3D歯科 のデジタル歯医者入門

最小限の費用と努力で最大限の恩恵を受ける歯科デジタル活用術

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デジタルデンティストリーに取り組もう!Blender for Dentalアドオンの紹介①

こんにちは。

3D歯科 です。

 

 

前回までの4月は4回にわたり、デジタルデンティストリーを導入する足掛かりとなる

補助金助成金の活用方法!?についてご紹介しました。

digitaldentistry.hatenablog.com

これで導入することを想定しているのはデジタルのハードウェアですが、

今回から4回にわたって、今度はソフトウェアのお話をします。

 

デジタルデンティストリーを行う上で敷居が最も低いソフトの一つで、

かつ自由度は最高峰のソフト、Blender for Dentalを紹介します。

よろしくお願い致します。

 

Blender for Dental(B4D)とは

 

3D歯科 が現在メインで使用するソフトであり、

ワックスアップやプリント用模型製作はもちろん、

デジタル咬合器の活用やテック作り、

果ては自由な設計のスプリント作りや最終補綴のクラウン作りなど。

 

おおよそ他社ソフトで行える全てのことを行うことができます。

 

exocadやinLab、3Shapeのソフトなど、技工士さんやワンデイトリートメントを行う先生が

使用しているソフトと基本的に同じ精度と性能を持っています。

digitaldentistry.hatenablog.com

 

もちろんそれら高額ソフトに比較するとメリットもあればデメリットもあります。

今回はB4Dソフトウェアについてどういうものなのかを紹介します。

 

インストール方法、まずはBlenderから

まずは準備として、Blenderのインストールを行います。

 

Blenderマルチプラットフォームであり、WindowsMacLinuxでも動きます。

 

Blenderをダウンロード、インストールする際には注意点があります。

それは、最新版ではなく、長期サポートされるLTSバージョンを使用することです。

www.blender.org

 

現状B4DではBlenderLTS2.9.3をサポートしています。

 

また、インストールは全て日本語でなく、英語で行います。

ソフトの駆動も全て英語で動かします。

この辺りがメーカー取り扱いの高額なソフトとの違いですが、

現在でB4Dは日本語をサポートしていません。

インストール含め、全て英語にしたほうが動作エラーがありません。

 

また、英語の方が使用方法を調べる際に表示が同一でわかりやすいメリットもあります。

 

Blenderはインストールも使用も、完全に無料のソフトです。

 

これをさらに歯科で使いやすいように、アドオンを入れていきます。

こちらに関してはモジュール(機能)追加で少額の費用がかかります。

 

B4Dのモジュールについて

B4Dはこちらでモジュールを購入し、インストールする形になります。

www.blenderfordental.com

 

B4Dは、先生方が使用したい機能に合わせてモジュールを追加していく形になっており、

全てのモジュールは買い切りで、購入したら3台のPCにインストールできます。

そのため口腔内スキャナーのPC、自宅のPC、診療室のPCと、複数台のパソコンで

同様の環境を作ることができます。

 

まずは代表的なモジュールを紹介します。

 

・Model Designer

まずはモデルデザイナーというアドオンです。

これがベースのソフトとなっており、これを導入することがB4Dの使用のスタート地点です。

 

機能としてはスキャンデータの編集、簡易的な咬合器の追加、3Dプリント模型の製作です。

歯の抜歯を行ったり、分割模型作り、支台歯の外せるダイ模型の制作も可能です。

 

正直言って、この機能だけであればMeshmixerやMeditLinkでも可能です。

ですがこの後の機能を追加するベースとなるので必ず必要です。

価格は79ドル。高くも安くもありません。

 

・WAXUP MODULE

ついでワックスアップモジュールです。

これだけでも使う価値のある、非常に扱いやすいワックスアップ機能が追加できます。

 

黄金比のトゥースレシオを元にして前歯の配列を行ったり、

矯正の歯列アーチを見ながら臼歯部のアーチを決めたり

反対側の同名歯をミラーリングで反転コピーして前歯を配列したり

シェルのテックを作成することもできます。

 

シェルのテックはMeditLinkでも作成できますが、

既存の患者さんの歯のデータを細かく編集(大きくしたり傾けたり)を

自由にできることは非常に有用です。

価格は79ドル。

 

・ICP ALIGNMENT

3D歯科 はこの機能が使いたくてB4Dを使用し始めました。

ICPアラインメントは、複数のSTLデータを、任意のマッチングポイントを利用し

データの重ね合わせができ、また自動でデータの重ね合わせを行うことができます。

 

用途としては、スマイルデザインを行う際に、フェイススキャンと歯列スキャンを重ねたり

矯正の治療前後を比較したり、インプラント補綴を行いたい場合もスキャンボディの

重ね合わせに使用できます。

 

とにかく重ね合わせとは、デジタルデンティストリーの基本になります。

これをセミオートで、しかもかなりの正確さで行えるこの機能は重宝します。

重ね合わせだけなら他の無料ソフトでも可能でしたが、あまりに煩雑でした。

しかしB4DのICPアラインメントはワークフローの一部として複数STL

マッチングを行えるので非常に扱いやすいです。

価格は79ドル。これは非常に安く感じます。

 

・Blockout Module

アンダーカットの自動ブロックアウトを行えます。

これもMedit linkで最近可能になりましたが、

それをさらに強力にしており、個別にブロックアウトの強さや箇所を細かく指定できます。

用途としてはアライナー矯正のリテーナー作りに重宝しています。

リテンティブモデル(マウスピースが保持できる程度のアンダーカットを残した模型)を

ワンボタンで作成でき、それを3Dプリントしハードタイプのマウスピースをプレスすると

リテーナーがすぐに完成します。

価格は49ドル。妥当です。

 

ARTICULATOR & FACEBOW

デジタル咬合器モジュールです。

これは恐ろしく有用なソフトで、このためにB4Dを使用するユーザーも多いです。

平均値咬合器でマウント、あるいは全調節性咬合器として模型をマウントできます。

また、マウント時にフェイススキャンや顔貌写真により、デジタルフェイスボウ

取得し咬合器調整をすることもできます。

 

もちろん、咬合器にマウントしたのちに下顎運動を再現し、

それに合わせてワックスアップを咬合調整できます。

これにより、ほぼ無調整でテックや補綴を入れることができます。

価格は59ドル。絶対に導入すべきです。

 

まとめ

今回はB4Dの主なモジュールの紹介まで行いました。

他にも強力なモジュールがあるので次回に紹介と、B4Dのメリットやデメリットを

お話しする予定です。

 

B 4Dはいきなり取り組むとなかなか複雑に感じます。

まずはMeshmixerSTLの編集を簡単に学び、

さらにやりたいことがあればB 4Dにステップアップするというのがいいと思います。

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを

少しずつ更新していきます。

 

note.com

↑こちらでも不定期に動画付きのデータを更新しています。

STLはブログで配布できませんが、noteであればダウンロードできます。

よろしければ見ていただけると嬉しいです。

 

先生がたの臨床に少しでもお役に立てていただければ嬉しいです。

今後とも 3D歯科 をよろしくお願いします。