3D歯科 のデジタル歯医者入門

最小限の費用と努力で最大限の恩恵を受ける歯科デジタル活用術

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フェイススキャンとして利用するRevopointスキャナー、POP2とMINIの比較レビュー

こんにちは。

3D歯科 です。

 

前回はMedit Design 2.1アップデートで簡単になったデータ同士の接続についてお話ししました。

 

今回は、以前にも紹介したRevopointのスキャナーについて、

フェイススキャンとして利用した時、どの機種が扱いやすいかをレビューします。

よろしくお願いします。

 

Revopointスキャナーについて

Revopointは民製品のハンドヘルドスキャナーを製造するメーカーです。

一昔前までは非常に大型、重く、高価であった3Dスキャナーについて、

低価格で非常に小型なモデルを製造しています。

 

現在のところ、POP、POP2、MINIという3機種があります。

このうち、POP2とMINIが現行機種となっています。

 

スキャナーの価格

それぞれ0.02mmや0.05mmの精度を持つとされる3Dスキャナーですが、

(口腔内スキャナーも精度は0.03〜0.05mmとされているようです)

非常に低価格なものとなっています。

 

POP2 95,900円

MINI  129,999円

精度の高いMINIの方が高価なモデルになっているようです。

 

簡単な利用方法だと模型スキャナーとしても利用できる(かも)

メーカーの言う精度が出るのであれば、技工で使用する模型スキャナーとして

利用できるのかもしれません。

 

実際、総義歯コピーデンチャーやアライナー製作でSTL(歯列の3D)データが欲しい場合は

利用できるかもしれません。

 

ただし、縁下の形成やアンダーカットが大きな症例などでは

現実的に仕事で使用するには厳しいように感じました。

(実際に比較はしていません、スキャン直後のデータの見え方が荒かったです)

 

口腔内スキャナーをお持ちでない先生としては、低価格なスキャナーから

導入してみたいと思うかもしれませんが、10〜13万円出すのであれば

200万円を切る口腔内スキャナーも増えていますので、

頑張ってそちらを購入する方が正直なところおすすめです。

 

チェアサイドでの用途

口腔内スキャナーも持っている先生が、Revopointのスキャナーを購入する目的は、

ズバリ、フェイススキャンのためです。

 

フェイススキャンは、文字通り患者さんの顔貌データをSTLなど、

CADソフトで扱える形式で保存する機器のことです。

 

これによりワックスアップなどで患者さんの顔貌を、文字通り見ながら作業が行えます。

前歯の治療のインサイザルポジションの決定、義歯の咬合平面の確認、

正治療のゴールの決定・・・さまざまな用途に用いています。

 

口腔内スキャナーでも頑張ると、上顎からスキャンをつないで鼻や目元までのスキャンは可能です。

ですがスキャンに時間がかかるほか、データが大きくなりすぎるとエラーも出やすくなってしまいます。

 

そのため、口腔内と上口唇、鼻の近くまでは口腔内スキャナー。

目や耳の辺りまでのデータはフェイススキャンで取得します。

後でCADソフトでそれらデータをマッチングさせ統合して使用します。

 

フェイススキャンの準備とかかる時間

Revopointのスキャナーは、パソコンに接続したらバスパワーでも使用できます。

ただ口腔内スキャナーと同じPCに同時に接続するのは負荷の面でもお勧めできません。

 

オススメの機器接続としては、モバイルバッテリーで給電し、iPhoneと無線接続することです。

そうすることで顔貌写真でも使用する先生の多いiPhoneiPadで処理を行えます。

 

 

このような便利グッズもRevopointサイトで販売しています(もちろん汎用品でもOKです)

 

接続は、本体に給電するとWIFIアクセスポイントがiPhoneで出てきますので

iPhoneWi-Fi設定でRevopointスキャナーを選択、それから専用アプリを起動します。

 

ソフトはすぐ使用可能で、Wi-Fiで本体と接続されるまで数秒待てば使用可能です。

 

スキャンを行う際には十分な明るさがないと深いところまで立体像が得られません。

 

 

さて、フェイススキャン自体は15秒程度で終了します。

髪の毛はスキャンは苦手ですが、丁寧に行っても30秒もかかりません。

iPhoneXSではスキャン後の処理で1分程度かかります。

十分にチェアサイドでも行うことができます。

 

