こんにちは。
3D歯科 です。
前回はついにアップデートされたMedit AppsのTemporaries 1.1モジュールについて、3Dプリントで出力したデータを簡単にチェックしてみました。
digitaldentistry.hatenablog.com
今回は、Medit Temporaries 1.1の、個別設定を触ってみます。
自動で進んでいるようなこのアプリですが、
裏ではプリセットのパラメーターに基づいた、さまざまな処理が行われています。
実際に作成したジルコニアも、前回同様に模型に適合させてみます。
よろしくお願いします。
クラウンの外面調整と内面調整
早速、クラウンを作成する工程を考えてみます。
自動で行われているクラウン製作ですが、
Medit Libraryと支台歯データを用いた場合も、以下の工程が行われています。
1、支台歯のマージン設定
2、サベイング(クラウン挿入方向決定)
3、アンダーカット埋め
4、コンタクト面の設定
5、クラウン形態をMedit Libraryから選択
6、クラウン位置の決定
7、クラウン外面形態の調整
8、対合(アンタゴニストと呼ばれます)との咬合調整
9、クラウン内面の調整とクラウン作成
10、作成したクラウンの形態微調整
以上です。
B4Dほかクラウン製作CADでは基本的にこの流れを1つ1つ行います。
ですが、マージン引きを含め多くの工程でAIなどの自動化が今までもなされていました。
Medit Temporaries 1.1では以上の10工程が
マージンの確認、クラウン形態の確認といった
確認作業が2、3あるだけでクラウン製作が可能です。
チェアサイドなどで使用するには非常に便利です。
クラウンマージンの確認
クラウンのマージンを決める最初のステップで、
何も考えずこのツールを選択し、
「ここは間違いなく形成したマージンだ」という部分をクリックします。
AIがそのポイントを中心に、自動でマージンを設定してくれます。
クラウン外面形態の調整
マージンが決定されれば、Medit Libraryからクラウンが自動で作成されます。
自動で作成されるクラウンも、それなりにそのままでも良い形なのですが、
対合を表示してみると、全然咬合接触ができていないこともあります。
これをトランスポート(クラウンの位置を自由に移動させる)と
スカルプトツール(ワックスアップのように咬合面を足したり凹ませたりする)
などで整えます。
これはCAD全般で言えますが、できるだけトランスポートで咬合接触をしやすいところまで移動させ、
それからコンタクトの高さや咬合接触の弱いところ、裂溝をスカルプトツールで付与します。
クラウン内面形態の調整
クラウン内面は、主にフィット感の強さとマージン付近の厚みを調整します。
このうち1、2、は触る必要がないケースが多いと思います。
挿入方向は連結冠や形成のテーパーがつきすぎている時などには
咬合接触方向に合わせる方が好ましいかもしれません。
さて、3、セメントスペースの厚みですが
動揺歯や支台歯の長さが長い(歯冠長が長い)方には
大きめにスペースを取り、内面をゆるくします。
歯冠長が短いときはきつめにしても良いかもしれません。
さて、4、マージン厚みですが
初期設定では 0.1mm となっていると思います。
3Dプリントなら薄くしても壊れませんが
ミリングではチッピングの可能性もあり、
0.2mm にしておくことをお勧めします。
もちろんケースごと、作業するマシンごとにピッタリの設定を見つけることが一番です。
まとめ
先ほどMedit Temporaries 1.1.1もアップデートされ、バグフィックスも行われました。
兎にも角にも、無料でここまでの内容ができるのは素晴らしいことです。
Meditは会社の売却先を探しているそうなニュースも出ていましたが、
願わくば買収した会社が高額なサブスクを請求してこないことを祈るばかりです。
まだまだ細かい内容やエディットはB4Dほか、CADソフトの方が多機能と思いますが、
Temporariesというだけあり、テックを簡単に、大量に作成するには
非常に効率的なソフトウェアになっています。
今回の内容は以上になります。
長い文章でしたが最後までお読みいただき、
ありがとうございました。
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