3D歯科 のデジタル歯医者入門

最小限の費用と努力で最大限の恩恵を受ける歯科デジタル活用術

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デジタルデンティストリーに取り組もう!Blender for Dentalアドオンの紹介③メリット・デメリット

こんにちは。

3D歯科 です。

 

 

前回はデジタルデンティストリーに取り組むために、

本格的なソフトながら低価格なBlender for Dental(B4D)について、

強力なモジュールの紹介をしました。

digitaldentistry.hatenablog.com

 

今回はB4Dのメリット・デメリットと、

どんな先生が導入すべきか・導入すべきでないかを紹介します。

よろしくお願いいたします。

 

 

B4Dのメリット

3D歯科 がB4Dを使用する際に感じたメリットは、次の通りです。

 

・高性能で制限のない本格的なCADソフトが、低価格で手に入る

・咬合器モジュールは(現在のところ)他の無料ソフトではない機能

・買い切りで、実験もし放題・ソフト開発中断のリスクもない

 

これらの内容を解説します。

 

 

正直言って操作は慣れるまで複雑で、動作が英語表記のみであることは

先生によっては辛い仕様かもしれません。

メーカーのサポートを受けるのも手軽ではありませんので、自力で勉強することになります。

(その際に非常にわかりやすいマニュアル動画が多数公開されています。)

 

ですが、10万円以下で最終補綴を作成でき、ワックスアップまでなら4万円以下です。

これらは購入した後は使用し続けられ、STLエクスポートフィーも必要ではありません。

(BlueSkyPlanやImplastationなどでインプラントガイドを保存すると毎回費用がかかります)

 

特に咬合器モジュールがよくできているようで、全顎的にバイトアップを行う場合も

モックアップやTEKを入れた後に咬合調整はほとんど行いません。

これが外注した安価なシェルテックだったり、チェアサイドで直接作るTEKだと

クオリティも低い上、チェアタイムもかなり必要になってしまいます。

 

 

しかもソフト自体は買い切りであり、購入後にはオフラインのPCで作業できます。

これは、ソフト制作会社が開発を終了しソフトが使用できなくなる、ということが

絶対に起こり得ないということです。仕事をする上でこれは非常に重要です。

 

また、拡張性も高く、やりたいことはほぼ全て工夫すれば可能になります。

専用ソフトではソフトの仕様で出来ないこともありますが、

Blenderをベースにしていますので、特に制限はありません。

 

B4Dのデメリット

3D歯科 が初めに使い始めたときの感想は、

なかなかにとっつきにくく難しそうなソフトでした。

ある程度のショートカットキーを覚えることが必須で、

覚えてしまえば操作は早いのですが、Meshmixerと比較して難しいです。

しばらく使用した後に感じたデメリットはこちらです。

 

・歯列データのカラー表示はできない

・操作がクセがあり、初めに覚えることが多い

・画面表示は全て英語

・無料ではない

 

 

 

まず一点、編集する歯列データがカラーではないことです。

STLデータは特性上カラーデータを含みません。

そのため口腔内スキャナーで取得した色付きデータそのままを技工サイドへアップする

専用ソフトと比較すると、マージン位置が取りにくい、シェード確認には使えない

というデメリットがあります。

 

 

また、もともとが歯科用ではないBlenderをチューニングして使用するため、

使用方法がややクセがあり、習得が直感的ではありません。

この辺りは、B4Dの方で(英語ですが)非常にわかりやすい解説動画が

購入したモジュールごとに公開されています。

1本につき実に1時間近い大ボリュームですが、購入モジュールを使いこなすために

初めに必ずみておくとその後の作業が非常に早くなります。

 

 

さらに、日本語では動きません。

試しに日本語環境でインストールしてみましたが、Blenderそのものを英語にしないと

全く動きませんでした。

これもあって初めは直感的ではありません。

もしも全く英語に自信がなければ、初めはかなり苦労するかもしれません。

 

 

最後に、残念ながらこのソフトは無料ではありません。

基本のモジュールについてデモ版は公開されていますので、

購入前に試してみましょう。

インプラントの設計も、Meshmixerでも簡易ワックスアップも、

Medit Linkのソフトも、全て無料で行うことができる現在。

数万円のソフトはちょっとだけ導入に二の足を踏んでしまうかもしれません。

 

ですが業者さんの営業に負けて、専用CADを導入すると100万円ほどかかる上

それからバージョンアップや年間使用料などでコストがかかり続けます。

それと比較して、同様の機能を驚くべき低価格で入手できると言えるでしょう。

 

まとめ

3D歯科 個人としては、B4Dは画期的なソフトです。

技工士さんや、高価なソフトを購入した先生方と同じような環境を

現実的なコストで手に入れられます。

 

ですが技術やソフト性能などはどんどん進化しています。

特にMedit Linkのアップデートの速度は目覚ましく、

B4Dでしか出来なかった(Meshmixerで難しかった)機能がどんどん搭載されてきています。

 

今のところ棲み分けとしては、

B4D:ワックスアップだけでなく咬合器の使用・最終補綴の作成

Medit Link:3Dプリント模型の製作、場合によりスプリントの製作

というところで、必要に応じてB4Dにステップアップする、という形です。

 

ですがこのままMedit Linkがアップデートされていくと

1年後くらいにはMeditクラウンというモジュールができているような気もします。

5年もするとCADソフトの基本性能は全て備えるようになるかもしれません。

 

そのため、いますぐにデジタルに取り組む必要のない方は、B4Dを導入する必要はありません。

ただ何年か待つだけで、同様の機能が、もっとわかりやすく、無料で、

提供されることを予想しています。

 

ただ、5年も経てばほとんどの先生は口腔内スキャナーを使用し、

大部分の先生は3Dプリンターを自院に導入し模型を出力する

そんな未来になっていると思います。

最終補綴も高分子材料で3Dプリントしていると思います。

 

その時に、早くから取り組んでいるか、遅れて慌てて勉強するかは

医院にとって大きな差になると信じています。

 

そのため 3D歯科 はB4Dを含めたくさんのデジタル技術を勉強しています。

デジタルデンティストリーが通常診療の一部になる可能性は、100%と思っています。

ぜひ興味のある先生は、早くに取り組んでみましょう。

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを

少しずつ更新していきます。

 

note.com

↑こちらでも不定期に動画付きのデータを更新しています。

STLはブログで配布できませんが、noteであればダウンロードできます。

よろしければ見ていただけると嬉しいです。

 

先生がたの臨床に少しでもお役に立てていただければ嬉しいです。

今後とも 3D歯科 をよろしくお願いします。