3D歯科 のデジタル歯医者入門

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無歯顎の粘膜をIOSで最終印象スキャンする②バイトスキャンの手法〜Medit Splintsを活用して〜

こんにちは。

3D歯科 です。

 

前回は粘膜スキャンを最終印象にするためのポイントをお話ししました。

digitaldentistry.hatenablog.com

 

この上の写真にあります下顎無歯顎用のオリジナル圧排子(トングと呼んでます)は

noteの方でもSTLデータを共有しました。3Dプリントしてお使いください。

(追記・noteのアップロードエラーで当記事公開時にダウンロード不可になっておりました。

記事購読いただいた皆さんにはご迷惑をおかけいたしました。現在DL可能です。)

note.com

 

 

さて、今回は粘膜スキャン後のバイトスキャンの手法を考えてみます。

よろしくお願いします。

 

粘膜スキャン同士をバイトマッチングさせるために

上下のフルデンチャーを製作すると仮定して、

粘膜同士の位置関係を記録するためには、やはり何か噛めるものを介在させる必要があります。

 

本当は旧義歯があれば、義歯のスキャンを行い口腔内スキャナーのバイトマッチングに使用するのが一番楽になります。

 

MeditやSHINING3D(SHININGは公式に義歯モードが入るのは6月予定)で

義歯製作モードを選択し、バイトを旧義歯でスキャンする設定にすれば

調子のいい義歯で咬合スキャンを(歯牙と同様に)とることで粘膜をマッチングさせてくれます。

 

また、義歯の咬合状態が悪く変更しないといけない時でも、例えばワックスバイトを

義歯咬合面上においてそっと噛ませることで、旧義歯を咬合床として活用できます。

 

旧義歯も何もない場合は、通法のような流れで咬合床を作成して次回来院でバイトを取るか、

セントリックトレーのようなものを用いて簡易咬合採得を行い、

上顎を平面板を参考に排列、下顎はフラットテーブル状にトライインデンチャーを作れば

トライインを使用しながら精密咬合採得を行うことが可能です。

 

咬合床をデジタル・アナログ併用して作成する

バイトを取るために直感的な方法は、慣れた咬合床を使用する手法かもしれません。

ですがアナログ印象なしでせっかく口腔内スキャンで最終印象をとったのに

ここから咬合床を作るために模型をおこすのは面倒です。

 

そこで、Splintアプリを使用します。

Medit Splintsや、SHINING3D使用の方はCreSplintもいい感じで基礎床を作成できます。

Medit Splintsは設定にコツがあり、CreSplintはスキャンデータによりエラーが出ることもあります。

 

ここではMedit Splintsで解説してみます。

 

Splintのタイプはなんでも構いませんが、試しにフラットテーブルタイプで作ってみましょう。

 

アンダーカットはAIにお任せして、マージンラインは手で引いていきます。

天然歯ならマージンもAI任せでOKですが、何せ今回は無歯顎です。

流石にここはまだ自動ではダメです。

 

さて、ポイントがあります。

2層スプリント機能をオンにし、厚みは2m m以上にします。

 

さてできました!

いわゆる顎堤の模型がなくても、口腔内に恐ろしい精度でFITする基礎床の出来上がりです!

 

そこにこのような既成のバイトリムワックスをくっつけてあげれば、

吸着の得られるような安定する基礎床で作った咬合床の出来上がりです!

150個入って3500円!ワックスを折りたたんで作る時間を考えるとおすすめです。

 

咬合床を使用して咬合採得を行えば、それをスキャンしてバイトのマッチングが可能です。

口腔粘膜スキャンから使用した基礎床であれば、本印象である元の粘膜データには

簡単に自動マッチングします。

 

ちなみにMedit Splintsの仕様で、インナーサーフェス(同じ厚みで作れる基礎床部分)は

1m mまでの厚みになります。

エラーが出なければSHINING3DのCreSplintは厚みが任意に決められるのでここに関しては優れています。

 

ですが、ピンときた方もいるかもしれません、そうです。これを使用、応用すると

最終義歯の製作がとても楽に行うことができます。

この辺りに関してはまた時間を見つけてnoteの方にも更新していければと思っています。

 

セントリックトレーのようなものも3Dプリントで活用する

セントリックトレーは購入できますし、GCにも同様の国産の製品があります。

GCといえば、ようやく国産(?)IOSが登場するのですね!

 

ですがせっかく3Dプリンターがあれば、データからプリントしてみました。

こちらの使用はnoteでも解説しております。

 

 

こちらのシステムはMODの公開しているものでセントリックトレー用の部分に

咬合平面板を連結して使用できます。

 

シリコンパテはざっくりと上下顎をとり、マッチングポイントさえ

粘膜スキャンと一致すれば上下粘膜データがバイト採得できたことになります。

 

まとめ

今回は、無歯顎を粘膜スキャンで最終印象にしたフルデンチャー製作時に悩ましい

バイトスキャンの手法についてお話ししました。

 

前回のような粘膜スキャン、今回の咬合スキャンで義歯を作成するためのデータが完成し

あとはCADソフト(DenTruは無料!)等で加工すればフルデンチャーが出来上がります。

 

もちろん臨床の義歯全てを自院で3Dプリントする必要はないのでしょうが、

これから義歯に携わる技工士さんが減少し、 3D歯科 のように田舎で開業している

医院は義歯セットまでの中日数もどんどん伸びるかもしれません。

 

そのような中で、自院でトライインデンチャー、テンポラリーデンチャーまで製作できれば

患者さんが義歯をなくした際など、患者さんの困った!に即応できて有効だと思います。

 

 

そうそう、Medit Appsの更新が今日ありました。

Medit Margin LinesとMedit Crown Fitです。

きのう夜遅くにCrown Fitでエラーが出ていたのはこのためか・・・

 

Medit Crown FitはClinicCADデータを自動で読み込んでくれるようになりちょっぴり快適になりました。

MarginLinesはClinicCADのインレーマージン自動認識と同等の性能にアップデートされたようです。

ただし 3D歯科 の拙い形成ではインレーはAIで認識できていません。。。

しかしこの辺りもビッグデータが集まればAIがなんとかしてくれると期待しています。

 

MeditはいよいよClinicCADを正式リリースするのに向けて準備しているように思います。

i900の発表、Crown CADの機能周りのアップデート、目をひく新しいアプリは登場せず静かな現状(ClinicCADに注力している?)、MeditLinkアップデートでMeditAppsの「このプランなら無料」の記載の登場・・・

どのような形でClinicCADが完成版としてリリースされることになるのか、

楽しみにしています。

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを

少しずつ更新していきます。

 

note.com

↑こちらでも不定期に動画付きのデータを更新しています。

 

よろしければ見ていただけると嬉しいです。