3D歯科 のデジタル歯医者入門

最小限の費用と努力で最大限の恩恵を受ける歯科デジタル活用術

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歯科用プリンターのシステム化・自動化について②プリント自動化システムを検討する

こんにちは。

3D歯科 です。

 

前回は、3Dプリンターを院内で導入した時の各種工程を

誰が行うかという問題についてお話ししました。

全て先生だけで行うと大変で、前回は院内のスタッフや技工士さんに

一部工程をお願いした方が良さそうということをお伝えしました。

digitaldentistry.hatenablog.com

 

今回は、そうはいっても人手が足りていない、技工士さんは募集してもきてくれない、

その場合に、(半)自動化の3Dプリントシステムを導入することを考えてみます。

よろしくお願いします。

 

院内製作を自動化したい

院内では様々な技工物を製作すると思います。

マウスピースやTEK、咬合床など。

 

リングマシンをお持ちの方はジルコニアやセレックなどの最終補綴クラウン。

3Dプリンターを使用すればサージカルガイドやコピーデンチャー、

レジンによってはハイブリッドセラミックのベニアやクラウンなど。

 

これら全てを自動化できれば夢のようですが、現実にはなかなかそうはいきません。

 

3D歯科 はミリングマシンは所有していませんが)ミリングの場合は

補綴形態を考えつつネスティングを行い、ミリングしたブロックやディスクから切り離し

研磨しシンタリング・グレージングなど。

 

プリントでは前回にお話しした、スライス設定やサポート付け、プリント後には

サポート切り離し、アルコール洗浄、研磨、最終重合・・・

たくさんの工程が必要になります。

 

そのため、ただ機器を購入するだけではなく、それを誰が使うか、いつ作業するか

これをきちんと考慮の上で(先生が操作するなら先生の時給も考慮の上で)

設備導入がコストとメリットに見合うのか考えなければいけません。

 

具体的にいくと、自動化システムを導入して時短できるのはこの辺りです。

・スライスソフトの設定、出力物の配置

・3Dプリント後の出力物の切り離し

・出力物のアルコール洗浄

・出力物の二次重合

それぞれ見てみましょう。

 

スライスソフトの設定、出力物の配置

3Dプリンターごと、プリント用レジンの種類ごとに、

プリントするための最適なパラメーターが存在します。

 

3DプリントができるようにするためSTLデータを編集するのをスライスと言います。

このスライスを行う専用ソフト(Chituboxなど)をスライスソフトと言いますが

ソフトにより、自動サポート機能や自動配置(どのように出力物を並べるか)

複数のレジンのパラメーターが登録されているものもあります。

 

ですが歯科専用プリンターを購入しなければ、PhrozenやElegooプリンターには

基本的に歯科用レジンの設定は登録されていません。

 

海外で根強い人気を誇るPhrozen製のプリンターなどでは

マニアな先生がミニプレート(プラットフォームを小型化したもの、高速出力可能)や

バットウォーマーを販売しており、かなりの種類の歯科用レジンについて

Chituboxのパラメーターを探して公開してくれています。

monocure3d.com.au

3D歯科 も個人的にElegoo Mars3シリーズで国内で義歯を作る定番レジンの

DHプリントについてのパラメーターの参考値を公開しています。

note.com

 

まとめると、高額なプリンターでなくてもここは(半)自動化が行われます。

もちろん歯科用プリンターを導入したら専用スライスソフトで自動でできることも多いです。

 

3Dプリント後の出力物の切り離し

さてプリントできればプラットフォームから出力物を取り除きます。

これは金属スパチュラのようなものを滑り込ませて慎重に剥がします。

 

意外と面倒で出力物を壊してしまうリスクもあるこの作業ですが

石膏でいうトレーからアルジネートを剥がすようなものです。

 

できれば自動化したい作業ですが、このような機器は多くありません。

次回の更新の際に、国内で購入できる実際の機器を探してみます。

 

出力物のアルコール洗浄

プラットフォームから剥がしたら、次はアルコール洗浄です。

これはホビー用の3Dプリンターシステムでも専用の洗浄機が多く存在します。

 

こういったものでも洗浄はできますが、意外と歯ブラシとアルコール、超音波洗浄機のほうが綺麗に洗えたりします。

 

また、アルコールも使用のたび劣化していくので、ホビー用の洗浄力で行う場合は頻繁にアルコールを変えるなど工夫が必要です。

 

f:id:digitaldentistry:20240314172943j:image

こういったシステムでも基本はアルコールやIPAを洗濯機のように回転させて出力物を洗い流すと言うものです。

 

手作業と歯ブラシ、超音波洗浄機でも綺麗になると書きましたが、

やはりここは手間がかかるのと、毒性のあるレジン液とアルコールに曝露されることを思うと

専用機械があると便利です。

 

出力物の二次重合

洗浄が終われば、次は最終重合を行い、口腔内でも使用できるようにします。

未重合層があれば口腔内に入れた場合に毒性が残ります。

 

そのためレジンごとに最適な長時間の光照射で重合を行い、

またグリセリンに浸漬して酸素を遮断して最終重合を行うことが大切です。

 

先程のMERCURYのように洗浄機と最終重合の機器が一体になったものもあります。

 

昔ながらのレジン前装冠を作るための照射機も使用できますが

ハロゲンなどでは波長が合わなかったり

かなり長時間の露光が必要な場合もあります。

 

ただし最近の機器であれば重合器はターンテーブルが内蔵されており

基本的には機械任せで最終重合が行えます。

グリセリンにつける場合は筆などで細かい内面にグリセリンを塗ってから

ガラス容器などのグリセリンに浸漬して重合します。

 

重合終了後に取り出して、ようやく完了です。

 

まとめ

このような 3Dプリントの一連の流れですが、

ひとつひとつは簡単な作業でも、忙しい院内ですべて先生が行うのは

なかなか時間が厳しいかもしれません。

 

診療後の時間に重合失敗をしたプラットフォームを眺めたり、

サポートの切り離しで割れてしまったラミネートベニアを処理するのは

なかなか心に来ます。

 

そのため、スタッフや技工士さんの手を借りるか、

機械化できるところはシステム化して機器導入で対応を考えてもいいと思います。

 

次回は実際に 3D歯科 が縁あって導入した機器や、

それによりどの程度、楽ができるようになったか、

他の自動化できるシステムはどのようなものがあるか、ということをお話しします。

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを

少しずつ更新していきます。

 

