3D歯科 のデジタル歯医者入門

最小限の費用と努力で最大限の恩恵を受ける歯科デジタル活用術

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診断用ワックスアップのアイディアについて(Doctorbook症例発表の解説)

こんにちは。

3D歯科 です。

 

今回は口腔内スキャナーをお持ちの先生向けに

診断用ワックスアップを先生自身が行う際の

ちょっとしたアイディアをお伝えします。

 

なお、実際の症例写真も一部掲載しているため

 

この後は 歯科医師以外閲覧不可 にご協力ください。

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ご協力ありがとうございます。

症例のWEBや発表の場での掲載は患者さんに了承を頂いていますが

無断転載などは絶対にされませんようお願いいたします。

 

さて、診断用ワックスアップですが、アナログに咬合器で行う際には

「インサイザルピンを何ミリ上げてバイトアップ、そこでワックスアップ」

ということを技工士さんに指示出しをされたことも多いでしょう。

 

口腔内スキャナーを用いてデジタルでワックスアップする際にも、

もちろん同様のバイトアップでの作業は可能です。

 

現在、 3D歯科 はメーカーの高額なソフトは使用しておらず

Meshmixer(これもワックスアップやテック作成もできます)

Blender(アドオンを入れて、10万円以下のソフト)

この二つを使用して作業しています。

もちろん理由としては導入コストと維持コストの高さもありますが

自宅パソコンや医院パソコンで同じ環境を構築できることが

大きな理由の一つになっています。

 

exocadやcerecなどでは、これがなかなか難しく、

先生が導入された場合は、職場で全ての作業を終えてから帰宅する必要がある

ということにもなりかねません。

デジタル化が進んだ今、仕事や作業はクラウドベースが主体なのに

アナログ技工と同じく、作業が遅れて帰宅が遅れ、家族と食事が取れない

ようなことは避けたいです。

 

そのため無料のソフトを全てのパソコン環境にインストールし、

Blenderのアドオンは3台までのPCにインストールできるので

同環境を構築できます。データのやり取りはクラウドストレージです。

今回もちらっと紹介しますBlenderは現状のメインソフトであり、

こうした先生の希望に非常によくマッチします。

 

 

話がそれました。

バイトアップでの作業は、Blenderにてバーチャル咬合器を使えば

アナログと全く同じでインサイザルピンを上げて作業可能です。

 

ですが、先生のマウントは、(アナログの技工士さんのマウントは)

本当に正しいのでしょうか、全顎補綴を行うに足る信頼性があるでしょうか。

 

先生もご存知のように、上顎はフェイスボウを用いてマウントすべきです。

ですが先生、フェイスボウを日常臨床でいつも行っていますか?

行っていても、バイトやねじ締めで狂いが出たことはありませんか?

 

それならば、と、リーフゲージやジグを用いて中心位採得をし

臼歯部にシリコンバイトを流してバイトを取る

このようなことも良く行っていましたが、

横からねじ込んだバイト材は、本当に正しいでしょうか、

変形しませんでしょうか?

 

ここで登場するのが口腔内スキャナーです。

COバイトを採得するのはもちろん、

リーフゲージでバイトが上がった状態のCRバイトを

接触でスキャンするため、絶対にずれません。

 

また、バイトを複数種類スキャンしておき、

後でマウントを変えてBlenderへエクスポートすることで

マウントがずれていた場合にインサイザルピンを上げた時のような

患者口腔内で絶対に起こらないようなズレ方をなくすことができます。

 

垂直的なバイトがピタッと決まって、それからチェックバイトなど

側方の動きを考え始めるべきかと思います。

正しいフェイスボウもなしの咬合器マウントで

患者さんが帰宅した後に挙上量を考えるのは、

せっかくの咬合器マウントに意味がないのでは、と思います。

 

そのため 3D歯科 の現在の臨床では、バイトアップの必要な症例は

咬合床かリーフゲージでバイトを必要量までチェアサイドで上げて、

それをスキャンすることで正しい垂直的顎位を得ています。

 

よくよく考えていただければ(全顎治療の最たるものである)総義歯では

バイトを取った後でマウントし、それからインサイザルピンをいじるようなことは

先生方もしないはずですよね。

これは 3D歯科 の個人的な考えではありますが、

難しいことを考えるより、口腔内スキャナーでそのままバイト採得の方が

口腔内に入れた際の調整も少なく、患者さんの違和感も少ないように感じています。

 

 

これを考慮の上で、バイトを必要量アップして咬合床で採得し

スキャンしたところからワックスアップをしているのが、Doctorbookの症例です。

f:id:digitaldentistry:20211231222531p:plain

綺麗な治療風景でなく恐縮ですが、このバイトを噛んでもらった状態で残存歯を

口唇などに触れないように、偏位しないようにしつつスキャンします。

 

そのマウント状態のままプライムスキャンからSTLエクスポートすると

f:id:digitaldentistry:20211231223005p:plain

このような状態で、バイトが上がってマウントされているのがわかります。

 

そこに上下一体でバイトがあらかじめ完成している歯牙データを放り込み、

f:id:digitaldentistry:20211231223328p:plain

ざっくりとですが、あるべき歯の状態を確認した上で

ここから診断を始めていきます。

この症例では歯牙サイズを変更しても上下の大臼歯関係がアングル2級と、

このワックスアップから確定しました。

(残存歯がほぼ全て残根と叢生?で、模型を噛ませただけではわからなかったです)

ここから一歯ずつ微調整し、機能運動時もデジタル咬合器で調整していきます。

 

この症例では、この歯牙データから元の患者本来の歯牙データと差分し

シェルテックを作成しました。テックでバイトアップしてしまえば、

難症例に見えた口腔内も、先生も見慣れたいつもの補綴治療に変化してくれます。

 

 

大まかにではありますが、

発表をご覧いただいた先生からテックのバイトの決め方について

ご質問いただいた内容にお答えさせていただきました。

 

今後また機会をみて、Blenderでの機能運動時の診断ワックスアップなどを

ご紹介できればと思います。

 

それではみなさん、いいお正月をお過ごしください。

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

 

先生がたの臨床に少しでもお役に立てていただければ嬉しいです。

今後とも 3D歯科 をよろしくお願いします。