なぜRevopointが良いのか

さて、フェイススキャナーは各社から歯科用を謳ったものが出てきています。

初めはアプリのBellus Dental Proを使用していましたが精度に満足いかないのと

今年でサービスが終了することもあり、他のスキャナーを試していました。

 

SNAPという韓国製の歯科用顔貌スキャナーも試しましたが、

上顎歯列模型とのマッチングに、専用のジグをバイト材などで口腔内に固定し

2つスキャンをしないとマッチングできません。

また、SNAPも歯の付近や細かいポイントが潰れてしまい、

参考程度にしか使用できない印象でした。

 

ですがRevopointのスキャナーは

歯牙のある症例であれば、顔貌と共に前歯をスキャンすると、

なかなかの高精度で前歯の立体的情報も取得できます。

 

そのため、鼻までの口腔内スキャンと、前歯の入ったフェイススキャンは

特別な器具や手間なく、CADソフトでマッチングできます。

 

どのRevopointスキャナーがオススメか

さてどの機種を使用するのが良いのでしょうか。

この手の機械は、非常に足が早くどんどん進化して手元のものは陳腐化していきます。

 

現在のところ、POP2とMINIがありますが、

結論を言うとPOP2がオススメです。

 

確かにMINIは高精細ではありますが、

フェイススキャンの用途であればPOP2でも精度は十分です。

もしかすると義歯のスキャンや咬合床を口腔外でスキャンするのであれば

MINIはメリットがあるかもしれません。

ですが口腔内スキャナーより精度が低く(?)、POP2よりスキャン速度が遅いので

MINIのメリットは現在の用途ではないと感じました。

 

また、MINIはブルーライトを発してスキャンします。

口腔内スキャナーと同様の機構なのでしょうか。

これで目元をスキャンするのは非常にまぶしいです。

メーカーでも目に当てないでと記載があります。

 

POP2は赤外線レーザーです。

そのため、目元のスキャンをするときにもまぶしくなく、

患者さんに説明したり事前に断っておく必要はなく使用しやすいです。

 

POP2を購入しましょう。

 

まとめ

デジタル機器や活用方法はどんどん進化していきます。

おそらくもう少しで、口元の動きも全てスキャンできるようになってくると思います。

スマイル時の口唇の動きや、頬の動きなどが記録できれば、

完全なデジタルペイシェントが完成します。

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを

少しずつ更新していきます。

 

note.com

↑こちらでも不定期に動画付きのデータを更新しています。

よろしければ見ていただけると嬉しいです。

 

先生がたの臨床に少しでもお役に立てていただければ嬉しいです。

今後とも 3D歯科 をよろしくお願いします。

 

 

Medit Linkの簡易CADアドオンソフト Medit Design 2.1 アップデート レビュー②CADソフトとしてのMedit Design

こんにちは。

3D歯科 です。

 

前回はMedit Linkが大きくアップデートされたため2回に分けてレビューしました。

Mac対応したことと、スキャン自体の快適さが向上しました。

digitaldentistry.hatenablog.com

 

今回は、こちら

digitaldentistry.hatenablog.com

でも紹介した、Medit Designのアップデートをもう少し掘り下げてみます。

よろしくお願いします。

 

CADソフトで行うこと

デジタル技工を行う技工士さんが行なっているCAD作業とはどのようなものでしょうか。

 

ドクターから送信された3Dデータを編集しエラー部分を消去し(模型作り)

デジタル咬合器に装着、マウントを行い(咬合器装着)

歯冠データをインポート、加工し(ワックスアップ)

作成する補綴ごとにデータを加工、出力する(埋没、鋳造)

・・・という流れが一般的です。

 

この中で、デジタル咬合器へのマウントについては、Medit Designで行うことはできません。

そのうちにデジタル咬合器が追加することを期待しましょう。

 

それ以外の、

模型作り、ワックスアップ、補綴製作、という流れは全てMedit Designで行えます。

 

ただしセメントスペース内に支台歯の鋭角部分をリリーフしたり、

ガイドプレーン形成をサベイングに基づき行うなど

マニアックな内容は行えません。

 

それ以外の基本的なことは全てMedit DesignとMedit Appsで可能です。

ただしワックスアップを細かく行うことは(今のところ)B4Dの方がかなり早いです。

咬合器も使用できますので、 3D歯科 もワックスアップと咬合調整をB4D

クラウン(TEKなど)製作や、通常の形態のスプリント製作はMeditで行なっています。

シンプルな操作感で、模型作りやTEK作りはかなり高速に行うことができます。

 