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↑こちらでも不定期に動画付きのデータを更新しています。

 

よろしければ見ていただけると嬉しいです。

 

先生がたの臨床に少しでもお役に立てていただければ嬉しいです。

今後とも 3D歯科 をよろしくお願いします。

 

 

歯科用プリンターのシステム化・自動化について①院内で3Dプリンターに取り組もう

こんにちは。

3D歯科 です。

 

前回は、保険導入を見据えた口腔内スキャナーのスキャン方法や機種選択についてお話ししました。

digitaldentistry.hatenablog.com

 

今回は、毎日行う3Dプリントについて、

なるべく人の手を借りずにシステム化することでドクターの負荷を減らす方法を考えます。

よろしくお願いします。

 

歯科の3Dプリントについて

歯科でアナログ印象がデジタル光学印象・口腔内スキャナーに置き換わってきています。

その際に問題となるのが、石膏模型がなく画面上でしかデータを見られない点です。

 

そのため、診断や作業用模型として、スキャンしたデータを3Dプリントできるように編集し

3Dプリンターでプリントすることで歯科模型を作成することができます。

 

また、模型だけではなく口腔内に装着するスプリントや総義歯、最終補綴クラウンまで

3Dプリントで作成が可能になっており、ミリングマシンと比較して初期投資を抑えて

院内技工製作にも役立てることができます。

 

このときに問題になるのは、3Dプリンターの操作がやや複雑である点と、

後処理と呼ばれる、プリント後のアルコール洗浄や最終重合(ジルコニアでいうシンタリングのようなプロセス)が必要であるという点です。

 

「誰がデータ編集を行うか」「誰が3Dプリンターを操作するか」「誰が後処理を行うか」

これが歯科で3Dプリントを行う上での考えておくポイントとなります。

 

「誰が」:全て先生だった場合

これはデジタルマニアな先生方のクリニックで多いかと思うのですが、

先生だけが知識があり、他に任せられないケースです。

 

「誰がデータ編集を行うか」:

模型データであれば5分ほど、クラウンなら10分ほど、義歯なら30分ほどかかります。

ソフトにより異なりますが、いわゆるCAD作業と言われる操作が必要になることもあり

技工士さんがクラウン製作する作業と同様です。院内でクラウン製作する際に

場合によっては院内技工士さんがいればお任せした方が効率は上がると思います。

 

「誰が3Dプリンターを操作するか」:

3Dプリントは、電源を入れてレジンを入れてスタートボタンを押せば綺麗に出来上がる。

・・・というものではありません。

(将来の発展でおそらくそのようになると思います)

 

レジンを加温して粘稠度を下げて(CRを加温してセメント用途に使用するのと同様)

プリンター本体を温めておき出力中の温度変化がなるべくないようにし

3Dプリントのセッティング、つまり光照射時間や機械を動かすスピードを設定し

出力された例えばクラウンを見て精度を高めるためにセッティングを微調整する。

・・・このような操作がどうしても必要になります。

 

ここのレジン設定やサポート付けをいきなりスタッフに完全にお任せするのは困難です。

3Dプリンターに慣れた技工士さんやミリングマシンのネスティングで

パラメーター調整に慣れたスタッフであればポイントを理解してくれると思います。

 

歯科用プリンターによれば純正レジンについてはセッティングが登録されていたり

レジンバットや本体を温める機構がついているものも機種によりあります。

ただそれでも気温やデータの形状により設定の微調整は必要になります。

温度センサーと連携してAIがパラメーターを調整してくれれば・・・とよく思っています。

 

「誰が後処理を行うか」:

ようやく出力された、と安心はしていられません。

出力後、時間が経過する前に次は後処理を行います。

後処理とは、ベタベタにレジン液のついた出力物をアルコールで洗い、

余剰アルコールを完全に除去してから光重合器で最終重合を行います。

 

この時の余剰アルコールはアレルギーの可能性がありニトリルグローブなどで防護します。

作業中のアルコールの曝露を抑えるためゴーグルやマスクを着用します。

 

レジンによりますが数分以内に洗浄工程を確実に終え、そこから長時間の最終重合となります。

 

正直なところ、この工程は大切ではありますが面倒な作業になってしまいます。

スタッフに工程を教えてやってもらう、機器により自動工程のあるものを導入するなど

時短に努めたい工程になります。

 

全て先生だった場合

これら全てを 3D歯科 の医院では全てドクター自分自身のみで行なっていました。

 

クラウンやスプリントのデザインは、院内に技工士さんのいないクリニックで内製化すると

ドクターの仕事になりますが、確認用歯列模型などであればモデルビルダーの操作は

スタッフに完全にお任せしてもいいかもしれません。

 

データができたらスライスソフト(Chituboxやプリンター純正の、プリント可能にするソフト)に入れて、歯列模型なら自動サポート機能でワンクリックで対応できます。

 

プリント完了後の後処理もドクターが全て行うとすると、歯列模型だけでも

1時間を超える時間、ドクターがつきっきりで対応するのは20分ほど必要になるでしょうか。

そうすると石膏模型と比較して(石膏模型を全てスタッフに任せているとすると)

高コストになってしまい、3Dプリンターの敷居が上がってしまいます。

 

また、セッティングをレジンごとに最適パラメーターを探すのも

ドクター1人だけの力だけでは対応しにくくなってきます。

 

そのため、これから3Dプリンターを院内に導入しようとする先生は、

ぜひ1人だけで全てをカバーしようとせず、スタッフを巻き込んで

医院として取り組むようにしてみましょう。

 

後処理を任せられるだけでも楽になりますし、石膏と同様にモデルビルダーから

歯列模型のプリントまで全行程を任せられると、日常診療に取り入れやすくなります。

 

まとめ

3Dプリンターは歯科医院に導入されることで、低コストながら非常に高精度な

院内技工に取り組むことができます。

 

ただし、従来法よりは快適ではあるのですが、やはり時間コストが多大にかかってしまいます。

診療の合間にCADをして、診療後にプリントや後処理をする・・・

現状ではマニアな先生の趣味(もちろん 3D歯科 も含みます)としてしか

院内導入では日本国内では活用されていないかもしれません。

 

ですが技工ラボでは様々な時短に活用されていますし、

院内技工士さんがいればかなり多彩な技工物を院内製作できるようになります。

 

 

