3D歯科 のデジタル歯医者入門

最小限の費用と努力で最大限の恩恵を受ける歯科デジタル活用術

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院内でのMedit Linkの運用アイディア

こんにちは。

3D歯科 です。

 

前回は間もなく実現しそうなAIを活用した歯科治療についてお話ししました。

 

今回は、院内で使用するMeditスキャナーとMedit Linkの運用についてお話しします。

よろしくお願いいたします。

 

Meditスキャナーでスキャンしたデータの取り扱い

MeditはMedit Linkというソフトを使用してスキャンを行います。

スキャン直後から自動でMedit独自のクラウドへのアップロードが始まり、

およそスキャン後2分したら模型データが表示されます。

 

このアップロード中も新しいスキャンを並行して行うことが可能です。

 

さて、口腔内スキャナーが院内で活躍するようになると起こる問題は、

いわゆる「印象が重なった時」だと思います。

 

複数人ドクターがいるクリニックではもちろんですが、

衛生士さんのTBIや、アライナー矯正のチェック、ホワイトニングの印象採得など

院内で印象を行うことは数多くあります。

 

その他の口腔内スキャナーであれば、この時の選択肢は

スキャナー本体ごとPCを移動させるしかないのですが、

Meditについては、ソフトのライセンス料などもかからずたくさんのPCにスキャンソフトを入れられるので

USB-Cケーブルとスキャナー本体(ワンド部分のみ)を持ち歩けば

スキャンしたい患者さんのところへ簡単に移動させられます。

 

特に、治療前の歯冠形態をスキャンし、その後、形成終了後に印象を取る、というケースでは

チェアタイムずっと1台のスキャナーを占有してしまう場合があります。

その際などに、途中でスキャナーワンドだけ移動させれば、スキャンデータ自体は

全て同期しますし、途中からでもスキャンを続けられるので便利です。

 

バスパワー駆動のスキャナーとMacBook Airだけを移動

また、Meditは唯一のMac対応スキャナーであるため、

M1以降のMacに繋げば、MacBook Airとスキャナー、1本のUSB-Cケーブルのみで

持ち運び楽々で運用できます。

 

これはPCが急に調子が悪くなった時などにも有用で、

院内に2台以上のMacBookを置いておけば、いつでも差し替えて使用できます。

 

Web版のMedit LinkをiPadで活用する

さて、Scanが完了したあとは患者さんに見せたり、説明することが多いです。

この時にも、Medit LinkであればWeb版で同じデータを閲覧できるので便利です。

 

スキャナーを繋いだPCはスキャン完了後に他のユニットに移動してしまい、

データがアップロードされてしまえば、患者説明はMeidt Linkを開いたiPadに引き継げます。

 

ちょっと古いiPadでも、十分に模型データを回転、拡大させたりと操作は可能です。

 

 

また、Web版であれば、複数のブラウザでMedit Linkを開いて

例えば矯正の治療前、治療後のデータを簡単に比較参照できます。

 

Sidecarを使用する

MaciPadを使用している環境であれば、iPadMacのサブディスプレイとして

簡単に接続できるので、もっとシンプルにiPadで説明することもできます。

ただし、この場合、他のスキャンを始めると、Medit Linkソフトからは離れてしまいます。

 

まとめ

特にiPadでのブラウザ版Medit Linkは運用しやすく、

スタッフ全員で使いこなすのも非常に簡単です。

 

本当は口腔内スキャナーをユニットの数ぶんだけ揃えたいのですが、

口腔内スキャナーは日進月歩のため、今同じモデルをたくさん購入しても

2、3年後にはもっと価格を抑えた高機能モデルが販売されるはずです。

 

そのため、将来にユニットごとに揃えたいと思った時には、

2、3年ごとに1台ずつ口腔内スキャナーを買い増していくのが

機能的にも優れているのではないかと思います。

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを

少しずつ更新していきます。

 

note.com

↑こちらでも不定期に動画付きのデータを更新しています。

よろしければ見ていただけると嬉しいです。

 

先生がたの臨床に少しでもお役に立てていただければ嬉しいです。

今後とも 3D歯科 をよろしくお願いします。

 

 

AIを利用した歯科治療についての予測

こんにちは。

3D歯科 です。

 

前回はレジン表面滑沢硬化剤についてお話ししました。

digitaldentistry.hatenablog.com

 

今回は一月初めにもお話ししました、AIを利用しての歯科について私感をお話しします。

よろしくお願いします。

 

ChatGPTの衝撃

去年年末にかなり話題になったので、すでに遊んでみた先生も多いと思いますが

ChatGPTという、無料で使用できるAIとチャットできるサービスが

3D歯科 も試していますが非常に面白いです。

 

単純に楽しくAIとコミュニケーションがとれるだけではなく

有用なアシスタントとしても機能します。

 

例えば・・・先生方も医院運営などでエクセルを使用することも多いと思いますが、

数式やコマンド?を覚えたり使いこなすのは結構大変です。

 

他の多くの方も指摘していますが、オフィス系ソフトとプログラミングについては

ChatGPTにアシストしてもらうととても捗ります。

エクセルで行いたい処理をチャットすると、とても的確に解決方法を教えてくれます。

 

まだ試していない方のために、ChatGPTに歯科のことを聞いてみました。

日本語のごく一部は怪しいかもしれませんが

ほぼ完璧に答えが返ってきていることにまず驚きます。

 

