3D歯科 のデジタル歯医者入門

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3Dプリントの速度を追求する①3Dプリント模型を高速で出力する

こんにちは。

3D歯科 です。

 

前回は 3D歯科 が個人的に「ベニアデンチャー」と呼んでいる、

簡単でズレない3Dプリントデンチャーの審美確保のためのポイントをお話ししました。

digitaldentistry.hatenablog.com

 

今回は、3Dプリント自体の速度をさらに追求してみます。

よろしくお願いします。

 

3Dプリントの速度とは

3Dプリンターでよく比較対象に挙げられるのは、その精度についてだと思います。

 

50μmで出力して、それなりに精度の高いレジンを使用することで、

最新の3Dプリンターであればほぼ全ての機種で精度については問題ないレベルにきていると思っています。

むしろプリント時のスライサー設定、すなわち重合のしすぎやサポート形態の付与の不良など

プリンター本体とは別のところで精度が下がることがあるように思っています。

 

精度が高い歯科用プリンター!とうたっていても、100μmで出力している速度が広告されていたり、咬合面にびっちりとサポートが立てられていたりと

使用方法に問題があると、せっかくのプリンターを活かせないこともあるかもしれません。

 

 

さて、速度についてですが、3Dプリンターは光照射を行なったのちにプラットフォーム面が上下に動くことで積層出力されていきます。

すなわち、3Dプリントの速度は・・・

 

・1回あたりの光照射時間

・プラットフォームの移動速度

 

これによって決まってきます。

 

それぞれ、速度を決定する因子としては

・1回あたりの光照射時間→短時間で固まってくれるレジンを使用する

・プラットフォームの移動速度→高速で駆動させてもトラブルの起きない機器を使用する

ざっくりと言うとこういうことになりそうです。

 

なんとなく短時間で硬化可能なレジン、というのはイメージしやすいですが

プラットフォームの移動速度と言うのは際限なく高速に設定すれば良いように思ってしまいます。

 

ですが、駆動が高速過ぎると、FEPフィルムから硬化したレジンを剥がす際に

プラットフォームから脱落してしまうため、特に粘稠度の高いレジンはゆっくりと移動させないといけません。(ネバネバのレジンだと高速で動くと上手く流れない)

つまり高速で駆動させても良いかどうかは、フィルムからの剥離抵抗とレジン粘稠度により

決定するものと考えられると思います。

 

ちょっとマニアな話かもしれませんが、なんとなく頭に入れておきましょう。

 

3Dプリント速度を高速にする

以上を踏まえてプリント速度を高速にしようとすると、機器本体の方では剥離抵抗を減らす

必要が出てきます。

この時に必要になるのは、剥離しやすいフィルムを使用することと、

プラットフォームの大きさを小さくして剥離抵抗を下げることです。

 

プラットフォームを意図的に小さくすることは歯科用途のモデルでも工夫がなされています。

この界隈で有名なファーガソン先生のミニプレートや↓

 

個人的に今とても興味のあるACKURETTAのSOLと言うプリンターにおいて

↑この写真のように、プラットフォームの大きさが複数販売されています。

 

ACKURETTAのサイトにはこれについても詳しく記載があり、

同じレジンバット内でもプラットフォームを小さくすれば速度を上げられることを

わかりやすく画像で示してくれています。

 

プラットフォームを小さくすること、剥離するフィルムを良いものにすることを考えると、

Elegooの新商品のElegoo Mars4 Ultraはベストチョイスな気がしています。

3D歯科 も2台並べてテストプリントを行なっていますが、

単純にプリントして模型を見たい!と言う内容においては高速でストレスが少ないです。

なにやらACFフィルムというものが良いそうで(詳しくありませんが)

剥離抵抗を減らしてくれることで高速駆動が可能になります。

 

 

 

 

模型レジンを高速仕様のものに変更する

さて、プラットフォームが大きすぎず、マシンとフィルムも高速駆動できるものを選択すれば

あとはレジンを高速仕様のものにすればOKです。

(次回以降にはさらに高速にすべく、プラットフォームをわざと小さくするアイディアを紹介します)

 

 

SK本舗の、11月中頃発売のSKファストライジングレジン(水洗い)です!

Mars4Ultraのような高速プリンターとの組み合わせで、粘稠度が低く照射時間が抑えられる

このレジンを使用すると従来の3〜4倍の速度でプリントできるようになるそうです。

 

精度は多分、普通のレジンや、もちろん歯科専用模型レジンなどに劣るのだと思いますが

急ぎで形態確認をしたい、早くプリンターを空けて次のプリントを行いたい、

というニーズにマッチすると思っています。

早速 3D歯科 も、たくさん注文し使用予定です。

テストできたら模型がどのくらいの速度と精度でプリントできたかシェアさせていただきます

 

 

まとめ

今回は口腔内にセットするようなものではない、

形態確認用などの研究模型用レジンについて高速出力するためのアイディアをお話ししました。

 

次回は高速なプリンターをさらに高速化するためのプラットフォーム小型化と

その効果についてお話しさせていただく予定です。

 

プリンターの進化でついにインハウス・ワンデイでも3Dプリントクラウンが

行えるようになってきているようです。

もちろんCAD操作も、出力後の後処理やプリントミスへの対応など

色々と考える必要はありますが、3Dプリンターの進化は早く、

とても将来が楽しみです。

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを

少しずつ更新していきます。

 

note.com

↑こちらでも不定期に動画付きのデータを更新しています。

 

よろしければ見ていただけると嬉しいです。

 

先生がたの臨床に少しでもお役に立てていただければ嬉しいです。

今後とも 3D歯科 をよろしくお願いします。