3D歯科 のデジタル歯医者入門

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保険適用で導入したIOSをもっと使いこなそう〜①インレーのスキャンについて

こんにちは。

3D歯科 です。

 

前回はXrealと言うガジェットが口腔内スキャンにも活用できると言うことを紹介しました。

digitaldentistry.hatenablog.com

 

今回は、2024年6月より保険適用になったIOSについて、

最近導入した先生向けに臨床上抑えておきたいインレースキャン・コンタクトのスキャン

についてお話しします。

よろしくお願いします。

 

口腔内スキャナーを導入して間もない先生へ

ついに2024年6月より保険適用で点数評価がされるようになった口腔内スキャナーですが

導入してすぐに、保険診療のために2級インレーのスキャンを撮るのは、

結構難しく感じていらっしゃる先生も多いのではないでしょうか。

 

6月に購入して1ヶ月ほど、ようやくソフトの扱いにも慣れてきて・・・

クラウンのスキャンや矯正・マルモのための全顎スキャンも安定して撮れるようになり

しかしインレーのスキャンがうまくいかない、と言うことも多いかもしれません。

 

インレー形成については、隣接面の処理によってはスキャンの難易度が大きく上がってしまいます。

特になるべく削りたくないので、隣接面を可及的に保存しようとすると

スキャナーの光が(カメラの撮像が)コンタクトまで届かず、

スキャンできなくて悩む、結局アナログ印象を追加した、と言うことも多いと思います。

 

そこで、 CAD/CAM インレー形成とスキャンについて、

うまくスキャンを撮るために抑えておきたいポイントをまとめます。

 

まずは本当にインレーにすべきか

これをお話しすると元も子もないかもしれませんが、

すでにメタルインレーが入っているような症例、歯冠破折と言うくらいに穴が大きい症例

こういったものでなく小さな窩洞であれば、CR充填の方が切削量は減らせますし

技工料は不要、チェアタイムも1回で済みます。

 

コンタクトの緊密充填は難しい・・・と言う声もあるかと思いますが、

マトリックスをしっかり歯肉縁下まで挿入できて防湿できるなら、

あとは個人的にはスノープロウテクニック(https://www.dental-plaza.com/academic/dentalmagazine/no158/158-4/ の図5などで解説されている)

を利用して適切に圧力をかけられれば、保険診療における2級充填はおおよそ目的を達せられるのではないかと思います。

 

3D歯科 も(アナログ技術は褒められたものではないですが)メタルインレーのやりかえや

マトリクスがかけられないほどの窩洞でなければ、CR充填が第一選択です。

チェアタイム単価などを考えると、どう見てもインレーよりもCRが保険的にもメリットが大きいと思います。

 

ですが、今回はやむなくインレーにしないといけないと仮定して注意点を見てみましょう。

 

 

スキャンの光が届く形態になっているか

形成の話はすでに正書やさまざまな上手な先生に聞いていただくとして、

いわゆるスライスカットのような薄くコンタクトを抜くような隣接面の形成をすると

まずスキャンで綺麗に窩洞の情報を取得するのは不可能になります。

 

MI修復のために隣接面が臨在歯に完全に接した面積が多い場合なども

スキャンは綺麗には撮れません(アナログ印象でも困難なはずです)。

テフロンテープやコンタクトゲージなどを入れてスキャンも試しましたが、

3D歯科 の手元のスキャナー(PrimeScan、Medit i700、SHINING3D Aoralscan3)では

スキャンはできても、スライスカットのような薄くて狭く、深い形成を

満足いくマージンラインのはっきりしたスキャン結果は得ることができませんでした。

 

そのため、正書やメーカーのパンフレットなどにもよく書かれている通り、

隣接面の形成はスキャンに適した形態に削る必要がありそうです。

すなわち隣接面が隣在歯と分離しており、スキャンの光が届く程度に形成量がある状態です。

 

どうしても削りたくない!と言う先生におすすめなTipsとしては、

当日の印象採得は諦めていただき、当日は矯正用のセパレートリングを挿入して帰宅させ

3日後くらいに予約を取って歯間分離された状態で最低限の形成を行うことです。

これなら大きく削らなくてもスキャンの光が届きやすくなっているはずです。

 

スキャナーの設定や特性を考える

次に考えるのが、スキャナーの設定で被写界深度が可変なモデルの場合、

可及的に深い被写界深度に設定してコンタクト部のスキャンを行う方法です。

 

特にMeditのスキャナーではスキャン画面で被写界深度を操作できるので

必要に応じて操作しましょう。基本的にはコンタクトが撮りにくそうだと思ったら

先に一番深い深度にしておくことがスキャンしやすいコツになります。

 

あとはスキャナー自体の性能になりますが、

やはり低価格なスキャナーほど被写界深度が浅い傾向にあり、スキャナーの癖や限界を

知っておかないと、形成量を場合によっては加減する必要が出てきます。

 

コンタクト部分の歯肉を圧排する

カリエスが歯肉縁下に近い場合、歯肉をうまく処理する必要が出てきます。

簡単に言うと、歯肉を切除するか、圧排するかの2通りです。

 

歯肉の切除は(もちろん生物学的副径などをしっかり考慮してからですが)

レーザーや電気メスでマージン付近の歯肉を一時的に切除し

スキャン時にマージンがはっきりと映るように配慮します。

 

圧排については、単にジンパック等の圧排コードを使用するのが基本です。

ですが歯肉がマージンに乗り上げているようなケースの場合、

細いコードだけではコードの上に歯肉が乗ってしまいスキャンの邪魔になります。

太いコードを入れたままスキャンすると、個人的には時々コードのゴワゴワが

スキャンに映り込んで逆効果になることもあります。

 

そのため、インレーのコンタクトスキャンのように

全周でなく一部を圧排したい場合は、テフロンテープやテフロンフロスを使用することもあります。

 

テフロンテープを下部鼓形空隙に挿入し、歯肉辺縁のマージンラインを明示するように

歯肉をテフロンで圧迫します。

スキャンでテフロンが写ってしまっても通常毛羽立ちませんし、

マージンラインまでがしっかり撮れれば、歯肉がテフロンで覆われていても

製作自体に問題はありません。

 

まとめ

そのため、CADインレーをスキャンで作成しようとすると、

・スキャンできるような形成をする

・必要なら歯肉を圧排してマージンラインを明示する

被写界深度を考慮する

このあたりが大切になります。

 

形成が適切か、上手かは置いておき、コンタクトのマージンは十分にスキャン可能です。

 

 

また、もちろんですがバイトがずれないようにすることで

咬合調整の少ない補綴を作成できます。

 

この辺りのバイトスキャン関連については次回の内容でも紹介させていただきます。

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを

少しずつ更新していきます。

 

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