こんにちは。
3D歯科 です。
前回までに、デジタルで行うワックスアップから、テックを作る方法についてお伝えしました。
digitaldentistry.hatenablog.com
今回は、実際に行っておく準備作業と、チェアサイドで行う作業を写真付きで解説します。
よろしくお願いします。
準備するもの
今回の操作で必要なものは以下の通りです。
- ワックスアップして作った3Dプリントモデル
- テンプクイック(またはそれに準ずるガンタイプのテックレジン材料)
- パテタイプシリコン
以上です。
今回使用する模型です。下顎模型です。右下123が治療対象です。
黄色石膏を患者さんの治療前口腔内、白石膏が形成した患者さんの口腔内と考えてください。
↓こちらがワックスアップ模型です。
右下123の3歯が著しく舌側傾斜しており、プラークコントロールも悪く
義歯のリンガルバーの設計も難しいです。
この改善のため、3歯を周りのアーチに合わせて再補綴します。
実際の操作(患者さんが来るまでに)
まず先にやっておくことは、パテでシリコンコアを作成することです。
Feedで購入した、口腔内での使用も可能な印象用パテシリコンです。
これを混和し、大きめに模型に圧接して硬化させます。
硬化したのがこちらです。
今回は2個同じものを作っておき、
1個はこのように切断します。
↑こちらは形成時のガイドとして使用します。
もう1個はテックを作成する箇所について、歯頸部に合わせて刻みを入れます。
これにより、テック用レジンを填入した際の余剰が取り除きやすくなります。
実際の操作(チェアタイムにおいて)
さて、治療が始まると通法どおりに形成や築造を行います。
その際に、最終補綴の形態はワックスアップで作成していますが、
それに対応するように支台歯形成する必要があります。
そこで先ほどのシリコンコアが役立ちます。
↓のように口腔内(白石膏)にあてがい、形成量を常に確認します。
築造の際にも、このパテにレジンコアを沿わせてから形成します。
こうすることで補綴の厚みが不足することもなくなります。
形成後のテック作り
さて、無事形成が終了したら、ついにテックを作ります。
使用するのはこちらです。
Feedで5000円ほどで購入した「テンプクイック」です。
50mlで体感にして30本以上のテックを作れます。
チェアタイムを考えるとコスパが非常にいいです。
形成した支台歯に分離剤を塗って準備します。
それからテンプクイックをシリコンコアに流し入れます。
この時にはチップの先をシリコンコアから離さず一気に入れると気泡が入りにくいです。
このまま口腔内に圧接します。
刻みを入れたところからはみ出てくることを確認します。
万が一はみ出ない(少なかった)なら、マージン部分に追加します。
口腔内であれば2分で硬化しますが、おおむね1分経った頃に見える部分の余剰を除去します。
探針でつついて、一塊にして余剰を取り除きます。
そうしているうちに、2分が経つとシリコンコアを除去します。
さて、こうして口腔内かシリコンコア内にテックが完成しました。
形態はテックと全く同じになります。
咬合調整も、ワックスアップがうまくいっていればほぼ不要になります。
口腔内から外すと、マージンも問題ないことが多いです。
もしもマージンなどがアンダーであれば、CRを使用してマージンを調整します。
多くの場合ではマージン付近の削合と研磨くらいです。
なお、テックは重合後にすぐアルコールで清拭します。
このようにワックスアップどおりにテック製作が完了しました。
手作りで即充でテックを作るよりも、何倍も時短が可能です。
まとめ
今回は治療の目的が明確なケースにおいて、
ワックスアップを行いそこからテックを作ることを紹介しました。
お気づきかもしれませんが、デジタルではなくアナログでも全く同じことが可能です。
また、治療前の模型があれば、その咬合接触状態を再現したテックを作成できます。
3D歯科 も、1日に1症例はシリコンパテでテック流し込みで作成を行なっています。
もしまだ手作りでのテックしか製作した事がなければ、
ぜひ臨床に取り入れていただければと思います。
今回の内容は以上になります。
長い文章でしたが最後までお読みいただき、
ありがとうございました。
3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを
少しずつ更新していきます。
↑こちらでも不定期に動画付きのデータを更新しています。
STLはブログで配布できませんが、noteであればダウンロードできます。
よろしければ見ていただけると嬉しいです。
先生がたの臨床に少しでもお役に立てていただければ嬉しいです。
今後とも 3D歯科 をよろしくお願いします。