3D歯科 のデジタル歯医者入門

最小限の費用と努力で最大限の恩恵を受ける歯科デジタル活用術

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CTからのSTLデータ切り出しについて①歯や骨のセグメンテーション

こんにちは。

3D歯科 です。

 

前回はCAD用ソフトの今後起こりそうな変化についてお話ししました。

digitaldentistry.hatenablog.com

 

今回は、インプラントや矯正、審美歯科などで必要となる

CTデータから一部分を抜き出す、セグメンテーションについてお話しします。

よろしくお願いします。

 

歯槽骨情報の必要性

日常診療の中で、単冠補綴で縁上マージンなどでは歯列データさえあれば十分です。

その場合は口腔内スキャナーさえあれば、治療は精密に行うことが可能です。

 

ただ、マージンが縁下深くに及ぶ際はデンタルなどで歯槽骨との位置関係を確認したり

前歯部で、歯肉の治りを正確にコントロールしたい場合は

CT撮影を行い、骨形成が必要かを術前に確認し診断に活用するかもしれません。

 

インプラントオペを行う先生は、パノラマやデンタルのデータだけでオペを行うことはないはずです。

CTを術前に撮影し、埋入位置や深さ、インプラント体の種類などを検討するはずです。

 

このCTデータですが、基本的には歯列データのSTLデータとは別個になっています。

多くの場合では歯列データとCTをにらめっこしながら、照らし合わせて診断します。

 

ですがインプラントオペ用ステントを作成する場合や、

正治療で歯根の移動先に骨があるかを診断する際などに

CTと歯列STLが連携してくれれば・・・と考えることも多いです。

 

CTデータ上へSTLデータの重ね合わせ

この問題を解決するために、昔からある手法としては

CTビューアにSTLを取り込んで、重なった画像を見ながらインプラントを診断するというものです。

 

この重なったデータ上でステントを作成するサービスもあり、活用されてきました。

ただし重ね合わせについては手作業で画像を見ながら大まかに行うものであったので

ミリ単位以下ではずれやすいですし、CT・骨データを操作することは困難でした。

 

CTデータを切り出し、STLデータとマッチング

そこで、精度の高いステント作成のためや矯正の診断で歯を動かした際の変化の確認などでは

CTデータから必要データのみを切り出し(セグメンテーション)しSTLデータ化することが

必要となってきました。

 

ですがこの手法、CTデータにはノイズ(メタルのアーティファクトなど)が多く存在し

骨や歯根も不明瞭であると境界を厳密に切り出すことが難しかったです。

 

智歯の自家歯牙移植のためのレプリカ作りで、1歯のみの切り出しで1晩かかる、

というような、現実離れした面倒さのある作業でした。

 

ですが、アルゴリズムに基づいてノイズを除去し、境界を判別し作業する・・・

こういったことはAI、ディープラーニングの最も得意とするところです。

そうです、今や1ボタンでできます!

 

AIによるワンクリックセグメンテーション

基本的には全てのCAD作業をMacBook Airで行っているのですが、

CTのセグメンテーションのみ、仕方なく口腔内スキャナーと抱え込みで購入した

Windowsマシンを使用しています。

 

理由はGPUのパワー不足でもなんでもなく、使用するソフトのBlueSkyPlan

CT切り出しができる最新版ソフトウェアがMac非対応のためです。

 

それだけの理由で 3D歯科 はBlueSkyPlanを好きではなかったのですが、

どうやらチェックしないでいるうちに大きく進化を遂げていたようなので紹介します。

 

www.blueskyplan.com

BlueSkyPlanは↑からダウンロードできる無料のソフトです。

いわゆる「エクスポートフィー(STLデータの書き出しごとに数ドル払う)」を導入している

CADもインプラントガイドの作成もできるソフトウェアです。

 

これは非常に個人的な意見が入りますが、最近の他のCADソフトと異なり、

インターフェースが雑然としており使用感が良くないように思います。

そのためぱっと見ではSTL切り出しが方法がわかりませんので、

やり方も日本語で、このボタンを押す、というふうに紹介いたします(次回②で!)

 

切り出されたデータですが、なんと無料でSTLをダウンロードできます!

無料の場合、画質?精密さは劣りますが、そもそもCTデータが元なので

多少のことに目をつむれば、十二分に活用できます。

3D歯科 の歯のデータはこんな感じです!

 

いかがでしょうか。このデータが無料で、しかも作業負担がほとんどなく入手できれば

非常に有用ではないでしょうか。

左下2の根尖の分岐まで十分に確認できます。

 

ちなみに、元のCTデータはこちらです↓

このデータから歯だけを掘り出すのは非常に困難です。

また、この骨のデータ自体もSTLデータ化しています。

骨自体のSTLデータダウンロードも、無料で行うことができます。

 

 

まとめ

Windows限定のソフトか・・・とお考えの先生方も

作業時間の短縮化や効率化、何よりも診断の質の向上のため

お手持ちの口腔内スキャナーのPCにBlueSkyPlanをインストールして

使ってみてはいかがでしょう。

 

次回は、実際にどのように操作するか、どこからSTLダウンロードするかなどについて

なるべくわかりやすくまとめて紹介する予定です。

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを

少しずつ更新していきます。

 

note.com

↑こちらでも不定期に動画付きのデータを更新しています。

よろしければ見ていただけると嬉しいです。

 

先生がたの臨床に少しでもお役に立てていただければ嬉しいです。

今後とも 3D歯科 をよろしくお願いします。