3D歯科 のデジタル歯医者入門

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無歯顎の粘膜をIOSで最終印象スキャンする①粘膜スキャン

こんにちは。

3D歯科 です。

 

前回はAIクラウンソフトのDentbirdについて、複数の症例をまとめて一括で管理できる

Dentbird Batchが登場したので紹介しました。

digitaldentistry.hatenablog.com

 

今回は、無歯顎の最終印象を口腔内スキャナーで行う方法を考えます。

よろしくお願いします。

 

口腔内スキャナーでの粘膜スキャン

口腔内スキャナーを使用している先生はお分かりかもしれませんが、

歯列のスキャンを快適にできる理由としては、AIによる粘膜のフィルタリングが

行われていることが挙げられます。

 

これはIOSやスキャンソフトが歯肉部分を認識しフィルターしてくれるため、

歯列だけにフォーカスを当ててスキャンを繋ぎ合わせてくれます。

これによりバリのない綺麗なデータを得られています。

 

さて、顎堤スキャンを行う際には、撮影対象が粘膜なので

この部分をフィルターされては困ります。

 

基本的には「義歯モード」のような専用のスキャンセッティングを用いるか、

AIによるフィルタリングをオフにするセッティングが必要になります。

 

粘膜スキャンで抑えるべきポイント

IOSを最終印象にする場合には、可動粘膜がムラなく重ならず、綺麗に撮れることが必要です。

 

そのために、以下のことが満たせることが必須になります。

・軟組織を完全に圧排すること
可動粘膜が写ってしまうとCAD技工・技工士さんが非常に苦労します。

・可動粘膜をリトラクター等を用いて固定し動かない状態にする
リトラクターをグイグイ動かすと粘膜の形が都度変化します。
変化するとデータに無用の重なりができ、これも精度を下げる要因になります。

・開口状態を維持させる
これはIOSのメリットである、途中で顎を休ませつつ繋ぎ合わせられるという
特徴と全く違うのですが、患者さんが閉口すると粘膜の形が変わります。
そのため患者さんには頑張ってもらい開口し、その状態を維持してもらうことが
IOSで最終印象にできる条件の1つになります。

 

さらに、可動粘膜付近のスキャン自体は一筆書きで行い、

データが余分に重ならないように注意が必要です。

 

例えば右下臼歯の粘膜を見てみましょう。

カラーを消してよく見るとデータが重なって荒れています。

ミルフィーユ状に重なったデータでは義歯製作は困難です。

 

適切に口唇や頬粘膜、舌を確実に圧排する

データが無駄に重ならないようにするために、

不要な可動粘膜は十分に圧排が必要です。

 

圧排する際にグイグイと何度も引っ張り方を変えたり

引っ張る方向を変化させると、頬粘膜の写り方が変わり(形が変わって写る)

データが重なってしまいます。

 

そのため、一度頬粘膜を圧排したら、その形を固定して絶対に動かさず

歯牙と同様に「動かない組織」としてスキャンを行うことで綺麗なデータが得られます。

 

 

そのために色々なデバイスを使用しています。

 

例えばCADで自作したこのような器具を使用したり

 

ネット上でダウンロードした器具をデータ編集して使用しやすくして使用したり

工夫しつつ臨床で取り入れています。

 

これらデータはnoteの方でもデータを綺麗にしてから公開予定です。

粘膜スキャンを指で圧排して上手くいかないな、という方がいらっしゃれば

参考にしてみてください。2024年5月に公開しました。

note.com

noteの方でスキャンパスの解説もしています。

(5月12日まで内容は無料公開しています。お時間ありましたらみていただくと嬉しいです)

 

 

まとめ

歯牙のスキャンが全く問題ないことがわかると、

義歯で困っている症例に応用したいというのが歯科医師の性というものです。

 

当院では最終補綴まで3Dプリントして患者さん理解のもと院内製作義歯をお渡しすることもありますが

コピーデンチャーや咬合床を作り、咬座印象を行う前段階だけでもIOSを活用すると

義歯臨床が楽しく簡単になると思っています。

 

次回は義歯のない方の咬合採得の方法について考えてみます。

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを

少しずつ更新していきます。

 

note.com

↑こちらでも不定期に動画付きのデータを更新しています。

 

よろしければ見ていただけると嬉しいです。