歯科界の未来について、

AIにも3Dプリントやバイオマテリアルが大事だと言ってもらえてなんとなく嬉しいです。

また、予防のほか遠隔診療についても触れられています。

 

ただし、このChatGPTに関しては、2021年までのデータをもとに返答が返ってきます。

そのため最新にできた技術などについては質問できませんが

ある分野が今後どのように発展しそうとか、発展のためにどうすればいいかを教えてくれます。

 

驚くことに治療方法を細かく聞いてみても、治療術式に対するポイントを教えてくれます。

ただし、たまに誤りがあるので全て鵜呑みにするには現状まだ不安がありそうです。

 

歯科でのAIの活用について

話がChatGPTに逸れましたが、このようなAIの進化は特にこの1年〜2年はすごい勢いです。

歯科においてのAI活用については、治療の中で数値化されているものがまずは恩恵を受けることができそうです。

 

アライナー矯正

まずはアライナー矯正について。

その前に、CTのDICOMとSTLの自動マッチングは間もなく誰でも無料で自動化されると思います。

CTと歯列が連動すると、AIにとっては歯槽骨内で歯を動かし再配列することは

なんのトラブルもなく簡単に行えるはずです。

 

その上で固定源や移動様式など、技術の高い矯正歯科医からAIが学ぶことができれば

そこそこ安全で予測実現性の高いアライナー矯正治療がAIの手によって行われそうです。

ドクターは、その結果を見た上で歯周状態を確認して部分的に修正するだけになるはずです。

 

クラウン製作

次に、現時点でも高い結果が得られているのが単冠の補綴治療です。

 

現状の口腔内スキャンであれば顎運動も記録できるようになってきているので

固有の顎運動と対合のファセットや裂孔から、補綴の咬合面形態が

自動で導き出されてきます。

 

3D歯科 も現在フルオートでのAIクラウンの精度確認中ですが

1年前程度と比較して、のっぺりした「カッコ良くない」咬合面形態だったのが

副溝まで自動で入るようになり、例えば3Dプリントで再現できる限度まで

形態が作られるようになっていると感じます。

iPhoneの写真でセット前に撮影したので確認しにくいですが、

なかなか良い咬合面形態に思えます。

(素材は保険で使用するCAD /CAM冠と同じものをTEKとして使用、精度確認しています。表面はざっと整えてヌールコート処理しています。)

咬合させて咬合紙を見ると、機能咬頭周りに3点の接触点がつき

調整は僅かに削ると咬頭形態を温存したままセットできました。

 

もちろんコンタクトやフィットは無調整です。

ただし咬合接触はスキャンバイトに大きく左右されることがあるため

モノリシックのジルコニアの場合、咬合が高くなって驚いてしまうケースもあります。

 

現状は簡易咬合器をつけた模型を3Dプリントしておき、

その模型上で咬合を簡単に確認・調整しておくダブルチェックするのが良さそうです。

 

 

インプラント診断(埋入位置の提案)

また、アライナー矯正のようにCTと歯列の重ね合わせが自動ででき、

対合関係からあるべき補綴の形態が導き出されると、例えば中間歯欠損では

自動であるべきインプラントの埋入ポジションが導かれます。

 

それができれば(Medit Linkの自動スプリント製作のように)自動で

ガイドの製作データができるようになります。

この技術は知る限りまだ実現されていませんが、近い将来必ず可能になるはずです。

 

AIがインプラント、補綴を提案し、ドクターが確認・修正し、承認すれば

サービス提供者からガイド(データ)が送られれてくる、という形になりそうです。

 

治療方針の決定

患者さんから主訴を聴取しフォームに入力すると、

考えられる原因や病名が表記され、それに対しての治療方法が表示される。

さらに術式のポイントや動画が表示されて治療開始までに確認できる・・・

ということは簡単に実現しそうです。

 

現状でもいわゆるディシジョンツリーのようなものがありますが

これの返答にAIが活用されるだけでも実現しそうです。

 

例えばChatGPTでもすでに、歯科の治療術式のポイントについて教えてくれます。

歯根端切除について聞いてみました。

まだまだ、当たり障りのない内容だけに感じますが、例えば生活歯髄切断なども

感染が起きないようにするのがポイント、など結構細かい内容まで指示してくれます。

将来に期待できそうです。

 

まとめ

この記事を書いている間にも、GoogleはBardを発表、

マイクロソフトはBingにChatGPTのようなAIチャット機能を搭載、と

まさに日進月歩でAI技術は進歩しています。

 

これが現実になるかどうか、というのではなく、

あとは、いつ実現するのか、だけが問題です。

そして、実現したAIを自分の環境にいかに活用していくかが重要だと思います。

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを

少しずつ更新していきます。

 

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よろしければ見ていただけると嬉しいです。

 

先生がたの臨床に少しでもお役に立てていただければ嬉しいです。

今後とも 3D歯科 をよろしくお願いします。

 

 

デジタル技工の強い味方、レジン表面滑沢硬化剤について

こんにちは。

3D歯科 です。

 

前回は、今後近い将来に起こりそうな歯科界の変化について記載しました。

digitaldentistry.hatenablog.com

 

今回は、デジタル技工を院内で行う際や、

ダイレクトボンディングを行った後に活用できる

レジン表面滑沢硬化剤についてお話しします。

 

よろしくお願いします。

 

レジン表面滑沢硬化剤について

表面滑沢硬化剤、と記載すると何やらゴツいですが、

例えば形成後の象牙質にぬるハイブリットコートなどのように

光重合で表面を保護する膜を作るイメージです。

 

