3D歯科 のデジタル歯医者入門

最小限の費用と努力で最大限の恩恵を受ける歯科デジタル活用術

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結局のところ歯科専用3Dプリンターは汎用と何が違うのか

こんにちは。

3D歯科 です。

 

前回はAI活用のバイト修正サービス、Bite-Finderを簡単に検証してみました。

digitaldentistry.hatenablog.com

 

今回は、最近安価な選択肢も増えてきた歯科専用プリンターと

いわゆるElegooなどの汎用3Dプリンターで、何がどう違うのかについて考えてみます。

よろしくお願いします。

 

3Dプリンターとは

そもそもとして、3Dプリンターとはデジタルで製作した立体データを

プラモデルやフィギュアのように造形するためのものです。

 

プリンターとはいっても、紙のプリンターのようにデータを入力すると

まず間違いなく問題ない印刷結果が得られる、というものではありません。

 

プリンターに出力のための設定を細かく入力し、しかもそれがレジンごとに

正しい設定値でないと、まともに出力物が得られません。

 

数時間かけたプリント作業が結果、全くきれいに印刷できないこともありますし

最悪、機器自体が故障してしまうことも起こりえます。

 

ここまで書くと難しくて、手が出しにくいのようなものに感じるかもしれませんが

多くの3Dプリンターには純正のレジンが存在します。

純正レジンはメーカーそれぞれの設定 値が共有されますので

3Dプリントをするための設定を打ち込むスライサーと言うソフトに

その設定値を入力することで、基本的には問題なくプリントができます。

 

今の季節ではそれで問題ありませんが、光重合レジンは室温が低下すると流れが悪くなり

冬場気温が下がってしまうと、プリント自体がうまくいかなくなることもあります。

プリントするための設定値を守ること、機器を使用する室温の管理をうまく行うこと

この2つが3Dプリントを扱う上で重要になります。

 

3Dプリンターを歯科で活用する

口腔内スキャナを中心とした歯科のデジタル化により、補綴政策や治療の診断を

従来の石膏模型なしでモデルレスです。見ることが可能になりました。

 

それでも、手に取って触れる模型が欲しい場合や

スプリントやガイド、義歯やクラウンなど、 プリント自体で技工物を制作する場合には

歯科で積極的に3Dプリンターを用いることが増えてきました。

 

この時、目的に応じた3Dプリントレジンが多数販売されていますが

3Dプリンターの機器それぞれに、レジンごとの設定が異なります。

 

結論から言うと、その設定値さえわかってしまえば基本的には

どのようなプリンターであっても、歯科用リジンをプリントすることができると思います。

ただしその設定値は、かなり厳密に調整が必要であり、

プリント自体が成功したとしても、変形や強度が担保されるかなど

問題が多く起こることもあります。

 

そうした設定の調整のため、キャリブレーションデータのようなものも存在します。

Thingsverse等でも多数見つかりますが、例えばこういうものです。

わざとプリントが難しいものや、出力されたものの大きさをキャリパーなどで測って

レジンセッティングが正しいかどうかを判断することができます。

 

すなわち、使用したい新しいレジンが登場したときにも

所有する3Dプリンターでレジン設定のキャリブレーションを行うことにより

ほとんどすべてのレジンは、汎用の3Dプリンターでもプリントは可能です。

 

 

ただし、患者さん、口腔内に入れるようなものの場合、プリント自体が終わった後でも

安全に配慮した後処理が必要になります。

具体的には、アルコール度の洗浄と予備重合です。

 

これらの操作に使用する光重合機の強度や時間、洗浄するアルコールの温度設定や洗浄時間など、 プリントが終了した後にも悩むべきポイントはたくさんあります。

 

一部の歯科用のレジンは、汎用のプリンターでプリントする場合の

推奨設定をシェアしてくれています。

例えばKeySplint Softで有名なKeyprint社の製品などです。

 

後処理までやり方が記載されているレジンであれば安心して使用することができます。

ですが、クラウンやデンチャーのレジンなどについては、基本的には公表されておらず

純正プリンターでの使用に限って生体安全性が保たれる、と記載されているものもあります。

 

そのため歯科でプリンターを扱う場合には、汎用プリンターと歯科専用のものでは

(安心して)扱えるレジンの種類が差があり、

どのプリンターを選択するか、というよりも使用したいレジンが扱えるプリンターを購入する

という形になるかもしれません。

 

価格差と将来の保険適用

そうはいっても汎用と歯科専用プリンターの価格差はまだまだ大きいです。

歯科専用のものがどんどん低価格になっているとはいえ、比較的安価なものでも

30~50万円程度するのが2024年現在の相場でしょうか。

 

高価格帯のものは、プリンター本体だけど80から120万円程度の価格になります。

 

使用したいレジンに対応するプリンターを選びますが、将来に3Dプリントのフルデンチャーが保険適用になってくると

おそらくは、レジやプリンターを保険対応のものとして指定してくることも予想されます。

 

そのため、投資金額的に余裕があるのであれば、パラメーターや後処理も一貫して行えるプリンターを購入し、保険収載に備えると言うのも方法だと思います。

 

まとめ

今回は歯科専用プリンターの価格を超えたメリットを紹介しました。

そうは言っても初めて一台目の使用するのであれば、安価なものを購入して、たくさんミスをしてから高額な専用モデルを購入するのも方法だと思います。

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを

少しずつ更新していきます。

 

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