3D歯科 のデジタル歯医者入門

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アライナー矯正に用いるDSD②3Dスマイルデザインに挑戦

こんにちは。

3D歯科 です。

 

前回は、アライナー矯正や全顎補綴、審美補綴を行う際の

簡易的なDSD(デジタルスマイルデザイン)、2Dスマイルデザインについてお話ししました。

 

digitaldentistry.hatenablog.com

 

今回は、より効率的に、審美を考慮してCAD操作が行えるようにする

フェイススキャンやCTを利用した、3Dスマイルデザインについて紹介します。

 

よろしくお願いします。

 

さまざまなデータのマッチング

2Dスマイルデザインと同様、データ同士を重ね合わせることで

バーチャルな患者さんを作ることができ、

診断やフェイスボウ代わりに、咬合平面の決定に、前歯位置の決定などに使用できます。

 

データを重ねていくためには、リファレンスポイント(データ同士ではっきり重なるところ)

を探して、ずれないようにデータを並べ直す必要があります。

 

口腔内スキャナーでいうバイトスキャンと同様で、

バイト採得の範囲が広すぎるよりも、大事なポイントを押さえて

重ね合わせを狭い範囲で何箇所か行なったほうが良いようです。

 

バイトであれば左右の3、4や5、6あたりの狭くて離れたポイント。

同じようにフェイスデータなどを重ねるなら、

なるべく離れた、3点以上の、スキャンごとに変化の少ないポイントを探します。

 

具体的には、フェイススキャンなら

・上顎前歯の唇側面

・鼻の付け根

・場合により口角鉤のウイング部分

をマッチングポイントとして重ね合わせを行います。

 

CTデータのマッチング

インプラントのガイド作成や、顎関節位置の詳細な確認には

CTデータをSTL歯列データに重ねる必要があります。

 

CTデータの一部を切り取る作業はセグメンテーションと言います。

使用するソフトは(フリーソフト

・InVesalius

・3D Slicer

などで詳細に切り取っていくこともできますが、

・Blue Sky Plan

こちらのインプラントガイド設計を中心としたソフトでは、

ざっくりとDICOMのSTL化を行うことが得意です。

www.blueskyplan.com

無料で使用できるソフトの中ではCTの処理が高速で、操作はクセがありますが

歯や骨の一部をざっくりと切り取って、STLにするのは優れています。

 

ただしWindowsの最新アップデートでないと(多分)CTのSTL化は

無料でできないため、Macをメインで使用していると使用しづらいところはあります。

 

CTデータか、フェイススキャンか

3Dスマイルデザインを作成する際に、歯列STLデータの他に、

フェイススキャンによるデータか

CTから得たDICOMデータを

どちらか、あるいは両方を重ねることになります。

 

全ての症例でCTデータが必要かどうかは、臨床への考え方によって、

そのデータを最大限活用できるかによって変わるのでしょうが、

3D歯科 は3DスマイルデザインにCTを使用するのは、矯正とインプラントのみです。

 

全顎的補綴でもあれば良いなと思うこともありますが、

被曝量と得られるメリットを考えて、必須であると考えた場合のみ撮影します。

治療前、治療後、治療中の試適に全てCTを撮影している症例も目にしますが

自分としてはそこまで頻回のCT撮影は受けたくありません。

 

そのため、ほとんどの症例ではフェイススキャンのみ行なっています。

フェイススキャンは被曝もなく、患者さんはリスクフリーでメリットだけを受けられます。

 

顎関節の位置や顔貌の正中、バランスは十分に顔貌の軟組織情報から得られます。

ただし、データの重ね合わせについてはフェイスデータの方がずれが出る可能性があります。

 

CTデータであれば、マッチングポイントは上顎歯列データ全体と、

確認のために鼻あたりの正中がずれていないかなどをダブルチェックできます。

 

フェイススキャンデータは、マッチングポイントが上顎切歯や鼻あたりだけになってしまいます。

口唇でマッチングさせると、可動性が高い部分では大幅にずれてしまいます。

 

フェイスデータのマッチングのためのアイディア

そのためフェイススキャンとSTLデータのマッチングには補助データを活用します。

 

必須データ:歯列STLと上顎前歯から鼻〜目尻のあたりまで撮影した口腔内スキャンデータ

補助データ:透明でない口角鉤(下の写真)や、場合によってはマッチング用皮膚シール

 

コツとしては、

・口腔内スキャンで上顎前歯から鼻をスキャンしますが、鼻と前歯がマッチングした時点で開口させ、上顎前歯から上顎臼歯までスキャンを広げて歯列と鼻スキャンのずれを無くします

・色付き口角鉤をつけたままフェイススキャンし、患者さんの動かないうちに直後に口腔内スキャンにて口角鉤までスキャンします

 

 

 

これによりほぼフェイススキャンと歯列がずれずにマッチングします。

ただしこれはrevopoint POP2の話で、フォトグラメトリのフェイススキャンや

解像度の低い歯科用フェイススキャンでは、歯の部分がマッチングしません。

 

そのため歯の部分の再現性が低ければ、バイトフォークのようなものを噛ませた

追加のフェイススキャンを取得し、そこからマッチングさせる必要があります。

正直なところ、精度は悪くないですがチェアサイドでやるのは

アナログのフェイスボウのように面倒です。

 

まとめ

これにより重ね合わせたデータを、患者説明に使用するだけではなく

ワックスアップなどのCAD操作をする際に実際に顔を見ながら

審美や咬合平面の確認を行うことが可能です。

 

アライナー矯正においては、治療前と治療後の両方のデータが(クリアコレクトでは)

STLでダウンロードできますので、そちらを使用して3Dスマイルデザインが可能です。

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを

少しずつ更新していきます。

 

note.com

↑こちらでも不定期に動画付きのデータを更新しています。

よろしければ見ていただけると嬉しいです。

 

先生がたの臨床に少しでもお役に立てていただければ嬉しいです。

今後とも 3D歯科 をよろしくお願いします。