3D歯科 のデジタル歯医者入門

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無料ソフトで作成する3Dプリントデンチャーについて①デジタルを活用した義歯製作アプローチについて

こんにちは。

3D歯科 です。

 

前回は3Dプリンターの出力ミスと対応についてお話ししました。

digitaldentistry.hatenablog.com

 

今回より、3DプリンターとMedit Design、B4D(Blender for Dental)を用いた

総義歯臨床についてお話しします。

よろしくお願いします。

 

CADで義歯作成する意義について

総義歯を作成する際には多くのステップ、作業工程を必要とします。

クラウン補綴やダイレクトボンディングなど、その他の処置も同じですが

このステップ1つでも狂いが出ると、他の工程を丁寧に行ってもミスが出ます。

 

総義歯臨床では、特に義歯製作について模型が失われますので

完成でミスが起きてしまった際に、咬合採得・マウントが悪かったのか、

重合から作成で変形が起きたのか、原因が特定しづらいように思っています。

 

特に保険診療にて、旧義歯があり排列試適を省いた際などには

お恥ずかしながら自分がどこでミスをしたのか、あるいは

技工サイドでのマウントのずれ、重合までのミスや変形があったのか

模型もマウント状態も失われていると検証のしようがありません。

 

そのため、もしもCAD操作で各ステップをこなしていくことができれば

CADデータには途中経過も全て保存しておくことができ、

もしもミスが起きたらその時点に戻って検証、やり直すことができます。

 

3D歯科 も義歯はとても好きなのですが、まだまだ諸先輩方のように

自由自在に咬合や吸着を作ることはできていません。

ただCADやデジタルの力を借りると、自分がどこでミスをしているのか

ミスをどのように対応していけばいいかなど、検証から学ぶこともできます。

 

患者さんにも大きなメリットがあります。

CADでの義歯でよく言われていますが、患者さんは義歯を破損、無くしても

電話一本入れてもらえれば医院で義歯の再製作を行えます。

現状3Dプリントには数時間を要しますが、それでも紛失後に

新製するのとは大違いですし、形態も完全に同一のものを作成できます。

 

また、難症例に対応する際に排列試適やフラットテーブルの義歯を作るかもしれませんが

テンポラリーデンチャーとして3Dプリントで簡便に患者さんにお渡しし

実際に使ってみて感想を聞くこともできます。

 

デジタルを活用した義歯製作アプローチ

さて、デジタルで義歯作成を行う際には、アナログと同様に

印象面と、咬合採得が必要です。

 

例えばアナログの印象をとって模型にし、咬合床作成まで通法通りとし、

咬合採得後からスキャンを活用してCADで製作を行うこともできます。

 

もしくは旧義歯があればコピーデンチャーを3Dプリントし、

それを用いて咬座印象や試適を行うことも可能です。

旧義歯の形態を変えないならこの方が従来法よりも簡便です。

 

口腔内スキャナーで直接粘膜情報を取得し、印象材なしで義歯製作することも可能です。

 

このように、採得するのは印象面、咬合採得ですが、

それを得るためにはいくつものアプローチや組み合わせがあります。

 

 

この印象、咬合が得られた後は、CAD操作に移ります。

粘膜面上に義歯床を作成、そこにCADでの人工歯を繋いでいきます。

総義歯の場合、行っている内容は大まかにはこれだけです。

 

スプリント作成と同様に印象スキャンの上に基礎床を乗せ、

人工歯配列を行うところだけ厚みを増やします。

そこに人工歯データをのせ、周りに歯肉をまとわりつかせて完成させます。

もし義歯床と人工歯を分けて出力するとしたら、

ブーリアンオペレーションで義歯床を切り欠きます。

 

3Dプリント総義歯を作成するために必要なものについて

準備するものですが、もちろんソフトウェアが必要です。

 

義歯製作専用モジュールももちろん販売されています。

exocadのアドオンとして、また単体で動く義歯専用のexocadもあります。

他社でもモジュール追加として義歯専用ソフトがあるようです。

 

ただし、 3D歯科 が見聞きした中では、それらのソフトは50~70万円ほどするようです。

仮に総義歯症例の技工料を1万円とすると、50~70床分となります。

上下総義歯の患者さん30人分程度となります。

医院によっては数年分の義歯を賄えるかもしれません。

 

通常の歯科医院が導入するにはハードルが高いでしょう。

数年経ったらCAD技工を取り巻く環境も大きく変化しているはずです。

 

そのため、低価格な義歯専用ソフト、あるいは無料ソフトを使用して作成を試みます。

 

まずはB4D(Blender for dental)です。

現在のところ$599で販売されています。

ただし義歯専用ソフトですが、Model Designer他いくつかのアドオンが別に必要です。

B4D自体、低価格なシェアウェアですが、だんだんとモジュールを増やすと

10万円を超えるようになってしまいました。

 

B4Dの義歯モジュールが発売されたのが最近ですので、

3Dプリント義歯製作が必要になった際には、無料ソフトを駆使して作成していました。

3D歯科 はB4Dの義歯モジュールを購入してはいますが、まだ研究中で

使いこなせてはおりません。

 

 

義歯の3Dプリントは今のところ数症例経験しましたが、

B4Dのデンチャーモジュール発売前だったので、

無料ソフトのMedit Link, Medit Designを使用しました。

 

義歯は構造が単純ですので、CAD操作もそこまで複雑ではありません。

アナログ技工の方がよほど複雑ではないでしょうか。

 

長くなってしまいましたので、次回から使用する材料やMedit Designでどのように作成するか

簡単に紹介しようと思います。

 

まとめ

今回は、デジタルで作成する3Dプリントデンチャーのアプローチをお伝えしました。

B4D義歯モジュールについても、使いこなせてから使用方法などを紹介したいと思います。

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを

少しずつ更新していきます。

 

note.com

↑こちらでも不定期に動画付きのデータを更新しています。

よろしければ見ていただけると嬉しいです。

 

先生がたの臨床に少しでもお役に立てていただければ嬉しいです。

今後とも 3D歯科 をよろしくお願いします。