Medit Design 2.1の有効活用法

前回紹介した新機能のうち、ミラー(反対側同名歯をコピー)機能を利用した場合、

ワックスアップデータとして元のデータと別の歯冠データが出てきます。

 

これを元の歯列データにくっつけるために、

ブーリアン操作で結合させるほか、新機能の接続を利用して簡単に結合もできます。

 

ですが、メッシュデータのエラーや表裏が混在している(データが裏返っている)など

トラブルがあった場合はうまくいきません。

その場合は、新機能のブリッジを使用するのですが、

結合したい二つのデータにのりシロを作ってからブリッジを行います。

 

具体的には、2つのデータのくっつけたい部分をわずかに消去して

消去した部分同士をブリッジします。

その後に穴埋め機能を使用することで、楽にデータを結合できます。

 

Meditのソフトはドクターが簡単に使用できるようになっており、

メッシュデータのエラーなど、CADを行う上で避けて通れなかった箇所を

うまく隠してくれて、利用できるようになっています。

 

ですがミラーで作成したデータや、他から持ってきた歯冠データなどを活用する際、

そのままではクラウン製作やModel Builderでエラーが出てしまうこともあります。

 

その時に「のりシロ」「ブリッジ」「穴埋め」の組み合わせは

非常に簡単にエラーが解決できるようになります。

 

まとめ

特に 3D歯科 ではこの接続方法を、CADデンチャー製作に多用しています。

総義歯治療におけるCADの利用は、今まさに発展してきており

日進月歩でソフトも進化、またたくさんのドクターたちがアイディアを出し合って

臨床で使用しやすいように進化しています。

 

3D歯科 も日常臨床でCADデンチャーを研究しつつ取り入れています。

B4Dでも義歯モジュールが発売されました(購入して今、研究中です)。

クラウン製作やスプリント製作が当然のようにチェアサイドに取り入れられる今、

義歯も、また他の治療もCADの力を借りて進化していきそうです。

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを

少しずつ更新していきます。

 

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今後とも 3D歯科 をよろしくお願いします。

 

 

Medit Link v3.0 & Medit Scan for Clinics v1.9 大型アップデート!②Windows PCとMacの速度比較

こんにちは。

3D歯科 です。

 

前回はMedit Linkの3.0大型アップデートについて紹介しました。

Macに対応したことが1つの大きなニュースとなりましたが、

実際にMacでの挙動はどうか、紹介いたします。

よろしくお願いします。

 

Macとの接続はケーブル1本!

さて、 3D歯科 はMeditのi700を使用していますので、早速接続してみます。

 

PCの場合、場合によってはi700接続のUSB-Cケーブルから分岐して電源アダプターを

必要とすることもあるようです。

 

手元のi700はPCとセットでストローマン(インプラントの)から購入しましたが

ノートPCですが、PC自体を電源接続するとUSB-Cケーブルには電源をハブで繋ぐ必要はありません。

ただし、バッテリー駆動ではPCの動作が重くなり、スキャン使用には心もとないです。

 

今回比較で使用するのはMacbook Air M1(2020)の一番低価格のモデルです。

 

MacBook Airといえば、軽量でバッテリーでも1日駆動してくれるモデルです。

なんと電源に繋ぐこともなく、本当にMacBook Airにi700をケーブル1本接続すると動作します!

今のところ動作が使用できないほどに、もたついたりすることはなさそうです。

 

MacにMedit Linkをインストールするときの注意点

まずはMacにMedit Linkをインストールしますが、

その前に、Macが2020年以降の、M1プロセッサーを搭載していることが必要です。

 

次に、インストールする際に、20GBのディスクの空き容量が必要です。

Medit Linkにアップデートを行う際にも20GBは開けておく必要があります。

Medit Appsはそれぞれ1GB近くあるものもあり、使用頻度の高いものを揃えても

3GB以上は使用するかも、と考えておきましょう。

 

B4DなどのCADソフトも、フェイススキャンや歯列のコピーなどを使用していると

1プロジェクトで1GBになることも多いです。

Macはディスクの追加が難しいので、Lanでのハードディスク(Nas)の利用や

iCloudの課金を考えた方が快適に使用できそうです。

 

