3D歯科 のデジタル歯医者入門

最小限の費用と努力で最大限の恩恵を受ける歯科デジタル活用術

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院内完結・インハウスアライナーについて考える

こんにちは。

3D歯科 です。

 

前回はMedit Linkのアップデートで Windows環境のスキャンが爆速になったことをお話ししました。

digitaldentistry.hatenablog.com

 

今回は、マウスピース矯正について、各種ブランドのアライナー外注システムを使用せず

院内完結(インハウスで)アライナーを製作することについて考察してみます。

よろしくお願いします。

 

アライナー矯正で使用するマウスピースについて

アライナー矯正をよくある方法で行おうとすると、

アライナー(ハードのマウスピース)を片顎20〜50枚ほど使用します。

 

つまり上下で40枚から100枚のアライナーが必要になることが多いです。

 

インビザラインやクリアコレクト、アライナー矯正ブランドはたくさん存在します。

治療前のデータと治療計画を送信することで、この何十枚ものマウスピースを

各種ブランドが製作し、配送してくれます。

 

このアライナー作成用シート、通常のものではなく3層構造などのプラスチックシートを

使用しているマウスピース矯正ブランドが多いです。

なかなかこのようなシートは、アライナー矯正ブランドから購入しないと手に入りにくかったですが

最近では、例えばFeedでも3層アライナーシートが入手できます。

 

簡単に原価計算・・・

仮に矯正期間中に50枚のシートを使用するとした場合、

アライナー作成中のカットミス?なども含めてざっくり計算すると

Feedの場合1枚100円とすると、5,000円でアライナーシートは購入できます。

 

次にアライナー作成のための3Dプリント模型ですが、

仮にこのようなもので作成したとすると・・・

(もちろん非医療用のため自己責任・元々アライナーは薬機法適応外)

 

模型1個は50円から100円ほど。

50個で2,500円〜5,000円。

ミスなども含めてわかりやすく多めに5,000円としましょう。

 

合計で材料費は10,000円になります。

 

次に作成のための人件費です。

治療計画・セットアップ作成の手間はアライナーブランドに外注するのと同じですので

ここについてはアライナー外注と差額0円と考えてみます。

 

アライナー模型をChituboxで設定するのが模型1つで1分、模型洗浄など後処理で

1個当たり4分必要と考えてみましょう。合計で模型製作は5分必要です。

 

次に模型にアライナーシートをプレスし、切り出して研磨するので少なくとも5分は

必要になると思います。

そのため、合算して製造工程はアライナー1枚で10分必要と考えてみます。

 

50枚のアライナーで500分必要、およそ8時間半と考えてみましょう。

 

仮に時給2,000円のスタッフが作業にあたるとすると17,000円

やはり人件費の方が高額になります。

 

簡単な原価計算の結果をまとめると・・・

アライナー50枚、つまり上下25枚ずつ使用するとした場合、

必要なコストは27,000円となります。

 

ただし、模型代ですが歯科模型専用のレジンで製作するとおよそ10倍の値段がかかります。

すなわち合計72,000円。高額ですね。

 

インビザライン等ブランドがどのようなレジンを使用しているかはわかりませんが

補綴製作で使用するような歯科模型専用のレジンではないかもしれません(コストが見合わない)

 

 

ダイレクトプリントのアライナーの場合

さて、アライナー矯正の材料もどんどんと進化をしています。

最近のトピックとしてはアライナーを直接3Dプリントするというものがあります。

 

この場合、3Dプリンターにもよりますが、10〜20枚のアライナーを

同時に製作できるはずです。

今現在は韓国製のGraphyというものだけがダイレクトプリントに対応しているようです。

 

早速テストしてみようと海外歯科サイトにて注文しようとしてみましたが、

残念ながらサティフィケートを取らないと販売しないとのこと。

Ciあたりの韓国に強く資本のあるところが国内取引を独占してしまいそうですね。

個別販売せずCiのみが製作し、ブランドアライナーのように販売すれば

国内での今後のアライナー分野を抑えてしまえるかもしれません。

 

ちなみにコストとしてはアライナー1枚で400円ほど、上下1セットで800円。

プリント後処理も含めて1枚15分かかったとしても

アライナー1枚で900円。

アライナー50枚で45,000円です。

 

しかもプリントなら個別に厚みを変更できるので、アライナーセット後に

スプリントにように咬合を安定させてやることもできそうです。

 

韓国の1社以外もどんどん開発されるかもしれませんが、今後はアライナーも

3Dプリントが主流になりそうですね。

 

まとめ

このように、アライナーについては製作方法が完全外注から変化していく流れになりそうです。

そのほうが、海外からの配送でのトラブル(時々起こる・・・)や遅延リスクを抑えられます。

また国内での製作、自院製作でコストを抑えています、ということを患者さんへ訴求できれば

医院の競争力を向上させることもできるかもしれません。

 

ただし、今回の簡単な計算にはアライナー製作ソフトは含んでいません。

blueskyplanで自前で行った場合は数千円、Medit Orthoで作成すれば0円です。

blueskyplanは近い将来AIでのアライナー製作が導入されそうですし、

Medit Orthoは矯正のステージングさえ自由にできるようになれば

アライナー用の模型を作成することは簡単にできそうです。

(Medit Temporariesでクラウンを製作できるように、自己責任でOrthoでアライナー作れる)

 

 

 

 

 

3D歯科 としては、Medit、Bluesky、B4D(矯正開発中とのこと)のどれかで

アライナーインハウスを行おうと考えています。高額なソフトはなくてもうまく出来れば

また方法などを紹介させていただきます。

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを

少しずつ更新していきます。

 

note.com

↑こちらでも不定期に動画付きのデータを更新しています。

 

よろしければ見ていただけると嬉しいです。

 

先生がたの臨床に少しでもお役に立てていただければ嬉しいです。

今後とも 3D歯科 をよろしくお願いします。