古くは技工ではマウスピースの滑沢材や義歯のコート材などが使用されてきましたが

これらは口腔内では使用できず、 3D歯科 の知る限りではラボで使用し

ラボでの重合器で完全に処理してから医院に届けるというようなものでした。

 

ただ、最近の商品は口腔内使用できるものが増えてきており、

非常に臨床で使用しやすくなっています。

 

GCナノコートカラー

ナノコートカラーは、その名の通り、レジン系の素材にステインをする目的のものです。

CRした後に歯頸部にステインを施したり、

すでにセットしたCAD冠やレジン前装冠の口腔内での色直しでも役立ちます。

 

上顎臼歯のインレーの隣接面の金属色がどうしても気になる、と言われたら

(保険でもCADインレーはありますが、患者さんが麻酔を希望しないとき)

オペークCRを薄く塗ってから、ナノコートカラーで色付けしてとても喜ばれたこともあります。

 

ドクターは色を合わせるなら、つい再製作を前提で考えてしまいますが

患者さんは、少しだけなんとかしたい、という希望を持って

被せ物を外すほどのことを望んでいないこともあります。

 

問題が見た目だけで、予後に関与しないのであれば

口腔内使用可能な、保険診療下でも使用可能な、この製品で

患者さんの希望に応えてあげることもできます。

 

もちろん、保険では点数はつきません(所定点数に材料料が含まれる)ので

それなりに高価な薬剤を使うことは工夫と患者さんへの説明が必要になるかもしれません。

 

ヌールコート

まさにキャッチコピーが 3D歯科 としては好みです。

カラーリング材もたくさん出ており

義歯用のステインも登場しました、

 

ですがどちらかと言うと、クリアータイプを推している製品に思えます。

 

先生方も、口腔内スキャナーを使用していると

リングマシンも所有しており院内完結している、ということもあるかと思います。

 

技工士さんも在籍していれば研磨も完璧に行ってもらっているかもしれませんが

補綴製作が重なった時や、技工士さんがいないときなどに

ヌールコートが非常に役立ちます。

 

例えばCAD CAM冠であれば、ブロックから切り離した後に

表面の凸凹をならしただけでヌールコートを塗布すると

滑沢な研磨が不要になります。

 

これは院内で技工をすると非常に時短で楽になります。

 

3Dプリントのテックも、サポート部分をとった後は

ヌールコートを塗るだけ。楽ちんです。

 

 

また、最近トライしている3Dプリントデンチャーについても

研磨で綺麗にするのは煩雑ですが、

ざっと凹凸をとった後は、ヌールコートとジェルを塗って硬化させれば

滑沢な表面が得られます。

 

まとめ

メリットは以上に挙げた通りですが、

デメリットはコストと、レジン系マテリアルにしか使用できないこと、

塗ったところを削合するとそこだけ光沢がなくなることでしょうか。

 

ただ口腔内使用できますので、咬合調整などで剥げてしまったところを

再度綺麗にしてあげることも簡単です。

 

技工士さんによっては、仕事の哲学として滑沢材は全く使用せず研磨のみ、と言う方もいらっしゃいますが

チェアサイドで行うには、ぜひダイレクトボンディング後、CADセット後、

3Dプリント補綴などに積極的に使用したい製品だと思います。

 

ここまで記載しながら、ジルコニアに使用できないのかな、と実験してみたいと思いました。

ジルコニアはちゃんと処理すればボンディングは付きますし(=表面がレジン層になる)

その上からならヌールコートなどは重なるのではないでしょうか。

 

もちろん歯肉と接触する部分などはむしろ裸のジルコニアが一番良く、

ステイン材やグレーズ材も含めて塗るべきではありませんが

すでにセットされた白すぎたジルコニアなどにわずかにステインしてあげることは

患者さんが補綴をやりかえなくて済むきっかけになるかもしれません。

材料的に難しいかもしれませんが、明日以降に試してみようと思います。

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを

少しずつ更新していきます。

 

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先生がたの臨床に少しでもお役に立てていただければ嬉しいです。

今後とも 3D歯科 をよろしくお願いします。

 

 

2023年に想像する歯科の未来について

こんにちは。

3D歯科 です。

 

前回は、アライナー矯正や全顎補綴、審美補綴を行う際、

CADで活用するDSD(デジタルスマイルデザイン)、3Dスマイルデザインについてお話ししました。

digitaldentistry.hatenablog.com

 

2023年になってもう1ヶ月経ちそうな今ではありますが、

今回は、今年か遠くない未来に起こりうる歯科の変化についてお話しします。

よろしくお願いします。

 

歯科のDX化と歯科以外のDX化について

ここ最近、AIが絵を描いたり、AIがチャットで質問に的確に答えてくれたりと

AIにまつわる話題が増えてきています。

 

実際にフリーで使用できるイラスト作成ソフトを試してみましたが、

絵心がなくてもプロのような絵が出力されてきて驚きました。

 

例えばこの技術が既存のものを組み合わせたパターンだったとしても、

著作権フリーで必要な画像を使用できれば、

例えばパンフレットやホームページの更新などで画像が必要になるような時には

十分使用できそうです。

 

もちろんアートやイラストのみを仕事とする人間に比べると

クオリティや画素数は不足していますが

そこまで求めていないというシーンも多いと思います。

 

同じように、歯科の世界でもAIを駆使した仕事や作業が増えてくるはずです。

 