PC:スキャンと、Model Builderで模型データを加工し終えるまでの速度

さて今回行ったテストですが、i700と同時に購入したノートパソコン、

おそらく高級ゲーミングPCのようなスペック、価格は50万円前後・・・です。

スキャン環境は無影灯は無しでi700はバスパワー接続。

PCは電源に接続した状態です。

スキャンは同じ術者が同じように行い、操作はi700のリモコン部分で操作します。

 

 

およそですが、スキャン時間は上下の全顎とバイトで4分10秒でした。

 

その後にMedit Linkでの処理が進んで模型が表示されるまで40秒。

スキャン後にデータがMedit Linkで処理とアップロードが終わるのに2分。

 

Model Builderの操作で、模型プリント用のデータを出力するまで1分30秒。

 

合計、スキャンから模型作成の操作で8分20秒でした。

 

MacBook Air:スキャンとModel Builderの操作

さて今度はMacBook Airでテストします。

MacBook AirではMacを電源には接続せず、バッテリー駆動

さらにi700もMacにバスパワー接続。非常にシンプルな接続で行いました。

 

スキャン時間は上下の全顎とバイトでおよそ6分でした。

その後にMedit Linkでの処理が進んで模型が表示されるまで1分20秒。

アップロードと処理が全て終えて、データを編集・Medit Appで利用できるようになるまでは

2分40秒さらに必要でした。

 

Model Builderの操作で、模型プリント用のデータを出力するまで1分30秒。

 

合計、スキャン開始から模型作成の操作で12分前後でした。

スキャン開始からMedit OrthoやTemporariesを使用できるようになるまでは10分でした。

 

おまけ!Primescanでの上下全顎スキャン

最後に、参考までにPrimescanでの上下スキャンを検証しました。

使用したのはDI Primescan。電源に接続して動作させます。

 

スキャン時間は上下の全顎とバイトでちょうど3分でした。

 

スキャン後にデータの処理が終わり、画像を表示できるまでに1分20秒程度。

やはり高速であるのと、固形空隙のスキャン不良が少ないことが印象的でした。

 

上下全顎スキャンして模型が表示されるまでの時間比較

・プライムスキャン→4分20秒

 

・高級PCとMedit I700→4分50秒

 

・バッテリー駆動MacBook Air(M1 2020)とMedit I700→7分20秒

 

まとめ

さて今回は50万円のWindows PCと、10万円ちょっとのMacBook Airの比較を行いました。

 

価格差がすごい中での、スキャン速度の差も確認できましたが、

2020年の最安のMacBook Airでも、上下全額のスキャンで6分ということを考えると

十分に選択肢になるのではないでしょうか。

 

シリコン印象より間違いなく速く、アルジネートでの上下印象より

片付けや準備、患者さんの負担を思うとメリットは大きいと思います。

 

やはりPrimescanは高速ですが、スキャナーの撮影方式が異なるようで

1ヶ所にスキャナーを当てただけでも周辺のデータを勝手に拾ってくれる点と

すでに撮影したデータへの重ね合わせ、データの認識が高速であるため

スキャン自体が早く終了する傾向にあります。

バイトデータも取得は早いのと、多少上下顎が離れていてもマッチングしやすいです。

 

ただチップ先端が大きいことと、スキャン直後には画像が表示されない処理時間が長い

という点もデメリットになるかも知れません。

 

もしまだ口腔内スキャナーを購入していない先生で、これから検討している場合、

補綴をたくさん行う、外注するならPrimescanが精度でも優れています。

アライナー矯正やマルモをとるような用途なら、Medit I700がコスパもいいです。

 

Appleファンとしては、MacBook ProのM2 Proなど、グラフィックが強力なモデルで

テストをしてみたいと考えてはいます。ただ円安で高価でしょうが・・・

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを

少しずつ更新していきます。

 

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今後とも 3D歯科 をよろしくお願いします。

Medit Link v3.0.0 & Medit Scan for Clinics v1.9.0 大型アップデート!①アップデート内容の紹介

こんにちは。

3D歯科 です。

 

前回はMedit Designのアップデートについてお話ししました。

Medit Designは簡易CADソフトとして扱いやすく良いソフトです。

もう少し掘り下げようと思っていたところ、Medit Link自体の大型アップデートが

リリースされましたのでそちらを先に紹介します。

よろしくお願いします。

 

Medit Linkは言わずと知れたMedit口腔内スキャナーを使用する際の母艦ソフトです。

i700などのスキャナーを接続し、スキャンソフトやTEK、スプリントを作成するための

Medit Appsもここからアクセスできます。

 

