3D歯科 のデジタル歯医者入門

最小限の費用と努力で最大限の恩恵を受ける歯科デジタル活用術

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BlueSkyPlanの最新アップデート 歯と歯槽骨のセグメンテーションがAIで自動化!しかも無料!

こんにちは。

3D歯科 です。

 

前回はMeditより突如発表されたチェアサイド(ベータ版)CADソフト、

Medit ClinicCadを紹介しました。

digitaldentistry.hatenablog.com

 

今回は、さらに進化を続けるBlueSkyPlanの最新アップデート4.12について

可能になったAIセグメンテーションの新機能を紹介します。

よろしくお願いします。

 

Windows専用ソフトBlueSkyPlan

最近、何度も取り上げているBlueSkyPlanですが、Macでは最新版が使用できない

実質Windows専用ソフトになっています。

 

しかし、CTを扱うとすれば、このためにWindowsマシンを購入しても安いと思うような

非常に強力なソフトとなっています。

 

インプラントの診断も行えますし、わずかな費用を払えば診断した通りのサージカルガイドを

STLでエクスポートでき、自前でプリントも行えます。

最近のアップデートにより、AIを使用してインプラントの設計をCTから判別して

自動で行えるようにまでなっています。

 

BlueSkyPlan 4.12アップデート

さらに今回(現在ベータ版ですが)BlueSkyPlanがアップデートしたことで、

CTのセグメンテーションが大幅に強化されました。

 

AIを駆使した技術のようで、CTからの特定のデータの書き出しが

恐るべき精度で、自動で行えるようになりました。

 

まずは前回のアップデートで追加された、歯牙部分の自動セグメンテーション(切り出し)です。

エクスポートしたデータをMeshmixerで開いています。

歯根の形態、分岐部も認められます。

左上8を選択していますが、CTをざっと見るだけでは埋伏8番を見落としてしまっていました。

そこも自動で切り出しして、歯根尖まで抽出ができています。

 

ちなみに、前回のアップデートまでは埋伏歯や根尖などが認識されないことも多くありました。

しかし今回からは、ほぼミスなく綺麗に出力できています。

 

簡単に用途を考えただけでも、移植や再植を行う際に

口腔内で使用できるレジンで患歯をプリントしておけば

オペ中に患歯の根尖を痛めることなく、骨内に試適してみることができます。

 

また、根管治療や縁下SRPなどにおいてもCTで分岐部をイメージしていくよりも

3Dデータとして直接歯根形態が捉えられればイメージしやすく有用です。

 

 

さらに、今回の大型アップデートの目玉

顎骨自体の自動セグメンテーションが可能になったことです。

 

つまり、こういうことです↓

このデータ、AIが切り出しをしてエクスポートしたものをMeshmixerで確認しただけです。

これ、ものすごい技術ではないでしょうか?

 

今まで、顎骨部分の切り出しを行う際には、データに重なるアーチファクトを手作業で選択し

恐竜の化石を掘り出すように、少しずつ削り取って必要なデータを綺麗にする操作が必要でした。

有名な技工士さんも、完璧な仕事をしようとすると、セグメンテーションで「半日仕事」と

お話しされていました。

これが数回のクリックで可能になるのは、恐るべき生産性向上を図れます。

 

昔の 3D歯科 の記事にも画像を入れていましたが、

顎骨の切り出しをざっくりと行なった場合では、アーチファクトも多く含まれて

データ量が多い上、細かい骨面を確認しにくい状況でした。

digitaldentistry.hatenablog.com

 

パッと見て凄さがわからなかった場合は、さらにこちらを見てください。

右上の歯を抜歯した状態の歯槽骨を確認できます。

分岐部の隔壁も確認できるのがお分かりになるでしょうか。

 

繰り返しますが、これは本当に素晴らしい技術です。

歯周外科やインプラントに応用できるアイディアがたくさんあるのはもちろん、

骨形態の中を矯正治療で歯根を動かしたり、

補綴の際の骨縁下の形成量や骨整形について検討したり

前歯部の薄い骨を確認して前方滑走の当て方を検討したり・・・

 

ざっと考えただけでも、多くのアイディアが浮かんできます。

 

しかも、このデータの切り出し、エクスポートは完全無料です!

 

デメリットがあるとしたらCT撮影に被曝量を考える必要があることと、

AIのセグメンテーションもおよそ(GPUのしっかりしたPCでも)5分近く

時間がかかることです。

 

 

ですがAIを利用したソフト全般に言えますが、

待ち時間は他の作業をしたり、youtubeを見たり、コーヒーを飲んだりできます。

ソフトと睨めっこして5分間ずっと操作を行う必要もありません。

 

待ち時間は他の技工などをすることで更なる生産性向上を図ることができます。

 

まとめ

今回はBlueSkyPlanの最新Betaアップデートの強力なAIセグメンテーションについて

実際に切り出したCT画像も含めて紹介をしました。

 

マニアックな先生ほど、この技術のおかげで作業効率が上げられると思います。

これから治療とCTの連動をしようと思っている先生も、

随分とハードルが下がりましたので、ぜひ取り組んでみてください。

 

全ての歯を抜歯して歯根尖と神経・上顎洞底の位置関係を確認したり

(下顎管も自動でセグメンテーションできます)

 

上顎前歯のインプラントや矯正を行う際に、

切歯管と歯根の位置関係をしっかりと確認できます。

 

上顎最遠心臼歯を矯正で遠心移動する際などに、

あとどの程度遠心移動が可能か、またその方向はどちらかというのが

CTの切り分けをするとすぐにわかります。

もちろん歯列STLデータとマッチングすることで、さらに活用の幅が広がります。

 

これが無料とは恐ろしい時代になりました。

AIなどの解析が歯科でも実用化されてきた今、

「AIに仕事を奪われる、ではなく、AIを使いこなす人に仕事を奪われる」

というのは実際に現在でも行われていることだと思います。

 

3D歯科 もどんどん更新されていく未来に乗り遅れないように

頑張って研究を続けたいと思っています。

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを

少しずつ更新していきます。

 

note.com

↑こちらでも不定期に動画付きのデータを更新しています。

 

よろしければ見ていただけると嬉しいです。

 

先生がたの臨床に少しでもお役に立てていただければ嬉しいです。

今後とも 3D歯科 をよろしくお願いします。