こんにちは。
3D歯科 です。
前回は寒くなってきた時期の3Dプリンターは困難であるということを振り返りました。
digitaldentistry.hatenablog.com
今回はElegooのミニヒーターを購入後に取り付けるフォローをしたいと思います。
よろしくお願いします。
本格的な冬の始まりとプリントミスの始まり
以前からも触れてきたように、
レジン3Dプリンターにおけるレジン温度の管理は造形成功率を左右する最重要ポイントです。
特に冬場は、3Dプリンターを設置した部屋そのものが冷え込み、
冷えるとレジンの粘度が上がってしまうため、層間剝離・硬化不良などのトラブルが
一気に増えプリントの失敗が多発します。
そこで今回改めてELEGOOミニヒーターのメリットをお話しします。
価格も手頃で、庫内全体を均一に温められる優れものです。
今回は実際に私がプリンター内へ固定したときの手順を、
取り付け時に撮影した写真に合わせて説明していきます。
Elegooミニヒーターの取り付け方法
さて、コストと機能を考えるとベストチョイスの1つ、Elegooミニヒーターです!

まず最初に取り掛かったのは、プリンター内部のネジを外す作業です。
背面側の小さなネジを外すと、ヒーターを固定するためのスペースができあがります。


この場所はヒーターの排気がプリント動作の邪魔をせず、
レジンバット全体に温かい空気が広がりやすいため取り付けポイントとして最適でした。


写真では、ネジを外す角度やカバーの持ち上げ方が分かりやすいように撮影しています。
Mars 5Ultraですが、蓋の裏側にあるパーツを取り外し、
代わりに白い、穴の空いたプレートを取り付けます。
この時に向きがありますので注意しましょう!
↓この写真では写真下部がプリンター蓋の下方になります。

このようにプリンターの蓋自体にミニヒーターがくっつく形になります。
写真右側がプリンター蓋の下部になります。

次に行ったのが、ELEGOOヒーター本体の取り付けです。
外したネジ穴の位置に合わせて、ヒーターを軽く押し当てながら固定します。
この際に気を付けるべき点は、排気口がレジン表面に直接向かないようにすること、
吸気口を塞がないこと、そして配線がZ軸やビルドプレートの動く範囲と
直接干渉しないようにすることです。
(Elegooプリンターなら設置場所は蓋の裏の取り付け位置で決まっています)
写真では、ヒーターを支えながら位置を調整している様子が写っており、
これを見ながら作業すると初めての方でも迷わず進められるはずです。
取り付けが終わったら軽く揺らし、しっかり固定されているか確認します。
正直なところ、向きとおおよその位置が合ってさえいればなんとかなるといった機構です。
ミニヒーターの挙動
実際の運用では、ミニヒーターの裏側のスイッチをオンにするとヒーターが駆動し、
機器にあらかじめ設定された温度になったら停止するというシンプルなものです。
プリント開始前に10分間ヒーターをオンにし、
庫内を23〜28℃程度まで温めてからプリントをスタートするようにしました。
これだけでも粘度の一時的な上昇による層間剝離がほぼなくなり、
Dima Printのような比較的重いレジンでも安定して造形できました。
特に冬場は室温と庫内温度の差が大きく、暖房を入れていても
バットやレジン表面だけが冷えることがあるため、この予熱は非常に重要です。
ヒーターの小さな温風が庫内の空気を循環させ、レジンバット・ビルドプレートが
均一に温まることでプリント成功率が大幅に向上しました。
Elegoo以外のプリンターにも使用可能
他社プリンターに取り付ける場合には、もうひとつ注意点があります。
多くのプリンターは蓋を閉めると内部がほぼ密閉される構造のため、
ヒーターの電源ケーブルを通すための逃げ道が必要になります。
ちなみに電源アダプターはものすごく大型です。
方法としては、蓋の下端にほんのわずかな溝を削ってコードが通るスペースを作るか、
あるいはケーブルを挟み込んでも蓋の密閉性に大きな影響がない場合は、
そのまま使用する方法があります。
どちらもメーカー正式の方法ではありませんが、
冬場のプリント安定性を考えると現実的な工夫になります。
ちなみに、SHINING3D の L4D にミニヒーターを取り付けた例では、
内部スペースが広いため設置がスムーズで、
ケーブルも自然に背面へ逃がすことができました。

↑右手奥の白いボックスがElegooのミニヒーター。
物理的に置くことさえできればケーブルを隙間から逃すだけなので、
その他多くの機種で応用することが可能なはずです。
プリントミスへの対処
今回の取り付け作業を通して改めて感じたのは、
冬の3Dプリントはやはり温めた者勝ちということです。
レジンを適温にするだけで成功率が大きく変わりますし、
プリンター自体の安定性も向上します。
ELEGOOミニヒーターは価格も手頃で扱いやすく、
プリンター内に固定することで温度ムラを最低限に抑えることができました。
最近は急に冷え込み、プリンター周りのトラブルも増えてきました。
Dima Print レジンが一気に扱いにくくなったことにも触れておきたいと思います。
当初noteの方で推奨した、プリンター出力の低い場合に行う水平置き設定では、
しばらく造形が問題なかったのにも関わらず、室温が10度を下回るようになってから
全く安定しなくなってしまいました。

