3D歯科 のデジタル歯医者入門

最小限の費用と努力で最大限の恩恵を受ける歯科デジタル活用術

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フェイススキャンとして利用中のRevopoint POP2と、新機種Revopoint Rangeの比較

こんにちは。

3D歯科 です。

 

前回はほぼフルオートでCADを行うことのできるImagoworksのDentbirdについて紹介しました。

digitaldentistry.hatenablog.com

 

今回は、再びフェイススキャンの検証を行います。Revopointの最新機種、Rangeを入手しましたので、チェアサイドで利用中のPOP2と簡単な比較レビューを行います。

よろしくお願いします。

 

フェイススキャンの現状について

歯科用のフェイススキャンについては、古くはiPhoneで使用するアプリの

Bellus Dental Proが有名でした(現在は販売、開発終了)

 

今は日本国内ではSNAP(いつの間にかフリーダムFという名前になっていました)

が有名ですが、先述のアプリとともに、あまり精度は高くありません。

ですがバイトフォークなどが専用システムになっているので、

患者説明などでざっくりと使用するのであれば良い製品かもしれません。

 

歯科専用ではありませんが、精度の高いハンドヘルドのスキャナーとして、

Revopoint社のPOP2というスキャナーを利用しています。

 

こちらはきちんと外部ライトで歯を明るく識別しやすいようにしてやると

ある程度の歯の造形も、顔と同時にスキャンができます。

 

また、高性能な歯科専用のフェイススキャナーとして、RayやFaceHunterがあります。

Rayは大体250万円らしく、なかなか購入に踏み切れません。精度はいいそうです。

 

最新の歯科用スキャナーとして口腔内スキャナーでも低価格で有名なShining3Dより

MetiSmileという製品が上市されました。

こちらはPOP2のようなカメラ型で、20秒前後?で顔全体をスキャンでき、

またその際に歯も高精細にスキャンできるそうです。

上の写真左がスキャン画像、はも立体像が確認できます。

右は口腔内スキャンですが、ソフトが優秀なようで、STLマッチングを自動で行い

また矯正シミュレーションようの個々の歯の分割なども同じソフトで行うようです。

(Shiningの口腔内スキャナーと同じソフトを使用?)

 

さらにこの機種、Jaw Motionも搭載できるそうです(オプションで20万円ほど?)

ただし本体価格は150万円程度と、やはり高額です。

 

歯科専用フェイススキャンと汎用品スキャナーの違い

先ほど紹介したMetismileやRayは100万円をゆうに超える高額機器です。

よほど審美にこだわる先生や、自費診療が50%を常に超えているような先生でないと

導入は難しいかもしれません。

 

しかし、以前にも紹介しました汎用スキャナー、POP2は十分にフェイススキャンの

代用として使用できます。

精度はBellusやSNAPよりも高精細で、RayやMetismileには劣る形です。

 

すなわち、条件を揃えてあげればフェイス情報とともに歯の立体感もスキャンでき

その後のSTLマッチングが楽になります。

 

低価格な歯科専用のSNAPほかマイナーな歯科専用フェイススキャンは

どれも、歯列とフェイスをマッチングできるようなインジケーターを使用します。

フェイスボウのバイトフォークのようなものを噛ませて、上顎歯列模型とフェイスを

マッチングさせやすくします。

 

確かにこの方法であれば、歯のうつりが悪くても歯列とのマッチングが行えます。

 

先ほどの100万円を超えるモデルとの差は、このインジケーターなしでスキャンが完了できるかどうか

ここが大きな差になります。

 

POP2は解像度が高めなので、しっかりライトアップしたり圧排すると

歯もマッチングに耐えうるほど確認できるようになります。

ただし、もし不安であればやはりインジケーターを用いることもできます。

3D歯科 はマッチングに不安がある症例では3Dプリントしたインジケーターを使用することもあります。この方法もまたnoteなどでご紹介いたします。

 

Revopoint Rangeについて

RangeはRevopointの最新スキャナーです。

ただし、最新と言っても最高精度というわけではありません。

 

ラインナップは・・・最高精度の小型対象物用MINI、標準的なPOP2、今回追加の

大型対象物用Rangeとなります。精度はRangeが一番低くなります。

 

フェイススキャンを行うとき、やはりスキャン時間がかかるとブレていき、

患者さんの表情も変わるので繋ぎ目にエラーが出ていきます。

口腔内スキャナーで舌を取ろうとしてもマッチングエラーが出ると思います。

同様に、手早く・最小限にスキャンをすることが、時間をかけてスキャンするより

エラーの少ないものになります。

 

そのため、Rangeだと高速スキャンができ、画像重ね合わせのエラーを

減らせるのではないかと導入しました。

 

ただ・・・結果としては芳しくありません。

 

スキャン範囲が広いのですが、ワンフレームで胸元から頭の先までスキャンできます。

ただし広い範囲をスキャンすると解像度はさらに落ちてしまい、

歯はBellusと同程度、SNAPよりも低解像度の歯のうつりかたになり、

歯列STLの重ね合わせはできませんでした。

 

また、POP2よりも高速で両耳を含む顔貌がスキャンできるものと期待しましたが

スキャン範囲が広いためか、接続しているスマホ(Revopointはスマホ接続で使用可能)に

負荷が大きくなり、耳のほうまで画像を重ねていくとエラーが多くなりました。

 

10回以上スキャンを、環境条件を変えて繰り返しましたが

Rangeでは歯列STLとの重ね合わせができるような解像度は得られませんでした。

 

全身をざっくりとしたスキャン精度で記録したい時など、かなり広範囲の時にこそ

真価を発揮するスキャナーになりそうです。

 

やはりチェアサイドでの低価格フェイススキャンはPOP2で

Range発表、発売に合わせてRevopointのスキャンアプリがアップデートされたのですが、

これがなかなか良く、旧機種のPOP2でもスキャンしやすく、かなり高速になりました。

 

Rangeのフェイススキャンテストで顔全体が簡単に写せることがいいなと思っていましたが

POP2もアップデートされたのちにスキャンしてみると、安定して顔正面は

ワンフレームでスキャンできました。

↓外部照明を使用しない自然光でも、そこそこスキャンできました。

↓外部照明を使用したRangeのスキャンです。歯は潰れてしまったので、このようなマッチング用のジグを使用します。

 

 

まとめ

フェイススキャンはCTでの顔貌取得と違い、患者さんの不利益が全くありません。

チェアタイムも慣れてくると、スマホで顔貌写真を撮るのとそこまで差はないです。


このようなカラーのスキャンデータですが、口腔内スキャンで顔貌をスキャンするのは

かなり時間もかかり、難しいです。

 

しかし、Revopointスキャナーを使用すると、

なんと1秒スタートとストップボタンを連打することで全くブレないフェイススキャンを得られます。

鼻の横部分など、正面から見えないところはもちろんスキャンできませんが、

患者説明ではなく、自分用のワックスアップの指標として利用するのであれば

「1秒スキャン」のフェイススキャンでもかなり有用であると感じます。

 

 

耳の方まで取得するとデジタルフェイスボウとして使用もできます。

現状ではズレずに耳まで重ねていくのはPOP2が得意のようです。

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを

少しずつ更新していきます。

 

note.com

↑こちらでも不定期に動画付きのデータを更新しています。

よろしければ見ていただけると嬉しいです。

 

先生がたの臨床に少しでもお役に立てていただければ嬉しいです。

今後とも 3D歯科 をよろしくお願いします。