こんにちは。
3D歯科 です。
前回は、口腔内スキャナーが保険導入されることが決定したので、
デジタル関連と、算定方法が大きく変化する項目について
2024年の保険改正についてまとめました。
digitaldentistry.hatenablog.com
今回は、口腔内スキャンを多用するようになった後の
データの保存・バックアップと、その活用についてお話しします。
よろしくお願いします。
データの保管とPC容量について
口腔内スキャナーを購入する際、基本的にはメーカー指定のPCと合わせて購入になることが
日本国内ではほとんどではないでしょうか。
このPCは定価ベースで40万円前後はする高額なものですが、
1年も使用しない間にPCのストレージがいっぱいになっている先生も多いのではないでしょうか。
もちろんですが、容量がいっぱいになったので新しいPCを購入するような必要はありません。
(Apple製品や昔のPCでHDDがいっぱいになったら買い替え、などと言う人が身近にいますので・・・)
おおよそPCの内部ストレージが500~1000GBだと、
1症例のスキャンが1GBくらいになることもありますので、
500~1000症例でPCがいっぱいになるはずです。
例えPCの内部ストレージが大きくても、口腔内スキャンをしているといっぱいになるのは
時間の問題になってしまいます。
バックアップすべきファイルについて
3D歯科 は現在、PrimeScan、Medit i700、Aoralscan3を所有していますが
PrimeScan以外の機種はデフォルトでクラウドストレージを持っています。
Meditはなんと10TB(=10,000GB)のクラウドストレージが月額$1で使用できます。
しかもどのようなデータも症例ごとに保存が可能です(CTや顔貌写真データなど)。
Aoralscan3はクラウドストレージが無制限(2024年2月現在)ですが、本体でスキャンした症例に限られます。
その他のデータも添付できますが、Meditのように何でもいつでもインポートできるわけではありません。
Primescanもシロナのクラウドサービスが開始されましたが、Meditのクラウドよりも劣るようですし価格も高くあまりパッとしません。
ただグーグルのストレージを利用しているようで、Medit・SHININGの韓国・中国などの
海外クラウドストレージにてトラブルが起こるリスクを心配されている先生にはいいのかもしれません。
さて、このようなクラウドストレージでも基本的に保存すべきはSTL(PLY)のデータです。
これであれば20~30MBで上下顎のデータを保存できます。
ですがスキャン直後の状態は、RAWデータと呼ばれる情報・容量の大きなデータになります。
これを変換してSTLやPLYデータを得ている、と言う形になっています。
デジタル一眼レフなどの、写真撮影時のRAWデータと、変換後のJPEGと同様の関係です。
そのため、最低限STL(PLY)データはバックアップし、
可能であればRAWデータを保存しましょう、と言うのがバックアップの基本になります。
Meditは(SHININGも?)RAWデータは一定期間後にクラウドストレージから削除されます。
つまり過去データからスキャンを続けるような用途で使用したければ
手元で自分でRAWデータを保存しておくのがいいかもしれません。
(Meditは過去のSTLをスキャンに読み込み、そこに続けてスキャンも可能です。ただし穴埋めや歯肉部分の処理を行ったSTLは厳密には元のRAWデータとは違っています。)
バックアップ方法について
さて、実際のバックアップ方法については、他のPCのデータと同様にHDDに保存しています。
Meditですと.ioscデータですが、同様に他のスキャナーでもスキャンの元データが保存されています。
患者番号や患者データとスキャンデータの紐つけができないと困るので、スキャン後のデータをそのままHDDにまるっと保存してバックアップしています。
バックアップは1ヶ月ごとに自分で行なっています。
それと別に、数時間ごとにスキャナーから離れたところに自動でNASに保存、そのデータはNAS接続のHDDにミラーリングされるようにしています。
つまり3ヶ所でのバックアップをおこなっています。
ただし、現在ではMeditLinkとSHININGのクラウド以外で、いわゆるクラウドサービスではバックアップを取ってはいません。
3D歯科 も四国在住のため、可能性のある震災や診療所の火事などのリスクを考えると
さらに別なクラウドサービスにバックアップを取ってもいいかもしれません。
STLデータだけであれば30MBで上下データ(1症例)。
100症例で3GB。これを考えるとクラウドサービスも現実的かもしれません。
院内で保存したデータを活用する
ここまで頑張ってバックアップをして全症例のデータを保管するのは理由があります。
患者さんが再来院した際に、治療前データとして使用できること。
また、治療の履歴(証拠)を残して後で振り返れるようにすることです。
3D歯科 の手元のスキャナー3つにおける
過去データ利用の方法は以下の通りです。
・PrimeScan
- 過去データを呼び出します
- 過去データを別名で保存、症例自体をコピーします
- 重ねてスキャンしたい部分をカットして追加スキャン
・Medit i700
- 過去データをケースごとコピーします
- 重ねたい部分をカットor施術前データを作成して重ねてスキャン
場合により直接、過去のSTLを読み込んで重ねてスキャンも可能です!
・SHINING3D Aoralscan3
- 過去データをケースごとコピーします
- 重ねてスキャンしたい部分をカットして追加スキャン
ただし注意事項があります!現在のソフトウェアバージョンでは、
キャリブレーションを行うと、キャリブレーション前のデータには
重ねての追加スキャンができません!
ソフトの更新でできるようになってくれるといいのですが・・・
活用例としては・・・
- 矯正治療で治療前後を比較する
- 形成前の歯冠形態を過去データから再現する
- 過去データのバイト情報を流用する
- 過去のデータから義歯を作成する
このように、その患者さんごとのアーカイブさえあれば、
ちょっとイメージしただけでどんなことでも可能です。
理想は、支台歯形成したところだけ追加スキャンして
過去データからバイト、補綴形態、義歯形態を呼び出し、
常に治療前の歯列に戻せるようにできることです。
まとめ
今回は過去データの使用についてお話ししました。
過去データは資産ですので、なるべく早くデータベースを作成することをお勧めします。
レントゲンのデジタル化で過去データと比較するように、
過去の口腔内スキャンデータが将来の治療に役立てられることは間違いありません。
今回の内容は以上になります。
長い文章でしたが最後までお読みいただき、
ありがとうございました。
3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを
少しずつ更新していきます。
↑こちらでも不定期に動画付きのデータを更新しています。
よろしければ見ていただけると嬉しいです。
先生がたの臨床に少しでもお役に立てていただければ嬉しいです。
今後とも 3D歯科 をよろしくお願いします。