3D歯科 のデジタル歯医者入門

最小限の費用と努力で最大限の恩恵を受ける歯科デジタル活用術

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2023年に想像する歯科の未来について

こんにちは。

3D歯科 です。

 

前回は、アライナー矯正や全顎補綴、審美補綴を行う際、

CADで活用するDSD(デジタルスマイルデザイン)、3Dスマイルデザインについてお話ししました。

digitaldentistry.hatenablog.com

 

2023年になってもう1ヶ月経ちそうな今ではありますが、

今回は、今年か遠くない未来に起こりうる歯科の変化についてお話しします。

よろしくお願いします。

 

歯科のDX化と歯科以外のDX化について

ここ最近、AIが絵を描いたり、AIがチャットで質問に的確に答えてくれたりと

AIにまつわる話題が増えてきています。

 

実際にフリーで使用できるイラスト作成ソフトを試してみましたが、

絵心がなくてもプロのような絵が出力されてきて驚きました。

 

例えばこの技術が既存のものを組み合わせたパターンだったとしても、

著作権フリーで必要な画像を使用できれば、

例えばパンフレットやホームページの更新などで画像が必要になるような時には

十分使用できそうです。

 

もちろんアートやイラストのみを仕事とする人間に比べると

クオリティや画素数は不足していますが

そこまで求めていないというシーンも多いと思います。

 

同じように、歯科の世界でもAIを駆使した仕事や作業が増えてくるはずです。

 

基本的には市場の小さい歯科の世界では、一般に技術や手法が広がった後に

遅れて歯科に応用されていくことが多いと思います。

(CAD/CAMや3Dプリンターなども含めて)

 

ただし、歯科特有のものとしては、どれだけデジタル化が進んでも、

最後は患者さんの口腔内に適用するので、アナログに変換しないといけない点があります。

 

先の画像やアニメーション、ゲームなどのようにデジタルだけで完結することはできません。

このCAMの部分の発展が期待されます。

 

AIベースのものづくり

まず最初にくる変化はAIを駆使したCADと思います。

 

歯冠補綴

すでにAIでのクラウン作成は行われていますが、

さらに発展し、一般的な技工物はAIの提案した形でほぼ完結できるようになると思います。

 

技工サイドの仕事としては、AI作成の歯冠形態に、手ぐせや好みで形態調整を行うことと

CAM部分、削り出しやプリント、その後の研磨調整・グレーズ・ステインなどになると思います。

 

特に 3D歯科 が着目してよく利用しているのがこのサービスです。

dentbird.com

 

Medit Linkもそうですが、クラウドベースでデータが共有できるので

チェアサイドで利用し、自宅や技工サイドでそのデータを加工して、という仕事が

ストレスなく行うことができます。

 

アライナー矯正

また、AIベースで大きく発展しそうなのが、アライナー矯正の分野です。

最大手のインビザラインも含め、膨大な症例データがあるはずですから

治療パターンを学習させ、矯正医のリカバー方法なども覚えさせれば

ほとんどの場合、フルオートで最適な治療方法が日にちも待たされずに表示されるはずです。

 

クラウン作成もそうですが、そこまでこだわりの強くない多くのドクターは

AIでの製作そのままを受け入れても満足できるようになると思います。

あるいはAIの結果に「ひとつまみ」調整を加える程度だと思います。

 

トップレベルのドクターや難症例に立ち向かう専門医の先生などは

AIの提案にマニュアルで修正を加えていく、現在のCADに近い内容

(補綴では歯冠形態ライブラリを読み込んでからワックスアップする。

 矯正では技工士の作成に修正指示を何度も出して目的のセットアップを作成する)

が初めは必要になると思います。

 

ですがそれも1、2年すると術者の好みを反映した提案をするようになるか、

専門医が作業したCADの結果もAIが学習すると思います。

 

新しいマテリアルの3Dプリント

CADがほぼフルオートで可能になると、

次は出力がわ、CAMの進化も起こるはずです。

 