基本的には市場の小さい歯科の世界では、一般に技術や手法が広がった後に

遅れて歯科に応用されていくことが多いと思います。

(CAD/CAMや3Dプリンターなども含めて)

 

ただし、歯科特有のものとしては、どれだけデジタル化が進んでも、

最後は患者さんの口腔内に適用するので、アナログに変換しないといけない点があります。

 

先の画像やアニメーション、ゲームなどのようにデジタルだけで完結することはできません。

このCAMの部分の発展が期待されます。

 

AIベースのものづくり

まず最初にくる変化はAIを駆使したCADと思います。

 

歯冠補綴

すでにAIでのクラウン作成は行われていますが、

さらに発展し、一般的な技工物はAIの提案した形でほぼ完結できるようになると思います。

 

技工サイドの仕事としては、AI作成の歯冠形態に、手ぐせや好みで形態調整を行うことと

CAM部分、削り出しやプリント、その後の研磨調整・グレーズ・ステインなどになると思います。

 

特に 3D歯科 が着目してよく利用しているのがこのサービスです。

dentbird.com

 

Medit Linkもそうですが、クラウドベースでデータが共有できるので

チェアサイドで利用し、自宅や技工サイドでそのデータを加工して、という仕事が

ストレスなく行うことができます。

 

アライナー矯正

また、AIベースで大きく発展しそうなのが、アライナー矯正の分野です。

最大手のインビザラインも含め、膨大な症例データがあるはずですから

治療パターンを学習させ、矯正医のリカバー方法なども覚えさせれば

ほとんどの場合、フルオートで最適な治療方法が日にちも待たされずに表示されるはずです。

 

クラウン作成もそうですが、そこまでこだわりの強くない多くのドクターは

AIでの製作そのままを受け入れても満足できるようになると思います。

あるいはAIの結果に「ひとつまみ」調整を加える程度だと思います。

 

トップレベルのドクターや難症例に立ち向かう専門医の先生などは

AIの提案にマニュアルで修正を加えていく、現在のCADに近い内容

(補綴では歯冠形態ライブラリを読み込んでからワックスアップする。

 矯正では技工士の作成に修正指示を何度も出して目的のセットアップを作成する)

が初めは必要になると思います。

 

ですがそれも1、2年すると術者の好みを反映した提案をするようになるか、

専門医が作業したCADの結果もAIが学習すると思います。

 

新しいマテリアルの3Dプリント

CADがほぼフルオートで可能になると、

次は出力がわ、CAMの進化も起こるはずです。

 

ソフトウェアの進化と違い、ハード面の発展のスピードは遅いと思いますが、

進化の伸び代が残っているのは(ミリングマシンではなく)

3Dプリンターだと思います。

 

現在でも硬質レジン並みの硬度の素材は歯科用途で商品化されていますが

期待したいのは、高強度の高分子材料、メタル、ジルコニアです。

 

高分子材料

将来に最も3Dプリント素材で期待しているのが、ペクトンです。

シェードの再現性は難しいかもしれませんが、フレームやコアには

ミリングやショットですでに使用されている素材です。

 

素人考えではレジンの延長にある素材なので、

比較的早く、安価で3Dプリントが可能になるように思います。

 

メタルの3Dプリント

産業界ではすでに完成している金属の3Dプリントですが、

最近どんどん機器の小型化が行われています。

フレーム制作やクリアランスのない部分のクラウン製作に

今も歯科では活用できるところも多いと思います。

 

ジルコニア

3D歯科 は最近まで知りませんでしたが、

数年前からデンタルショーなどで、歯科用ジルコニアを3Dプリントできる機器は

販売?されているようです。

 

最近では、小型なジルコニア3Dプリンターも登場しています。

www.aniwaa.com

国産ではありませんが、国内某大手メーカーが購入してテストをしているそうです。

 

ビタシェード対応カラーがあり、強度も申し分なく、使い慣れた素材。

デメリットはプリンターが高価なこと、シンタリングが必要なことです。

EMAXのような素材がプリントだけで焼結なく使用できるとベストではあるのですが。

 

ミリングではバーの消耗などのために、焼結体のジルコニアは削り出せませんが

3Dプリントでは完成品が重合されるだけなので、

光重合するための混ぜ物をして強度などが保たれれば

ガラスセラミックも重合できるのかもしれません。

 

3Dプリントとミリングの違い

3Dプリントは大量に同時に出力可能です。

それなりに重合時間はかかりますが、技工所などでは生産性が大きく上がります。

また、CNCミリングは、歯科以外の世界を見てもマシンの価格は下がりませんが

プリンターは年々安く、高機能になっています。

 

また小型化も可能なので、チェアサイドに高速プリンターが並ぶ日も近いかもしれません。

 

クラウドベースのデータ管理と共有

CAD機能が追加されたMedit Linkや、その他の新興の口腔内スキャナーの管理ソフトのように

クラウドでデータが管理することができるソフトが増えています。

 

医院内でユニットごとにデータが自動で共有されるだけでなく

医院とラボでも、データやソフトが共有できるようになってきます。

 

 

技工サイドで業界標準ソフトは現在、EXOCADと思いますが、

技工士さん向けのデジタルを導入する情報の書いた本の中でも

デジタル導入はコストがかかり、ソフトの年間フィーも考えて導入が必要、

とのことでした。

 

このような恐ろしい値段のソフトは、おそらくチェアサイドで使用できる

無料(またはサブスク)のCADソフトが広がってくると、駆逐されると思います。

www.clinux.pro

例えばこのようなソフトで、初期投資を大きく抑えることもできます。

 

