3D歯科 のデジタル歯医者入門

最小限の費用と努力で最大限の恩恵を受ける歯科デジタル活用術

このブログで紹介されるリンクの一部はアフィリエイト広告を含みます。 リンク先での購入者に方には影響はありませんが、ブログ運営者に広告収益が入ります。

3Dプリントの速度を追求する②クラウンを高速で出力する

こんにちは。

3D歯科 です。

 

前回は3Dプリント模型を高速で出力するための工夫について紹介しました。

digitaldentistry.hatenablog.com

 

今回は補綴用のクラウンを高速で出力するための方法を考えます。

よろしくお願いします。

 

クラウン出力にかかる時間

前回にもお話ししましたが、3Dプリントの出力時間は

レジンの硬化時間(レジン自体の性能)と粘稠度

3Dプリンターの駆動可能速度(フィルム部分の性能と

などによって変化します。

 

模型用レジンや3Dプリンターメーカーの汎用レジンと違い

クラウン用レジンはフィラーが入っている影響かわかりませんが

非常に粘稠度が高く、流動性が低いドロドロのレジンです。

 

レジンの種類によって1レイヤーあたりの照射時間が模型レジンの2〜3倍かかるほか

ドロドロ状態では1レイヤー照射した後にドロドロレジンがプラットフォーム下に

回り込んで次のレイヤーを照射できるようになるまで時間がかかります。

 

そのためメーカー各種はプリンターの照射強度を上げたり純正レジンを改良して

プリント時間の高速化に取り組んでいます。

 

歯科用プリンターの高速モデル

さて、歯科用プリンターの高速モデルの出力時間はどの程度でしょうか。

 

今までのプリンターは、およそですがクラウン出力が60分、早い設定で40分程度

これでも早めの出力時間でした。

 

最近では3Dプリントクラウンのワンデイトリートメントが海外では取り組まれているようです。

 

例えば・・・

DentFabのSagaというモデル。

これはクラウンがなんと10分から15分で出力できるということです。

ですが$8000です。

国内代理店も、情報もほとんどありません。

 

次にSprintRayの95ProSです。

これは15〜20分でクラウン生成できるようです。

レジン自体もSprintRayは優れたレジンをどんどん発表しており魅力です。

会社としての資金力や将来性もよさそうで、なんとなくSprintRayは

今後の歯科用プリント業界を席巻しそうに感じています。

ですが$9000。もちろん高額ミリングマシンと比較すれば低コストですが

円安のことを考えると150万円近く。ちょっと考えてしまいます。

 

 

あとはACKURETTAのSOLです。

国内代理店は内容ですが、直販されている?ようで688,400円と出ています。

国内でも販売されているDentiqの後継モデルの扱いです。

特徴としてプラットフォームサイズが複数あり、小さなクラウン用を選択すれば

やはりクラウン1本15分でプリントできるようです。

 

さらに周辺機器との連携・後処理の効率化がされているようで

メーカーサイトにも60分以内でクラウン治療を終わらせよう!という触れ込みがあります。

 

なるほど、ポストキュアなども時間短縮できるモデルは便利ですね。

 

あとは国内代理店を通して購入でき、薬事認可のおりたプリンターで高速なものは

Ciで販売しているこちらでしょうか。

OnDemand3D 4Kプリンターです。

あまりに情報が少ないのですが・・・(おそらくDHプリントを)クラウン16分というのは

非常に魅力です。トータルで洗浄、ポストキュア機器まで付属して78万円。

 

もちろん高額なのですが、3Dプリント自体をスタッフに任せたりするのであれば

洗浄後処理がシステムになっていたりサポートを受けられる環境の方がいいかもしれません。

CYBERMED自体は韓国の会社で、ソフト系では昔から有名な会社のようです。

LCDなので汎用プリンターと同様に、液晶の経年劣化と交換が早めに必要かもしれません。

 

手元の3Dプリンターを高速化する

さて、追加投資を抑えて手元の機器をフル活用することを考えます。

前回にも紹介した↓のようなモデルもあります。

使用のプリンターがPhrozenのSonic Miniシリーズでしたらこれを購入するだけで

プリント速度が高速化されます。しかしプリンター本体と同じくらいの価格です。

 

つまり同様の発想で、手元のプリンターのプラットフォームを小さくし、

照射設定を高速化すればクラウンレジンも素早く出力できるようになります。

 

使用するのはこちらです。

 

 

 


Sovol 樹脂磁気フレキシブル鋼板 フレックスベッドフィット 磁気 軟鋼板 スチールプラットフォーム 磁気ベース付きばね鋼板 樹脂フレキシブルスチールビルドプレート 樹脂ビルドプレート+マグネットシート Saturn Voxelab Proxima 8.9’ 4K Flashforge Foto 8.9 3D プリンターに適用

 


スペアパーツとしてプラットフォームを持っていれば、2300円以下の投資です。

やり方はプラットフォームにマグネットシートを貼り付け、

中央に1mmのスチール板を磁石でくっつけます。

模型など大きなものを出力したければ薄いスチールプレートを貼り付ければ

いつも通り大きくプラットフォームを使用できます。

 

注意点!

とにかく注意としては、再度のレベリングが必須ということです。

レベリングなしにそのままプリントするとマグネットシートとスチール1mmの厚みにより

LCDディスプレイが圧迫され破損の可能性があります。

自己責任でトライしてみてください。

 

低価格ミニプレートの性能

この工夫によりどのくらいクラウンレジンが高速化されるでしょうか。

 

大臼歯部はTEK用のクラウン20分です!

 

 

上顎の前歯は27分でした。

 

 

何度かテストをして設定を煮詰めていますが、

さらに駆動時間を速くするとプラットフォームや初期層からの剥がれが起き、

なかなか20分を切れません・・・

19分半くらいが現在の最速記録です。

 

まとめ

今回はクラウンレジンの高速化を研究しました。

低コストで取り入れられ、お時間があればテストしてみてはいかがでしょうか。

 

もっと安定して、パーマネントクラウンレジンが高速出力できるようになれば

ワンデイトリートメントを3Dプリントで行うようにできると思います。

国内で認可の取れたパーマネントクラウンレジンが登場することを楽しみにしています。

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを

少しずつ更新していきます。

 

note.com

↑こちらでも不定期に動画付きのデータを更新しています。

 

よろしければ見ていただけると嬉しいです。

 

先生がたの臨床に少しでもお役に立てていただければ嬉しいです。

今後とも 3D歯科 をよろしくお願いします。