ソフトウェアの進化と違い、ハード面の発展のスピードは遅いと思いますが、

進化の伸び代が残っているのは(ミリングマシンではなく)

3Dプリンターだと思います。

 

現在でも硬質レジン並みの硬度の素材は歯科用途で商品化されていますが

期待したいのは、高強度の高分子材料、メタル、ジルコニアです。

 

高分子材料

将来に最も3Dプリント素材で期待しているのが、ペクトンです。

シェードの再現性は難しいかもしれませんが、フレームやコアには

ミリングやショットですでに使用されている素材です。

 

素人考えではレジンの延長にある素材なので、

比較的早く、安価で3Dプリントが可能になるように思います。

 

メタルの3Dプリント

産業界ではすでに完成している金属の3Dプリントですが、

最近どんどん機器の小型化が行われています。

フレーム制作やクリアランスのない部分のクラウン製作に

今も歯科では活用できるところも多いと思います。

 

ジルコニア

3D歯科 は最近まで知りませんでしたが、

数年前からデンタルショーなどで、歯科用ジルコニアを3Dプリントできる機器は

販売?されているようです。

 

最近では、小型なジルコニア3Dプリンターも登場しています。

www.aniwaa.com

国産ではありませんが、国内某大手メーカーが購入してテストをしているそうです。

 

ビタシェード対応カラーがあり、強度も申し分なく、使い慣れた素材。

デメリットはプリンターが高価なこと、シンタリングが必要なことです。

EMAXのような素材がプリントだけで焼結なく使用できるとベストではあるのですが。

 

ミリングではバーの消耗などのために、焼結体のジルコニアは削り出せませんが

3Dプリントでは完成品が重合されるだけなので、

光重合するための混ぜ物をして強度などが保たれれば

ガラスセラミックも重合できるのかもしれません。

 

3Dプリントとミリングの違い

3Dプリントは大量に同時に出力可能です。

それなりに重合時間はかかりますが、技工所などでは生産性が大きく上がります。

また、CNCミリングは、歯科以外の世界を見てもマシンの価格は下がりませんが

プリンターは年々安く、高機能になっています。

 

また小型化も可能なので、チェアサイドに高速プリンターが並ぶ日も近いかもしれません。

 

クラウドベースのデータ管理と共有

CAD機能が追加されたMedit Linkや、その他の新興の口腔内スキャナーの管理ソフトのように

クラウドでデータが管理することができるソフトが増えています。

 

医院内でユニットごとにデータが自動で共有されるだけでなく

医院とラボでも、データやソフトが共有できるようになってきます。

 

 

技工サイドで業界標準ソフトは現在、EXOCADと思いますが、

技工士さん向けのデジタルを導入する情報の書いた本の中でも

デジタル導入はコストがかかり、ソフトの年間フィーも考えて導入が必要、

とのことでした。

 

このような恐ろしい値段のソフトは、おそらくチェアサイドで使用できる

無料(またはサブスク)のCADソフトが広がってくると、駆逐されると思います。

www.clinux.pro

例えばこのようなソフトで、初期投資を大きく抑えることもできます。

 

Clinuxかどうかはわかりませんが、Medit Designにしろ将来登場するソフトにしろ

チェアサイドで使用しやすいソフトが、技工サイドにも満足いくクオリティになれば

業界標準でみんなが使用するソフトは、無料か低価格ソフトで済むと予想しています。

 

まとめ

今年一年で全てが実現するかはもちろん分かりません。

ただ、歯科以外の業界はAIをはじめとする技術の進化により

大きな変化を遂げようとしています。

 

歯科の未来も、低コストで、短時間で、同等以上のクオリティを

どんな人でも扱えるようになるのだと 3D歯科 としては信じています。

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを

少しずつ更新していきます。

 

note.com

↑こちらでも不定期に動画付きのデータを更新しています。

よろしければ見ていただけると嬉しいです。

 

先生がたの臨床に少しでもお役に立てていただければ嬉しいです。

今後とも 3D歯科 をよろしくお願いします。