3D歯科 のデジタル歯医者入門

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下顎臼歯部顎堤を3Dプリントする際にModel Builderで工夫すること

こんにちは。

3D歯科 です。

 

前回はElegoo Mars 5 ultraについてレビューしました。

digitaldentistry.hatenablog.com

 

今回は、下顎無歯顎をIOSでスキャンした際に、

その後3Dプリンター模型を作成するとき、うまく処理できない問題に対応します。

 

よろしくお願いします。

 

下顎臼歯部顎堤のスキャニング

下顎臼歯のスキャニング、アナログ印象採得を行う際には

一部パッド付近の頬側の辺縁が内側へ巻き込むような形になることがあると思います。

 

これは、頬粘膜を大きく圧排してスキャンするため

どうしても後方頬側をスキャンする際には

下から上方向に見上げるようにスキャンする必要があるからです。

 

 

この部分については、サーフェスデータそのまま活用する場合にはいいのですが

スプリントモジュールや、使用CADソフトによってはアンダーカット埋めの必要があるため、

大事なパッド周囲のデータが損なわれる可能性があります。

 

 

 

Medit Model BuilderやAccuDesignで模型製作する際のエラー

さて、スキャンした後に3Dプリントで模型を製作するため、

Model BuilderやAccuDesignを活用します。

 

その際に、大体全てのソフトでサーフェスの底面を模型底面方向へ引き伸ばし

模型の土台として活用します。(Meshmixerで模型を作る方法と同様)

 

そのため、大幅なアンダーカットがあると土台を作る際に

辺縁データがエラーになり、一部が切り離されたり

そもそもエラーで進めなくなってしまいます。

 

模型製作の方向を変更する

エラーが出るのはこの辺りです。

 

模型の台つけを行う際に後縁がエラーが出ます。

 

そのため、模型製作の方向を可及的にアンダーカットがないように変更します。

この場合は、模型全体を下方向へ傾斜させます。

 

ベース作成時にアンダーカットマーク部分が先ほどよりも減少しました。

 

大体のケースはこれで対処できます。

完璧でないとはいえ、それなりに後縁形態は損なわれずに済みます。

 

Medit Designで模型の下処理を行う

さて、先の方法でも満足いかない場合などに

Medit Designでのthicken機能を用いて

下準備を行うことができます。

 

アナログでの石膏模型作りをイメージしていただくと

印象体のパッド付近後縁が石膏が巻き込むような形になりそうな場合、

そこに石膏の厚みを持たせて補強するようなことを行うと思います。

 

同様に、スキャンのサーフェスデータを先に厚みを持たせて台つけした形とし

それからModel Builderを用いることでさらに後方の形態を損なわずに模型にできます。

 

Medit Designから、編集→thickenを選択します。

1~2mmくらいは厚みを持たせて、厚ぼったい印象面とします。

 

ただし、模型製作ソフトによってはクローズドデータ(面ではなくデータ似た遺跡がある)

ではエラーが出ることも多いので、

厚みを持たせてから裏面を選択削除する一手間が必要なこともあります。↑

 

 

このように、模型辺縁を延長したような形態になります。

ここから模型製作を行うことで、後縁も損なわれずに3Dプリントまで進めることができます。

 

 

まとめ

今回は3Dプリント前に行う下準備のお話をしました。

(今回の記事は海外のコミュニティで返答した内容をまとめたものです)

しかし、どうやらこのModel Builderのような編集も、

もうすぐAIの力で操作なしでできるようになりそうです。

 

ですが、dentbirdのようなAIクラウン・インレー(インレーは現在ベータ版)製作ソフトも

内部で何が行われているかを知ることで、出力される結果にエラーがあってもすぐに対処できるようになります。

 

なんだか歯科医師というよりもSEの仕事のようにも感じますが、

ここから数年の歯科ソフトAI化の移行期間には、非常に重要なスキルだと思っています。

 

そういえば、毎日触っているMedit Linkですが、ついに値上げしましたね。

月に0.99ドルのサブスクから、月に9.9ドルのサブスクへ、プレミアム会員

クラウドデータ10TB使用可能、ソフト自体は利用無料)が値上げになりました。

 

まさかの価格まで予想通りになりましたが、元が安すぎたので

みなさん大目に見てあげましょう。

digitaldentistry.hatenablog.com

↑あとはClinicCADベータ版が正式リリース時に課金されるか、

保守期間中のみ無料になるか・・・と予想していますが、

MeditはOrthoSmulationも改悪されてすぐ

(Simulation後の歯肉データが出力不可になった、マニアなことをするには役立っていた)

なので、ちょっと値上げのタイミングを誤った気もしますね。

Meditからソフト関連でのいいニュースが聞けることを期待しています!

 

そうそう、SHINING3Dの付属ソフト類も大幅アップデートが予定されているようです。

こちらも乞うご期待です!

dentbirdのベータ版といい、新機能やアップデートで楽しい・忙しい月初になりましたね。

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを

少しずつ更新していきます。

 

note.com

↑こちらでも不定期に動画付きのデータを更新しています。

 

よろしければ見ていただけると嬉しいです。