次回は、歯科用3Dプリンターの(半)自動化が進んできていることに着目します。

ポンとスイッチを押せば、完成品がポンと出てくる・・・のが理想ですが

現状ではそこまでは進んでいません。

 

ですが後処理含めて一部のワークフローが省略できれば、先生方のクリニックでも

導入が現実的になるのではないでしょうか。

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを

少しずつ更新していきます。

 

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よろしければ見ていただけると嬉しいです。

 

先生がたの臨床に少しでもお役に立てていただければ嬉しいです。

今後とも 3D歯科 をよろしくお願いします。

 

 

 

 

CADインレーのスキャンを考える、保険導入を考えた口腔内スキャナーのモデルを考える

こんにちは。

3D歯科 です。

 

前回は、口腔内スキャナーでのデータ保存・活用についてお話ししました。

digitaldentistry.hatenablog.com

 

今回は、保険導入されるCADインレーのスキャンについてお話しします。

よろしくお願いします。

 

前置きとして

3D歯科 はデジタルについてのお話をさせていただいていますが、

アナログの治療内容や形成方法については残念ながら自信がありません。

特に形成については成書やその他情報を確認していただくのをお勧めします。

例えばですが、ヤマキンの特設サイトではCADクラウンやインレーの形成について

詳しく解説してくれています。

 

 

ヤマキンは保険導入されたさまざまなブロックや技術について

すぐに特集を組んで解説してくれてありがたいです。

ヌールコートも素晴らしいです。四国にあるとのことで、将来遊びに行ってみたいです。

 

CADインレーのスキャン

さて、保険導入されるCADインレーですが、アナログ印象と同様に

綺麗にコンタクト部分が印象できないと、フィットせずチェアタイムで苦労します。

 

そのため、スキャンの光が届くような形成をして、工夫してスキャンが必要です。

 

まずはコンタクトの形成ですが、アナログと同様に

コンタクト接触部分が切り離されていないとマージンラインは視認できません。

そのため基本的にはコンタクトを形成して隣接歯と離れるようにしますが

この際にメタルインレーのような薄いスライスカットではトラブルが出てしまいます。

 

まずは出来上がったCADインレーのコンタクト部分が急角度に広がることになり、

調整や試適中にも割れてしまうような脆い構造になります。

 

適切に形成が済めば、今度はスキャンです。

 

咬合面のスキャンはほぼ全ての症例で問題なく行えます。

もし形成がMIを考慮しすぎて頬舌幅が狭すぎる場合、咬合面観でも

スキャンチップを頬舌に振りながらスキャンすることが必要です。

 

さて問題はコンタクトです。

インレーは特にこのコンタクトのスキャンが難しくなることが多いです。

 

コンタクトで注意することは2点。マージンラインが近遠心部分で途切れないこと。

臨在歯のコンタクト接触面を確実に取ること。当たり前ですがここに注意です。

 

ポイントとしては、「大事だけれどスキャンが難しいところ」を先にスキャンすることです。

歯列弓に(可能なら)スキャンチップを直角に当て、スキャンチップを近遠心に振りながら

コンタクトをスキャンできるようにします。

 

通常はスキャンは歯列弓に沿ってチップを当てていきますが

これだと近遠心コンタクトはスキャナーを上下に振ることになり

まず遠心コンタクトはスキャンができません。

 

コンタクトがスキャンできてからゆっくり臨在歯のスキャンを通常通りにつなげていくことで

問題なくスキャンが可能になります。

 

そのため、口唇が圧排しにくい方や、スキャンチップが入りにくい開口量の少ない方は

アナログ印象材と比較して難しいです。特に下顎6の遠心面や

(保健適用にはなりませんが)下顎7の近心面はかなり難しくなります。

 

 

どのスキャナーが保険治療にお勧めか

さて口腔内スキャナーが保健適用になり、ついに口腔内スキャナーの導入を考えている先生も多いかと思います。

 

その際に迷うのは、どの機種を購入するかです。

 

結論としては、最新型のスキャナーであればどれでも十分な精度でスキャン可能です。

 

あえて保険治療を見据えて選択するとすれば、被写界深度とチップの小ささはポイントになります。

被写界深度とは、どこまで遠くまでスキャンができるかを示したものです。

 

例えば深い形成をしたインレー、コアなど・・・

コンタクト部分などもスキャンチップを近づけるとスキャンできるはずですが、

残念ながらお口はそこまで開かず、臨在歯があるとチップはそれまで近づけません。

 

ちょうどインプラントオペのコントラがお口に入るかどうか、というのと同じです。

 

 

さて実際のモデルとしては(保険で価格を考えると)数機種に絞られます。

 

ブランドとしては、Medit、Shining3D、新興メーカーのあたりが

新規導入する口腔内スキャナーの選択肢になると思います。

 

アイテロは?PrimeScanは?という声が聞こえてきそうですが、

コスパとチップの小ささを考えると 3D歯科 個人としては、

スキャナー単体として考えると現状ではあまりベストチョイスではないかと思っています。

それぞれインビザライン、CERECシステムに組み込まれた機種ですので

インビザラインをやる先生、ワンデイをミリングでやりたい先生は

これらの機種になると思います。

 

Medit

3D歯科 も大好きなメーカーですが、

保険導入に合わせてヨシダからは魅力的な提案があります!

正直なところ、めちゃくちゃお買い得かと思います。

ただし保守料は別途であることは注意です。

 

某C社ではセール時に保守料も含んでこれに近い価格でi700が出ていることがあるので

そこを狙ってもいいかもしれません。

 

被写界深度は23mmです。

SHINING3D

さて、他の本命の選択肢はSHINING3DのAoralscan3です。

これも比較的低価格(i600とi700の間くらいの価格?)であり、

また高速スキャンでチップも小さく(小型チップが同梱されています!)