Clinuxかどうかはわかりませんが、Medit Designにしろ将来登場するソフトにしろ

チェアサイドで使用しやすいソフトが、技工サイドにも満足いくクオリティになれば

業界標準でみんなが使用するソフトは、無料か低価格ソフトで済むと予想しています。

 

まとめ

今年一年で全てが実現するかはもちろん分かりません。

ただ、歯科以外の業界はAIをはじめとする技術の進化により

大きな変化を遂げようとしています。

 

歯科の未来も、低コストで、短時間で、同等以上のクオリティを

どんな人でも扱えるようになるのだと 3D歯科 としては信じています。

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを

少しずつ更新していきます。

 

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よろしければ見ていただけると嬉しいです。

 

先生がたの臨床に少しでもお役に立てていただければ嬉しいです。

今後とも 3D歯科 をよろしくお願いします。

 

 

アライナー矯正に用いるDSD②3Dスマイルデザインに挑戦

こんにちは。

3D歯科 です。

 

前回は、アライナー矯正や全顎補綴、審美補綴を行う際の

簡易的なDSD(デジタルスマイルデザイン)、2Dスマイルデザインについてお話ししました。

 

digitaldentistry.hatenablog.com

 

今回は、より効率的に、審美を考慮してCAD操作が行えるようにする

フェイススキャンやCTを利用した、3Dスマイルデザインについて紹介します。

 

よろしくお願いします。

 

さまざまなデータのマッチング

2Dスマイルデザインと同様、データ同士を重ね合わせることで

バーチャルな患者さんを作ることができ、

診断やフェイスボウ代わりに、咬合平面の決定に、前歯位置の決定などに使用できます。

 

データを重ねていくためには、リファレンスポイント(データ同士ではっきり重なるところ)

を探して、ずれないようにデータを並べ直す必要があります。

 

口腔内スキャナーでいうバイトスキャンと同様で、

バイト採得の範囲が広すぎるよりも、大事なポイントを押さえて

重ね合わせを狭い範囲で何箇所か行なったほうが良いようです。

 

バイトであれば左右の3、4や5、6あたりの狭くて離れたポイント。

同じようにフェイスデータなどを重ねるなら、

なるべく離れた、3点以上の、スキャンごとに変化の少ないポイントを探します。

 

具体的には、フェイススキャンなら

・上顎前歯の唇側面

・鼻の付け根

・場合により口角鉤のウイング部分

をマッチングポイントとして重ね合わせを行います。

 

CTデータのマッチング

インプラントのガイド作成や、顎関節位置の詳細な確認には

CTデータをSTL歯列データに重ねる必要があります。

 

CTデータの一部を切り取る作業はセグメンテーションと言います。

使用するソフトは(フリーソフト

・InVesalius

・3D Slicer

などで詳細に切り取っていくこともできますが、

・Blue Sky Plan

こちらのインプラントガイド設計を中心としたソフトでは、

ざっくりとDICOMのSTL化を行うことが得意です。

www.blueskyplan.com

無料で使用できるソフトの中ではCTの処理が高速で、操作はクセがありますが

歯や骨の一部をざっくりと切り取って、STLにするのは優れています。

 

ただしWindowsの最新アップデートでないと(多分)CTのSTL化は

無料でできないため、Macをメインで使用していると使用しづらいところはあります。

 

CTデータか、フェイススキャンか

3Dスマイルデザインを作成する際に、歯列STLデータの他に、

フェイススキャンによるデータか

CTから得たDICOMデータを

どちらか、あるいは両方を重ねることになります。

 

全ての症例でCTデータが必要かどうかは、臨床への考え方によって、

そのデータを最大限活用できるかによって変わるのでしょうが、

3D歯科 は3DスマイルデザインにCTを使用するのは、矯正とインプラントのみです。

 

全顎的補綴でもあれば良いなと思うこともありますが、

被曝量と得られるメリットを考えて、必須であると考えた場合のみ撮影します。

治療前、治療後、治療中の試適に全てCTを撮影している症例も目にしますが

自分としてはそこまで頻回のCT撮影は受けたくありません。

 

そのため、ほとんどの症例ではフェイススキャンのみ行なっています。

フェイススキャンは被曝もなく、患者さんはリスクフリーでメリットだけを受けられます。

 

顎関節の位置や顔貌の正中、バランスは十分に顔貌の軟組織情報から得られます。

ただし、データの重ね合わせについてはフェイスデータの方がずれが出る可能性があります。

 

CTデータであれば、マッチングポイントは上顎歯列データ全体と、

確認のために鼻あたりの正中がずれていないかなどをダブルチェックできます。

 

フェイススキャンデータは、マッチングポイントが上顎切歯や鼻あたりだけになってしまいます。

口唇でマッチングさせると、可動性が高い部分では大幅にずれてしまいます。

 

フェイスデータのマッチングのためのアイディア

そのためフェイススキャンとSTLデータのマッチングには補助データを活用します。

 

必須データ:歯列STLと上顎前歯から鼻〜目尻のあたりまで撮影した口腔内スキャンデータ

補助データ:透明でない口角鉤(下の写真)や、場合によってはマッチング用皮膚シール

 

コツとしては、

・口腔内スキャンで上顎前歯から鼻をスキャンしますが、鼻と前歯がマッチングした時点で開口させ、上顎前歯から上顎臼歯までスキャンを広げて歯列と鼻スキャンのずれを無くします

