3D歯科 のデジタル歯医者入門

最小限の費用と努力で最大限の恩恵を受ける歯科デジタル活用術

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アライナー届かない問題に対応する〜インハウスアライナー・ダイレクトアライナーの挑戦

こんにちは。

3D歯科 です。

 

前回は3Dプリントの基本、Medit Model Builderの使用方法を解説しました。

MeshmixerやModel Builderで簡単に模型製作ができるようにしておくと

口腔内スキャンだけで補綴が納品されたときにも安心です。

digitaldentistry.hatenablog.com

 

今回は、海外製作アライナーが届かない!という時に院内製作アライナーで対応した

経験談をお話しします。

よろしくお願いします。

 

アライナー届かない問題

3D歯科 はストローマンのクリアコレクトというブランドのアライナーを使用しますが

ここ1年くらいで世界的な注文数が大幅に増加したようで、

アライナー製造に遅れが出てしまっています。

 

今年初めくらいからでしょうか、注文は増えるもアライナー製造工場が増えておらず

慢性的に納期が遅れるような現状です。

これを想定せず患者さんたくさんの予約を取っていたわけですから、

スタッフは患者さんの予約変更のお願いに追われてしまいました。

 

国内制作の技工物は、絶対に納期が遅れるようなこともありませんし

ミスで遅れがあっても年に1、2件あるかどうかだと思います。

 

アライナーは海外製なので、お国柄仕方ないのか・・・と諦め始めていたところ、

発送・納品完了とクリアコレクトに表示されている患者さんも

アライナーが届かないケースが出てきてしまいました。

運送の追跡を1件ずつ行っていくと、どうやら税関で止められているそう!

 

国内まで来ていても手出しできないので対応する術がありません。

気づいた方には予約日変更をまた考えますが、1度予約変更をお願いしている方や

遠方から来院しており予定を変更できない方について、

患者さんに事情説明の上でインハウスアライナーを活用することになりました。

 

元々、軽度症例や小児、リテイナーなどは院内製作を研究・実践していたので

ある程度のノウハウはありましたが、必要に迫られていきなり実践活用となりました。

 

インハウスアライナーをシートのプレスで作成するか・ダイレクトプリントするか

インハウスでアライナーを作成する際に、どのように製作するかを考える必要があります。

細かな方法はいろいろあるにしても、

 ・模型を3Dプリントしてシートをプレスする

 ・3Dプリントでダイレクトにアライナーをプリントする

このどちらかを選択することになります。

 

3D歯科 はダイレクトプリントも研究中です。

まだまだ研究段階ですので、ここで製作方法や材料を詳しく説明できませんが

安定して製作できるようになれば方法などをお伝えできるようにします。

今、 3D歯科 の口腔内には、ダイレクトプリントで製作したアライナーが

正治療のテストとして入っており使用中です。

若干はじめキツい感じがあり、分厚い感じもありましたが

1日経てば問題なく使用できるようになっています。

 

ですが、患者さんにお渡しできるレベル・安定度には達していないので

今回は模型を3Dプリントしてシートのプレスを行うという方法を取りました。

 

 

インハウスでの製作方法

アライナーを製作するには、データ作成から始めます。

矯正用ソフトを使用して歯の移動を設計、ステージングを考え、

適切な枚数のアライナーデータをエクスポートします。

 

今度は手元の3Dプリンターでデータをプリントし、バキュームフォーマーなどで

アライナーシートをプレスします。

プレスした後にカット・研磨して完成させます。

 

 

おおよそこのような流れですが、ダイレクトプリントの場合は

データをプリント、後処理、までで終了でき効率的です。

ダイレクトプリントした直後の状態。

後処理前ではぐにゃぐにゃです。

上手にできるようになればレジン・製作方法を公開予定です。お楽しみに!

 

インハウスでの製作コスト・時間

さて、製作を行うとする時になるのはコストです。

これは以前にもお話ししましたが

digitaldentistry.hatenablog.com

 

材料コストは、シートをプレスする方式で1枚200円

 

ダイレクトプリントで1枚400円です。

 

ここに人件費が加わりますが、

シートのプレスは1枚15分程度。

ダイレクトプリントは10分以下(まとめて複数枚行うと効率的)です。

 

つまり、現状では人件費を時給2000円とすると

どちらの方法でも1枚700円程度となります。

上下のアライナーで1500円くらい。

 

10ステージで15,000円。20ステージで30,000円です。

 

ブランドのアライナーに外注するか、インハウスで製作するか

クラウンの製作などもそうですが、デジタル技工により院内でさまざまなものが製作できます。

 

納期が早くなったり、コストを抑えられたり、自分でクオリティをコントロールできることが

メリットになりそうです。

 

ただし必要になるのは、機器導入コスト材料コスト製作時間的コストです。

 

特に院内のリソースで考えると時間コストは考えものです。

新しく技工士さんなどスタッフを雇用することや

適切な対価を受け取った後で先生方が残業で製作したりと

しっかり考えておかないとだんだん疲弊してしまいます。

 

今回は、アライナー届かない問題により、急遽8枚のアライナーを

自院製作しましたが、慣れない作業もあり8枚製作で3時間もかかりました、

通常の診療を終えてから深夜1時まで院内で技工作業を行うのは、なかなか心にきます。

 

納期をコントロールするなど、院内の制作システムを効率化する必要がありそうです。

 

また、枚数が多かったり治療が複雑であれば、

やはりインビザラインやクリアコレクトなどのブランドに外注することが

院内の負荷を下げるためには好ましいと思います。

 

まとめ

今回は(必要に差し迫られて)アライナー製作を1晩で製作しました。

ただし、必要なアライナーが無い!という場合や、

明日にアライナーをお渡ししたい!という必要があった時にも

すでに歯科医院では3Dプリンターとバキュームフォーマーがあれば

患者さんに矯正用アライナーやリテーナーを提供できる環境にあります。

 

正治療の軽度症例などは、トラブル時にリカバーできる範囲内で

インハウスアライナーを導入してみてはどうでしょうか。

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを

少しずつ更新していきます。

 

note.com

↑こちらでも不定期に動画付きのデータを更新しています。

 

よろしければ見ていただけると嬉しいです。

 

先生がたの臨床に少しでもお役に立てていただければ嬉しいです。

今後とも 3D歯科 をよろしくお願いします。