何と言ってもクラウドベースでPC環境全てが自動的に同期して、

患者さんのデータがいつでもどこでも、参照できるのは非常に使用しやすいです。

 

このMedit Linkが3.0にアップデートされました。

多くの機能追加がされましたが、何よりも目玉なのは

MacへのMedit LinkとMedit Appsの公式対応

という点でしょう。

 

Mac対応のメリット

普段から仕事でWindowsを使用することは多いと思います。

それならMacで使用できるようになっても、今までの環境で満足している、

という先生も多いと思います。

 

ですが 3D歯科 のお勧めするMacのメリットは

Windowsと違い、ソフトもハードも全世界で同じものが使用できる点です。

 

どうしてもPCは相性問題や、それぞれにインストールされたソフト、ドライバーにより

ソフトや接続したハード(口腔内スキャナー)の動作が不安定になることがあります。

 

スキャン専用マシンとしても(Medit Linkのソフトが安定さえしていれば)

院内のどこまでもMacbook airを持ち運んでスキャンできますし

自宅のMacbookでテンポラリーや模型作り、スプリント作成を

同じソフトや使用感で操作することもできます。

 

また、現場でPCがフリーズしたり、Windowsアップデートが始まっていたり・・・

いますぐスキャンしたい時にも、Mac1台を持っているとバックアップとして利用できます。

 

マシンの買い替えの際にも、Macはすぐ入手できるのでどのPCを買えば、

スペックは・・・グラフィックボードは・・・と思い悩む時間をなくせます。

 

データ処理の高速化

またMedit Link自体の動作も効率化されているようです。

スキャン終了後に患者さんへ模型を表示して説明する際、

今まではMedit Linkがアップロードを終えて処理するまで上下を分けた模型として

表示することはできませんでした。

 

ですが今回からRAWデータ(処理していないスキャンそのままのデータ)ではありますが

スキャン終了直後から上下とバイトをそれぞれ単独で表示できるので説明しやすいです。

 

また処理自体もスキャンの裏で行われるようになっているそうで、

スキャン終了後にAppsなどを使用可能になるまでの時間が短縮されました。

 

Medit Scan for Clinics v1.9.0

さて、肝心のスキャンについてです。

3D歯科 はi700を使用していますが、結論としてスキャンが速くなりました。

 

マシン自体が変わったわけではないのですが、

スティッチ(スキャン途中で部分どうしを繋ぎ合わせて処理すること)が

非常に高速化されたためスキャン中のストレスが軽減されました。

 

プライムスキャンと比較すると、それでもまだスティッチやバイトの認識速度は劣ります。

ですがスキャンチップが小さく最遠心まで届きやすいこと、軽量でスタッフにも扱いやすいこと。

何よりも価格を考えると十二分にスキャナーの中でベストモデルの1つであることは

間違いなさそうです。

 

 

また、i700ではリモートコントロールのためのボタンやカーソルがありますが、

これらを用いての操作がさらに行いやすくなりました。

スキャンデータをPCに触らず回転させて確認、などは(今までも操作すればできましたが)

さらに直感的になり、スタッフも使用しやすくなったようです。

 

ただ 3D歯科 はゲームボーイスーファミ世代なので

あのスティック上のカーソル?はできれば十時キーにして欲しいと思います・・・

ということを業者さんに言うと、ニンテンドーDS以降の世代はあの形状が当然とのこと。

なかなかカーソルのクリック操作がうまくいきません・・・

 

まとめ

ここまで記載しましたが、アップデートで恩恵を受けるのは

すでに使用している先生の作業効率化だけではなく、

これから購入する先生が、何十万円もするメーカー指定のPCを購入しなくてもいい

と言う点なのかも知れません。

 

スキャナー本体だけでの価格を考えると、i700はさらに他のスキャナーより

格安感が増してきます。

 

円安でMacも高額になっていますが、

Apple Storeの再生品ではMacBook Air(M1)も10万円程度ということを考えると

50万円ほどするWindowsのスキャン用のPCと比較すると安価で軽量で、

非常に良い選択肢だと思います。

 

今日の深夜に発表されたiPadは円安で非常に高価になりました。

M1搭載のiPad airを値上げ前の在庫を追加購入したとともに、

今度はMeditがM1搭載のiPadでMedit Linkを動かしてくれることを期待しています。

追記

リリース直後で、ややスキャン中に不安定なこともありましたが、

Meditからすでに3.0.1の修正アップデートが来ました。

この開発の速さがMeditの素晴らしいところです!