・色付き口角鉤をつけたままフェイススキャンし、患者さんの動かないうちに直後に口腔内スキャンにて口角鉤までスキャンします

 

 

 

これによりほぼフェイススキャンと歯列がずれずにマッチングします。

ただしこれはrevopoint POP2の話で、フォトグラメトリのフェイススキャンや

解像度の低い歯科用フェイススキャンでは、歯の部分がマッチングしません。

 

そのため歯の部分の再現性が低ければ、バイトフォークのようなものを噛ませた

追加のフェイススキャンを取得し、そこからマッチングさせる必要があります。

正直なところ、精度は悪くないですがチェアサイドでやるのは

アナログのフェイスボウのように面倒です。

 

まとめ

これにより重ね合わせたデータを、患者説明に使用するだけではなく

ワックスアップなどのCAD操作をする際に実際に顔を見ながら

審美や咬合平面の確認を行うことが可能です。

 

アライナー矯正においては、治療前と治療後の両方のデータが(クリアコレクトでは)

STLでダウンロードできますので、そちらを使用して3Dスマイルデザインが可能です。

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを

少しずつ更新していきます。

 

note.com

↑こちらでも不定期に動画付きのデータを更新しています。

よろしければ見ていただけると嬉しいです。

 

先生がたの臨床に少しでもお役に立てていただければ嬉しいです。

今後とも 3D歯科 をよろしくお願いします。

 

 

アライナー矯正に用いるDSD①2Dスマイルデザインについて

こんにちは。

3D歯科 です。

 

前回はMedit Linkでスキャンを行う際に、Macのスペックを上げるとスキャン速度が

どの程度速くなるかを検証しました。

digitaldentistry.hatenablog.com

 

今回は、アライナー矯正や全顎補綴、審美補綴を行う際の

簡易的なDSD(デジタルスマイルデザイン)、2Dスマイルデザインについてお話しします。

 

よろしくお願いします。

 

DSDとは

DSD(デジタルスマイルデザイン)とは、2Dあるいは3Dの

患者顔貌データや写真、歯列データ、治療後のワックスアップデータを

それぞれ統合することで、治療後の顔貌の変化をあらかじめシミュレーションし

診断や説明に活用することを言います。

 

この界隈ではブラジル サンパウロ歯科医師・歯科技工士である

クリスチャン・コーチマン先生が有名です。

 

3D歯科 も以前よりファンであり、今はDSD appなどアプリでのDSD操作もできますが

KeynoteMac版のパワーポイントみたいなもの)でDSDを行なっていた時代から

そのデジタルを駆使した診断方法などを真似てきました。

去年来日していた際に講習会にも参加させていただきました。

 

昔は写真を規格化させて撮影してKeynoteで重ね合わせを行い

CAD画面をはめ込んでいく、2Dスマイルデザインでしたが

 

現在では3DフェイシャルスキャナーやCTから得られた軟組織・骨データに

CADデータや矯正シミュレーションをはめ込んだ

3Dスマイルデザインが活用されるようになっています。

 

2Dスマイルデザインについて

さまざまな先生がKeynoteやパワーポイントを活用して行なっていた

2Dスマイルデザインについて、 3D歯科 は患者説明と矯正の簡易診断に活用中です。

 

3Dスマイルデザインは患者説明に数回使用しましたが、

患者さんからギョッとされると言いますか、不気味の谷を超えていない感じで

患者さんからは、どちらかというと気持ち悪がられてしまう事が多いです。

もちろん診断用としては3Dスマイルデザインの方がとても優秀です。

 

そのため、CADでの操作やワックスアップ時には3Dスマイルデザイン、

患者説明は2Dで、というふうに使い分けています。

 

2Dスマイルデザインのうち、ホワイトニングの説明や中切歯の位置を確認するのは

MeditのSmile Designソフトを使用して

簡単に患者さんと情報の共有を行うこともできます。

 

今回は、2Dスマイルデザインを歯列矯正に活用する方法を簡単に紹介します。

アライナー矯正のセットアップを顔貌に嵌め込むには

MeditのソフトよりKeynoteを使用する方がやりやすかったです。

(アライナー矯正システムによっては顔貌はめ込みの機能が元から備わっています)

2Dスマイルデザインの方法

アライナー矯正や、審美治療、全顎補綴に役立つ2Dスマイルデザインの方法です。

 

フリーソフトKeynoteをインストールしたiPhoneiPadMacどれかを準備します。

iPhoneでも十分可能です。

 

準備

患者のスマイル状態の写真を準備します。

バイトを上げるときには「イーッ」と噛んでの笑顔ではなく

「ヒーッ」という感じで、わずかに開口状態でのスマイルが操作しやすいです。

 

治療前、治療後のCADデータを用意します。

アライナー矯正(3D歯科 の場合クリアコレクト)でのセットアップ画面でも、

審美、全顎治療でのCAD画面のスクリーンショットでも構いません。

 

口唇の内側をくりぬき

Keynoteのインスタントアルファという機能で、

Keynoteに貼り付けた患者顔貌写真のうち

口唇の内側を消去します。

この部分にCAD画面を重ねていきます。

 

くりぬきは写真の状態によりうまくいかないこともあるので、

さらに一手間かけて、写真を複製しておき、

片方の写真は、通常の「写真」アプリにおけるマークアップ機能を用いて

口唇の内側を黒塗りしてあげると、とても綺麗にインスタントアルファで切り抜けます。

 