使いやすいモデルです。

 

3D歯科 は購入してからまだ日は浅いのですが

通常のスキャンする、という内容だけであれば必要十分であり、スキャン対象によっては

PrimeScanやi700よりもスキャンしやすく高速な場合もあります。

 

被写界深度は21mm。

 

メリットは低価格でスキャン自体はソフトがわかりやすいこと。

デメリットはソフトが意図しない操作をしたときにエラーが出たり、トリオス同様にスキャン自体の時間がかかるとスキャンが停止たり著しくスキャンが遅くなったりすることです。

 

マニアな操作をすると現在エラーがありますが、問題はほぼ全てソフト面のみで

将来のアップデートで十分に改善されるのではないかと思います。

 

 

新興メーカー

新興ブランドとしては、海外ではアジア勢(中国と韓国)から多数のスキャナーが登場しています。

すでに価格崩壊か?というほどに低価格なモデルも多いですが、

日本国内では神楽というスキャナーが低価格モデルでは有名でしょうか。

 

スキャンスピードは問題なく、クラウドストレージと、必要なところは抑えていますが

その低価格さには驚きます。

・・・ですが、パソコンと保守は別なので実際にはi600やAoralscan3と

同程度の価格になるのではないでしょうか。

 

サブスクでの導入や、初期費用を抑えられるという点ではメリットも大きいです。

 

まとめ

いよいよ保険導入、いよいよ低価格化が進む口腔内スキャナー。

インレーのスキャンはクラウンと比較してなかなか難しいです。

インレーにすると決めたら、マージンがしっかり取れるような形成をするのが

前提になるかもしれません。

あとはバイトさえしっかり取れればアナログよりも適合、精度が良いものができると思っています。

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを

少しずつ更新していきます。

 

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今後とも 3D歯科 をよろしくお願いします。

 

 

 

 

 

過去データのバックアップと活用について

こんにちは。

3D歯科 です。

 

前回は、口腔内スキャナーが保険導入されることが決定したので、

デジタル関連と、算定方法が大きく変化する項目について

2024年の保険改正についてまとめました。

digitaldentistry.hatenablog.com

 

今回は、口腔内スキャンを多用するようになった後の

データの保存・バックアップと、その活用についてお話しします。

 

よろしくお願いします。

 

データの保管とPC容量について

口腔内スキャナーを購入する際、基本的にはメーカー指定のPCと合わせて購入になることが

日本国内ではほとんどではないでしょうか。

 

このPCは定価ベースで40万円前後はする高額なものですが、

1年も使用しない間にPCのストレージがいっぱいになっている先生も多いのではないでしょうか。

 

もちろんですが、容量がいっぱいになったので新しいPCを購入するような必要はありません。

Apple製品や昔のPCでHDDがいっぱいになったら買い替え、などと言う人が身近にいますので・・・)

 

おおよそPCの内部ストレージが500~1000GBだと、

1症例のスキャンが1GBくらいになることもありますので、

500~1000症例でPCがいっぱいになるはずです。

 

例えPCの内部ストレージが大きくても、口腔内スキャンをしているといっぱいになるのは

時間の問題になってしまいます。

 

バックアップすべきファイルについて

3D歯科 は現在、PrimeScan、Medit i700、Aoralscan3を所有していますが

PrimeScan以外の機種はデフォルトでクラウドストレージを持っています。

 

Meditはなんと10TB(=10,000GB)のクラウドストレージが月額$1で使用できます。

しかもどのようなデータも症例ごとに保存が可能です(CTや顔貌写真データなど)。

 

Aoralscan3はクラウドストレージが無制限(2024年2月現在)ですが、本体でスキャンした症例に限られます。

その他のデータも添付できますが、Meditのように何でもいつでもインポートできるわけではありません。

 

Primescanもシロナのクラウドサービスが開始されましたが、Meditのクラウドよりも劣るようですし価格も高くあまりパッとしません。

ただグーグルのストレージを利用しているようで、Medit・SHININGの韓国・中国などの

海外クラウドストレージにてトラブルが起こるリスクを心配されている先生にはいいのかもしれません。

 

 

 

さて、このようなクラウドストレージでも基本的に保存すべきはSTL(PLY)のデータです。

これであれば20~30MBで上下顎のデータを保存できます。

 

ですがスキャン直後の状態は、RAWデータと呼ばれる情報・容量の大きなデータになります。

これを変換してSTLやPLYデータを得ている、と言う形になっています。

デジタル一眼レフなどの、写真撮影時のRAWデータと、変換後のJPEGと同様の関係です。

 

そのため、最低限STL(PLY)データはバックアップし、

可能であればRAWデータを保存しましょう、と言うのがバックアップの基本になります。

 

Meditは(SHININGも?)RAWデータは一定期間後にクラウドストレージから削除されます。

つまり過去データからスキャンを続けるような用途で使用したければ

手元で自分でRAWデータを保存しておくのがいいかもしれません。

(Meditは過去のSTLをスキャンに読み込み、そこに続けてスキャンも可能です。ただし穴埋めや歯肉部分の処理を行ったSTLは厳密には元のRAWデータとは違っています。)

 

 

バックアップ方法について

さて、実際のバックアップ方法については、他のPCのデータと同様にHDDに保存しています。

Meditですと.ioscデータですが、同様に他のスキャナーでもスキャンの元データが保存されています。

 

患者番号や患者データとスキャンデータの紐つけができないと困るので、スキャン後のデータをそのままHDDにまるっと保存してバックアップしています。

バックアップは1ヶ月ごとに自分で行なっています。

 

それと別に、数時間ごとにスキャナーから離れたところに自動でNASに保存、そのデータはNAS接続のHDDにミラーリングされるようにしています。

つまり3ヶ所でのバックアップをおこなっています。

 

ただし、現在ではMeditLinkとSHININGのクラウド以外で、いわゆるクラウドサービスではバックアップを取ってはいません。

 

3D歯科 も四国在住のため、可能性のある震災や診療所の火事などのリスクを考えると

さらに別なクラウドサービスにバックアップを取ってもいいかもしれません。

 

STLデータだけであれば30MBで上下データ(1症例)。

100症例で3GB。これを考えるとクラウドサービスも現実的かもしれません。

 

院内で保存したデータを活用する

ここまで頑張ってバックアップをして全症例のデータを保管するのは理由があります。

患者さんが再来院した際に、治療前データとして使用できること。

また、治療の履歴(証拠)を残して後で振り返れるようにすることです。

 

3D歯科 の手元のスキャナー3つにおける

過去データ利用の方法は以下の通りです。

 

PrimeScan

  1. 過去データを呼び出します
  2. 過去データを別名で保存、症例自体をコピーします
  3. 重ねてスキャンしたい部分をカットして追加スキャン

 

Medit i700

  1. 過去データをケースごとコピーします
  2. 重ねたい部分をカットor施術前データを作成して重ねてスキャン

 場合により直接、過去のSTLを読み込んで重ねてスキャンも可能です!