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを

少しずつ更新していきます。

 

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今後とも 3D歯科 をよろしくお願いします。

 

 

Medit Linkの簡易CADアドオンソフト Medit Design 2.1 アップデート レビュー①機能の紹介

こんにちは。

3D歯科 です。

 

前回はついにアップデートされたMedit AppsのTemporaries1.1.1において、

実際に作成したジルコニアを口腔内に試適して精度を確認した内容についてお話ししました。

 

今回は同じくMedit Linkの追加アプリのひとつである、

Medit Designが2.1にアップデートされ、使いやすい内容が増えましたので

ご紹介をさせていただきます。

 

Medit Designについて

Medit Designは、Meditの提供している無料のアドオン、Medit Appsの1つです。

内容としては、簡易的なCADソフト、つまり口腔内スキャナーで撮影したデータを

STLという形式でエクスポートしたのち、そのデータを自由に編集できるというものです。

 

とは言え、いわゆる高級な歯科用CADソフトであるExocadや3Shape、inLabと比較して

かなり限定されたことしかできませんでした。

 

3D歯科 の使用している歯科用CADソフトのB4D(Blenderアドオン)や

Meshmixerなどのソフトと比較して、簡単には扱えるものの

できることが限定的でした。

 

前回のアップデートで、ブーリアンオペレーション(2つのSTLを差し引いたり接続したり)

ができるようになりました。

ブーリアンオペレーションにより、対合の咬合面の分だけワックスアップを削り取る、

というようなことが可能になりました。

 

ですがSTLのエラー(スキャン不良や印象の穴があるところ)の補修など

細かいところはMeshmixerの方が仕上がりが良く、早く、

まだまだ実践で使用することは少なかったです。

 

Medit Design 2.1 新機能について

今回のアップデートでは、細かな修正も含めて多くの変更が加えられています。

中でも 3D歯科 がよく使用する機能と思ったのは、

「ミラー機能」

 

また、「ブリッジ機能」

この二つです。

 

それぞれ機能と用途を簡単に紹介します。

 

ミラー機能

技工士さんがCADをする場合でも、単冠の補綴などで形態を周りに調和させたいとき

反対側の同名歯をコピーして反転し、使用することはよくあります。

 

これにより前歯における表面性状を忠実に再現し、

臼歯部の咬合接触は、咬合面の自然な状態をコピーすることで

より調和した咬合接触を作りやすくなります。

 

これまでも前歯の1本ワックスアップなどでは、MeshmixerやB4D(Blender)で

反転させてもとデータにくっつけて使用していました。

 

今回追加されたミラー機能は、選択した歯のデータをワックスアップ歯冠データとして

簡単にコピーできるようになりました。

同様に追加された「接続」ボタンにより、元データとの接続も非常に簡単です。

ブーリアンでの接続よりも形態の意図しない変化がなく使用しやすいです)

 

ブリッジ機能

これは主に、口腔内スキャンで取得したデータに

意図しない穴やスキャンもれがあった場合に使用します。

 

歯冠部分の穴に関しては、「穴を埋める」ボタンですぐ対応できますが

Meshmixerなどでもそうですが)大きめな穴ではPCの処理能力を超えて固まったり

穴の埋め方が意図しない方向で行われたりトラブルがありました。

 

このブリッジ機能は、スキャンにできた穴の一部分を手動で埋めてあげることで

自動の穴を埋める機能を補助してあげる機能、として利用することが多いです。

 

特に 3D歯科 では、既存のフルデンチャーをスキャンしてコピーデンチャーを

作成することが多いのですが、患者さんから借りた義歯をチェアサイドの限られた時間で

完璧にスキャンするのは時間もかかり、コツも必要です。

 

このブリッジ機能はフルデンチャーのコピーのスキャンで、一部分に穴が空いた際に

義歯表面の曲面形態もなるべく再現したい際に、曲面に合わせてブリッジ機能で

橋渡しをしておくことで、その後に穴を埋めるを行なった際に

ほぼ自動で目的の自然な穴の埋め方が得られます。

 

まとめ

ものすごいスピードで更新されているMedit Link。

ついにベータテストMac版も完成に近づいているようです。

咬合器機能やデンチャー作成機能など、欲しい機能はまだありますが

Meditならどんどん更新してくれるのではないかと期待してしまいます。

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを

少しずつ更新していきます。

 