重ね合わせ

治療前の写真に、治療前のCAD画像を重ねます。

歯の部分がピッタリ重ねる事ができるようにCADの角度を調整しておくのが大切です。

 

スクリーンショットのフレーム部分を参考に、

治療前CAD画像に治療後のCAD画像を重ねます。

 

矯正などで全ての歯を動かすと、元の歯列と重ね合わせするポイントがなくなることから、

スクリーンショットを撮影する際に映り込む、画面のフレームをマッチングの基準にします。

 

こうすることで、

顔貌写真の歯の状態=CAD画像の歯の状態

となり、さらに

CAD画像の状態→治療後CAD画像をはめ込んだ顔貌写真

が作成できました。

 

まとめ

文章で書くと複雑そうですが、実際にやってみると

思ったよりも簡単で、5〜10分もかからずにKeynoteにプレゼン資料が出来上がります。

 

3D歯科 も、患者さんと治療のゴールを共有するため、

全顎補綴や矯正治療では、ほぼ欠かさずこのような資料をもとにカウンセリングを行います。

 

使用するクリアコレクトというアライナー矯正システムでも、某大手のように

2Dスマイルデザインを作成してくれれば手間も減りますが、

この辺りは技工費用の差を鑑みて受け入れられる所です。

患者さんへより勧めやすくなりますし、医院の競争力も高まります。

 

どうしてもここでは患者さんの実際の写真などは

載せにくいため、あらためてnoteの方に

今週か来週には、写真や操作方法を含めてアップする予定です。

(更新後1週間くらいは無料で公開しますので、お時間ありましたらチェックしてください)

 

ここでの次回の更新は、3Dスマイルデザインを行うための

フェイススキャンと歯列STLのマッチングについて紹介する予定です。

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを

少しずつ更新していきます。

(今週のみ水曜更新でした!)

 

note.com

↑こちらでも不定期に動画付きのデータを更新しています。

よろしければ見ていただけると嬉しいです。

 

先生がたの臨床に少しでもお役に立てていただければ嬉しいです。

今後とも 3D歯科 をよろしくお願いします。

 

Medit i700をMacで使用する〜Macのスペックによるスキャン速度の比較(M1 MacBook Air VS M1 Pro MacBook Pro)

こんにちは。

3D歯科 です。

 

昨年はたくさんの方に記事をお読みいただき、コメントもいただきましてありがとうございました。

3D歯科 が工夫したり見聞きした内容、試行錯誤した内容でとても限られた情報にはなりますが、

今年も先生方に少しでも有益な情報を発信できればと思っています。

本年も宜しくお願いします。

 

前回は専用ソフトを使用せず、無料ソフトのMeditDesignで総義歯製作のCADを行う

方法について、簡単に紹介しました。

digitaldentistry.hatenablog.com

 

今回は、ずっと狙っていたM1 ProのMacBookを入手したので、

嬉しさのあまり速度検証をしましたので共有させていただきます。

よろしくお願いします。

 

スキャン速度はPCのスペックに左右される

digitaldentistry.hatenablog.com

こちら↑でも記載しましたが、同じスキャナーを用いても

使用するシステムやスペックにより、口腔内スキャナーの速度は変化します。

 

スキャンそれ自体の速度としては、市場の口腔内スキャナーはほとんど全てが

チェアサイドでの使用にストレスなく問題がないスピードになっています。

 

一昔前までは、この機種が早い、この機種はスキャンスピード自体が遅い、

などもありましたが、2023年の今、最新モデルであればほとんど遜色ないと思います。

 

ただし、差が出るのは接続しているコンピューターの処理能力です。

スキャナーの撮影スペックがあっても、パソコン側にボトルネック(遅くなる原因)

があるような状態です。

 

そのため、Prime Scanほか高価な部類の口腔内スキャナーは専用PCを備えており、

CPUやGPUでのスペック不足がないようになっています。

そのほかMeditを含め、低価格な口腔内スキャナーも販売会社指定のPCを

抱き合わせで購入する形になっていることがほとんどではないでしょうか。

 

ただ、PCは年々新しくなり、処理能力は向上していきます。

三年前に購入したPrime ScanのPCも、今となってはそこまで高速なスペックではありません。

Medit i700と抱き合わせで去年購入したWindowsのノートPCの方が、

スペック的には上になっています。

 

しかも一体型のスキャナーは扱いやすいのですが、

PCの故障により使用できなくもなりますし、年々PCはゴミデータのようなものが溜まっていき速度が落ちてしまいます。

ハードディスクも自分では増設できないようになっているので、日常臨床で口腔内スキャンを

多用する先生では、2、3年も待たずにディスクの空きがなくなってしまいます。

 

そこで、 3D歯科 としてはMedit i700のようにパソコンだけを新しくしていくと、

スキャンスピードが上げられる、というシステムの方が将来性があると思います。

 

特にMeditはMacに正式対応したので、最近のM1かM2のMacであれば、

どのモデルも使用できます。

 

今回はその中でも個人的に気になっていた、

M1のMacBook Airと、さらに高性能なGPU搭載のM1 pro搭載のMacBook Proについて

どの程度、高速化されるのかを調べてみました。

 

M1 proのMacBook Proでの上下スキャン時間

まずは、新たに購入したMacBook Proです。

特にカスタムはせず、吊るしで購入できるモデルとしました。

比較した条件は、新品購入後にほぼアプリは入れず、Medit LinkとModel Builderをインストール。

バッテリー駆動でバッテリーは100%充電済み。

上下フルのスキャンで、アライナー矯正に使える程度の精度としました。

Medit i700をケーブル1本で繋ぎ、ヒーターが温まってからスキャンを開始しました。

 

結果ですが、

なんとスキャン時間はざっと2分30秒です!