 

SHINING3D Aoralscan3

  1. 過去データをケースごとコピーします
  2. 重ねてスキャンしたい部分をカットして追加スキャン

 ただし注意事項があります!現在のソフトウェアバージョンでは、

 キャリブレーションを行うとキャリブレーション前のデータには

 重ねての追加スキャンができません

 ソフトの更新でできるようになってくれるといいのですが・・・

 

活用例としては・・・

  1. 正治療で治療前後を比較する
  2. 形成前の歯冠形態を過去データから再現する
  3. 過去データのバイト情報を流用する
  4. 過去のデータから義歯を作成する

このように、その患者さんごとのアーカイブさえあれば、

ちょっとイメージしただけでどんなことでも可能です。

 

理想は、支台歯形成したところだけ追加スキャンして

過去データからバイト、補綴形態、義歯形態を呼び出し、

常に治療前の歯列に戻せるようにできることです。

 

まとめ

今回は過去データの使用についてお話ししました。

 

過去データは資産ですので、なるべく早くデータベースを作成することをお勧めします。

レントゲンのデジタル化で過去データと比較するように、

過去の口腔内スキャンデータが将来の治療に役立てられることは間違いありません。

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを

少しずつ更新していきます。

 

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先生がたの臨床に少しでもお役に立てていただければ嬉しいです。

今後とも 3D歯科 をよろしくお願いします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

口腔内スキャナーの保健適用が決定、CADインレーのみ、点数は・・・・・

こんにちは。

3D歯科 です。

 

前回は、下準備をしてから咬合採得することで、

大規模な補綴や矯正治療のバイトを安定して簡単にとる方法を紹介しました。

 

digitaldentistry.hatenablog.com

 

今回は、デジタルはあまり関係のない話にはなりますが、

3D歯科 のように保険診療が主体の先生にとっては非常に重要な

診療報酬改正の中医協発表内容をまとめたもの、口腔内スキャナーに関する

保険改正についてお話しします。

 

よろしくお願いします。

 

口腔内スキャン(IOS)がようやく保険適用に

さて、早速ですが保険改正で 3D歯科 の一番のニュースとしては

口腔内スキャナーがようやく保険適用になったことです。

 

 

なるほど、100点か・・・

と思った先生方。

これを見ると普通の印象採得に、IOS加算100点がつく、と考えてしまいそうになります

 

ですが、しっかり読み込んでいくと・・・

まさかの、光学印象は咬合採得も含んだ点数で、加算ではなく

印象64点、咬合採得18点=82点

の代わりに、光学印象100点(つまり差額18点の増点)と言うことになるようです

 

あまりの評価点数の低さに何度も中医協発表を読み込んでみましたが、

3D歯科 の国語力では、そのようにしか読めませんでした・・・

 

18点=180円、口腔内スキャナーがPC含まず200万円としても

2,000,000÷180=約11,111

CADインレーを1万本以上やって初めて口腔内スキャナーの費用の元が取れる計算です。

 

もとより点数に期待はしていなかったので、まだダメージは少ないですが、

ちょっとだけショックだったので愚痴を書かせていただきました・・・

 

その他の目ぼしい保険改正について

さて、気を取り直して他の保険改正についてです。

Ce病名の260点が無くなったことは保険医としては痛いところですが、

小児の機能管理や予防を重視していれば、点数は微増するのではないでしょうか。

 

小児が多い先生では、医学的に妥当であればP重防が毎月取れる

(か強診の加算の代わりの「小児口腔機能管理料の注3に規定する施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た診療所である保険医療機関の場合」であれば)

ことが医院にとってのメリットになり得るでしょうか。

 

3D歯科 が2/14診療後に中医協発表に目を通してまとめたメモですが、

もしかしたら誰かの役に立つかもしれないのでシェアしておきます。

 

 

間違いがあるかもしれないのと、バイアスのかかった内容だけを抽出しているので、

よろしければこちらから原本もご確認ください。

 

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212500_00247.html

 

↑の、総-2別紙1-2(PDF:1MB)を最低限チェックすれば今回の内容は掴めると思います。

 

以下が内容からのまとめです。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

(新)  初診料(情報通信機器を用いた場合) 233 点 

(新)  再診料(情報通信機器を用いた場合) 51 点 

 

 

 

B000-4-2 小児口腔機能管理料 60点

施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た診療所である保険医療機関において、口腔機能の管理を行った場合は、口腔管理体制強化加算として、50点を所定点数に加算する。

 

小児口腔機能管理料を算定すべき医学管理を情報通信機器を用いて行った場合は、所定点数に代えて、53点を算定する。(過去に自院で小児口腔機能管理料算定した場合のみ)

口腔機能管理料(高齢者)も同様の算定点数・要件

(Ce 260点が無くなった・・・)

 

 

 

B000-12 根面う蝕管理料 30点

注1 区分番号B000-4に掲げる歯科疾患管理料若しくは区分番号B002に掲げる歯科特定疾患療養管理料を算定した患者(65歳以上のものに限る。)又は区分番号C000に掲げる歯科訪問診療料を算定した患者であって、初期の根面う 蝕 に罹患しているものに対して、当該う蝕 の評価に基づく管理計画を作成するとともに、その内容について説明を行い、非切削による当該う 蝕の管理を行う場合に、月1回に限り算定する。
2 区分番号B000-4-2に掲げる小児口腔機能管理料の注3に規定する施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た診療所である保険医療機関が当該管理を行う場合は、口腔管理体制強化加算として、48点を所定点数に加算する。

 

 

B000-13 エナメル質初期う蝕管理料 30点 

注1 区分番号B000-4に掲げる歯科疾患管理 料又は区分番号B002に掲げる歯科特定疾患 療養管理料を算定した患者であって、エナメル質初期う 蝕 に罹患しているものに対して、当該う蝕の評価に基づく管理計画を作成するとともに、その内容について説明を行い、当該う蝕 の管理を行う場合に、月1回に限り算定す る。

2 区分番号B000-4-2に掲げる小児口腔機能管理料の注3に規定する施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た診療所である保険医療機関が当該管理を行う場合は、口腔管理体制強化加算として、48点を所定点数に加算する。

 

根面う蝕管理料、エナメル質初期う蝕管理料は両方算定も可能?

