3D歯科 のデジタル歯医者入門

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3D SlicerでCTセグメンテーション①NVIDIAのCUDA環境の人気のひみつ

こんにちは。

3D歯科 です。

 

前回は口腔内スキャンを行う際の水分のコントロールの必要性についてお話ししました。

digitaldentistry.hatenablog.com

 

 

今回は、久しぶりに触ると非常に強力に進化していた「3D Slicer」ソフトウェアについて

特にGPU環境の変化により動作がどのぐらい高速になるかについて紹介します。

よろしくお願いします。

 

3D Slicerについて

3D Slicerとは、どちらかというと研究用途のようなイメージの

CTデータを視覚化、解析、処理を行うためのオープンソースのソフトウェアです。

 

結構昔から無料で公開されており、 医療に特化したソフトになるので

産業系のCTデータ解析ソフトにはない、医療系に役立つアドオンのような

「エクステンション」モジュールなどが使用できるようになっています。

 

数年前に使っていた頃は、 単にMacインプラントの設計を行ったりしたい場合に

Implastationというソフトを使う前にMacのオザイリックスと共に使用していました。

 

若干インターフェイスが研究用ソフトウェアと言うような見た目で

ちょっと突きにくいところがあったので、最近はあまり使っていませんでした。

 

ですが、コーンビームCTデータから顎骨のセグメンテーションができるようになった

エクステンションが公開されたことにより、海外の歯科医師で話題になっていました。

 

セグメンテーションと言うと、BlueSkyPlanソフトウェアがほぼ完璧な

顎骨、歯冠、歯根のセグメンテーションに成功しており、 また無料で使えることから

他のソフトウェアはあまり試していませんでした。

また、3D Slicerのセグメンテーションは歯根や歯根は上下顎でまとめて保存されるようで

一本ずつの歯冠、歯根データが必要ならBlueSkyPlanの方がメリットがありました。

 

ですが、今回3D Slicerのソフトウェアを使うと

GPU環境によっては、非常に高速でセグメンテーションが完了でき、

毎日のデジタル歯科系事務作業が簡略化できると思いテストしたので共有します。

 

 

顎骨のセグメンテーションについて

コーンビームCTを撮影した後、インプラント設計をソフトウェアにインポートして

様々な角度からインプラントが入るかどうか、安全にオペができるかを確認すると言うのは

インプラントを扱うGPにとって、いつも行う操作だとは思います。

 

ですが、例えば矯正治療を行う時や、歯牙移植を行う時、

その他、マニアックなことをしたいときには、顎骨から歯冠だけ、歯根だけを取り出せたら

外部ソフトウェアに読み込んで編集ができるのにと言う希望がありました。

 

セグメンテーション自体は10年近く前から手法はYouTubeなどを含めて公開されていましたが

ものすごく手間がかかるので、なかなか自分で全症例をやるのは大変でした。

 

しかし、セグメンテーションの手法自体は歯冠や歯根と思われるところをひたすらマークして

少しずつ切り分けていく、CTの断層ごとに切り分けていくと言うものでしたので

なんとなくAIが発展によって自動化されるんだろうなと期待しておりましたが

BlueSkyPlanのAIセグメンテーション機能の登場により

歯や顎骨だけ、次に歯冠と歯根それぞれも切り分けてのSTLデータ化が可能になりました。

 

digitaldentistry.hatenablog.com

 

digitaldentistry.hatenablog.com

 

このような記事でもセグメンテーションとそのメリットは記載しているので

よろしければ参考にしてください。

 

3D Slicerを高速に利用する

さて本題ですが、今までのバージョンの3D Slicerなどの自動セグメンテーションソフトは、

いくつかの操作項目が必要だったり処理時間がそれなりに(いいPCでも10分近くは)

かかってしまうのが気になっておりました。

 

しかし、BlueSkyPlan(こちらも無料)と比較しても3D Slicerは必要な操作が少なく

一度環境を整えて仕舞えばセグメンテーション開始ボタンを押せば放置でOKです。

 

さて最新バージョンでは1症例でどの程度時間がかかるでしょうか?

 

まずはせっかくMacで動作するので、Macbook Air m1で行ってみました。

・・・が、セグメンテーションには20分程かかりました。

ただし操作が途中で必要ないので、急がない場合にはスタートボタンを押して

20分ちょっと放置すればMacでも処理が終わるのでメリットもありそうです。

 

次に自宅にあったNVIDIAのT500というGPUが積まれたノートPCで試しました。

・・・セグメンテーションは7分間で終了しました。

普段のB4DやMedit Designの操作などはT500よりMac m1が高速なのですが、

違いとしてはNVIDIAGPUを積んだWindowsでは、特殊なソフト環境を入れることで

対応するソフトにおいては高速でGPUが動作するようになるそうです。

 

これこそが、時価総額世界一(今も?)になったNVIDIAの強みのCUDA環境です。

CUDAはNVIDIAが同社のGPU搭載PCが汎用性の高い処理をより高速に動作できるようにする

開発環境のようです。 3D歯科 も詳しくないのでこちらを参照しました↓

AI関連ではCUDA環境下でのNVIDIAGPUが圧倒的な性能であり、

そのCUDA環境はNVIDIAが無料で提供、研究者に広く受け入れられていることから

AIをはじめとする、今回のCTセグメンテーションのような用途においてもメリットが大きいようです。

 

3D SlicerもCUDA環境に適したアップデートが行われてから

従来のCPUやGPU性能によらない高速な処理が可能になったようです。

 

さて、他のPCでも試してみました。

 

IOSと同時購入したA3000という結構高額なGPUを積んだノートPCでは

・・・・全ての操作終了までに3分弱

これはCTのセグメンテーション操作のなかでは驚くべき高速さだと思います。

 

他の10万円程度で購入したゲーミングPCでRTX2060を搭載したPCでは

・・・・4分程度で処理が終了しました。

 

正直なところ、NVIDIAGPUでそこそこのモデルを搭載してさえいれば、

十分な速度でセグメンテーションが自動で完了します。

個人的にはやや質の悪いCTデータであっても、頑張って歯根の形状まで

頑張って切り分けてくれているイメージがあります。

このセグメンテーションまでワンクリックのみでOK。

十分に実用的です!

 

まとめ

今回は3D Slicerを用いることでCTのセグメンテーションがWindowsでもMacでも

可能になった、さらにNVIDIA搭載環境ではかなり高速になったということを紹介しました。

 

次回は、ややとっつきにくい3D Slicerのダウンロードや操作の方法を紹介予定です。

 

実際に口腔内スキャナーと患者さんを前にしないと伝わりにくいことも多いので、

9月中にCi主催で広島と大阪でのIOS使いこなしセミナーをさせていただく予定がありますが

その際にこのバイトスキャンも実例を見ながらポイントをお話しできればと思っています。

seminar.ci-medical.com

 

seminar.ci-medical.com

もしお時間がありましたらぜひよろしくお願いします。

 

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを

少しずつ更新していきます。

 

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