 

そこからスキャン結果表示(RAWデータ)まで40秒、

模型表示されて他のアプリで扱えるようになる、プロセッシング終了までは、

スキャン完了後2分半かかりました。

 

このプロセス時間がやはり長く感じましたが、上下とバイトでスキャン時間は

予想していたよりも短かったです。

 

ちなみにPrime Scanは上下バイトまででおよそ3分でした。

ただしプロセッションは1分半で終了しました。

 

ついでにModel Builderで3Dプリント模型製作までデータ処理を行なってみると、

スキャン開始から6分半後には模型データSTLがエクスポートできました。

 

アナログではアルジネート印象から石膏注入が終わるところまでというイメージでしょうか。

もう絶対に印象材には戻れません。

 

比較対象:M1搭載のMacBook Airの新品(旧モデル)

さて、別用途でちょうどMacBook Airの新品を購入したので、

先ほどと同条件でほぼアプリインストールなし、バッテリー駆動でスキャンしてみました。

 

結果としては・・・

スキャン時間は上下バイト合わせて3分でした。

あれ、思った以上に時間的には差がない・・・

昔に検証した際には6分かかり、純正のWindowsでの4分10秒のスキャン時間と比較して

体感でもかなり遅く感じていました。

 

ですが、前にテストした2ヶ月前と変わって

Medit Linkのアップデート、Macへの最適化が行われた関係で

単純にスキャンスピードが向上したようです。

 

プロセッシング終了までは2分40秒。

これもM1 proのMacBook Proとあまり変わりません。

 

価格的には倍程度の差があるM1 MacとM1 proのMac

(M2よりもM1 proが高速)

こうしてみると、すでにPCのスペックでもボトルネックはなくなってきているようです。

 

ちなみにスキャンスタートからModel Builderでエクスポートまででも7分程度。

M1プロセッサー搭載のMacなら大体どれでもうまくいくかもしれません。

 

比較した感想

個人的にはMacに30万円近く投資したのは初めてだったので、

スキャン速度も恐ろしく差が出るのでは・・・と思っていましたが、

時間的には結果としてあまり差がありませんでした。

 

ただ、スキャンしている感覚としては、

スキャン中のマッチングが早く、スキャナーが迷う時間や、

どこをスキャンしているかを見失う事がほぼ無く、かなり快適でした。

 

Prime Scanも快適にスキャンが行えますが、

Meditに比べてマッチングが早くてやりやすい、というのが体感的には理由と思います。

そのため、M1 pro以上のモデルであれば、より高額なPrime Scanと

同等のスキャン体験が得られるように思いました。

 

Prime Scanと比べると、鼓形空隙部分はPrime Scanが圧倒的に高速です。

ですがアライナー矯正では重要な、上顎7の遠心面のスキャンは

チップの小型なMedit i700がかなりスキャンしやすいです。

 

これ以上は、先生方の用途が何で、何を優先するか、が選択基準になり

どのモデルを選んでも日常診療に困ることはなくなってきそうです。

 

まとめ

ちょっと悔しい?結果でしたが、いずれにしても50万円程度で購入した

Windowsの高価なノートPCよりも、バスパワーで軽量小型なMac

スキャンが早いというのは素晴らしいことだと思っています。

 

今後、M1 proのMacはCADや動画編集などで使用しますので、

ここではMacBook Airよりも頑張ってくれることを期待しています。

 

 

ちょっとだけ告知をさせていただくと、

インプラントで有名なストローマン社の企画している

speaker's cornerという、一般のドクター等が行う講習会のような企画に

私も講師として参加させていただくことになりました。

 

日時

1月11日(水)20:00~21:00
1月25日(水)13:30
14:30(再配信)

 

GPがはじめてのアライナー矯正をやり切るために。
2、3症例目をスタートするために。

 

というタイトルで行います。

 

私はGPですので、矯正は経験も浅くお恥ずかしい限りですが、

せっかく機会を頂いたので、同じようにGPでアライナー矯正を

クリアコレクトで初めてみよう、スタートしたばかり、という先生向けで

お話をさせていただきます。

 

1/11分の詳細↓

us02web.zoom.us

 

1/25分の詳細↓

us02web.zoom.us

 

もしもお時間がありましたら、チェックしていただけると嬉しいです。

矯正はまだまだ勉強を始めたばかりですので、ご覧いただいた上で

アライナー矯正について知識がおありの先生方は、ぜひ改善点やポイントなどを

教えていただけますと幸いです。

 

 

次回は木曜ではなく、1/11のspeaker's cornerに合わせて

クリアコレクト初症例での内容などを来週水曜に更新したいな・・・

と予定しています。

 

 

今回の内容は以上になります。

長い文章でしたが最後までお読みいただき、

ありがとうございました。

3D歯科 では、毎週木曜日にデジタルを利用した臨床のアイディアを

少しずつ更新していきます。

 

note.com

↑こちらでも不定期に動画付きのデータを更新しています。

よろしければ見ていただけると嬉しいです。

 

先生がたの臨床に少しでもお役に立てていただければ嬉しいです。

今後とも 3D歯科 をよろしくお願いします。