3D歯科 のデジタル歯医者入門

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3Dプリントの速度を追求する③3Dプリント後の後処理・最終重合を考える

こんにちは。

3D歯科 です。

 

前回はクラウン用レジンを高速出力するためにミニプレートを利用できる工夫を

紹介いたしました。理論上レベリングできるどんな機器にも活用できると思います。

digitaldentistry.hatenablog.com

 

今回は、3Dプリントが終了した後の「後処理」について考えます。

よろしくお願いします。

 

3Dプリンティング後の必要な処理

さて、光重合の3Dプリントを行なっている先生はお分かりかと思いますが、

プリントした後にもさまざまな後処理が必要になります。

 

  1. プリントした出力物をプラットフォームから剥がす
  2. 出力物についたサポート(プラモのランナーみたいなもの)を外す
  3. アルコールや水で洗浄する(レジンの種類による)
  4. 最終重合をして完全硬化させる

以上です。

 

1については慣れと初期層重合時間を長くしすぎないことで簡単になります。

2はスライサーソフトで必要最小限のサポートの数、太さを付与すればOKです。

3は結構面倒なところです。水洗いレジンならまだマシですが、比較的時間がかかります。

4は未重合層をなくし、出力物のペタペタ感を減らしレジンの安全性も高めます。

 

今回はこのうちの3、4について特に考えてみます。

 

出力後の洗浄について

レジンによって洗浄方法は変わりますが、

基本はアルコール洗いです。模型用などの水洗いレジンの場合は水道水で洗浄できます。

 

水洗いの場合、地方によって処理水の廃棄方法は違うそうですが

確実かと思うのはバケツの中で洗浄、優しく歯ブラシしてしっかり清掃し

廃水は光重合機器か日光に晒して濾してから下水に流す、濾したものは燃えるゴミ、です。

 

アルコール洗いの場合はIPAイソプロピルアルコール)での洗浄が推奨かもしれませんが

IPAはとても危険・有害な物質です。

20度以下で引火し、気化し、火災や健康被害の原因になる可能性があります。

 

そのため、このような無水エタノールを使用するほか、

 

個人的には消毒用のエタノールも問題なく使用できると思っています。

ただしアルコール%はレジンによって消毒用のものでは濃度?が不足するかもしれません。

ベタ付きが残るようであれば変更しましょう。

 

あとはアルコール洗浄する際には3Dプリンター用の洗浄機もありますが、

ホビー用のものでは洗浄力不足なようで、クラウン内面のレジンがうまく流せませんでした。

個人的には超音波洗浄機にガラスのビーカーを入れて蓋して洗浄しています。

オススメは温度管理機能のついたものです。

超音波洗浄オフで温度管理のみできるものであれば、冬場にレジンボトルを突っ込んで

そのままレジンを30度くらいに温めてから使用することもできます。

昔はアルコール洗浄を10分以上行っていましたが、どうやらアルコール濃度が高いもので

長時間洗浄し続けるとレジンが劣化してしまうようです。

アルコール洗浄は大きさや構造により10分以下、5分程度でOKではないかと思います。

レジンに指定があればそれに従いましょう。

 

最終重合について

さて洗浄が終われば4の最終重合して完全硬化させます。

 

3D歯科 は初め医院にあったモリタのアルファライトを使用していましたが

LEDの重合器の方が低価格でも効果が速く、ペタつきもなくなります。消費電力も少ないです。

 

しばらくの間はelegooのmercuryの初期型を使用していました。

1年ほどフル使用していると故障したのでElegoo Mercury Plusを購入してみましたが

LEDが後方一部分にしかないためか、歯列模型が15分ほど重合時間を置いても

ペタペタ感が取れず、かなり時間をかけないと完全重合できませんでした。

 

そこで最近、 3D歯科 の装備に加わったのがこちらの重合器です。

 

 

3Dプリンター本体ほどの大きさがあり場所的にはかさばりますが、

アルファライトやMercuryシリーズと比較して非常に高速で重合できます。

 

メーカー自体も水中での重合を推奨?しているようですが

LED強度がとても強力なようで水中やグリセリン浸漬下でも強力に重合します。

 

ちなみにLED強度はHigh、Mid、Lowから選べますが、

強度が強すぎるのかLow以外だとレジンが焼けたように変色してしまいます。

 

例えばHigh3分でレジン表面は綺麗になりますが・・・

↓ 左が照射前、右が照射後。

 

他の模型は濃い色なら写真でわかりにくかったですが、

確かに日焼けのような変色をします。

 

現在のところ一番いい設定が見つかっていませんが、

とりあえずLowの3分で運用しています。(1分でも模型なら十分かも)


これにより、例えば前回に記載したような

クラウン3Dプリント:20分

超音波とアルコールで洗浄:5分

最終重合:3分?

合計28分(約30分)

 

・・・と、当日のクラウンセットも可能な速度で現時点でもプリントできるようになりました。

 

まとめ

3Dプリンター各社は、プリンター本体だけではなく

洗浄や重合までをシステム化するような動きがあります。

 

PrimePrintなどはその最たるものですが、やはり高額・大型になります。

他のメーカーでは3台の機器でシステム化(プリント・洗浄・重合)しているものもあります。

 

どの状態で安全に完全重合されたかは、クラウンや模型の厚みによっても変化しそうなので

なかなか難しいところではありますが、きっともっと安全で後処理の楽な生体親和性レジンが

市販されるのも近い将来であるのではないでしょうか。

 

まずは模型レジンなどでは石膏模型と比較しても随分速く模型が完成できるようになりました。

後処理も楽になり、3Dプリントは年々、院内に取り入れやすくなっているように感じます。

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを

少しずつ更新していきます。

 

note.com

↑こちらでも不定期に動画付きのデータを更新しています。

 

よろしければ見ていただけると嬉しいです。

 

先生がたの臨床に少しでもお役に立てていただければ嬉しいです。

今後とも 3D歯科 をよろしくお願いします。