 

 

 

I031 フッ化物歯面塗布処置(1口腔につき)
2 初期の根面う蝕に罹患している患者の場合 80点

根面う 蝕 管理料を算定した患者に対して、主治の歯科医師又はその指示を受けた歯科衛 生士が、フッ化物歯面塗布処置を行った場合に、月1回に限り算定する。ただし、2回目以降 のフッ化物歯面塗布処置の算定は、前回実施月の翌月の初日から起算して2月を経過した日以降に行った場合に限り、月1回に限り算定。

 

 

3 エナメル質初期う蝕に罹患している患者の場合 100点

エナメル質初期う 蝕 管理料を算定した患者に対して、主治の歯科医師又はその指示を受けた歯科衛生士が、フッ化物歯面塗布処置を行った場合に月1回に限り算定。ただし、2回目以降 のフッ化物歯面塗布処置の算定は、前回実施月の翌月の初日から起算して2月を経過した日以降に行った場合に限り、月1回に限り算定。(こちらは口腔管理体制強化加算として、48点を所定点数に加算した場合は、毎月の算定可能)

 

 

 

 

 

 

 

歯周病重症化予防治療

1~3 (略) 注1 (略)

2 2回目以降の歯周病重症化予防治療の算定は 、前回実施月の翌月の初日から起算して2月を 経過した日以降に行う。ただし、区分番号B000-4-2に掲げる小児口腔機能管理料の注3に規定する施設基準に適合しているものとし て地方厚生局長等に届け出た診療所である保険医療機関において、区分番号I011-2に掲 げる歯周病安定期治療を算定した患者について 、一連の治療終了後の再評価の結果に基づき、 当該患者に対して、歯周病重症化予防治療を開始した場合は、この限りでない。

P重防が子供で毎月算定できるようになった!

 

 

B001-2 歯科衛生実地指導料

3 1及び2について、口腔機能の発達不全を有する患者又は口腔機能の低下を来している患者に対して、主治の歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、注1又は注2に規定する実地指導と併せて口腔機能に係る指導を行った場合は、口腔機能指導加算として、10点を所定点数に加算する。

 

 

 

 

 

機械的歯面清掃処置(1口腔につき)

72点

口腔バイオフィルム除去処置を算定した月は算定できない。

区分番号B000-13に掲げるエナメル質初期う 蝕 管理料の注2に規定する加算を算定する患者は毎月算定可能

P重防、SPTは算定不可

 

 

I030-3 口腔バイオフィルム除去処置(1口腔につき) 110点

注1 口腔バイオフィルムの除去が必要な患者に対して、歯科医師又はその指示を受けた歯科衛生士が口腔バイオフィルムの除去を行った場合に、月2回に限り算定する。

 2 口腔バイオフィルム除去処置を算定した月に おいて、区分番号I010に掲げる歯周病処置 、区分番号I011に掲げる歯周基本治療、区 分番号I011-2に掲げる歯周病安定期治療 、区分番号I011-2-3に掲げる歯周病重 症化予防治療、区分番号I029に掲げる周術期等専門的口腔衛生処置、区分番号I029-1-2に掲げる回復期等専門的口腔衛生処置、区分番号I029-2に掲げる在宅等療養患者専門的口腔衛生処置、区分番号I030に掲げる機械的歯面清掃処置、区分番号I030-2に掲げる非経口摂取患者口腔粘膜処置は別に算定できない。

機械は取れない

 

 

 

M000-2 クラウン・ブリッジ維持管理料(1装置につき)

1~3 (略)
注1 クラウン・ブリッジ維持管理料を保険医療機関単位で算定する旨を地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、歯冠補綴物(区分番 号M010の2に掲げる4分の3冠(前歯)、 区分番号M010の3に掲げる5分の4冠(小 臼歯)、区分番号M010の4に掲げる全部金属冠(小臼歯及び大臼歯)及び区分番号M01 1に掲げるレジン前装金属冠を除く。)又はブリッジを製作し、当該補綴物を装着した患者に対して、当該維持管理の内容に係る情報を文書 により提供した場合に算定する。

形成の点数は、臼歯HRでは減点(150点前後マイナス)

 

 

 

 

う 蝕 歯インレー修復形成(1歯につき) 120点

 注1 CAD/CAMインレーのための窩洞形成は150点を所定点数に加算する。

 

 

 

歯科技工士連携加算1として、50点を所定点数に加算する。

情報通信機器を用いて色調採得及び口腔内の確認等を行い、当該補綴物の製作に活用した場合には、歯科技工士連携加算2として、70点を所定点数に加算する。

(どちらかしか取れない)

(印象、バイト、義歯の仮床試適のどれか1回だけ取れる)

 

 

 

M003-4 光学印象(1歯につき)100点
注1 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、区分番号M015-3に掲げるCAD/CAMインレーを製作する場合であって、デジタル印象採得装置を用いて、印象採得及び咬合採得を行った場合に算定する。

咬合採得は別に算定できない。 ←!?(64点+18点の代わりに100点!?)
歯科医師が歯科技工士とともに対面で口腔内の確認等を行い、当該修復物の製作に活用した場合 には、光学印象歯科技工士連携加算として、50 点を所定点数に加算する。ただし、同時に2以 上の修復物の製作を目的とした光学印象を行った場合であっても、光学印象歯科技工士連携加算は1回として算定する。

 

 

 

M015-2 CAD/CAM冠(1歯につき)

エンドクラウンの場合1450点(普通は1200点)

ただし、エンドクラウンでは支台築造は、所定点数に含まれ別に算定できない

 

 

 

P100 歯科外来・在宅ベースアップ評価料(I)(1日につき)

1 初診時 10点 

2 再診時等 2

 

 

 

まとめ

今回の保険改正は、確か6月からであったと記憶しています。

↑のまとめの最後、ベースアップ評価料と言うのがありますが、

4月昇給の医院もおぽいと思いますので、ベースアップ時期をどうするか

(4月も6月もベースアップする?)経営者の皆様は迷うところになりそうです。

 

また、IOS関連でいくとCADインレーは口腔内スキャンで作成できるようになる上、

形成の点数が150点プラスになっています。

(逆にレジン前装冠はマイナス約150点・・・)

 

CADのエンドクラウンも適用ですが、コア点数の代わりといった評価で、

実に微妙な難しい保険改正になるようです。

 

ともかく、保険改正に合わせて診療を行うことも大事かもしれませんが

口腔内スキャナーがようやく保険導入が決まったことは

歓迎すべきことだと思います。

 

そうそう、 3D歯科 の医院も去年から口腔内スキャナーが3台稼働になりました!

