯科 をよろしくお願いします。