3D歯科 のデジタル歯医者入門

最小限の費用と努力で最大限の恩恵を受ける歯科デジタル活用術

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<保存版>3Dプリンターで歯科模型を作ってみましょう③(3Dプリンターでの出力編)

こんにちは。

3D歯科 です。

 

前回まで、MeshmixerとChiTuBoxで

画面上で模型を作る準備を行いました。

今回はいよいよ手に取って触れられる模型を作るため

3Dプリンターで出力する方法をお伝えします。

 

3Dプリント、elegoo mars proなどの場合

まずは前回で.ctbファイルが手元にあるはずです。

こちらをUSBディスクにインポートします。

近くの格安電気店で購入したUSBは認識せず、

気持ちお高めのUSBディスクだときっちり認識しました。

 

この辺りがおすすめです。

なお、容量は数GBあれば使いきれないくらいです。

 

レジンの準備

また、出力する模型で使用するレジンを選択します。

アナログなイメージとしては、石膏の種類を選択するようなものです。

この選択は用途によってではありますが、

まずは研究用の模型を製作する目的を考えてみますと

高価で高性能なレジンは必要ないかと思います。

プリントした模型で最終補綴を作ったり、

補綴やスプリント、義歯を直接出力するとなると

レジン自体の選別や使いこなしも精度に大きく影響を与えます。

 

今回はもっと初歩的な、とりあえず早く安く模型を作る

ことを目的にお話しします。

日常で模型を出力する目的のほとんどはこれではないでしょうか。

 

オススメレジン①elegoo 水洗いレジン

500gで約3000円です。

メリット

水洗いできます。あとで記載する後処理が水道水で洗うだけで簡単です。

3Dプリンター純正であるため、プリセットでスライス設定が公開されています。

・・・つまり何も考えなくても、ほぼミスなく出力しやすいということです。

デメリット

非常に臭いです!

シンナー系のやや頭痛のしそうな香り。院内ではあまり使いたくありません。

出力後の模型もなんとなく臭います。

 

オススメレジン②SK本舗 水洗いレジン

500gで約4000円です。

 

メリット

同じく水洗いできます。温度管理さえきちんとやれば(寒すぎなければ)

きちんと出力でき、変形も少ないようです。

Elegooのものより気持ち早く出力できます(硬化時間が短くて済む)。

ほぼ無臭です!これがとても魅力です。ただし口腔内では使えません。

この手の化学製品は出力模型も舐めてみるとひどい味がします。

デメリット

設定によっては「太る」照射しすぎると目視でもモッタリ変形します。

寒いと造形失敗が多いような気がします。

やや値が張ります。日常でストレスなく使うにはちょっと気になります。

ちなみに上下模型を全顎で出力して100円くらいです。

歯科専用レジンとなると、模型用でもこの5から10倍の値段です・・・

 

オススメレジン③elegoo 植物ベースレジン(アルコール洗い)

今 3D歯科 が頻用するレジンです。

 

圧倒的コスパと、シャープな造形、オモチャに使われるレジンと同様の安全性、

バランスが取れていていいレジンと思っています。

メリット

恐ろしく安価です。500gで現在1600円ほどです。

上下全顎模型を出力し、大きさによりますが30円台で済むこともあります。

こうなると(正確に計算していませんが)石膏よりも安価ではないかと思います。

Elegoo純正で、elegoo社の全てのプリンターで設定が公開されており

何も考えず簡単に出力できます。

デメリット

先の二つと違い、水洗いできません。

アルコールやイソプロパノールで洗浄が必要です。

そのため準備と後処理が面倒な時には水洗いの方がメリットがあります。

ですが、 3D歯科 では現状、出力後に洗浄器に放り込むだけなので

全くストレスなく運用できています。

なお、レジンは長時間アルコール浸漬すると強度が落ちます。

3D歯科 はアルコール洗浄をかけたまま治療に集中し

診療後に見た時には脆くて欠けてしまう模型になってしまった

失敗が何度かあります。忘れず取り出しましょう!

 

実際の造形出力とその活用

テストとして造形してみます。

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ChiTuBoxにて、植物ベースレジンで片顎フルで30円以下、

出力時間は2時間以下です。elegooの新型プリンターであれば

この6割くらいの時間で出力できます。

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造形終了後の模型を後処理でキレイにして、

試しにナイトガードを製作してみます。

 

ホワイトニングマウスピースを想定した1ミリのソフトシートです。

このようにキレイに作成できました!

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ちなみにこの症例は患者さん同意のもとで、実際にこのマウスピースで

口腔内にピッタリとフィットすることを確認しています。

 

さらに、もう少しマニアックなことをご紹介します。

実はこの方、上顎前歯にダイレクトベニアを予定しており

3Dでワックスアップ、治療後の状態を3Dプリントしています。

この模型を使って患者さんへカウンセリングし、

ベニア治療後も使用できるトレーを作って術前ホワイトニングを行いました。

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右が現状の口腔内、左は上顎左右中切歯をデジタルでワックスアップしてあります。

 

3Dプリンターの将来

このようなマウスピースを製作するための模型作りに関しては

すでに3Dプリントの模型で十分すぎるほどに精度は担保されています。

 

思えばこの技術でアライナー矯正は発展しましたし、

2022年4月の保険治療改正に向けて、このような治療の

保険導入まで検討されているようです。

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3Dプリンターを日常診療に用いるのは、決して未来の話ではありません。

安価で使いやすく、治療の幅の広がる応用も可能です。

ぜひ先生方も取り組んでみませんか。

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

 

先生がたの臨床に少しでもお役に立てていただければ嬉しいです。

今後とも 3D歯科 をよろしくお願いします。