PrimeScan、Medit i700、SHINING3D Aoralscan3です。

毎日楽しく3台ともフル活用しています。

 

まだもしも購入されていない先生がいらっしゃいましたら、

点数は低いですが!

保険導入のこの機会に、ぜひ楽しいデジタルの世界に足を踏み入れてみましょう。

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを

少しずつ更新していきます。

 

note.com

↑こちらでも不定期に動画付きのデータを更新しています。

 

よろしければ見ていただけると嬉しいです。

 

先生がたの臨床に少しでもお役に立てていただければ嬉しいです。

今後とも 3D歯科 をよろしくお願いします。

 

 

 

 

 

 

 

口腔内スキャナーでバイトを上げた咬合再得を行う方法、最遠心の補綴バイトを取りやすくする方法②

こんにちは。

3D歯科 です。

 

前回は口腔内スキャンでの、バイトアップした咬合採得や最遠心のバイト採得について

アナログよりも簡単に記録できる方法についてお話ししました。

 

digitaldentistry.hatenablog.com

 

今回は同様の内容で、下準備をすることで咬合支持のないバイトや

バイトアップする咬合採得をやりやすくする方法を紹介します。

 

よろしくお願いします。

 

バイトアップ用スプリントの作成

咬合を安定させて顎位を決定する際には、昔からスプリントが使用されてきました。

アナログでスプリントを作成、調整と使用を繰り返した上で、

咬合採得時にはクロスマウントとしてスプリントをカットしながら複数バイト採得。

その後のスプリントはどうするの!?というほどにアナログにカットして使用します。

 

そこで、材料や患者さんへの説明に折り合いがつくのであれば、

3Dプリントしたマウスピースを使用します。

 

例えばこのような矯正・補綴の診断でバイトをとる際に

リーフゲージなどでCRバイトを採得することも可能ですが、

模型診断などでバイトを安定させた状態で確認したい、

臼歯の嵌合状態でバイト採得をしたい時などには

↓のようにスプリントを製作しておきます。

 

ポイントとしては臼歯部頬側はくり抜いておくことです。

マージンラインは↑の通り。

作成はMedit Splintsで簡単に行なっています。

 

昔にもご紹介しました矯正診断などのCopaSplintをMeditで作成したのと同様です。

さらに頬側をくり抜くことで、スキャンバイト採得の際に邪魔になりません。

 

 

もちろんワックスなどでバイト部分を作成することは可能ですが、

チェアサイドではおおよその咬合高さが決まった状態で削合調整する方が

3D歯科 個人としては行いやすくおすすめです。

 

大規模な補綴・義歯治療における「チートバイト」作成について

今度は両側遊離端のケースなどで考えてみます。

例えば前歯部残存で臼歯に義歯が入っている場合。

鉤歯の補綴を行う際で鉤歯クラウンも、義歯新製も旧義歯と同じバイトで仕上げたい。

そう言ったケースは臨床上よくあることだと思います。

 

そこで、旧義歯が入った状態でバイト採得を行い、

義歯型の咬合堤付きスプリントを作成します。

これなら旧義歯バイトを正確に再現できます。

もちろん旧義歯がコピーデンチャーを作成すると口腔内に安定して復位できるなら

コピーデンチャー法でも構わないと思います。

 

↓このような形状です。

正直なところ、ここにレジンクラスプを設計すると治療用義歯としても使用できます。


3D歯科 はワックスロウ堤で行う咬合採得などのアナログ操作があまり得意でないので

このような下準備をしてからの咬合採得に頼り切ることもあります。

まさに「チート」と呼びたくなるような咬合採得を簡易化してくれるものです。

例えば印象採得をおこなった上でその日にバイト採得を行い、

次回に義歯を完成、と言うことも十分に無理なく行うことができます。

 

作成は簡単にできますので、またnoteなどでも動画付きで公開できればと思います。

Medit Appsと3Dプリンターだけで十分に作成可能です。

 

まとめ

今回は、バイト採得を簡易化するための下準備で作成するスプリントを紹介しました。

前歯のみ噛ませて採得するCRバイト、臼歯を噛ませて咬合調整してからバイト採得する

それぞれの方法に合わせて使い分けてみてください。

 

何もヒントがなく1から咬合採得を行うよりも、非常に簡単にバイトを記録できるようになります。

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを

少しずつ更新していきます。

 

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↑こちらでも不定期に動画付きのデータを更新しています。

 

よろしければ見ていただけると嬉しいです。

 

先生がたの臨床に少しでもお役に立てていただければ嬉しいです。

今後とも 3D歯科 をよろしくお願いします。

 

 

 

 

 

 

 

口腔内スキャナーでバイトを上げた咬合再得を行う方法、最遠心の補綴バイトを取りやすくする方法①

こんにちは。

3D歯科 です。

 

前回は、もうすぐ来る保険改正についてデジタルデンティストリーに関わる項目は

どのように変化しそうかを考えました。

digitaldentistry.hatenablog.com

 

今回は、口腔内スキャナーでバイトをとる際に

現状のバイトではなく、バイトを上げた状態でスキャンする時や

遊離端の補綴やブリッジを行う際のバイトスキャンのポイントをお話しします。

 

よろしくお願いします。

 

口腔内スキャナーでのバイト採得

口腔内スキャナーでバイトを取る際に、アナログと違う点としては

  1. バイト材を介在しないので、患者さんが材料を噛んだ感じがない
  2. オープンバイト状態でもバイトスキャンが可能
  3. 材料の硬化を待つ必要がなく、2〜3秒でスキャンが可能

この辺りが差としてあると思います。

それぞれ確認してみましょう。

 

1.バイト材を介在しないので、患者さんが材料を噛んだ感じがない

これは良いことでもありますが、弱点にもなります。

バイト材を噛み込ませる際に、患者さんがその「硬さ」や「存在感」を感じると

片側に顎位がズレてしまうようなトラブルを経験することがあるかもしれません。

 

そのため患者さんが習慣性で噛んでいる位置を再現するとしたら、

アナログよりも偏位が少なくなるかもしれません。

 

ただし、咬合床を使用せず少数歯残存の症例をバイトスキャンしてみると

患者さんが力をこめて噛んでしまうと、意図したところよりもバイトが下がったり

顎位が偏位してしまう恐れがあります。

 

