3D歯科 のデジタル歯医者入門

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デジタルを活用したコピーデンチャーテクニック④(無料ソフトMeshmixerで行うコピーデンチャー作成 応用編)2/28更新

こんにちは。

3D歯科 です。

 

前回までに、コピーデンチャーのスキャン、3Dプリント方法をお伝えしました。

さらにチェアサイドでのその利用方法もお話ししました。

 

内容としては総義歯の咬合付き各個トレーとしての利用でしたが

今回はその応用編として、少数歯残存のパーシャルデンチャーへの利用と

総義歯の咬座印象をさらに精度を上げるアイディアを紹介します。

よろしくお願いします。


 

少数歯残存の咬座印象

例えば、上顎の犬歯のみ残存、下顎前歯のみ残存。

しかもそれぞれ挺出してどこを基準にすればいいか分からない。

なかなか難しいシチュエーションですが、よく目にすることと思います。

 

患者さんの理解が得られるなら、むしろ早期に

根面板にさせていただいた方が安定するかもしれません。

ですが、往々にして患者さんは残っている歯をそのまま残したいと希望します。

 

その場合も、旧義歯がある場合はコピーデンチャーを使うことで治療を簡素化できます。

 

まずは可能であれば、旧義歯の咬合面を再構成します。

挺出歯を削合し、対合にレジン添加をすることで咬合平面をなるべく整えれば

新義歯セットの際に基準がどこか迷わずに済みます。

 

もし旧義歯の後縁が短い、上顎において口蓋が覆われていないが新義歯では覆いたい、

などの場合は床縁の延長を行います。

旧義歯はとりあえず今の形態でいいのであれば、コピーデンチャーを床延長します。

 

通常通り、旧義歯をスキャンします。

こちらで紹介したポリグリップパウダー法を利用してスキャンしましょう。

可能ならばクラスプまでスキャンできれば、コピーデンチャーが安定します。

プリント後の口腔内試適にてクラスプがキツすぎたら手で折り取ってください。

 

コピーデンチャーが旧義歯同様に咬合時に口腔内に収まることを確認します。

もし床の延長が必要なら、40度以下で温めたパラフィンワックスをコピー床縁に追加し

試適してからパラフィンを粘膜に指で押し付けます。

パラフィンを冷ますと十分な強度があれば、あとは内面にシリコンを流し精密印象を行います。

強度が不足するなら、研磨面側にパラフィンを補強するようにシリコンパテを重ねて補強します。

 

床縁が延長されたら、安定して咬合できるように調整します。

通法の咬合採得のように、パラフィンを追加・削除して安定させます。

 

その後に安定した咬合状態において、粘膜面にフローの高いシリコンを流し

口座印象を行います。ここまではフルデンチャーと同様です。

 

ですが、このままではクラスプのかかる鉤歯の印象が取れません。

そのため、ここでいろいろな工夫をする必要があります。

 

粘膜を印象したシリコンを、鉤歯の全周、頬側までたっぷり流します。

フロー性の高いシリコンは操作時間も長いので、粘膜面のシリコンを流し

咬合させたままで片付けずに置いておきます。

シリコン硬化前の間に、パテタイプのシリコンを練り、1センチ弱の厚みの板状にします。

それを鉤歯の頬側面口腔前庭を埋めるように、パテシリコンの板を鉤歯頬側にあてがい

優しく口唇圧で保持させます。

 

コツとして、このパテシリコンを入れる際にパテ内面にフローシリコンを薄く流し、

またコピーデンチャー咬合面にもバイト材としてのフローシリコンを流し、

パテ圧接の際に鉤歯の咬合面にフローシリコンを少量流しておくと

粘膜面と鉤歯の関係がずれない形で、

粘膜、鉤歯、バイト・・・が同時に採得できます。

 

注意点として、咬合面レストを設計するのであれば、対合と咬合接触するところは

シリコン硬化時に対合に触れて印象面が荒れることもあるので、

粘膜面印象後に鉤歯付近のシリコンをトリミングして接着剤を塗り、

一番フロー性の高いシリコンで前面をウォッシュ印象するのが精度が高いです。

その際は粘膜印象が終了後に開口させ、鉤歯上にシリコンパテかワックスブロックを

やさしく圧接して鉤歯咬合面の外形印象を取り、それを型として

内面にフローシリコンを流し、今度は開口させて術者がしっかりと圧接することで

鉤歯を含んだ印象が得られます。

 

このように、少数歯残存には色々な工夫が必要になります。

 

 

総義歯の咬座印象の精度を上げる

 

さて、総義歯のコピーデンチャー活用方法はすでに紹介した通りですが、

旧義歯がピッタリ合っていないほどに、空隙をソフトライナーで埋める

量が増えてしまいます。

 

ですがこのソフトライナーが曲者で、やはり弾性が強すぎるので

厚みが大きすぎると咬合圧で変形していると感じることが多いです。

 

そもそも咬座印象では、パッドや口蓋縫合付近など、

加圧したいところは加圧印象、床縁になるようなところは無圧?印象と

選択的に加圧しての印象が好ましいと言われています。

 

そのため、基本的には硬さがあって変形しないトレーで、

しっかりと噛んだ時の圧を支えてくれる必要があると思っています。

 

そうするとソフトライナーの柔らかさが邪魔になります。

そのため、発想の転換で、旧義歯をすぐスキャンするのでなく、

旧義歯にソフトライナーを付けて機能印象(数日使用させる)します。

 

その次に来院した際に旧義歯のソフトライナー表面にポリグリップパウダー法を用い

スキャンし、柔らかいソフトライナー(機能時の形になっている)を

硬い3Dプリントレジンに置き換えることで

咬合圧をしっかり支え、また床縁も必要十分な長さのベストな

咬合付き各個トレーが出来上がることになります。

 

来院回数が許すなら、

初診は旧義歯の調整とソフトライナーで帰し、

2回目にソフトライナー面をスキャン、

3回目にコピーデンチャーとシリコン印象材のみで咬座印象

というのが精密かと思います。

この場合はアドヒーシブも必要です。

 

来院回数が難しくても、初診でソフトライナーを行い

辺縁形態を作ってからスキャンができれば、

機能印象とまでいかないかもしれませんが、硬いトレーとしての

コピーデンチャーで印象採得が行えます。

 

最後に

 

さらに 3D歯科 は、現在、さらに選択的加圧印象を硬化的に行うために

コピーデンチャー作成の際に一手間加えてMeshmixerで加工してから

コピーの作成を行なっています。

 

これについては、また機械を見て作業動画つきで

noteにて更新しようと予定しています。

 

note.com

3月6日まで無料公開します。

3月末までは1,000円にて公開中です。

(4月以降は3,000円)

 

印象精度を上げるためのMeshmixerでの一手間も紹介しています。

よろしくお願いいたします。

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを

少しずつ更新していきます。

 

先生がたの臨床に少しでもお役に立てていただければ嬉しいです。

今後とも 3D歯科 をよろしくお願いします。