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よろしければ見ていただけると嬉しいです。

 

先生がたの臨床に少しでもお役に立てていただければ嬉しいです。

今後とも 3D歯科 をよろしくお願いします。

 

 

Medit Temporaries 1.1 アップデート レビュー④TEKのみならずジルコニアを出力して口腔内へ試適

こんにちは。

3D歯科 です。

 

前回はついにアップデートされたMedit AppsのTemporaries1.1.1において、

内面や外面の調整についてお話ししました。

 

digitaldentistry.hatenablog.com

 

今回は、TEKだけでなく、ディスクからミリングされたジルコニアで検証してみます。

よろしくお願いいたします。

 

ミリングで使用するデータを準備する

さて、前回までの3Dプリントでの検証から、

Medit Libraryを使用して、全くパラメーターを操作せずソフトに任せて作成すると

咬合が高くなってしまったことがわかっています。

 

そのため、今回の試作では元のTEKデータをスキャンし、

その形態と同一でジルコニアを作成することを目標としました。

下が元のTEKのスキャンデータを模型にしたもの。

咬合面形態の細かい形態は失われています。

 

このデータを作成するモードは

「pre-ope + prepared data」

です。

 

治療前データと、形成した支台歯データの両方をインポートするやり方です。

このモードにおいて、後のクラウン製作の内容は全て初期パラメーターのまま、

唯一、マージンの厚みは0.2mmに変更しました。

 

作成前のテックと完成したジルコニアの写真

大変申し訳ありませんが、この後の内容は患者さんの口腔内の写真を含むため、

歯科医師のみの閲覧とさせてください。

写真の2次利用などはやめてください。

 

 

 

 

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ご協力ありがとうございます。

 

こちらがテックを入れた写真です。

左下456の連結冠です。

咬合接触も適切になるまで調整ができています。

 

このテックを口腔内でスキャンして、prepared dataとして利用します。

 

作成したジルコニアがこちらです。

ジルコニアは咬合の確認がしやすいように、ステインなしで研磨のみとしました。

前回までに確認していた3Dプリントの試作クラウンと同形態です。

咬合接触や内面の適合も同じです(材質が違うのでミリングの方がややきついフィットでした)

 

簡易咬合器模型に入れたものがこちらです。

マージンも含め、形成ラインにピッタリしています(舌側は一部縁上)。

咬合もテックと同形態であり、そのテックは咬合がピッタリなので

浮き上がることもなく、適正です。

 

いよいよ口腔内に試適してみます。

研磨仕上げである上、シェードはディスク選択が適切でないようですが、

テックと同一形態であることがわかります。

 

何よりもありがたいのが、咬合接触はテック通りで無調整です。

咬合紙も引き抜き試験で他と問題なく咬合接触しています。

 

今回はテストではありましたが、

歯科医師の判断と責任のもと、実践でも使用できる可能性が示されました。

 

まとめ

今回のテストはMedit Temporariesの可能性を探ってみました。

治療前データの形態が適切であったり、テックが完璧に調整できる先生にとっては

非常に強力なソフトとなりそうです。

 

さて、治療前のデータがないときはどうすれば良いでしょうか。

Meshmixerなどのソフトにてワックスアップしたデータをマッチングさせ、

治療前データとして使用することも可能です。

 

ですがTEKをプリントできる環境があるのであれば、

Medit Temporaries 1.1のMedit Libraryを使用し、Meditに歯冠形態を作ってもらい、

咬合接触が緊密に得られるように調整し、プリント。

その3Dプリントテックを口腔内に試適して口腔内の情報に合わせて調整することで

その形態をもとにしてジルコニアなどを作成すれば無調整のクラウンが出来上がります。

 

チェアサイドでの技巧作業が非常に簡易化された状態でのCADの進化は

今後の診療が大きく変化していくであろうことを予感させてくれます。

プリントもミリングも、さらに高速化してくれれば当日にテックを入れて調整をすることも

十分可能になりそうです。

 

次回の更新では、今日突然アップデートされたMedit Design 2.1 について

非常に強力で簡単な機能が追加されたので紹介を予定しています。

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを

少しずつ更新していきます。

 

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↑こちらでも不定期に動画付きのデータを更新しています。

よろしければ見ていただけると嬉しいです。

 

