3D歯科 のデジタル歯医者入門

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Medit Temporaries 1.1 アップデート レビュー②実際にTEKを自動出力して3Dプリント検証

こんにちは。

3D歯科 です。

 

前回はついにアップデートされたMedit AppsのTemporaries 1.1モジュールについて紹介しました。

digitaldentistry.hatenablog.com

 

今回は実際の挙動と、出力した3Dプリント模型とTEKのフィットについて

紹介させていただきます。

よろしくお願いします。

 

Medit Temporaries 1.1について

さて、改めてアップデートされた内容についてお話しします。

今回追加された機能としては、

 

・治療前データがなくてもMedit Libraryの歯冠データを呼び出してTEK作成

・マージンラインの自動引きと精度向上

・連結冠やブリッジ形態の作成

 

この3つのアップデートが大きなポイントです。

それぞれ後で解説しますが、

非常に良くできたソフトウェアになっています。

 

Model Builderなどでの簡単な操作感やSTLデータの加工の簡単さはそのままに

TEK作成(ひいてはDrが納得すれば最終補綴にも?)が数回のクリックで

出来上がってしまいます。

 

また、アップデート前でも、TEKと口腔内支台歯とのフィット、模型とのフィットは

プリセット設定のままでも良好であり、クラウン製作の悩みのフィット設定が

ほぼ不要であることも非常にありがたいポイントです。

 

Medit Library

さて、数日使用しただけでのレビューとなり、詳細なところを確認しきれていませんが

Temporaries 1.1について内容を紹介します。

 

まずはMedit Libraryです。

これは歯冠データや治療前データがない場合に、

Meditが提供する歯冠データを使用してTEK形態を作れるというものです。

 

前回までに歯のサンプリングで作成する、オリジナルの歯のライブラリー作りを紹介していました。

digitaldentistry.hatenablog.com

 

こういった歯冠データと同様にMeditが提供するライブラリーが、

作成するTEKの部位に合わせて自動で適応されるというものです。

もちろんCADですから、適応されたデータはそのままではなく

回転、拡大、微調整は簡単にTemporariesモジュールの中で加工できます。

 

マージンラインの自動化精度向上

CAD作業での面倒さ第一位は精密なマージン引き、

面倒さ第二位は歯冠データの調整と咬合調整

面倒さ第三位は内面フィット調整、というところでしょうか。

 

このうち、内面フィットについては(好みはあるでしょうが)

自動の設定で、3Dプリント模型では問題なさそうなことを確認済みです。

 

現状、歯冠データの調整と咬合調整は自動でMedit Libraryのデータが

適応され、咬合も対合に自動で調整されるのですが、

模型で見ると咬合が高く、また違和感のある捻転が起きた状態で配置されることもあります。

 

ただ、 3D歯科 としては、マージン自動化がワンクリックで行えることが

非常に有用と感じています。(今までもあったのかもしれませんが)

 

支台歯データを見ながら自動マージンのツールを選び、

ここは間違いなく正しいマージンだ、という点を見つけてクリックすると

そこを始点にぐるり一周のマージンが引かれるというものです。

 

これがなかなか精度が高そうで、出力した模型との確認では

問題ないレベルまで達しているように見えます。

下手に自分で1から引いていくより正確かもしれません。

この辺りは、いわゆる高価なCADソフトが得意であったところですが、

手元のセレック Primescanの形成後の自動マージン引きと比較しても

遜色ないどころか、始点をクリックするためか、むしろ正確なように見えます。

 

連結冠やブリッジの作成

今までのA Iを利用したクラウンデータ作成はいくつか種類がありましたが

そのどれもが単冠の自動製作までに留まっていました。

 

しかし、今回のMedit Temporaries 1.1は連結冠とブリッジに対応しました。

これにより(本来研究用のMedit Appsを補綴に使用するかはDr判断にて)

最後臼歯を含むブリッジはどうしても保険で銀歯を作成せざるを得なかったのが、

⑤6⑦ブリッジなどに、低価格でジルコニアを作成してあげられるかもしれません。

 

実際のMedit Temporaries 1.1での出力テスト!

例えば下顎4、5、6の連結冠で・・・

支台歯を簡易咬合器にマウントしています。

治療前データから複製したクラウンをセットしました。

見事に浮き上がりもなく適切にセットできています。

ただ、治療前データの咬合面と比較すると(治療前が下の写真)

咬合面の精度は落ちているのがわかります。

 

さて、今度はMedit Libraryのデータを利用して作成します。

別症例ですが、同様に簡易咬合器に合わせて咬合がピッタリしているかを確認します。

初期設定のまま作成してみましたが、咬合が高くなってしまいました。

TEK用レジンを用いて出力。

レジンのせいではなく、データから咬合が高くなっているようです。

レジンの咬合面形態は、そこまで悪くないように感じます。

今後も、設定の変更でうまく噛ませられるように調整してみます。

 


3D歯科
 のスタンスとしては、最終補綴は十分に時間をかけた技工士さんの仕事を入れるべき、と

思っているのですが、どうしてもいい仕事は治療費用にも反映されるため、

保険のみを選択していた方には少々ハードルが高いこともありました。

 

そうのような方に限定して、低コストでジルコニアを入れるために

こういったAIやソフトウェアの発展で貢献できれば

医院にとって1つの大きな武器になるのではないかと思います。

 

まとめ

早速 3D歯科 も、保険でいいが白くしたい(保険適応では銀歯のところ)

方に対して、Medit Temporaries 1.1を利用して

ジルコニアを製作中です。

 

現状、絶対的にドクター責任で用いる必要があることと、

患者理解がないと難しいですが、

もしうまくいくとこういったシチュエーションも増えるかもしれません。

 

残念ながらテスト製作しているジルコニアは日数が不足して手元に届いてはいませんが

何かの機会に写真をお見せできればと思います。

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを

少しずつ更新していきます。

 

note.com

↑こちらでも不定期に動画付きのデータを更新しています。

よろしければ見ていただけると嬉しいです。

 

先生がたの臨床に少しでもお役に立てていただければ嬉しいです。

今後とも 3D歯科 をよろしくお願いします。