3D歯科 のデジタル歯医者入門

最小限の費用と努力で最大限の恩恵を受ける歯科デジタル活用術

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デジタルを活用したコピーデンチャーテクニック①(無料ソフトMeshmixerで行うコピーデンチャー作成 準備編)

こんにちは。

3D歯科 です。

 

2月は毎週木曜日に、4回にわたりデジタルを活用して行う

コピーデンチャーについてお話しさせていただきます。

 

よろしくお願いいたします。

 

noteではコピーデンチャーの作成の操作動画と、精度を上げるためのポイントも

記載しています。よろしければこちらもご覧ください。

note.com

 

コピーデンチャーについて

コピーデンチャーとは、その名の通り義歯を複製することです。

複製した義歯を使って何をするかというと、

コピーデンチャー内面に印象材を流し、各個トレーとして使用します。

 

患者さんの慣れ親しんだ義歯を使い、さらに適合をよくするために

直接法のリベースのような要領で施術を行います。

 

また、場合によっては予備の義歯を作るために

行うこともあるかもしれません。

 

3D歯科 は、咬合を安定させた義歯をコピーし、

口を閉じて咬合させた状態で印象するための各個トレーとして使用します。

基本的には総義歯の方が対象になります。

 

コピーデンチャーの作成(アナログ)方法

コピーデンチャーは、専用のレジンも販売されていますが

患者さんの義歯の型取りをして、その型にレジンを流し込んで作ります。

ちょうどe-maxや鋳造金属などのショットなどと同様です。

 

ですが、ちょっと手間がかかります。作業場所も汚れてしまいます。

 

 

正しい方法は、フラスコ内の片面にシリコンやアルジネートを盛り、

そこに患者さんの義歯を半分程度まで埋め込みます。

 

硬化後にフラスコのもう片面に材料を盛り、フラスコを閉じて完全に義歯が埋まるようにします。

硬化後に義歯を型から外し、得られた型に専用レジンを注ぎ込みます。

レジン硬化後に型から外し、バリを研磨して終了です。

 

やはり技工操作はそれなりに時間がかかるほか、精度もそこまで高くないです。

重合収縮もありますし、フラスコ内でズレがないかは分かりません。

3D歯科 はコピーデンチャーを作成しても調整が多かったため、

現在ではアナログでは全く行いません。

口腔内スキャナー導入前は、このようなケースをフラスコがわりに

使用していたこともありました。

手元に転がっていますし安価なので、使用後ディスポで廃棄していました。

 

コツとしては、蓋を閉めるときは全力で力をかけ、

さらにしばらく力をかけてズレにくくします。

さらに3Mなどの強力梱包用テープでぐるぐる巻きにして

そのままレジン硬化まで十分に待ちます。

個人的にはスプリント用のレジンも有用でした。

それでもコスパは良くないのと、時間もかかり

精度もそこまで高くはありません。

ですが口腔内スキャナーやモデルスキャナーをお持ちでない先生は

参考にしてみてください。

 

口腔内スキャナーを用いて

さて、やはりここでも口腔内スキャナーが活躍します。

先にお話しした、アナログの型作りとレジン流し込みは

スキャナーと3Dプリンターを使うことで代用できます。

また、精度も明らかにそちらの方が高いのです。

 

まず行うことは義歯のスキャンです。

無歯顎ではメタルもないのでスキャンは楽(スキャナーは金属など反射するものが苦手

と思ってしまいますが、スキャンも問題があるのです。

 

義歯の歯の部分は簡単ですが、歯肉部分、特に研磨面のスキャンは困難です。

研磨面は光が反射する上、指標となるものがなくスキャナーが迷子になりやすいです。

(スキャンは画像を繋いでいくので、目印がないと上手く繋がらない)

 

これを何とかしてスキャンしようと、たくさんの先生が色々な工夫をしています。

 

口腔内スキャナーで義歯をスキャンするコツ

まず、よくある工夫ですが、

義歯の歯肉部分にフローCRで模様を描き、スキャン時点の目印を作る方法です。

これはなかなか有用ですが、それでも研磨面は困難なのと、

粘膜面にCRを乗せると、その形がコピーデンチャーに反映されてしまいます。

安価なフローレジンを用いても、コスパもよくはありません。

 

また、技工用のスキャンパウダーをスプレーする方法もあります。

スキャンパウダーは表面のテカリを抑制し、反射がなければスキャンしやすくなる

スキャナーの特性を助けるためのものです。

3D歯科 も購入しましたが、スプレーであることで取り回しが良くないのと

何よりも健康上問題がないかが心配なこともあり、使用していません。

メーカーにも質問していましたが、口腔内に直接入れるものに

スキャンパウダーをかけることは想定していないとのことでした。

技工用の模型や部品のスキャンの際に使用するものと思っています。

 

さて、 3D歯科 が考えた、楽で、効果の高く、安価な方法を紹介します。

スキャン時にこれを使用するのです。

 

パウダータイプの義歯安定剤はクリニックにも1品あるかもしれませんし、

何より安価な上、口腔内に入れることを前提に作られており、安心です。

ポリグリップパウダー法、と覚えてください!

 

例として上顎フルデンチャーを想定してお話しします。

1、使用方法ですが、まずはスキャンしたい義歯の前面を乾燥させます。

2、次に、少量の水を指にとり、研磨面に模様をつけるようになぞります。

3、研磨面、粘膜面両方にたっぷりのパウダーを振りかけます。

4、余剰は義歯を振るうことで払い落とします。

 

以上です。非常に簡単です。

人工歯の部分はもともとスキャンが可能なので不要です。

粘膜面は薄く一層、研磨面は精度が不要なのでたっぷり付いてOKです。

 

この状態で、

人工歯→辺縁と後縁→残り

をスキャンすることで、かなりストレスなくスキャンが終了します。

義歯の前面をスキャンすることで、スキャナー画面上に

完全な形の総義歯が表示されているはずです。

 

使用する口腔内スキャナーにもよりますが、

3D歯科 の使用するプライムスキャンはAIが入っており

不要部分を自動認識してカットします。そのため義歯スキャンではむしろマイナスになり

研磨面をどんどんカットしてしまうこともあります。

それでもこのポリグリップパウダー法を行うことで

スキャン時間はおよそ5分から10分もかかりません。

ここだけは他のスキャナーの方が高速かもしれません。

面倒であれば、研磨面は大体のスキャンで問題ありません。

 

スキャン終了後は、しっかり水洗してから患者さんへお返しします。

研磨面はやや強めにこすり洗いし、

粘膜面は水で流してそのままお返ししても吸着して良いかもしれません!

 

まとめ

今回はデジタルを用いて行うコピーデンチャーテクニックの準備編として

口腔内スキャナーでデンチャーのスキャンを行い

データを用意するまでをお話ししました。

 

次回は実際にこれを編集し、3Dプリントできるようお話しします。

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

 

先生がたの臨床に少しでもお役に立てていただければ嬉しいです。

今後とも 3D歯科 をよろしくお願いします。