先生がたの臨床に少しでもお役に立てていただければ嬉しいです。

今後とも 3D歯科 をよろしくお願いします。

 

 

Medit Temporaries 1.1 アップデート レビュー③内面調整と個別の設定について

こんにちは。

3D歯科 です。

 

前回はついにアップデートされたMedit AppsのTemporaries 1.1モジュールについて、3Dプリントで出力したデータを簡単にチェックしてみました。

digitaldentistry.hatenablog.com

 

今回は、Medit Temporaries 1.1の、個別設定を触ってみます。

自動で進んでいるようなこのアプリですが、

裏ではプリセットのパラメーターに基づいた、さまざまな処理が行われています。

実際に作成したジルコニアも、前回同様に模型に適合させてみます。

よろしくお願いします。

 

クラウンの外面調整と内面調整

早速、クラウンを作成する工程を考えてみます。

自動で行われているクラウン製作ですが、

Medit Libraryと支台歯データを用いた場合も、以下の工程が行われています。

 

1、支台歯のマージン設定

2、サベイング(クラウン挿入方向決定)

3、アンダーカット埋め

4、コンタクト面の設定

5、クラウン形態をMedit Libraryから選択

6、クラウン位置の決定

7、クラウン外面形態の調整

8、対合(アンタゴニストと呼ばれます)との咬合調整

9、クラウン内面の調整とクラウン作成

10、作成したクラウンの形態微調整

 

以上です。

B4Dほかクラウン製作CADでは基本的にこの流れを1つ1つ行います。

ですが、マージン引きを含め多くの工程でAIなどの自動化が今までもなされていました。

 

Medit Temporaries 1.1では以上の10工程が

マージンの確認、クラウン形態の確認といった

確認作業が2、3あるだけでクラウン製作が可能です。

チェアサイドなどで使用するには非常に便利です。

 

クラウンマージンの確認

クラウンのマージンを決める最初のステップで、

何も考えずこのツールを選択し、

「ここは間違いなく形成したマージンだ」という部分をクリックします。

 

AIがそのポイントを中心に、自動でマージンを設定してくれます。

 

クラウン外面形態の調整

マージンが決定されれば、Medit Libraryからクラウンが自動で作成されます。

自動で作成されるクラウンも、それなりにそのままでも良い形なのですが、

対合を表示してみると、全然咬合接触ができていないこともあります。

 

これをトランスポート(クラウンの位置を自由に移動させる)と

スカルプトツール(ワックスアップのように咬合面を足したり凹ませたりする)

などで整えます。

これはCAD全般で言えますが、できるだけトランスポートで咬合接触をしやすいところまで移動させ、

それからコンタクトの高さや咬合接触の弱いところ、裂溝をスカルプトツールで付与します。

 

クラウン内面形態の調整

クラウン内面は、主にフィット感の強さとマージン付近の厚みを調整します。

このうち1、2、は触る必要がないケースが多いと思います。

挿入方向は連結冠や形成のテーパーがつきすぎている時などには

咬合接触方向に合わせる方が好ましいかもしれません。

 

さて、3、セメントスペースの厚みですが

動揺歯や支台歯の長さが長い(歯冠長が長い)方には

大きめにスペースを取り、内面をゆるくします。

 

歯冠長が短いときはきつめにしても良いかもしれません。

 

さて、4、マージン厚みですが

初期設定では 0.1mm となっていると思います。

3Dプリントなら薄くしても壊れませんが

ミリングではチッピングの可能性もあり、

0.2mm にしておくことをお勧めします。

もちろんケースごと、作業するマシンごとにピッタリの設定を見つけることが一番です。

 

 

まとめ

先ほどMedit Temporaries 1.1.1もアップデートされ、バグフィックスも行われました。

兎にも角にも、無料でここまでの内容ができるのは素晴らしいことです。

 

Meditは会社の売却先を探しているそうなニュースも出ていましたが、

願わくば買収した会社が高額なサブスクを請求してこないことを祈るばかりです。

 

まだまだ細かい内容やエディットはB4Dほか、CADソフトの方が多機能と思いますが、

Temporariesというだけあり、テックを簡単に、大量に作成するには

非常に効率的なソフトウェアになっています。

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを

少しずつ更新していきます。

 

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先生がたの臨床に少しでもお役に立てていただければ嬉しいです。

今後とも 3D歯科 をよろしくお願いします。