3D歯科 のデジタル歯医者入門

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3Dプリント補綴の製作時間について〜ワンデイトリートメントへの応用〜

こんにちは。

3D歯科 です。

 

前回はパーシャルデンチャーを3Dプリントする方法について紹介しました。

digitaldentistry.hatenablog.com

 

パーシャルデンチャー作成方法については2023年8月末までnoteでも無料公開中です。

note.com

 

今回は、3Dプリントで製作する補綴の製作時間について考えてみます。

よろしくお願いします。

 

3Dプリントにかかる時間について

3Dプリンターの進化はめざましく、1年に何機種もの新製品が登場しています。

歯科でよく使われているSonic MINIシリーズや、 3D歯科 の愛用するMarsシリーズなど

ホビー用途のようなものでも高品質・高速でプリントできるものがたくさんあります。

 

さて実用的なプリントにかかる時間はどの程度でしょうか。

 

このようなよく使用する歯列模型で考えてみます。

使用するモデルはElegoo Mars 3 Proです。

 

 

出力痕がほとんど目立たない、石膏模型と同様に扱える0.05mm精度のプリントでは、

この歯列模型でおよそ60から70分程度でした。

 

これは設定によってもう少し短縮化することも可能ですが、微妙に時間がかかる印象です。

アナログ印象で石膏を注いで、石膏模型を外してトリミング・・・

これと同程度でしょうか。

 

ただし、3Dプリントでは後処理と呼ばれる追加の手順が必要です。

歯列模型では 3D歯科 は水洗いレジンを使用することがほとんどですので、

プリンタから模型を外し、サポート(プラモのライナー部分)を外し、水洗いし

さらに2次重合として10〜15分光重合器に放り込んでいます。

 

実のところ歯科専用の(出力用式の異なる)3Dプリントと比較すると

これでも時間はかからない方なのですが、もし急ぎで模型作成をしようとしたときには

待ち時間はストレスになります。

 

Elegoo Mars 4 Ultra

この出力時間については3Dプリントの進化とともにどんどん高速化しています。

いま狙っているプリンターはMars 4 Ultraというモデルですが、

出力速度が3倍近くに高速化するということです。

 

3Dプリント模型作りにかかる時間は

3Dプリント時間+水・アルコール洗い時間+二次重合時間

となりますので、

 

現在Mars3Proで

3Dプリント時間(70分)+水・アルコール洗い時間(3分)+二次重合時間(15分)

合計88分、1時間20分程度のところが・・・

 

将来Mars4Ultraで

3Dプリント時間(25分)+水・アルコール洗い時間(3分)+二次重合時間(15分)

合計43分とできる可能性があります。

 

こうなれば患者さんを待合室でお待たせして、その間に3Dプリント・・・なども

現実的になってくるかもしれません。

 

ワンデイトリートメントへの応用?

3D歯科 は、個人的にはセレックなどのワンデイトリートメントには魅力を感じていませんでした。

患者さんをお待たせする間にクラウンを仕上げ、万が一バイトやミリングにミスがあれば・・・

ジルコニアのミリング・シンタリングの機器にエラーがあれば・・・

そもそもチェアタイムがキツキツで日常診療しているのに最終補綴セットまでを

1人の患者さんでアポを取れない・・・

リングマシン、ファーネスが投資回収しにくいほど高価・・・

 

など、いろいろな要因で選択していませんでした。

ただ、3Dプリントが高速化してくると、テックやインレー、果てはデンチャーまで

即日修復が現実的になってきます。

 

3Dプリンターを複数台お持ちの先生は(コストが見合えば)2台同時に同じ出力し

予備を作成した上で現場に臨めば穏やかな気持ちで診療ができそうです。

3Dプリンター本体のコストも、レジンもコストもミリングと比較にならないほど安価です。

現在でもMars3Proでクラウン1本をプリントするのは、30分程度で可能です。

この写真は自動サポートですが、サポートを工夫したり精度を調整すると

もう少し高速化もできます。

 

これがMars4Ultraなどで10分ちょっとで出力できるようになれば・・・

デザイン・プリント・後処理・二次重合全てで30分ちょっとで可能になりそうです。

 

問題はこの操作を誰が行うか、ですが、院内に技工士さんがいていただければ

TEKを最終補綴と同様のデータからプリントして試す。

抜歯したところをスキャンして即日義歯を作成する。

このような用途でも、3Dプリントでのワンデイトリートメントは可能になりそうです。

 

まとめ

3D歯科 としては、最終補綴はプロの技工士さんにお任せするべき、という考えは変えていません。

研究や作成にかける時間、こだわる時間などはドクターが片手間で行って勝てるものではないはずです。

 

ですが、田舎で臨床を行っていることもあり、ベストな素材を患者さん皆さんが選択していただけるわけではありません。

それで諦めて銀歯(技工士さんも時間をかけられない、素材としても劣っている仕事)

を何本も入れる・・・ということと比較すれば、少し患者さんに費用負担をいただいて

3Dプリントのハイブリットレジンを臨床でどんどん使用していくことは

医院、患者さん、技工士さん、全てにメリットがあるものと考えています。

 

前回の義歯、前々回の最終補綴レジンの話にも記載しましたが、

日進月歩で3Dプリンターの材料は改善されています。

 

クラウンやデンチャーのデザインもAIやソフトの改善で簡便化しているので、

いよいよデジタルデンティストリーが日常臨床を大きく変化させる準備が

整ってきているな、と感じています。

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを

少しずつ更新していきます。

 

note.com

↑こちらでも不定期に動画付きのデータを更新しています。

 

よろしければ見ていただけると嬉しいです。

 

先生がたの臨床に少しでもお役に立てていただければ嬉しいです。

今後とも 3D歯科 をよろしくお願いします。