↑この症例、患者さんに実際にセット予定だったために
とても焦りました、なんとか予備で製作する時間があったので、
パラメーターを見直して改善させます。
斜めにしてパラメーター調整も行うことで、なんとか改善してきました。


↑よく見るとサポートピンの一部が切れてしまっています。
これは、と思い自動サポートで付与される太さを現在でも調整中です。
noteの方では必ず安定プリント設定を見つけて更新しますので、
もう数日お待ちください・・・
気温が下がるとレジンの粘度が上がり、攪拌しても動きが鈍くなって、
注いだ瞬間からとろりとした重さを感じるようになります。
さらにプリント後の造形物も、微妙なたわみが出始め
サポート周辺の反りが普段より目立つことがありました。
これはレジン温度が適正域に保てていないときの典型的なサインで、
冬場の造形では特に顕著に現れます。
こうした変化に気づいたときこそ、庫内ヒーターや予熱時間の調整が必須となり、
安定した品質でプリントするための温度管理の重要性を改めて実感させられます。
温度管理を行なっても剥がれやが出る場合はサポートピンの太さと密度を上げましょう。
単純に1層あたりの重合時間を上げてしまうと、さらに引き剥がしの際の圧力が増え
変形やプラットフォームからの剥がれが起きやすくなってしまいます。
トラブルの原因を見極めて、ひとつひとつ対処することで
問題ないプリント結果を得ることができます。
・・・この辺りは正直なところ、(特に冬場は)歯科専用の3Dプリンター機器は
ヒーターやプラットフォーム自体の加温などがあり、温度管理もシステム上でできれば
いつも比較的安定したプリント結果を得ることが可能になります。
この辺りの「トラブル対応」の時間や消費レジンが
歯科用3Dプリンターのコストを上回りそうだと感じた時が
高額ではありますが専用機の導入時期になるかもしれません。
まとめ
今回のネジを外す工程、取り付ける工程は
写真と合わせて見てもらうとより理解しやすいと思います。
これから冬にかけてプリントの失敗が増えやすくなる時期ですので、
ぜひミニヒーターの導入を検討してみてください。
安定したレジン温度は、プリント成功率を大きく左右する最初の一歩です。
無駄になるプリントレジンのコストを考えれば、絶対にベストバイだと思います。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2026年から、CAD操作の動画を中心にした3D dental academyを開講します!
基本的にはオンラインでの動画公開を中心に行う予定ですが、
(DSSや0 to1 Dentureほどマニアすぎない日常臨床のCADを扱う)
CADを学ぶ現地セミナーを東京などで行います。
3Daは『デジタル歯科の未来を、すべての医院・技工所へ』を目標に活動します!
協賛いただく企業とともに、セミナーごとに実機展示・使用も行う予定です。
第一回の①院内CAD×プリントで臨床を変える!1日デジタルマスタークラスは
SprintRayのMIDASを使用して
プリントのテストをご参加の皆さんに行なっていただきます!

こちらも募集開始しましたので、これから院内のデジタルCADに挑みたい先生は
ぜひご参加いただけると嬉しいです。
告知の内容をまとめたページを作成しました。
内容一覧だけ記載をさせていただきまして、
詳細はリンク先のほうに掲載しておきます。
ryosuke-takahashi-3d-dentist.carrd.co
<今後の予定リスト>
・Tokushima, Japan
2025年12月14日(日)10:30 - 16:30
@3D歯科・DSSで行う義歯 超効率化(満員御礼)・Kagawa, Japan
2025年12月21日(日)
@高松駅近郊
SprintRayセミナー
あと数名募集中とのこと https://x.gd/iGbM8・Tokushima, Japan
2026年02月01日(日)10:30 - 16:30
@たかはし歯科 院内セミナー
0から作る!3Dプリントフルデンチャー(満員御礼)・Tokyo, Japan
2026年03月29日(日)10:00 - 16:00
@3Da:3D dental academy
①院内CAD×プリントで臨床を変える!1日デジタルマスタークラス・Tokushima, Japan
2026年04月05日(日)10:30 - 16:30
@3D歯科・DSSで行う義歯 超効率化(満員御礼)・Tokushima, Japan
2026年06月07日(日)10:30 - 16:30
@たかはし歯科 院内セミナー
0から作る!3Dプリントフルデンチャー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今回の内容は以上になります。
長い文章でしたが最後までお読みいただき、
ありがとうございました。
3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを
少しずつ更新していきます。
↑こちらでも不定期に動画付きのデータを更新しています。
よろしければ見ていただけると嬉しいです。