2.オープンバイト状態でもバイトスキャンが可能

例えばCRバイトを採得するとき、あるいはスリープスプリントを作成するときに

少し口が空いた状態で咬合採得したいときがあるかと思います。

その際に口腔内スキャナーでは上下がマッチングさえできれば

バイトスキャンを正確に採得することができます。

 

 

3.材料の硬化を待つ必要がなく、2〜3秒でスキャンが可能

お使いのシリコンバイトは口腔内に入れてから硬化までどのくらい時間がかかるでしょうか。

1分半くらいが多いと思いますが、意外と1分以上咬合したまま待つ、というのは難しいことです。

 

例えば顎関節症、咬合支持域が減少している人、咬合痛がある方では

咬合状態を保つのは困難になります。

 

ですがスキャンの場合は数秒で、しかも非接触でバイトが取れるので

そうした症例でも咬合採得途中の顎位のずれが最小限のままでスキャンすることができます。

 

バイトを上げた咬合採得を行う方法

これはCRバイトならリーフゲージ、アンテリアジグを使用することもあると思いますが

例えば総義歯においてバイトを上げるとすると、臼歯部にワックスなどを噛ませることもあると思います。

 

ワックスにしてもレジンにしても、臼歯部に適度に軟化した材料を入れて

バイトが上がったまま記録をすることで義歯の咬合再構成を行うことができます。

 

このようなバイトアップを模型上で復位しようとすると

咬合器マウントが安定しにくいこともあるかと思いますが、

口腔内スキャンであればバイトの記録はズレなく行うことが可能です。

このときバイト材を臼歯部頬側に溢れさせないように注意しましょう。

頬側のバイトスキャンが取りやすいように留意しておきましょう。

 

最遠心の補綴のバイトを取りやすくする方法

最遠心の歯を形成して、それからバイトを取ろうとしたときに

咬合位置がずれたり、接触点がなくなったぶんバイトが下がって記録されることがあります。

 

このようなことが起きないように、臼歯の補綴では下準備をしておきます。

アナログであればクロスマウントなどで顎位を維持しながらバイトレコードを取ります。

 

口腔内スキャンであれば、以下の2点がおすすめです。

  1. 治療前クラウンデータを記録、治療前バイトで補綴製作
  2. FGPテクニックのように支台歯上に材料を噛ませてバイト採得

 

1.治療前クラウンデータを記録、治療前バイトで補綴製作

正直なところ、これが口腔内スキャナーを使用する一番のメリットと思っています。

例えば上顎6、7の2本のFMCを除去することを考えると、

アナログで考えた場合には6を除去して形成し、その部位だけシリコンバイトを取り

次に7を除去して形成して、6のシリコンバイトを入れたまま7のバイト採得、

・・・と行うのが確実でしょうか。

 

口腔内スキャナーで行うと、治療前データとしてFMC除去前のデータを

上下しっかりバイトまでスキャンします。

その後にFMC除去を行い形成した後に、上顎データに重ねて最終印象を取ります。

ほぼ全てのスキャナーでこのマッチングは自動で行われ、

バイトはFMC除去前のデータにおいてマウントされます。

 

患者さんがFMC脱離や大きなカリエスで咬合できていない場合でも、

もしすでに患者さんが来院しておりスキャンを取ってさえいれば

スキャナーによっては、既存データに重ねてスキャンを行うことができます。

 

2.FGPテクニックのように支台歯上に材料を噛ませてバイト採得

さて、全く参考データもないときやカリエスや脱離で最遠心の咬合が失われている時、

アナログであればおそらく咬合床を作成して次回にバイト採得するか

諦めておおよその咬合採得を行い、セット物の咬合調整を頑張るのかもしれません。

 

ですがアナログ、デジタル両方で活用できる方法として

FGPテクニックのように支台歯上に材料を噛ませてなるべくずれのない咬合採得を行うことも考えられます。

 

本当はワックスを用いるのですが、例えば軟化パラフィンやユーティリティワックスなどでは

咬合高径を支えきれずバイトが下がる恐れがあります。

3D歯科 のおすすめとしては、光照射で硬化するペーストタイプの仮封材を用いた

FGP風テクニックを活用することです。

 

こちらのレジンをちょっと多めに丸めて支台歯におき、軽くタッピングや

側方運動を行わせて擬似咬合面形態を作ります。

 

この材料は光照射で硬化するので、患者さんが間違えて噛んだ場合は丸め直してやり直せますし、

噛み込みすぎない、ココ!というポイントで光照射してバイトの低下を防止できます。

 

個人的には義歯のバイトアップやマージン付近の歯肉圧排にも使用する扱いやすいアイテムです。

 

これを最遠心の支台歯にのせてクラウンで噛んだのを再現したいちで硬化させ使用するだけでなく、

FGPテクニックのように機能運動をさせた圧痕をつけて、その表面をスキャンすることで

顎運動に調和したクラウン形態のおおよその外形をつかむことができます。

 

このデータを参照しながらクラウンのデザインを行うと、硬化後も多少の弾性が残るので

仮封材よりも咬合面が高くしないような形態でCADを仕上げると咬合調整の少ない形態にできます。

 

まとめ

今回は患者さんも快適で術者も簡単な、バイトを変更したスキャンの採得方法についてお話ししました。

 

次回はスプリントデザインを行い、3Dプリントしバイトアップ診断や顎関節・審美確認用の

診断用スプリントを作成してバイトスキャンを行う方法について紹介します。

 

そうそう、中医協の発表を見ていると、ようやくデジタルを後押しする保険改正になっていますね。

 

いわゆる(PEEKでなく)CAD /CAM冠は適応範囲が7番まで広がります

片側ごとで考えて、6か7の咬合接触がある場合は他の大臼歯もCAD /CAM冠が使えるほか

対合が義歯、欠損の場合も反対側の大臼歯咬合があれば7番もCAD /CAM冠がOKになります!

これはありがたい・・・

 

PEEKやCAD /CAM冠の連結は見送られましたが、

後はPEEKブリッジが保険が通れば、事実上すべての保険クラウンが

口腔内スキャナーで製作できる未来が近づいてきます。

 

3D歯科 はいわゆる自費率は高くないので、保険でどんどん良い治療が

口腔内スキャンでより患者さんが快適に受けられるようになるのはありがたい限りです。

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを

少しずつ更新していきます。

 

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よろしければ見ていただけると嬉しいです。

 

先生がたの臨床に少しでもお役に立てていただければ嬉しいです。

今後とも 3D歯科 をよろしくお願いします。