3D歯科 のデジタル歯医者入門

最小限の費用と努力で最大限の恩恵を受ける歯科デジタル活用術

このブログで紹介されるリンクの一部はアフィリエイト広告を含みます。 リンク先での購入者に方には影響はありませんが、ブログ運営者に広告収益が入ります。

インハウスアライナーに取り組もう①矯正用マウスピースのプレス・カットを簡単に行う方法

こんにちは。

3D歯科 です。

 

前回はMeditのClinicCADなどのMedit Appsが今後どういう扱いになりそうかについて

個人的な希望と予想をお話ししました。

digitaldentistry.hatenablog.com

 

今回は、アライナー矯正を院内製作で行う先生に向けて、

手元にあるバキュームフォーマーなどの機器でうまくアライナーを製作する手法を紹介します。

 

よろしくお願いします。

 

インハウスアライナーについて

マウスピース矯正、アライナー矯正が一般化してきた現在、

インビザラインやクリアコレクトなど、大手ブランドを活用している先生も多いと思います。

 

3D歯科 もメインでクリアコレクトを用いてアライナー矯正を行なっていますが、

マウスピースを頻繁に作り替える補綴の絡んだ症例や、

クリアコレクトでマウスピース製作の補償が切れた症例、

早く製作して患者さんに届けたい場合などに(クリアコレクトは届くのが遅い)

院内で矯正用マウスピースを製作することも時々あります。

 

そのような院内製作の矯正用マウスピース=インハウスアライナー を製作する場合

なかなか通常の院内では機器が揃っていない場合もあります。

 

もちろん、ちゃんとした高額な機器を揃えてから治療すべき、

というお叱りを受けるかもしれませんが

院内によくある機器やすぐ手に入る材料を用いてアライナーを製作することもできます。

 

インハウスアライナーで使用している機器について

3D歯科 は矯正専門でもなくGPなので、矯正治療のためだけに大きな院内の投資を行うことは難しいです。

最近ようやく加圧式のマウスピース成型機を入手しました。

それまではずっと吸引式のよくあるモデルを工夫して使用してきました(今もよく使用します)。

みんな大好きCiメディカルで5万円以下で購入でき、いわゆるソフトタイプのシートには

十分な性能を持っていると思っています。

 

ですがこうした吸引型は、軟化したシートを一気に掃除機のような機構で吸いながら

模型に押し当てて成型するので、ハードタイプのシートでは細かい再現ができず

特に上顎前歯などで頬側歯頸部がうまく再現できないことも多かったです。

 

吸引式の成型機で上顎前歯をなんとか再現する

さて、上顎前歯をなんとかきれいに成型するために、

よくある方法はガラスビーズなどで模型の傾きを調整する方法があります。

 

ですが多量のマウスピースを製作するアライナー矯正では

1枚ずつガラスビーズを調整したりセッティングするのは正直面倒です。

 

そのため、工夫でこの問題を乗り越えていたので紹介します。

(注意:精度を求める矯正の専門の先生には怒られそうな方法です、自己責任で参考にしてください・・・)

 

まずは通常通りに、しっかり軟化させたマウスピースのシートを

いつも通り模型に圧接します。

 

圧接したと同時に、急いで模型最遠心がずれないようにしつつ前方へ押し出し

上顎前歯の頬側面の吸引をサポートします。

 

これで大体は上顎前歯歯頸部までシートが回り込んでくれます。

 

元はスポーツマウスガードを使用する際に吸引せずプレスして

前方に押す、という技工士さんの技があるのですが(技工士さんのYouTubeで学んだ記憶があります・・・)

それを行ううちにアライナーでも応用してみました。

 

模型の剛性がないと変形も伴うような非常に乱暴な方法かもしれませんが

例えばリテーナーをすぐ渡したい時など、吸引型の機器でうまく上顎前歯が再現できない場合に用いていただければ

これだけで歯頸部のフィット感がかなり良くなります。

 

模型そのものの後縁にサポートバーのようなものを付与して、

それを支えに模型を外す、という方法もお聞きしたことがあります。

3D歯科 の使用しているソフトでは後方のサポートバーを付与できないので

こういった方法でなんとか行なっています。

 

 

模型を壊さずアライナーシートを外す

さて、場合によっては一度マウスピースを成型したのちに

厚みを変えてもう一枚シートをプレスしたい場合もあるかもしれません。

 

そんな時にシートを模型から外す際、模型が割れたり折れたりして

ガックリくることも少なくはありません。

 

1mm以上のハードのシートではバーでカットするのが一番なのでしょうが

フィッシャーバーなどで切離すると模型も痛む上、研磨が面倒です。

 

そのため、1mm以下ではこのような(やや乱暴な)方法を用いて模型を外します。

 

まずは切れ味のいい外科ハサミで後縁のこの辺りまで切り込みを入れて

 

最遠心の咬合面を指で押さえて頬側方向へ引き裂きます

 

裏返して、このような形になったら

 

舌側から押し出すように模型を取り出します

 

多用する0.625mmシートまでは、ほぼ模型を壊さずに一気に外せます。

必要に応じて写真のように左右ともに切れ込みを入れて浮かせて外します。

 

 

これらの方法だと大臼歯最遠心が多少なりとも変形のリスクがありますので、

大臼歯の移動を伴う矯正には用いない方が賢明かもしれません。

ただ、インハウスアライナーで大臼歯をガンガン歯体移動させるというのも大変なので

そのあたりはインビザやクリアコレクトなどに外注した方がいいと思います。

 

 

 

ちなみにハサミはこういった先の丸いものを使用します。安価です。

 

まとめ

今回はインハウスアライナーを製作する際に

限られた機器や道具でなんとかマウスピースを効率よく製作するための方法を紹介しました。

正直なところドクターがここまで行うことなく、院内の技工士さんや外注に出すのが一般的かもしれません。

 

ですがすぐに製作したい、セットしたいなどチェアサイドで困った時には

参考にしていただいてもいいかもしれません。

 

次回は補綴が絡むケースで、補綴やTEKセットと同時にアライナーやリテーナー

セットする方法を紹介します。

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを

少しずつ更新していきます。

 

note.com

↑こちらでも不定期に動画付きのデータを更新しています。

 

よろしければ見ていただけると嬉しいです。