3D歯科 のデジタル歯医者入門

最小限の費用と努力で最大限の恩恵を受ける歯科デジタル活用術

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ダイレクトボンディングを深掘り②(患者写真からの診断、DSDについて)

こんばんは。

3D歯科 です。

 

前回は3D CADや3Dプリンターが、ダイレクトボンディングと

非常に親和性が良いことをお話ししました。

 

今回は、特に前歯の補綴、ダイレクトボンディングにおける

顔貌と調和したワックスアップをするためのヒントをお話しします。

よろしくお願いします。

 

DSD(デジタルスマイルデザイン)

さて、先生方の中には、クリスチャン コーチマンという海外の先生の

名前を聞いたことのある方もいるかもしれません。

 

DSDといえばこの先生、というほど有名な方ですが、

患者さんの顔貌写真を利用した「フェイスドリブン」の治療を

いち早く取り入れた審美修復治療を行なっています。

 

近年はDSDセミナーで活躍しているようですが、

ずいぶん昔にはYouTubeDSDの方法を解説してくれたものがあります。

 

この動画は 3D歯科 もDSDを診療に取り入れる際に

何度も何度も見返しました。非常にためになります。

この当時はkeynoteパワポみたいなMacのソフト)を利用して

コピペと重ね合わせを駆使して、患者さんのスマイル写真において

どのような前歯形態にすると黄金比の歯牙形態が得られるかを

検討し、治療に反映するものでした。

 

これが数年後にはiPad用のDSD Appというアプリになり、

それが現在ではSmilefyというソフトMaciPadiPhone専用)で

非常に簡単に患者顔貌写真に理想的な歯牙形態を重ね込むことが

可能になってきました。

さらにこのソフト、平面写真だけでなくソフト上でCADの簡易デザインも

可能でiPadだけでもSTLデータ編集ができる優れものです。

 

ですが、このソフトは非常に高額な上、サブスクリプションです。

STL出力こそチャージは取られませんが、年間10万円以上のサブスクです。

 

ハマる先生には10万円支払ってもお釣りが来るくらいのメリットがあるでしょうが

なかなか毎日使うこともなさそうなソフトに年10万円はちょっと・・・

という先生も多いかと思われます。

 

さらに時が過ぎて2020年、ついに無料でDSDが運用できるようになりました。

CADデータに直接反映は現在のところ難しいですが、

患者説明や技工サイドへの説明には十分有用です。

 

顔貌写真撮影について

さて、DSDに取り組む上で必ず必要なのは顔貌写真です。

しかも左右上下に顔がぶれていないような、精度の高い写真が必要です。

 

顔貌写真を撮るカメラですが、正直言いましてスマートフォンでいいのではと思います。

一眼レフで撮影してもいいでしょうが、シェード写真と違い、

多少の補正がかかってしまっても問題ありません。

ですが必ず必要なアイテムがあります。

 

こちら、リングライトです。

もっと低価格で小型のものもありますが、 3D歯科 のおすすめは

絶対に「電源アダプター駆動」で「18インチ以上」の商品です。

それでも1万円以下で購入できるのでいい時代です。

 

写真撮影方法は、白い壁の前で患者さんの自然立位で立たせ、

1メートル離したところにリングライト、その真ん中からスマホ撮影です。

患者さんからは「ユーチューバーみたい」と言われながら日々撮影しています。

スマホのストレージに余裕があれば、写真だけでなく、ぜひ動画をとりましょう。

 

アライナー矯正を始める時にも顔貌写真は必要ですが、

正面と左右側貌(それぞれ通常時、スマイル時)写真は必須です。

歯頸部の状態まで見たければ、場合によりアングルワイダーで

口唇を圧排した正面写真も撮っておきます。

この時リングライトを当てないと歯牙が影になるか、

スマホや一眼レフのフラッシュでは白飛びすることがあるので要注意です。

 

もし動画を撮っていれば、FPSによりますが、動画からベストな写真を

切り抜いても十分使用に耐えうると思います。

 

無料にて簡易DSD

さて、写真が撮影できたらいよいよDSDです。

ここで登場するのがMEDIT Smile Designです。

現在はバージョン1.2になりさらに扱いやすくなっています。

 

口腔内スキャナーがなくてもSTLデータでなく顔貌写真しか撮ってなくても

登録さえすれば1GB以下の容量なら誰でも無料で使用できます。

(以下の写真は全てMEDIT公式のyoutubeからです)

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写真を読み込むと自動で大体の情報がマークされます。

必要に応じて調整します。

 

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現状の写真にテンプレートを重ね合わせ、修正したのちに

 

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フレームを歯牙の見た目に変えて、患者説明などで使用できるようにします。

たったこれだけでも、患者さんの反応は良くなりますし、

技工士さんは模型やスキャンデータだけでわからない

顔貌と調和した前歯補綴を設計することができます。

ホワイトニング後のシミュレーションもできるので説明に有用です。

 

さて、ダイレクトボンディングへの活用ですが、

患者さんの左右中切歯の近遠心間の幅をデジタルノギスで計測しておきます。

 

これをMEDITソフトの工程で入力すると、あと何ミリ歯冠長を伸ばすべきか

幅をどうすればいいかが、写真から計算してくれますので

それをCAD設計に活用すればいいのです。

 

BlenderなどのソフトでCADをする際には、写真を表示しながら作業できるので

DSD後の写真に重ね合わせるように歯冠長を調整すると、

非常に簡単に顔貌に調和したワックスアップが行えるのです。

 

次回の更新について

次回は実際のワックスアップについてお話しします。

特にデジタルワックスアップの恩恵を受けやすい、

CRにて犬歯ガイドを付与するための操作について記載する予定です。

 

今回の内容は以上になります。

非常に長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

 

先生がたの臨床に少しでもお役に立てていただければ嬉しいです。

今後とも 3D歯科 をよろしくお願いします。